終焉の日



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初公開日(参考)2019年03月
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長編小説

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終焉の日 (創元推理文庫)

2019年03月20日 終焉の日 (創元推理文庫)

1980年のバルセロナ。弁護士のマリアは、政治捜査に携わっていた警部が情報屋を制裁した殺人未遂事件で、警部を終身刑へ追い込んだことで名声を得た。だが数年後の今、その事件が何者かの陰謀によって仕組まれていたと判明する。マリアは再調査をはじめ、自らの血の桎梏と体制側の恐るべき策略を知る。殺人、偽証、復讐を通して描かれる、抗えない運命へのやるせなさが滲む圧巻の人間ドラマ。ポラール・ヨーロピアン大賞受賞の大型ミステリ。(「BOOK」データベースより)




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終焉の日の総合評価:7.00/10点レビュー 6件。Bランク


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No.6:
(1pt)

とにかく長すぎる。

内容の割に全体が長過ぎて、何度ももう途中で読むのを止めようと思いました。年代が行き来する手法も飽きが来て、途中で又かと何度も叫びたい気持ちです。結論つまらない!
終焉の日 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:終焉の日 (創元推理文庫)より
4488157068
No.5:
(3pt)

スペイン現代史を織り込んだあまりにも陰惨な物語

20世紀スペインの市民戦争からフランコ独裁、ナチスドイツの対ソ戦争への加担、フランコ死去後の民主化とクーデター未遂事件を背景に、テロと陰謀を多数織り込んだ長編小説だが、とにかく陰惨で読んでいて気が滅入る。
冒頭からして主人公の女性弁護士が癌で死の床にいる場面から始まり、一挙に物語が市民戦争時代に遡り、さらにフランコ時代、民主化時代と何度も前後しつつ展開する。ユーモアやロマンスを楽しむ要素はほとんどなく、主要登場人物が暴力と無法に巻き込まれ、次々と悲惨な死に至る。人間関係の意外なつながりを解き明かすミステリーの要素はあるが、親の因果が子に報いる式の不条理な展開である。
スペイン現代史の陰惨さ、軍事独裁政権下の人々の過酷な状況と心理的歪みに関心のある人には、理解がより深まると思うが、ミステリーを楽しみたいという人には全く勧められない。
なお、物語の小道具として日本刀や武士が引用され、挙げ句の果てに切腹まで登場するが、このような武士道の引用は誇張されたジャポニズムであり、感心しない。また、20世紀前半のスペインで日本刀を作れる鍛冶職人がいたとも思えない。
終焉の日 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:終焉の日 (創元推理文庫)より
4488157068
No.4:
(4pt)

「水に流す」ことを得意とする日本人にはちょっと想像しがたい「濃い」物語。

スペイン内戦終結直後(1940年頃)と、フランコ独裁を終わらせた民政移管直後(1980年頃)という、スペイン現代史の分水嶺となった2つの時期を行き来する重厚なミステリー。
 憎悪と復讐の物語7割、後悔と贖罪の物語3割というところか。憎悪にせよ後悔にせよ、「水に流す」ことを得意とする日本人にはちょっと想像しがたいような「濃さ」である。
 ストーリーの展開に後半大きく関わってくる軍事クーデター未遂事件は、1981年2月に実際に起きたものだが、本書でその黒幕とされる人物は、この事件をバックアップしたとされるスペイン内の保守・右翼勢力を象徴化した架空の存在のようだ。
 拷問や殺害のシーンのどぎつさにいささか辟易するが、一気に500ページ近くを読んでしまう。
終焉の日 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:終焉の日 (創元推理文庫)より
4488157068
No.3:
(5pt)

