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囮弁護士
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囮弁護士の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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前の方がお書きになっている通り、訳文がひどすぎます。直訳調であり過ぎるのも問題ですが、「発端」の章だけでも、誰が誰に対して何をしたのか全く理解できず、読むのに難儀しました。過去の訴訟の話でも、語り手が原告側の弁護士なのか、被告側の弁護士なのかも分かりにくいですし、登場人物表に名前のない人物が、何の説明も全くないまま話の中心部分に入ってきたりする(カーター・フランチって、結局何者?)ので、読んでいて本当に訳が分からなくなりました。結局「発端」の章だけ読んで、挫折しました。 同じ著者の『推定無罪』が文句なしの傑作でしたので、本作も期待大でした。アシモフの『ファウンデーション』(ハヤカワ文庫版)シリーズもそうですが、名作の定評がある作品なのに、訳文がひどすぎて読むのを断念せざるを得なくなるのは、本当に悔しいことです。 二宮磬氏の訳本は、過去に何冊か読んだことはあります。しかし、ここまでひどかった印象はないのですが……。 | ||||
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リーガルサスペンスの傑作は枚挙に暇がない。殊に世界一の訴訟王国アメリカに於いては。 物語の主幹は賄賂を受け取っている上位裁判所判事達とそれらを狡猾に操る黒幕の立件。 罪の免責軽減を条件に悪徳弁護士を捜査陣側に抱き込み、囮にして架空の事件をでっち上げFBI指揮の下に証拠固めを始める・・・ 最新機器を用いた盗聴、監視等、科学捜査の一面と登場人物が出揃うまでの前半は冗長でここまでは割と良くあるストーリーだが この小説が傑出している点は登場人物達を勧善懲悪に選り分けず人間の持つ多面性を友人関係、共生関係と絡ませ終始揺れ続ける中に描写している事にある。 現在の各々の立場や姿はどのような経緯で至ったかといった要因とその前後にあるドラマを複雑に交錯させ、 内面の葛藤や心理描写も巧みに用いている為にミステリとしても読み応えがある。 反面、文体が難解な箇所もあって読み辛くセリフの意味や人物相関が時に分からなくなり 一度戻ってから読み返す事を繰り返したので読了に時間を要した。 劇的な展開を迎え物語は収束するが、個々に訪れた運命と身の処し方には一考するものがある。 大衆的と純文学的なものを併せ持つ作家だと、S・トゥロー自身があとがきで述べているが、今作は正にその融合である。 | ||||
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囮弁護士のロビー弁護士、最高にすばらしい。口がうまくて女を喜ばせるのが上手でとことん浮気者で、そういうタイプの中年男の魅力が手にとるようだ。 ヒロインはまじめすぎるFBI捜査官。彼女の成長物語でもある。 ロビー弁護士が母を語るP226が好きだ。タイトスカートにハイヒールで近所の男どもをふりかえらせる若き日の母、しがない売り子の帰り道の楽しみ、芝刈り機の手をとめて、男どもがじっくりと眺めてうなる。「母にはそれがこたえられなかったんだ」 ロビーの母への理解はすべての悪行を償ってあまりある。 作者のトゥローは死刑反対の知性派弁護士。 | ||||
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昆虫標本オタクの養老孟司が書評で勧めていたので読み始めたが、 途中で苦痛になり、読むのをやめた。 最初、小説そのもののテンポが悪いのかと思ったが、 翻訳そのものに問題がある。漢字にすべきところを、 「ひらがな」で書いた箇所が多く、字を習い始めた幼児が 「分かち書き」されていない文章に戸惑うような状態になる。 原書は『推定無罪』を書いたスコット・トゥローの作品であるから 面白いはずである。 しょうがないから原書を読んでみよう。 この翻訳者の本は要注意である。 この翻訳者の二宮 磬には他に面白そうな本の翻訳が無いのが幸いである。 注)『推定無罪』は別の翻訳者:上田公子 | ||||
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S・トゥロー氏の作品を初めて読みました。 かなり文学寄りなので、読み始める前に期待したものとは少し違いましたが、 一読の価値はありました。 囮捜査の展開は淡々と進みますので、リーガル・サスペンスを期待して読むと辛いかも。 捜査の結末にスッキリしない方もいると思います。 つまり、ミステリ好きが期待することに気持ちよく応えてくれないのです。 その代わりに人物(脇役まで結構しっかり)を深く掘り下げて書いてあります。 登場人物の人生観に色々と考えさせられました。 良い小説だけど、面白くなかったというのがまとめです。 | ||||
