無罪 INNOCENT



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初公開日(参考)2012年09月
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長編小説

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無罪 INNOCENT

2012年09月28日 無罪 INNOCENT

かつて検事補殺しの裁判で無罪を勝ち取り、今や判事の座に昇りつめたラスティ・サビッチ。彼の妻バーバラが変死した、遺体の発見から通報までに空白の一日があったことに疑惑を抱いた検事局の調べで、サビッチに愛人がいたという事実が浮かび上がった。次々に状況証拠が積みあがる中、かつてサビッチの裁判で屈辱的な敗北を喫した地方検事トミー・モルトは、ついにサビッチを妻殺しで訴追することを決意した。そして因縁の法廷が幕を開ける。サビッチは妻を殺したのか、遺体発見後の空白の時間は何を意味するのか、彼は何を隠しているのか?嘘と真実と駆け引きが白熱する。そして衝撃の真実はすべてが終わったあとに明かされる。それはあまりに悲しく痛ましく、人間の愛と憎悪を描き出す―歴史的名作『推定無罪』続編の名に恥じぬ重厚なる傑作。 (「BOOK」データベースより)




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無罪 INNOCENTの総合評価:8.08/10点レビュー 25件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)
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21年という年月で変わった者と変わらなかった者

トゥローの作品は一貫して架空の都市キンドル郡を舞台にリーガル・サスペンス作品を紡いできた。従ってシリーズの登場人物たちはそれぞれの作品に顔を出し、関連性があった。
しかし本書のように再び同じ主人公が危難に陥る作品は初めてだ。本書はトゥローのデビュー作『推定無罪』の正真正銘の続編である。

21年前のサビッチが危難に陥ったスキャンダラスな事件は愛人の死を巡っての裁判でその時、サビッチは一度地に落ちたが、21年後は首席判事となり、最高裁判官の候補にまで上りつめている。

そしてこの21年後の今彼が直面したのは妻の死。しかしそれは検死の結果、自殺と判定されたが、過去の事件にあまりにも似通った状況からかつて敵として戦った検事側のトミー・モルトが再び相見えることになる。

しかしサビッチにとって最も致命的なのは元調査官アンナとの不倫関係。またもや21年前と同様の状況に陥っているのだ。
つまり前作と本作は表裏一体の体を成しているのだ。

首席判事まで上り詰め、最高裁の判事候補になろうとする男がなぜこうも女性問題で身を滅ぼそうとするのか。しかも21年前と違い、彼は60歳。21年前の39歳ならば、まああり得る話だが、もはや還暦の域に達した男が陥るスキャンダルではないだろう。サビッチはとことん女性にだらしないダメ男ぶりを今回も発揮する。

一方のアンナは34歳になりながら、バツイチの独身女性。男性遍歴は豊富だが、これまで長く続いたことはなく、22歳で結婚し、72日間の結婚生活を過ごしたに過ぎない。なぜか衝動的に落ちてはならぬ恋に落ちてしまう女性なのだ。
このアンナも社会的に高い地位を持ちながら、なぜ色恋沙汰にはだらしないのか。それはアンナ自身が次のように述懐する。

恋とは至高のものなのだ、愛が絡むとたしなみも分別も全て振り払うことが出来る、と。

好きになったら止められない、それがアンナという女性の本質らしい。

いやアンナを受け入れたラスティ・サビッチもまた衝動的に行動する人物だと云えるだろう。

男の女の恋情の機微。親と子が同じ一人の女性を愛する。偶然が招いたとはいえ、それがまた男と女の色恋沙汰の滑稽なところだ。
ロー・スクールを卒業して法律に携わる高潔な職業に就く者たちでも、こと恋愛に限ってはただの男と女に過ぎない。
いや寧ろ人を裁くという重圧とそれに掛かる膨大な資料と証言を相手に裁判に向けて下調べをしなければならない過酷な職業による我々の想像以上のストレスによってそれを発散するために愚かだと思いながらも愛欲に溺れ、浮世の辛さを忘れたがっているのかもしれない。
本書の面白さはミステリの妙味よりもそんなどうしようもない衝動に駆られる高等階級の人間たちのおかしさにあるのだろう。

また本書はトミーとサビッチという2人の男が歩んできた人生の光と影の物語と云えるだろう。
ロースクールの同級生でありながら、常にサビッチの後塵を拝してきたトミーはその風貌も相まって自信の無さが特徴で、逆にそれを長所に検事局のトップまで登り詰めた来た男だ。21年前、満を持して起訴に持ち込んだサビッチを、法廷の魔術師と称される弁護士サンディ・スターンによってことごとく反証され、打ち砕かれてからは特に用心深くなり、本書においても意気揚々の部下ジム・ブランドとは対照的に常に消極的な立場をとる。
しかし起訴してからは彼はそれまで携わってきた公判の中でもベストのパフォーマンスを出す。常に2番手に甘んじていた屈辱を晴らさんが如く。

このトミー・モルトを単純にコンプレックスの塊のような男とみなしてはならないだろう。
誰もが上昇志向を持っている法曹界というエリート中のエリートが集う業界で燻らせていた自尊心を回復するための、いわば己との戦いなのだ。私はこのトミーの心情に本書の妙味を感じた。

かつての雪辱を晴らさんとする男と男の矜持。そしていくつになっても愛を求める男と女の情念。
一つの事件を巡ってトゥローはそれらを訥々と綴っていく。

そしてトゥローの小説を読むと法廷は最上の劇場だと思い知らされる。
検事側が優位に立ったと思えば、翌日は弁護側が攻勢に出る。一つ一つの言葉に複数の意味を持たせ、一挙手一投足に百の言葉以上の含意を持たせる。

