囮弁護士



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初公開日(参考)2000年09月
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長編小説

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囮弁護士〈上〉 (文春文庫)

2004年11月01日 囮弁護士〈上〉 (文春文庫)

ある日、連邦検事の訪問をうけた弁護士ロビー・フェヴァーは、脱税と判事への贈賄を指摘され、罪の軽減を条件に取引を持ちかけられる。家族を抱えるロビーに選択の余地はない。かくして法曹界の大規模贈収賄事件を摘発するべく、連邦検察局とFBIの囮作戦が始まった!「推定無罪」を凌ぐと絶賛されたリーガル・スリラーの傑作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

囮弁護士の総合評価:7.08/10点レビュー 12件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)

キンドル郡を楽しく歩く

トゥローの描く架空の郡、キンドル郡を舞台にしたリーガルサスペンスは過去に登場した弁護士、判事、検事らが重層的に混在して登場し、さながら一大サーガを展開しているようだ。主役が各作品で違うため、それら主人公達から描かれるレギュラー出演者も各々の主観が入り、面白い。その描写は第1作から終始一貫して登場人物らの性格は変えず、違和感なく物語に入り込めるのがトゥローの素晴らしい所だ。
特にサンディ・スターンは今までのシリーズ全てに顔を出しており、自叙伝『ハーヴァード・ロー・スクール』に彼のモデルになる人物(名前もそのまま)を作者は高く評価していることからこのキンドル郡サーガにおいてなくてはならない人物だと捉えているようだ。

今回はキンドル郡の法曹界に蔓延る贈収賄事件の一斉摘発がテーマ。贈収賄に関わる判事ら、特に首席裁判官であるブレンダン・トゥーイを摘発せんとセネット判事はその中心人物の一人、ロビー・フェヴァー弁護士を囮としてFBI捜査官と共に手練手管を使って証拠を掴み、容疑者の連鎖の綱からトゥーイを捕まえようと企む。FBIのハイテク機器を駆使して判事らの証言を取得する中、実はロビーが無免許弁護士だったと判明する。捜査も大詰めの中、セネットは不退転の決意で捜査の続行を決意するのだが...。

主人公は題名にもあるとおり、囮となる弁護士ロビー。プレイボーイで口達者な一筋縄でいかない曲者弁護士として描かれるが、彼の根底にあるのはルー・ゲーリック病に冒され、日々衰弱していく妻ロレインへの愛だった。プレイボーイである彼が妻への献身のため、FBIの囮となる事を了承する、一見ありえない設定だが、これをトゥローは実に説得力豊かに描いていく。特にロビーの秘書として付き添うFBI女捜査官イーヴォンの眼を通して幾度となく語られるロビーの妻の看病シーンはとてもこの物語のサイド・ストーリーとは思えぬほどの濃密さである。
実際、今回の登場人物で最も印象に残るのは捜査の中心人物セネットでもなく、囮弁護士のロビーでもなく、また時に狂言回しとして使われるイーヴォンでもなく、このロレインだった。特にロレインがイーヴォンに語る、ロビーへの愛。これが綺麗事ではなく、寝たきりの身でさえロビーの体が欲しくて堪らないという動物的本能の吐露だというのが実に激しく胸を打つ。本当の夫婦とはこれほどまでに愛や肉欲が深いのかと感嘆した。最後の幕引きもやはり夫への愛に満ち足りている。恐らくロレインの眼には笑顔で手を差し伸べるロビーの姿が映ったことだろう。

2つ星を減点にしたのには二つ理由がある。まずイーヴォンの性格にあまり感情移入出来なかった事。頑固な禁欲主義者という設定から隠れレズビアンだったという移行はあるものの最後まで魅力を感じなかった。嫌っていたロビーに徐々に心を開いていくのは寧ろ物語の常道であるから特に語る事はない。
もう一つはロビーが無免許弁護士だったという設定。これは捜査の致命的な打撃になったがその後、これによって捜査が大幅に沈滞する事も無かった。何故この設定を持ってきたのか納得いかない。物語の起伏を持たせる因子としてはあざとく、寧ろ不要だったのではなかったのだろうか?

さて、今回気付いたトゥロー作品の特徴がある。それは各章の終わりを決めゼリフで括る事。これが非常に効果的で、物語を段階的に引き締め、心に印象を強く残すのだ。さらに登場人物に決めゼリフを云わせることで徐々に彼らの性格付けを読者の心に浸透させていくのだ。もしかしたらデミルもそうかもしれない。注意して読んでみよう。

書きたい事は実はまだまだ沢山ある。セネットという人物の、正義を旗印にかかげているのならば何でもしてもよいといった倣岸な性格付けの見事さ、クラザーズ判事を化け物じみた威厳の持ち主として設定したことでこの物語への介入が更に深まった事、贈賄の証拠を掴むまでの数々の駆け引きはアイリッシュの長編を髣髴させるそれ自体が1つの短編のようである事などなど。しかしこういう濃厚な作品を十全に語る事は非常に難しい。ここに書かれない千にも渡る数々の感想は胸に秘めておこう。

後に出た『死刑判決』を先に読んだ御蔭でジリアン・サリヴァンという人物を実に深く心にとどめることが出来た。今回では単なる贈賄事件に関わった判事の一人としてしか描かれず、登場人物表にも載っていない。もし先にこの作品を読んでいたら『死刑判決』でのサリヴァンの復活は再度想起させられる事はなかっただろう。
トゥロー作品は刊行順に読む必要はない。いや寧ろ、最新作から第1作へ遡って読む方がキンドル郡を愉しく歩けるのかもしれない。

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

こういうのもいいなぁ~アリdesu!

