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アイル・ビー・ゴーン
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アイル・ビー・ゴーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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北アイルランド紛争のさなかの、北アイルランド警察刑事(本巻の最初は失業しているが)ショーン・ダフィを主人公とする警察小説第3作。 今回、ショーンは密室殺人に挑戦することになるが、本シリーズのようなハードボイルド的なシチュエーションや主人公の設定と、古典的なハウダニットはちょっとミスマッチかなあと思う。 あと、ショーンがスーパーヒーローになり過ぎた感もある。と言っても、彼が、少女の時代を知っていて今やシャブ漬けにされて売春をさせられている女性をポン引きから取り返すシーンなどは快哉を叫ぶのだが。 | ||||
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ノワール物に密室殺人? いや、確かに密室殺人を解決するのは物語のプロット上は必然なんだけど・・・実は卒業論文に所謂、アイルランド問題を取り上げようとしたら指導教官から日本語の資料が少なすぎるからやめろと言われた。本作を読んで、その意味がよくわかった。資料が少ないどころか複雑すぎるのだ。カソリック系の教育を幼き頃に受けているので一般的な日本人よりはクリスチャニズムには詳しいつもりだけど、根っ子が全く違うのだ。「呪われた町」のような、なんで、プロテスタントなのにクロスを付けているんだ? なんてレベルではないのだよ。 さて、殺人にもテロにも動機がある。その動機が理解できてこそ、解決のための道標が見えてくる。そういう意味で、ダフィは二つの道標を追わなきゃいけない。それが偶々、マッキンティの嗜好が密室殺人モノの形を取っただけ。そこが気に入らなくても気に入っても、動機を理解すればいい。でも、テロの動機はアイルランド問題の本質だから、我々日本人の理解の範疇を超えているのだ。そして、それを理解できなくても時代背景はわかっているから、人物造形が好きだから、アイルランドの情景が好きだから、次作も読んでみようと思う。 | ||||
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テロや暴動が日常化する1983年のイギリス領北アイルランド。 暴力と貧困で荒廃した都市を非公式の犯罪捜査のため、 左遷、降格、馘首という最悪の状況に陥った刑事が駆け回る。 舞台の紛争地は〝プロテスタント国家〟 と呼ばれるほどのプロテスタントが多数派を占める。 この地域にあって、刑事は少数派のカトリック。 さらに、北アイルランドの宗主国であるイギリスが牛耳る 地元警察側に立っている。 だから武力による独立を旗印とする IRAにとってはイギリスの走狗であり、 狙撃や爆殺の対象だ。 本来の捜査ですら困難であるのに加えて、 刑事は、密室で見つかった遺体が 事故によるものか殺害されたのかという結論を 導き出さねばならない。 うーん、いいぞいいぞ。 おれはトリックとか犯人当てとかには、 ほぼ興味を持てない翻訳ミステリファンだが、 この作品はとても面白かったな。 島田荘司解説も実によかった。 民族問題、宗教対立、国家諜報戦などが 絡み合う複雑な状況下でのストーリーは、 できるだけシンプルな方が楽しみやすい。 だから、この作品は大丈夫な面白さなのだ。 恋もちょっとだけあるしね。 ミステリはラブストーリーでもあってほしいよな。 | ||||
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ひじょうに中身が濃く盛りだくさんの小説です。事故死とされた娘の無念を晴らすために犯人捜しと引き換えに大物テロリストの居場所を教える、というやや無茶ぶりの交換条件をのんだ警官(ここにもさまざまな事情あり)が主人公。 クリス・ライアンの小説のような兵士ではなく警官なので長距離狙撃系ではありませんが、警察署に迫撃砲を撃ち込まれたり、首相の滞在するホテルが大爆発されたりしますが、やはり主人公は絶対的に不死身です。 アイルランドの荒涼とした風景描写、シニカルな言動なども内容と相まっていい仕上がりとなっています。 | ||||
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主人公が急に強くなり、伝説のテロリストが、あまりに弱すぎる。トリックも予想できるし、盛り上がる場面が無い。 | ||||
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主人公がいい。アイルランドとはこういう国なんだ。かつてのジャック・ヒギンズを想い出した。密室としては80点くらいだが、良かったです。長さもちょうどよい。 | ||||