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『推定無罪』で華々しく登場した、アメリカのリーガル・サスペンス界の第一人者、スコット・トゥローの5作目の長編である。法廷場面は描かれていないが法曹界を揺るがす贈収賄事件がテーマである。 「このミステリーがすごい!」では’00年海外編第4位にランクインしている。 ロビーは、事故による人身被害を申し立て、贈賄によって判事から有利な裁定を引き出し、和解により巨額の賠償金を得る、いわば「悪徳系」弁護士だった。 連邦検察官とFBIは、その背景にある民事部主席判事を頂点とした大規模な贈収賄事件を摘発するため、ロビーの贈賄と、更に脱税の証拠を握って、罪を軽くするのと引き換えに、彼に捜査側の手先、つまり囮になるよう要請する。 かくしてロビーを囮に仕立て、でっちあげの事件を法廷に持ち込んで贈賄の口実を作ったうえで、最新鋭の機器を駆使して盗聴、盗撮し、証拠をつかもうという大掛かりな作戦が始まる。 前半は囮捜査の詳細な手口が、ロビーの弁護士をつとめる人物の一人称で粛々と語られ、やや冗長である。後半に入って、ロビー自身の誰にもいえない“秘密”が明らかになったあたりから、最後のFBIによる大捕り物まで、物語はがぜん勢いがつく。そして、やがて明らかになる意外な事実と悲劇的な結末・・・。私はエンディングには不完全燃焼のような、何か哀しいものすら感じた。 本書はまた、事件をめぐり揺れ動く人間模様も読みどころである。難病で余命いくばくもない妻に献身的な愛情を注ぐロビーの姿、監視役で送り込まれたFBIの女性捜査官とロビーとの間の感情の微妙な変化など、著者は囮捜査に翻弄される登場人物たちの錯綜した人間ドラマを展開して見せている。 本書は、ただの手に汗握る法廷‘スリラー’エンターテインメントではなく、大きなストーリーの流れ(それはそれでスリリングである)のなかに、いくつもの人間ドラマが挟まれた文学的要素の強い力作である。 | ||||
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『囮弁護士』とは、文字通り、FBIの『囮』となって不正な収賄をおこなう判事や裁判所の職員をひっかける役目のことをいう。そんな囮になる弁護士だから、もちろんロクなもんではない。事実ロビーは、嘘つきで、みえっぱりで、徹底的に不実な男である。しかし、愛に満ちたこの男を、FBIの捜査官は憎めない。読者である私も彼を愛さずにはいられなくなる。登場人物は、それぞれ、まったく性格も利害もことなる友人の弁護士、FBIの捜査官、やり手の検事の三者の人生と家族たちが絡みあい、単なる法廷サスペンスを突き抜けた、矛盾に満ちた人間そのものを描いたドラマになっている。どの人物もキャラがたって見事だが、やはり主人公の造形はすばらしいと思った。誠実であるがゆえに、裏切ってしまう人間を、トゥローの奥深く一級のユーモアで描いた筆致は見事。余韻も深く、長く残りました。 | ||||
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トゥローはル・カレのようだ。かたやスパイ小説を文学としてしまい、そしてトゥローはリーガルサスペンスを文学にしてしまった。トゥローの辿り着いた最高峰がこの作品である。ここでは、ある弁護士のトホホな生態が描かれる。その実態が暴かれるたびに「えっ?」という苦笑いとともに本を読む手が止まり、そこまでのストーリーを反芻してしまう。そいうえば、ル・カレもスパイの(他人の郵便箱を覗いたりといった)トホホな生態を描いていた。現実世界というのはこの程度のもの、改めて再確認してしまう。 | ||||
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裁判官の収賄事件に絡んで、贈賄側の弁護士がFBIの捜査の囮となって証拠集めに協力する。その過程での、FBIの匿名女性捜査官とこの弁護士の関わり(対立と一種の共感)が詳しく書かれ、物語の中心を成している。法廷サスペンスではなく、二人の人間関係を描いた作品として見れば、それなりに面白いと言えるかもしれないが、サスペンスとしてはあまりにテンポが遅く、退屈な作品と言わざるを得ない。終盤になってやっとサスペンスらしい展開を見せるが、それまでの退屈な印象を覆すことはできない。英語はかなり難しく、話の進行の遅さとも相まって、読み通すのに苦労させられる作品である。 | ||||
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文学作品と娯楽作品の両方の要素を持つ、とんでもなく刺激的な本だと思う。この筆力にして、しかも読む者をあっといわせる展開。すごすぎる。 | ||||
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