(2019年―第60冊)読後に大きな苦みが残るスペインのミステリ小説

バルセロナの弁護士マリア・ベンゴエチェアはフランコ政権終焉後の1970年代後半、情報屋を拷問した悪徳警官セサル・アルカラを刑務所送りにしていた。それから数年を経たころ、この事件が実はある政治勢力によって仕組まれたものであることが見えてくる。それはスペイン内戦が終結後の1940年代に、共和派勢力を一掃しようとした独裁政権側の思惑にまでつながる壮大な陰謀だった…。
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 40年の時を隔てて1980年代と1940年代それぞれの初頭期の物語が交互に展開していきます。親子や兄弟が骨肉相食む争いを繰り広げたスペイン内戦(1936-1939)がその終結後にも漆黒のベールでイベリア半島を覆い続けた史実を背景に、さらには民主化への移行の時代(1975-)にすら歴史の亡霊が闇の奥から姿を現した実在のクーデタ未遂(23-F)事件を舞台装置にして、長大で濃密なミステリドラマが展開していきます。マリア自身の家族の歴史、セサルの家族の系譜、そしてその二つの一族の交錯点のそれぞれにスペイン内戦の奥深い闇があることが徐々に露わになっていくのです。この過程が見事です。
 スペイン史を長年追いかけてきてあの仮借なき内戦史を知る身としては、この長大な物語は大変な緊張感と疲労感をもたらす読書だったといえます。そして事件の真相は言葉を失うほど苛烈なものです。物語の果てるところで、謎の解明がもたらすはずであろうカタルシスを期待した私は、その期待が大きく裏切られたことに言葉を失ったほどです。作者デル・アルボルの筆はそれほどまでに容赦ないのです。

 デル・アルボルが読者を完膚なきまでに打ちのめすこの長編ミステリを紡いだ背景を想像するに、スペイン人があの内戦に対して今も、そしてこの先も解釈や受容、納得や寛恕を果たしえないという厳然たる思いを懐いているからではないでしょうか。
 そう考えると、文庫本で500頁を超えるこの長編小説は、単に事件の謎解きを味わうミステリというよりは、現代スペイン史の暗部を照らす秀でた伝奇物語だといえるでしょう。

 仮借なき物語ではありながら、私はこの長時間の読書を大いに楽しみました。

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*115-116頁:「マリアは落ち着かなくなり、まるでへその緒のようによじれて節くれだった、珍しい若竹を挿した器に目を向けた。その灰色のオフィスの中に一点だけある緑をマリアが見ていることに気づくと、ロレンソは水を張ったその花器を持ってきた」とありますが、最後の個所の原文は「Lorenzo lo extrajo del recipiente húmedo」ですから「水を張ったその花器を持ってきた」ではなく、「水を張った花器からそれ(指示代名詞loが指すものは「竹」)を抜いた」ではないでしょうか。

*184頁:「マリアはむっとしたとしたが」とありますが、正しくは「マリアはむっとしたが」です。「とした」が余計です。

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 スペイン内戦後の独裁政権に絡むスペインのミステリ小説をひとつ紹介しておきます。

◆ロサ・リーバス, ザビーネ・ホフマン『偽りの書簡』(創元推理文庫)
:1952年、スペイン第2の都市バルセロナで資産家の未亡人マリオナ・ソブレローカが扼殺される。地元警察は情報統制を図って、この事件を『ラ・バングアルディア』紙に独占的に記事を書かせることにする。抜擢された記者は新人のアナ。独自に調査を始めた彼女は、被害者には密かに恋文を交わしていた相手がいたことを突き止める。果たしてこの相手が殺人犯なのか…。
 独裁政権下のバルセロナを舞台に二人の魅力的な女性が疾駆する長編ミステリ小説です。これまた物語は一応の大団円を迎えますが、それは当時のスペインにとって果たして真の意味で<解決>といえるものなのか。そのことを思うと、なんとも苦い後味が残る、 見事なミステリです。
 翻訳は『終焉の日』と同じく宮崎真紀氏ですから安心して読めます。

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終焉の日 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:終焉の日 (創元推理文庫)より
4488157068
No.2:
(5pt)

