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今昔百鬼拾遺 天狗
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今昔百鬼拾遺 天狗の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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敦子&美由紀コンビの最終作。 高尾山で起きた女性失踪事件。この女性の友人で代議士の娘、篠村美弥子が薔薇十字探偵社で美由紀と知り合い 敦子、青木刑事らと謎を探っていく。 今現在の日本でも取り上げられる「性的少数者」が今回のキーワード。 それに「家」「血筋」という古き因習。 今作は動機があり犯人がいて所謂殺人事件。 美弥子が高慢に、敦子が冷静に、そして美由紀がキレる。3人のバランスが最も好い感じ。 「鳴釜」のお嬢様、篠村美弥子が格好良い!なんだか榎木津に近いかな。 同じく「鳴釜」のおかまの金ちゃんも出てくれてる。 益田、鳥口も出て、やっぱりこの人たちの物語をたくさん読みたいと強く願いました。 | ||||
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と思わず突っ込みを入れたくなるような、しょうもない謎解きである。 本作は『小説新潮』での連載時に読んでいて、「謎ばっかりで、さっぱり話が進まんなぁ」と思っていたら、最終章でいきなりばたっばたっと中禅寺敦子が飛躍した推理を披露し、犯人もまたあっさりと畏れ入ってしまうという結末に唖然とした覚えがある。「男尊女卑」や「家制度」といった旧弊の問題が相次いで判明する女性失踪事件の伏線になっているのだが(その辺を、説明調にならずに篠村美弥子と呉美由紀の会話で処理するところは相変わらず巧み)、だからってそれで人殺しまでするのか? となると、かなり無理筋だろうと思う。第一、中禅寺敦子以下の婦女子3名が確たる証拠もないままに、犯人宅に乗り込んで一方的に推理を開陳するのは、流石にリアリティに欠けるのではないか。 生意気を承知で中禅寺敦子×呉美由紀シリーズの全3作を読んだ感想を云うなら、『鬼』はよい出来、『河童』はぎりぎり及第点、『天狗』は些か酷い…かな。あくまでも個人的な印象です。 | ||||
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今回は青木刑事と鳥口が出てくる。知ってる人が揃うのは嬉しい。 中禅寺敦子の語り口も堂に入ってきているし、前二作に比べて読み応え がある。一番「百鬼夜行シリーズ」っぽい。 呉美由紀が啖呵を切って収束、というのがこのシリーズのお約束なのか、 今回も同様。 でもどんどんシリーズとしては面白くなってきていると思う。 今後このシリーズが出るのかは分からないが、刊行されたら買うだろう。 本作の登場人物の中にはまた会えるとは思っていなかった人物も登場するので お楽しみに。 | ||||
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「鬼」、「河童」に続く「敦子」三部作の最終作。本作も美由紀とのコンビである。また、美由紀が薔薇十字探偵社で遭遇した美弥子という"お嬢様"(薔薇十字探偵社シリーズ中に登場、本当に使い回しが上手い)も主要登場人物。私は「鬼」をプチ「京極堂」シリーズの様で味気ないと評し、更に、「河童」をユーモア小説の趣きが濃いと評したが、本作は中々手応えがある。そして、本作を特徴付けているのは美弥子の過剰な理屈っぽさである(榎木津には理屈はないが、過剰な理屈っぽさも同様の効果を産む事が分かる)。要は美弥子の友人の是枝が高尾山で行方不明になってしまい、巷間、「天狗」の仕業という噂が立ったというのが骨子である。加えて、後日、是枝の服装をした別の女性が迦葉山(「天狗」伝説あり)で自殺したという状況もある。しかし、このお陰で、是枝が気付かれずに下山した方法が類推出来る様になったが、行方不明の動機は相変わらず謎である。 更に、敦子の調査で是枝が行方不明になった日、別の女性が高尾山で自殺し、この女性と迦葉山で自殺した女性とが恋人同士だった事が分かる。前二作より手が込んでいる。それともLGBT問題の風潮に乗ったのか ? 妖異譚・怪異譚と言うよりは社会談義である。冒頭から、美由紀と美弥子の殆どの問答が高尾山の"落とし穴"の中で行なわれている(即ち、二人こそ窮地に陥っている)のだから可笑しく、漫才コンビの様である。そして、敦子が更にもたらす情報が事件を錯綜させる。同性愛が事件の中核になっている事は明白だが、冷静に見て(常識として)、全てを説明出来る解は見出せなかった。 実際の解は現代では通用せず、戦争直後だからこそ通用する杜撰なもの(荒技)だが、「家」の狂気、謎と伏線の提示及び社会問題の扱いを巧みに混淆した秀作で、三部作の掉尾を飾るに相応しい作品だと思った。 | ||||
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