「推定無罪」や「無罪INNOCENT」的なものを求める方にはお薦めできません。
私も最初は法廷論争ものと思って読み始めたのですが・・・・。
これは「人間ドラマ」の方が強いですね。
法廷物としては物足りない(あまり登場しないので)ですが
トゥロー氏の小説としては、記憶に残る本だと思いました。

ももか
3UKDKR1P
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.10:
(1pt)

改訳を強く希望します。

前の方がお書きになっている通り、訳文がひどすぎます。直訳調であり過ぎるのも問題ですが、「発端」の章だけでも、誰が誰に対して何をしたのか全く理解できず、読むのに難儀しました。過去の訴訟の話でも、語り手が原告側の弁護士なのか、被告側の弁護士なのかも分かりにくいですし、登場人物表に名前のない人物が、何の説明も全くないまま話の中心部分に入ってきたりする(カーター・フランチって、結局何者?)ので、読んでいて本当に訳が分からなくなりました。結局「発端」の章だけ読んで、挫折しました。
同じ著者の『推定無罪』が文句なしの傑作でしたので、本作も期待大でした。アシモフの『ファウンデーション』(ハヤカワ文庫版)シリーズもそうですが、名作の定評がある作品なのに、訳文がひどすぎて読むのを断念せざるを得なくなるのは、本当に悔しいことです。
二宮磬氏の訳本は、過去に何冊か読んだことはあります。しかし、ここまでひどかった印象はないのですが……。
囮弁護士〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:囮弁護士〈上〉 (文春文庫)より
4167661802
No.9:
(4pt)

法曹界をテーマにした文学作品

リーガルサスペンスの傑作は枚挙に暇がない。殊に世界一の訴訟王国アメリカに於いては。
物語の主幹は賄賂を受け取っている上位裁判所判事達とそれらを狡猾に操る黒幕の立件。
罪の免責軽減を条件に悪徳弁護士を捜査陣側に抱き込み、囮にして架空の事件をでっち上げFBI指揮の下に証拠固めを始める・・・
最新機器を用いた盗聴、監視等、科学捜査の一面と登場人物が出揃うまでの前半は冗長でここまでは割と良くあるストーリーだが
この小説が傑出している点は登場人物達を勧善懲悪に選り分けず人間の持つ多面性を友人関係、共生関係と絡ませ終始揺れ続ける中に描写している事にある。
現在の各々の立場や姿はどのような経緯で至ったかといった要因とその前後にあるドラマを複雑に交錯させ、
内面の葛藤や心理描写も巧みに用いている為にミステリとしても読み応えがある。
反面、文体が難解な箇所もあって読み辛くセリフの意味や人物相関が時に分からなくなり
一度戻ってから読み返す事を繰り返したので読了に時間を要した。
劇的な展開を迎え物語は収束するが、個々に訪れた運命と身の処し方には一考するものがある。
大衆的と純文学的なものを併せ持つ作家だと、S・トゥロー自身があとがきで述べているが、今作は正にその融合である。
囮弁護士Amazon書評・レビュー:囮弁護士より
4163195009
No.8:
(5pt)

一級品の孤独

囮弁護士のロビー弁護士、最高にすばらしい。口がうまくて女を喜ばせるのが上手でとことん浮気者で、そういうタイプの中年男の魅力が手にとるようだ。
ヒロインはまじめすぎるFBI捜査官。彼女の成長物語でもある。  

ロビー弁護士が母を語るP226が好きだ。タイトスカートにハイヒールで近所の男どもをふりかえらせる若き日の母、しがない売り子の帰り道の楽しみ、芝刈り機の手をとめて、男どもがじっくりと眺めてうなる。「母にはそれがこたえられなかったんだ」
ロビーの母への理解はすべての悪行を償ってあまりある。

作者のトゥローは死刑反対の知性派弁護士。
囮弁護士Amazon書評・レビュー:囮弁護士より
4163195009
No.7:
(2pt)

翻訳が下手くそ

昆虫標本オタクの養老孟司が書評で勧めていたので読み始めたが、
途中で苦痛になり、読むのをやめた。

最初、小説そのもののテンポが悪いのかと思ったが、
翻訳そのものに問題がある。漢字にすべきところを、
「ひらがな」で書いた箇所が多く、字を習い始めた幼児が
「分かち書き」されていない文章に戸惑うような状態になる。

原書は『推定無罪』を書いたスコット・トゥローの作品であるから
面白いはずである。 しょうがないから原書を読んでみよう。

この翻訳者の本は要注意である。
この翻訳者の二宮 磬には他に面白そうな本の翻訳が無いのが幸いである。

注)『推定無罪』は別の翻訳者:上田公子
囮弁護士〈上〉 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:囮弁護士〈上〉 (文春文庫)より
4167661802
No.6:
(3pt)

評価の分かれ目

S・トゥロー氏の作品を初めて読みました。
かなり文学寄りなので、読み始める前に期待したものとは少し違いましたが、
一読の価値はありました。
囮捜査の展開は淡々と進みますので、リーガル・サスペンスを期待して読むと辛いかも。
捜査の結末にスッキリしない方もいると思います。
つまり、ミステリ好きが期待することに気持ちよく応えてくれないのです。
その代わりに人物(脇役まで結構しっかり)を深く掘り下げて書いてあります。
登場人物の人生観に色々と考えさせられました。
良い小説だけど、面白くなかったというのがまとめです。
囮弁護士Amazon書評・レビュー:囮弁護士より
4163195009



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