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ボダ子



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【この小説が収録されている参考書籍】
ボダ子
ボダ子 (新潮文庫)

ボダ子の評価: 3.92/5点 レビュー 39件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.92pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(3pt)
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ボダ子はボーダーラインか?

ボダ子は、作中でたびたび言及があるように、小さい頃から、過剰なほどのお世話好きである。そしてその献身が他者に認めらるかどうかがボダ子の情緒を大きく左右する。
 ボランティア仲間との狂態も、他者に喜んでもらうこと、そうして認められることを求めての奉仕(それは多分に依存でもあるし、見捨てられる不安から来るものでもあるのだろうが)の一環なのかもしれない(そしてそれは彼らにとってはボダ子につけいる隙、ボダ子にとっては最大の弱み、なのだろう)。これらはクレッチマーの循環気質に当たる特徴であると考えられ、それはとりもなおさず、双極性障害に特徴的な病前性格でもある。そう考えると、小学校高学年でそのお世話好きが周囲に認められず、自己評価が下がったことから強い抑うつ状態に陥ったことも理解できる。援交していた時期は軽躁状態であったのかもしれない。ボランティアでの興奮も、軽躁状態でのそれかもしれない。もしそうなら、最初に入院した病院でのパキシルの処方は、的外れであったかもしれない。むしろスタビライザーが第一選択肢として用いられるべきだったのではないだろうか。そう考えると、退院した夜の万引きや自傷も、パキシルによる躁転と考えられなくもない。
 ボダ子は活動の中で誰よりも多くのお年寄りから「お茶っこ」に誘われ、高い共感能力を発揮している(もちろん別の意味でのお誘いも次第に増えていったのであろうが、初期では実際に生き残った高齢者の話を聞き、心を振るわせているようだ)。また双極性障害の場合も躁状態の時には、見境のない性行為に走りやすい。
 また作中では、「その疾病(ボーダーラインパーソナリティ)を患った人間の多くが、その後、介護やカウンセラーへの道を選ぶ」と述べられているが、それも高い共感性に裏打ちされたお世話好きならさもありなんである。そしてこのことは、うがった見方をすれば、元々社交性が高くお世話好きで共感能力の高い、多くの双極性障害者が、ボーダーラインパーソナリティと誤診されていることを暗示してはいないだろうか?
 双極性障害者がどうしても、他者との関係性の中で生きることにあくせくとし、他者からの評価に一喜一憂し、依存的になりやすいことは否めないのだろう。そしてそのことが彼らを「ボーダーラインパーソナリティ」と誤診されることが少なくないのかもしれない。
 しかし、双極性障害というフィルターをかけてみることで、またその特性を生かし伸ばす方向での支援が得られることで、社会的に適応していける、ボーダーラインパーソナリティと見なされている患者は少なくないのではないだろうか。
ボダ子 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ボダ子 (新潮文庫)より
4101035814
No.4:
(3pt)

実体験にもとずく娘との距離感

家族との距離感 娘との距離感 理解していると思っていたことにたいしての虚無感
ボダ子 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ボダ子 (新潮文庫)より
4101035814
No.3:
(3pt)

すっと読めるけど、

人の不幸を読んで楽しむお話。
ボダ子がタイトルロールだが、被災地ビジネスの話題が主役。
境界性人格障害に主人公である父があまり寄り添わないため、同じ障害を持つ人の関係者が共感を求めて読むようには出来ていない。

これが著者の私小説だそうだが、ボダ子のその後も気になります。
この話の続きがたぶん存在しているので、暇な時に読んでみようと思います。

とはいえ、この本も、この続きも、正直、図書館で良いかな、という気がします。
ボダ子 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ボダ子 (新潮文庫)より
4101035814
No.2:
(3pt)

詰め込みすぎなのが魅力でもあり、流れがわかりづらくもあり

レビューで車谷長吉の名前を出している人がいるが、確かに『赤目四十八滝心中未遂』と筋としては似た部分もあるのか、ラストのあたりとか。

まあ、あれも「私小説」とされているが、登場人物は主人公以外は創作だとか。私小説と宣伝されるこの作品がどこまで脚色しているのかは謎だが(エピソードを同じ日にまとめるとかはあるか)、自己弁護が強い感じがどうもなあ。いっそ開き直るか、逆にもっと自己批判するか。

あとは、ビジネス小説としての側面もあって、そっちの比重が大きくやけに土木工事の裏金とかそのあたりが細かいのだが退屈してしまった。娘とのやり取りとかもうちょっと書けばいいのに、いや、書けないのか、だとしたらそれはそれでリアルかも。
ボダ子 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ボダ子 (新潮文庫)より
4101035814
No.1:
(3pt)

強烈な印象

63歳、住所不定という異色の作家の私小説。自らの事業が破綻し、震災後の東北で土木作業員として働くその仕事や、家族との生活環境や心境を直接的に綴っています。

どん底から這い上がろうと足掻き乍らも問題を先送りし欲望に流される弱さ、また境界性人格障害を抱える一人娘との交流に苦悩する姿を、ここまで書くかと思わせるほど赤裸々に語られます。
自業自得の面もあるとはいえ何とも切ないラストですが、娘への愛情と償いは今も続いていると思いたいです。
ボダ子 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ボダ子 (新潮文庫)より
4101035814

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