重厚壮大なスペイン歴史ノワール

スペイン現代史にさほど詳しいわけではない。ヘミングウェイや逢坂剛の作品を齧った以外、あまり勉強していないのが実情である。それゆえ、スペインの作家がスペインの現代史を題材に書き上げたネイティブなこの作品には惹かれるものがある。しかも、フランコ没後、独裁制から民主化に移行したこの国にとっては大転換となるこの時期である。本作は、平和というものの産みの苦しみの中で様々な陰謀とそれに絡め取られていった人々の重厚、かつ壮大なノワールとも言える力作なのである。

 多くの登場人物が現れる。また多くの過去の複数時点を語る物語でもある。複雑に絡み合った人間たちの愛憎模様と、彼らの離合集散が生み出す化学反応は、時に繊細、時に大胆であり、一見わかりにくく読み辛いとの印象を与えるかもしれないが、実際には緊迫の一ページ一ページに気持ちが集中してゆくうちに、いつの間にか一気読みさせられている自分に気づく。

 目を覆うばかりの暴力描写は、趣向と言うより、むしろ作家の目から自国の歴史を振り返って見て獲得したリアリズムだろう。民主化してなお、実際に起こった一部軍人たちによる革命未遂事件を題材に、そこに至るスペイン史のうねりの中で、個人たちが彼らの熱情や復讐、欲望と非情と、善悪入り乱れる争闘を繰り広げる展開が続く。よって、登場人物は多いのだが、語り口の巧さが混乱を避けたストーリー理解に導いてくれるので、安心して頂いてよいだろう。

 そして、一人一人の登場人物の個性の強さも、本作の読みやすさに繋がっている。女性弁護士マリアと彼女の父、元夫。囚人で元刑事のセサルと彼の父。セサルの元同僚のマルチャン。異常者で残酷な殺人者のラモネダ。戦中に暗殺されたイサベラ。その夫であり秘密警察所属のロレンソ。そして残された二人の兄弟(兄はドイツ義勇隊としてロシア戦線へ。弟は精神を病み施設へ)。一族の秘書であり戦略家でもあるプブリオ。さらに、事件に巻き込まれ、運命に揉まれ、生死を分かってゆく彼らの周囲の人々。どの人物も複雑だが有機的に関わり合い、縦糸と横糸となって分厚いタペストリーを紡いでゆく物語の素材となってゆく。

 1981年2月23日の革命未遂事件は「23-F事件」と呼ばれているらしい。Fは二月を表わす。日本の二・二六事件は戦争の始動を暗示するものであったが、スペインの23-F事件は最早戦争は終わったのだと改めて象徴されるような事件であった。しかしその裏での駆け引きも含め暗黒史的闘争があっただろうことは、この作品を通して十分に伺い知ることができる。

 物語の時制は、現在がこの23-F事件の前後である1981年。しかし、物語はファシズム台頭する1940年代に始まり、戦争を利用しつつ弾圧や独裁化に向けて、国家的野望が不穏分子を国中にばら撒いた時代に移行する。イサベルの暗殺が起こり、一家が離散し、殺人者や目撃者が仕立て上げられ、世界が秘密というベールに被われて、現在の平和という表皮に隠蔽されてゆく時代に。

 それらのすべてを暴き葬るかのように、著者ビクトル・デル・アルボルのペンは、この世で最も強い武器となる。各新人賞を獲り、この後もロシア戦線収容所の真実を暴き出す作品等、骨太の創作を続けているらしい。何よりもカタルーニャ自治州警察に20年間在籍していた現場実績を持つ作家という視点を持つことにも注目したい。

 最後に本書の原題は"La Tristeza Del Samurai"(サムライの悲しみ)である。作中に重要な道具として存在する日本刀の名である。日本人は、この作品には一人も登場しないが、人間の魂を込めた精神性のシンボルとしてこの日本刀が非常に印象的に使われている点に、是非ご注目頂きたい。バルセロナやピレネーなどスペインの国土の美しさともども、過酷な生と死の物語に、より深みを与えていることがわかると思う。
終焉の日 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:終焉の日 (創元推理文庫)より
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