死刑判決



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初公開日(参考)2004年10月
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長編小説

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死刑判決〈上〉 (講談社文庫)

2004年10月01日 死刑判決〈上〉 (講談社文庫)

リーガル・サスペンスの王者が帰ってきた 10年前の判決は冤罪だったのか?しょぼくれ弁護士vs.辣腕女検察官、熾烈な攻防を支える、美貌の元判事と一匹狼の刑事。第1級のエンタテインメントにして、重厚な人間ドラマ。これぞトゥローの真骨頂! 死刑執行まで1ヶ月、弁護人アーサーの前に現れた真犯人と名乗る男。レストランで3人が惨殺され、冷凍庫詰めにされた10年前の事件は振り出しに戻った。麻薬にはまり収賄罪で逮捕された美貌の元判事、野心家の辣腕(らつわん)女検察官、一匹狼の刑事。時を経て、再び交錯する人生。巨匠トゥローが満を持して贈る傑作。 スコット・トゥローは1949年生まれ。シカゴ連邦検察局に検事補として在職中に発表した『推定無罪』は、完璧なプロット、重厚な人物造型で瞠目され、CWA賞を受賞、世界的ベストセラーに。リーガル・サスペンスの先駆者として、以来、『立証責任』『有罪答弁』など傑作を発表してきた。本書は、読者にはおなじみの架空の都市キンドル郡を舞台にした、待望の新作。トゥローは弁護士としても活躍を続けており、死刑問題にも深く関わっている。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.75pt

死刑判決の総合評価:8.23/10点レビュー 13件。Aランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

これは人間ドラマです!

ミステリーとしても充実した内容で、推理自体も楽しめますが
私が一番感動したのは、下地にちゃんと人間ドラマが存在していること。
後半にさしかかると、推理そのものよりも人間の葛藤が重点になっていき、そして完結します。

ミステリーを読んだあとの感想としては、面白かったとか楽しめましたとか
こうだったのか!とかアイツが犯人だったのか!等々様々なものがありますが
この「死刑判決」読後の感想は一言でいうと、「やっぱりスコットトゥローは素晴らしい作家だ!」に尽きると思います。

未読の方には是非お勧めです。
もう一度最初から読みたいくらいです。

ももか
3UKDKR1P
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

4人の強烈な個性のぶつかり合い

トゥロー久々の作品は冤罪裁判をテーマに扱った重厚な作品。
重厚といってもそれは本の厚みであり、内容は今までの作品とは違って暗いトーンがあるわけではない。もしかしたらいつも出ている文藝春秋じゃなくて講談社からによるフォントや字組みの違いからくるのかもしれないが、今回はクイクイ読めた。今までの経験上、トゥローを読むときは1時間に40ページぐらいしか読めなかったように思うのだが、今回は60ページ強をコンスタントに読めた。

発端は死刑執行を間際に控えた殺人犯ロミーが無実を訴え、再審を要求する所から始まる。その裁判の公選弁護士として選ばれたのはアーサー・レイヴン。30も半ばを過ぎているのにも関わらず、いまだ独身で本人も自身の人間的魅力に疑問を持ち、異性に対し、奥手な性格。しかし仕事に懸ける情熱は人一倍。彼は当時有罪の判決を下した元判事ジリアンと接触し、事件の詳細を調べる。やがてある人物からの衝撃的な告白を聞き、ロミーの無罪を勝ち取るべく奔走する。迎え討つは当事ロミーを有罪へ追いやった次期キンドル群検事候補と名高い“怖れ知らず”のミュリエルとミュリエルの不倫相手であり、ロミーから自白を勝ち取った刑事ラリーの二人だった。二転三転する衝撃の事実、果たしてロミーは有罪か無罪か、裁判の行方は?

原題は“Reversible Errors”。これは法律用語で「破棄事由となる誤り」という意味で控訴審で一審判決を大いに覆すような重大な誤りを指す。この題名が非常に素晴らしい(翻って邦題の何というショボさ。いくらトゥローの既訳作品の題名が漢字四文字が多いとはいえ、これはひど過ぎ!凡百のリーガル・サスペンス作品と何ら変わらんではないか!!)。
文庫の帯にもあったがこれが単純に法律用語の意味を指すのではなく、アーサー、ジリアン、ミュリエル、ラリーら主人公四人の現在における過去の、元に戻すことが出来る過ちを指している。
この四人の中でもっとも印象的だったのがやはりジリアン。ロミーに有罪判決を下した判事であり、それを覆そうとするアーサーと恋仲になるという、この二律背反なセッティングが極めて興味深い。しかもヘロイン中毒という強烈な性格付けもしており、最後の最後までアーサーにはそれを隠している。最後にその事実が途轍もない一撃となって裁判を揺さぶるわけだが、この辺りの設定の妙はトゥローならではだ。
またラリーも印象が強いキャラクター。決して己の主義を曲げず、一途なまでにミュリエルを愛し、ミュリエルのためなら決定的な証拠を破棄することも辞さない不器用さが男の悲哀と共に語られ、最後には敗北者となる。