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ショーン・ダフィのシリーズ第三作。難事件を解決する腕は誰もが認めるものの、独断専行の行動によってお偉いさんたちの覚えが悪く、仕事も資格も取り上げられ、自らを追い込まれることが多い主人公。IRAによって荒廃した1980年代前半の北アイルランドの不穏な情勢を背景に、サバイバリストのように自分の規範で行動する故に、警察ミステリと言うよりもノワールの面が強く感じさせられる点はとても魅力である。 本書では、お偉いさんから組織を放り出されたショーンが、前作では名無しで謎の女性として登場していたケイトなど現場畑の指揮官の求めに応じて、脱獄したIRAのリーダーでありかつての親友でもあったダーモット・マッカンを追うという設定。 何の情報もなく行方をくらましているダーモットが何を企んでいるのか、そしてそれを阻止するには? という国家的課題にショーンは挑むのだが、元妻の血縁者の未解決事件を解決すればダーモットの行方を教えようという条件を出されて、ショーンは不可解な密室殺人に挑むことになる。 ノワールの中に本格ミステリが入れ子構造で入り込んだ、世にも珍しいジャンルまたがりの意欲作品として知られるのが本書である。密室ミステリで名高い島田荘司の巻末解説も含め、全体がフルサービス・エンターテインメントとなっているお買い得の一冊と言ってよい。 本格ミステリとかトリックとかそういったものは中学時代までで卒業してしまい、むしろ毛嫌いしているくらいのぼくにこの本が楽しめるかどうか果たして疑問であったのだが、前二作からの流れを踏襲したハードな展開を前面に出した、過激でワイルドな展開の中で、密室殺人の謎ときは材料の一部でしかなく、それにこだわるあまり人間を軽視するトリック重視傾向の本格ミステリにありがちな軟弱性など、この作品にはこれっぽっちも見られなかった。さすがに北アイルランドの荒々しい自然と、危険極まりない政治情勢を背景に、単独で闘い抜く若きタフな警察官ノワールは、本格ミステリとのバランスをも上手く牛耳れているのだ。 シリーズを順に読んでゆくと主人公を取り巻く脇役たちも魅力的だが、異動・転居・死亡・出国などにより出入りが激しく、一刻も眼が離せない落ち着きのなさは、この時代の北アイルランド情勢をそのまま反映させているかに見える。いくつも喜劇や悲劇にもさわってゆくので、シリーズ読者はそういう人間的かつ現実的側面からも、主人公ショーンの心の移り様を、深く味わってゆくことができる。 そういった書き込みの深さ、繊細さも、主人公の読み聴きする文学や音楽とあいまって読書子の多様な要望に応えていると思う。一作毎に複雑精緻な世界の深みを増してゆく世界背景と、その中を生きるショーンという人間の複雑極まる想いの行方を想像しつつ、次作を待ち焦がれたくなる良質の一作がここにある。 | ||||
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かつて荒れ狂った北アイルランド紛争。その時代的な雰囲気と人々の諦観をよく表している。 主人公が、決して真面目一方ではないノワールな雰囲気と最後の一線を守る警官としての職務意識を矛盾なく同居させることができているのも北アイルランドでカトリックの警官でいることの(それも博士号までもつある意味でエリートの)矛盾の方がはるかに大きいことのある種の免罪効果のようなものだろうか。 このシリーズは非常に味わい深く、楽しみである。ただ、最初の作品にみられるような当時のアルスターの持つ「どうしようもなさ」を斜めに見てしぶとく生きる姿勢から、知り0図が進むにつれて、やがてそのどうしようもなさに辟易し、心の均衡を欠くようなところが目立つようになってきているのが気になる。今回は無事にそこを乗り越えたようであるが・・・。 | ||||
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ショーン・ダフィは、真実を追及し昇格し、追及しすぎて平巡査に降格。この3作めでは?北アイルランドの混乱のなかで生きていくことの非情、困惑、無法。ついに暑が砲撃され仲間が犠牲になる。それでも捜査を続ける。この時代のこの地域だけでなく今も爆弾テロは続く。 | ||||
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シリーズ3作目 2作目で警察を辞職させられて主人公がMI5から復職を条件にIRA過激派のメンバーで 昔の同級生の行方を追う事に その中である事故死に見せかけられた密室殺人事件を解明すれば 有力な手掛かりを教えると死んだ娘の母親に頼まれる 密室殺人のトリックは古典的な物で 我国の作品からヒントを得たとも 後書きに書いてある 最後は実際に起きたサッチャー首相 暗殺事件につながることになるが シリーズの中では最も良く出来た作品と言える 惜しむらくはMI5の作戦担当をもっと際立たせてほしかった し次の作品でも登場させるような 伏線を つけてほしかった 個人的には 本年ベストテンの入れたい作品 | ||||
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前作の出来事により、半ば強制的に警察を辞めさせられたショーンは自暴自棄になり家で飲んだくれていた。 少ない年金を有効に使うためスペインへの移住も考えていたある日、MI-5の女(ケイト)が突然にやって来る。 その訪問理由とは、ショーンの幼馴染で、現在はIRAの大物テロリストとなり刑務所を脱走した男(ダーモット)の捜索を依頼する為だった。ショーンは警察への完全な復職を条件に渋々ながらもその依頼を受け捜査を開始する。 ショーンは情報を得るためダーモットの親兄弟を訪ねるが、アイルランドにおいて身内を売るようなことは絶対なく不発。次はダーモットの元妻一家を訪ねるがここでも不発。他に訪ねるあてもなく万事休すと思われた。 