さらに双方の戦術によって無罪と有罪の天秤は激しく傾く。
特に今回は死者となったサビッチの妻バーバラの存在感がものすごく濃厚なのである。“死せる孔明、生ける仲達を走らす”とばかりにバーバラが仕組んだ数々の時限装置に被告人であるサビッチはもとより、弁護士、検事、判事らが奔走させられる。

人はそれぞれ秘密を持つ。それは家族であっても同じだ。
そして事件が起き、裁判という場が開かれ、四方八方から捜査のメスが入っても決して知られてはならない秘密は暴かれることはない。なぜならもはや裁判が真相を証明して正義を見せる場ではなく、一番納得のいくストーリーを仕上げて正義と見せる場となっているからだ。だから物事は常に歪められて解釈される。
ラスティ・サビッチ、バーバラ・サビッチ、ナット・サビッチ、アンナ・ヴォスティック、トミー・モルト、ジム・ブランド、サンディ・スターン。彼ら彼女らが知ったことは決して真実ではない。
彼ら彼女らは何を知り、また知らずに生きていくのか。そして今後知る機会があるのか。恐らくそれぞれが墓場で持っていかねばならないことだろう。だがそれでも我々はいくつになっても愚かなことをしてしまう。そしてそれこそが人生なのだ。


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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ミステリーというより、人間ドラマ

法廷内ミステリーというより、人間ドラマ。重くのし掛かるドラマ。
筋道を追ってゆくという、ミステリー小説の楽しみは脇に置いて、この本は登場人物の心に潜むドロドロとしたもの(でも、誰の奥底にもきっと多少なりあるはずのもの)(もちろん私にも)を否応なしに見せつけられる。

同じ間違いを繰り返すのが人なのか・・・弱い人間。
同じ間違いを繰り返さないようにするのが人の道なのか・・・強い人間。
どちらを選んでも、前に進むしかない。
それも昨日よりも強い自分で進むしか無い。

前回読んだ「死刑判決」よりも、私は好みでした。


ももか
3UKDKR1P
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未読の方はご注意ください

No.23:
(5pt)

下巻も

文庫サイズ上巻しかなかった。下巻も欲しい。作品内容は良い。
無罪 INNOCENT 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:無罪 INNOCENT 上 (文春文庫)より
4167903334
No.22:
(2pt)

読まなくても大丈夫。

推定無罪は映画を観たので読んでいません。
この本は読んでがっかりでした。
SEX依存症の男とその男に執着したつまらない女の話だと思います。
無罪 INNOCENT 上 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:無罪 INNOCENT 上 (文春文庫)より
4167903334
No.21:
(2pt)

読まなくても大丈夫 #2。

推定無罪は映画を観たので読んでいません。
この本は読んでがっかりでした。
SEX依存症の男とその男に執着したつまらない女の話だと思います。
無罪 INNOCENT 下 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:無罪 INNOCENT 下 (文春文庫)より
4167903369
No.20:
(4pt)

トゥローならではの作品ではあったが。

本作『無罪』が、スコット・トゥローの二十数年まえのベストセラー『推定無罪』の続篇ともいえる作品であることは知っていたが、かって小説でも映画でも続篇では期待外れが多く本書も読みたいとは思わなかったのである。
 が、他に読みたくなるような本もなくなんとなくAmazonで入手してまった。
 大昔に読んだ『推定無罪』は、本当に印象深い作品であり、ハリソン・フォード主演の映画も観たからストーリーはかなり記憶していると思ったが、本書『無罪』を読み始めたら、どうしても デティールも知りたくなり在庫のなかから『推定無罪』上・下巻を探しだして流し読みすることになってしまった。(特に下巻の後半は熟読してしまった。)
 下巻の奥付を見ると1989年4月第8刷と記されているから、評者が読んでから27年という時が過ぎているから細部については当然ながら記憶していない。
 特に『推定無罪』下巻の40章で主人公のラスティ・サビッチが市警殺人課刑事のダン・リップランザーとの会話を本書『無罪を』読む前に読んでおいてよかったと思う。
 ネタバレになるからこのレビューで評者は詳しく書くことを避けるが、なんとなく記憶していたラスティ夫人バーバラを、この二人の会話で知っておくことで本書『無罪』を、より興味深く読むことができたからである。
 リーガル・サスペンスとしてスコット・トゥローが、1987年に 『推定無罪』で世に出てから、23年後の2010年にその続編といわれるような本書『無罪』を発表したのは何故なのだろう。
 対立する検察官トミー・モルトが正義に目覚めるヒーローとして書きたかったのかしらとも思え、なんだかリアリティのない結末には少々いただけないと感じたのは評者だけだろうか。
 確かに本作『無罪』は、トゥローならではの作品ではあったが、『推定無罪』と肩を並べるほどの作品ではなかったようである。
無罪 INNOCENTAmazon書評・レビュー:無罪 INNOCENTより
4163816704
No.19:
(3pt)

続編ならではの難しさを感じるリーガルミステリー

「推定無罪」が評判となり、映画かもされた。こういう場合は続編が出るのが早いのだが、
20年後に発表されるケースは少ないと思われる。
登場人物はほぼ変わらず、今回も主人公のサビッチが的となっている。
前作での「リアルな法廷劇」を期待されている方には、物足りないと思います。
検察側の人物が「薄い」気がします。
「家族」をテーマにしているので、サスペンスというよりは純文学的要素を含む小説かと・・・
プロットは上手いのですが、流れとして残念な部分もあります。
私は、「この作者なら、この流れやスピード感、いつものどんでん返し」を考えずに読むようにしていますが、、
大ヒット作や連続物に同じモチベーションの高さを期待してしまう読者側の勝手な言い分かもしれません。
無罪 INNOCENTAmazon書評・レビュー:無罪 INNOCENTより
4163816704



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