しかし、もっとも感動的だったのは主人公四人が高潔であったこと。彼ら彼女らは決して自分の立場が不利になる事実、真相、証拠が現れてももみ消そうとはせずに、開示する。そして法の下に従っていかに自分たちに有利に働かせるかと試行錯誤する。これは法曹界では当たり前であるのだろうが、新鮮であり清々しい。鑑定結果を引き裂いたラリーは実は最も私たちに近いのかもしれない。また主人公四人以外の登場人物もそれぞれの人物造型がしっかりとしており、名前で誰が誰だか判らなくなる事も皆無であった。

今回は上下巻800ページ弱あるにもかかわらず、上巻241ページで真犯人がわかってびっくりした。それ以降、どう物語が展開するのか心配したがやはりトゥロー、二転三転四転五転の展開を見せ、新たなる真相をも準備してくれた。彼ら四人の特異な人生を語るに加え、アクロバティックなロジックを組み込むこの贅沢さ!また中に散りばめられた警句や描写など心に残る物が数多くあり、ここでは書き切れない。満腹状態だ。
最後に最も印象に残った一文を書き出して終わることにしよう。この文章は今後私の人生で大きな力になることだろう。

“自らやった過ちは歴史に残らないほど取るに足らないもの、そう考えると楽になる”


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

まだ未読のあなたに是非!

想像以上に面白い小説でした。
彼の作品を読んでいないあなたに是非とも読んで頂きたい!

法廷内のやりとりは多少難しいところもありますが
人間関係・人が常々間違いを犯しやすいところ・結局求めているのは愛?
そういう「人として」を考えさせられる内容でした。

長いけど、読む価値あり!です。
お薦めです。

ももか
3UKDKR1P
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

死刑判決の感想

レストランの店主と客など3人が殺された事件。3ヶ月後に犯人が捕まり自白することで死刑判決を出されるのですが、10年たっていよいよ執行間近になって公選弁護人となったアーサー。犯人とされるロミーと面接するうちに真犯人を名乗る人物から連絡があり、彼の無罪を主張していく物語です。

誠実で真面目だけどさえない弁護人、問題を抱え自らも服役することになってしまった判事、野心でいっぱいの検事、正義感はあるものの偏見と思い込みで強引な自白強要をしてしまう刑事、と4人の違う立場の人物それぞれの心理描写が抜群に上手いと感じました。

また4人の男女の私的な関係を横軸に入れて、実際にあった事件をもとに書かれたということですがアメリカの司法制度の実態がわかりやすく描かれています。

裁判は決して真実を明らかにする場所などではなく、いかに自分に有利な判決を勝ち取るかと言う闘いの場なんだと言うことがよくわかります。
日本ではあまりない司法取引などは犯罪の多いアメリカでは日常のことのようですが、いかにお金や権力のあるものが優位な社会なのかと言うことをまざまざと見せつけられているような気がしました。

そして冤罪事件はこんな風にできあがっていくんだなと言う典型的な話でもあり、司法制度は微妙に違うものの日本でも現実に起こっていることと重ねてみてしまいました。

▼以下、ネタバレ感想

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たこやき
VQDQXTP1
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未読の方はご注意ください

No.9:
(3pt)

トゥローの小説としては及第点

3人を殺害し死刑囚として10年間服役している男の再審と無罪を巡って検察側と弁護側2組の男女が争う話。
登場人物達の抱えた人生の辛酸と過去の事情が交錯した男女の愛憎劇が濃厚な為、リーガルサスペンスの趣は薄い。
上下巻結構厚みのある文庫だが、そこはこの作家の作品なのでそこそこ楽しく読ませる。

最終的な判断が齎された結果、事件に関わった当事者(容疑者達)の冤罪と潔白は朧げで釈然としない。
時間の経過と故人が多数という要素が加わり白か黒か判別できない事件の真相にリアリティはあるが、
「われらが父たちの掟」「囮弁護士」のような文学的要素は薄く陶然とした読後感は得られなかった。
原題の“Reversible Errors”には「破棄事由となる誤り」の他「取り返しのつく間違い」という意味もあるようで、全てが終わった後の4人の明暗を考えてみるのも一考かと。
死刑判決〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死刑判決〈上〉 (講談社文庫)より
4062748665
No.8:
(4pt)

やっぱりリーガル・ミステリーといえばスコット・トゥローでしょ

他の作品同様、とにかく読み応えがあります。魅力的な人物造形とストーリー展開。車に例えるとフォルムとエンジンのバランスが絶妙で、ぐいぐいと引き込まれるように小説世界へと旅することができます。