しかし後日、元妻の母親メアリーから手紙で呼び出される。会ってみたところダーモットの件ではなく、以前に事故死したとされる末娘(リジー)が実は誰かに殺されたのだという話を聞かされる。だがしかし、この事件の犯人を突き止めることができたらダーモットの居場所を教えると取引を持ち掛けられる。 その事故死事件とは、自分たちが経営するバーで夜に一人で働いていた末娘リジーが、閉店後に電球を交換するためテーブルに上がって作業していたところ誤って落下し、首の骨を折って死亡したとされているものだった。 何故、事故と判断されたかと言うと、頭にやや不自然な打撃痕らしきものが有るものの、バーの扉は施錠されており、窓にも細工された跡はなく、なによりも扉の内側から閂がかかっており完全な密室だったからであった。 どう考えても事故なのだが、メアリーからの情報の他にダーモットを探し当てる術は全くなく、成果がなければまた警察をお払い箱にされるため、ショーンは半信半疑ながらも密室殺人の捜査を開始する。 ページ数は全部で500弱だが密室殺人のパートに入るまでの約160ページは今までのシリーズの雰囲気。密室殺人とは言っても4年前の事件であり、本当に殺されたのかどうかも分からないので、謎解きとは言っても、殺される理由があったのか?関係者のアリバイはどうなのか?聞き込み捜査が大半。ミステリー小説を読み漁ってトリックを解明しようとしてみたりと笑える部分もあり、クローズドサークル系の奇抜なトリックや仕掛けを駆使したガチな感じでもなく、全体的にはこれまでのショーン・ダフィーシリーズを逸脱したものでもないため面白く読めた。 1作目は皮肉を込めたブラックユーモア満載な内容で自分好みだったのだが、2作目は1作目の成功によりちょっと偉くなってしまったせいか、その要素がかなり薄まってしまい、ただの警察小説となってガッカリしていた。今回の3作目は落ちぶれたことによりシニカルでちょい悪なショーンが戻ってきた気がする。4作目に期待。 | ||||
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IRAのテロリスト達が集団脱走し、そのうちの1人ダーモットを狩り出すために再び刑事に復職したショーン・ダフィー。 しかしダーモットの行方は杳として知れないが、その潜伏先を知ってる人物から密室殺人疑惑の事件の解決を依頼される。ダフィーは密室の謎を解いて、ダーモットを見つけることができるのか、というストーリー。 密室ミステリーも愉しく読めるが、やはりダフィーの皮肉の利いたやり取りと、時代背景の描写がこのシリーズの最大の妙味ではないだろうか。6作目まで発刊されているということで期待している。 IQのシリーズやトム・ウッドのシリーズにも期待しているがこちらは期待薄だろうな。 | ||||
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映画「バスターのバラード」の4話「金の谷」の老山師は、トム・ウェイツ。若者に撃たれ、そして返り討ちにしていました(笑)。タフな爺を力演していました。今回のタイトルもまた、そのトム・ウェイツの(鶏の声がかまびすしい)楽曲からピックアップされています。 「アイル・ビー・ゴーン("In The Morning I'll Be Gone")」(エイドリアン・マッキンティ、早川書房)を読む。 そして、傑作だと思います。 刑事を辞めさせられたショーン・ダフィはMI5から、旧知でもあるIRAのテロリスト、ダーモットを捜すよう依頼されます。そしてその捜索の過程でダーモットの家族から4年前の事件の謎を解いてくれたら、ダーモットの居場所を教えるという取引を持ちかけられます。その謎は、「密室」(笑) 今回のエイドリアン・マッキンティは、いつものショーン・ダフィを使って、アルコール度数の高いアイリッシュ・ウィスキーのように純粋なハードボイルドの中に何と「密室」を構築してしまいました。故に、いつにも増してストーリーを語ることができません。 ロアルド・ダールまでも引き合いに出したミステリー談義がハードボイルドの中で語られることすら稀なことだと思います。「密室」を解くためには、「動機」を導く必要があり、その「動機」が「アリバイ」を揺るがします。残念ながら本当に何も書くことができませんが、その3つの要素が自然に、スッキリと結びついています。少しの瑕疵はあります。でも、一切の瑕疵がないパズラーなんて読んだことはありません。 物語のおおよそ5分の4が経過した段階でその謎は明らかにされますが、その謎にも増して、残りの5分の1を語ることもできません。その「密室」がIRAテロリストをあぶり出し、ある歴史的事件へとリンクしていきます。 明と暗。相変わらずビーマーに乗る前に車底に水銀スウィッチ式の爆弾があるかどうかを確認するショーン。ジュークボックスから流れるプレスリー。レナード・コーエン。SAS。俺は変わっちゃいないよ。それは君も同じだ。 前作でショーンの元から去っていったローラが言うように、躁鬱病の気があって、アルコール依存で、食生活に問題があって、運動もせず、煙草を吸いすぎるショーン・ダフィは、失われていたはずの個性と輝きを一瞬で取り戻しながらも、そして、ここではないどこかを夢想しながらも「俺はこれからどうする?」と問いかけます。さあ、どうする? "And in the morning I'll be gone." | ||||
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