彼の作品は概ね法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)が主要な登場人物となり、犯罪に巻き込まれたり加担したりと、だからといって、業界の暴露話に終始したり、法廷シーンが前面に押し出されるわけではなく、彼らないし彼女らの私生活へ深く入り込み、法律にかかわる人間の心理や葛藤を描写する手際よさに、僕なんかは感心するわけです。
リアルに感じるから?なぜ、訴訟社会のアメリカでない日本でこれまで生きてきて刑事事件なんかとは全く無縁で、その手の接点とはいえば多くの人と同様にテレビや映画、そして読書といったフィクションを通じてしかないのに?
それはともかく、本書の原題は“Reversible Errors”。これは法律用語で「破棄事由となる誤り」という意味で、控訴審で一審判決を大いに覆すような重大な誤りを指します。

10年前レストランで3人の男女を撃ち殺しさらに死後強姦までしたとして死刑判決をうけたロミーが、執行の33日前になって無実を訴え出る。彼の公選弁護人に指名されたアーサーは始めはおざなりに仕事を進めるが、がんを宣告され余命間もない事件関係者による爆弾証言によって死刑囚に冤罪の可能性が高まる。
ロミーを逮捕し自白を引き出した刑事ラリー、公判担当の検察官ミュリエル、有罪の判決を下した元判事のジリアン。主要な登場人物の内、ラリーとミュリエルは10年前の事件当時不倫関係にあり、30歳半ばのアーサーは独身で女性に対しては不器用ながらも愛を求めて止まず、今回の控訴審に際して知り合ったジリアンと恋仲になる。
この二組のカップルを中心に物語は展開し、種々の駆け引きや嘘と本音の混在、裏切りと懐柔といったいくつもの事実が入り乱れて、それらは決して真実へ向けて収斂することなく、犯人は宙づりにされたままとなります。誤りは確かにあった。かろうじて正義ははたされる。果たしてそれがまっとうかどうかは意見の分かれるところでしょう。
死刑判決〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死刑判決〈上〉 (講談社文庫)より
4062748665
No.7:
(4pt)

法と情の間で苦悩する二組のカップル。トゥローならではの人間ドラマ

リーガル・ミステリーの巨匠スコット・トゥローの文庫上・下巻779ページに及ぶ大作。
2001年4月、10年前レストランで3人の男女を撃ち殺し冷凍庫詰めにしたとして死刑判決をうけたロミーが、執行の33日前になって無実を訴え出る。ストーリーのメインフレームは、彼の公選弁護人に指名された弁護士アーサーと、もともとはロミーに死刑を宣告した、のちに悪の道に染まり服役していた元判事のジリアンのカップルVS刑事のラリーとその不倫相手でもある検察官ミュリエルという構図で、「わたしこそが真犯人だ」という新たな証人が現れ、ロミーの冤罪かやはり有罪か、彼らの激しい攻防が描かれる。
物語は、現在(2001年)からさかのぼって事件発生当時(1991年)と、上述の4人それぞれの多視点で交互に語られ、多面性と複雑さを醸し出している。また、事件そのものを追いかけると同時に、それぞれのカップルの、法と情の間で揺れ動く恋愛模様がたっぷりとくどいくらいに展開される。
この、リーガル・サスペンスとしてはやや手垢がついた感があるテーマを持ってきて、それをどう料理するかと興味を持って読み始めたが、さすがトゥロー、10年の時を経て再び交錯する二組のカップルの、多少の濡れ場はあるものの、他の作品に見られるような文芸趣味を抑えていて読みやすく、といっても通俗エンターテインメントに堕すこともなく、重厚で上質な人間ドラマに仕上げている。
本書は、現役の弁護士であるトゥローが、実務に裏づけされた正確な法廷手続きをベースにしつつ、『推定無罪』から15年経って円熟味を加えた逸品である。
死刑判決〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死刑判決〈上〉 (講談社文庫)より
4062748665
No.6:
(3pt)

推定無罪越えはまだか?

なかなかの面白い内容でしたが、トゥローの小説家としてのデヴュー作である、推定無罪に比べるとやはり本作もインパクトにかけるというのが率直な感想です。次回作、次々回作は法定ドラマではなさそうですが、早期の出版を希望します。あと翻訳家の方には少しがっかりでした、トゥロー作品は全作をキンドル郡という同世界でえがかれているので名前表記等を前作と統一してほしいと思います。また法廷用語についても、もう少し検証されるべきであったと思います。
死刑判決〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死刑判決〈上〉 (講談社文庫)より
4062748665
No.5:
(5pt)

さすがスコット・トゥロー、深みが違います。

無実を訴える執行目前の死刑囚とその弁護士。ともすれば先が読めてしまいがちな
このタイプのリーガルミステリーをさすがはトゥロー、深みが違います。
愛人関係にあったやり手の女性検事と腕のいい刑事。
10年以上の殺人事件の真相が徐々に徐々にあぶりだされます。
登場人物のそれぞれが織りなす人間模様がミステリーに重厚さを与えています。
主人公の弁護士は決して熱血タイプではない。
むしろ、さえないと言ってもいいくらい。
自分がミスすれば、無実の人を死刑台に送ってしまうという
危機感から全力を尽くそうとするのです。
映画化するなら、主人公はニコラス・ケージでしょうかね。
死刑判決〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:死刑判決〈上〉 (講談社文庫)より
4062748665



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