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座席ナンバー7Aの恐怖
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座席ナンバー7Aの恐怖の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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フィツェックの作品は、どれもカテゴリがサスペンス、しかも二転三転すると分かっているので、安心して楽しめる。 本作も、掴みから良く出来ているだけでなく、後半の少しずつ話の全貌を見せながら話の方向性が変わって行く展開は見事だし、ラストも良く練れている。 ただし、登場人物が多い分、こんなにうまく話が展開する?(ご都合主義?)と言えないことも無いが、よどみのないストーリー展開なのでラストまで楽しめた。 ただ不思議なのは、どの作品もとても視覚的なのに映画化されていない事。 今作だって立派に映画化出来るだろうに。 | ||||
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朝読み始めて、止まらなくなり、深夜12時で読み終わりました。確かに面白かった!しかし、目まぐるしい物語の展開の先々に、都合よく新たな怪しい人や場面が現れる感じがしたのが気になるところ。精神科医と人の心を支配するサイコパスとの闘い、心に傷を負った人の屈折など、目まぐるしく、飽きさせないのは作者の力量なのでしょう。時間を持て余す日に、お薦めです。 | ||||
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この作家の小説を読むのは、これで4冊目です。今度の作品でも、これまでと同様に、スタートの設定からは思いもよらない結末と、そこに至るまでのジェットコースターのような展開を楽しむことが出来ました。 目まぐるしく展開するストーリーと意外性が持ち味の作品なので、出来るだけ予備知識が無い状態で読んだほうが楽しめる作品だと思います。 2018年に話題になった、同じ作家の「乗客ナンバー23の消失」を楽しめた方、オーソドックスなミステリよりも凝った構成やアイデアに満ちた作品が好きな方にお勧めできると思います。 | ||||
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一日時間の取れる日に読み始めるのがよいと思います。 主人公の飛行機恐怖症ぶりがとても面白いです。しかし、やや残虐な場面も一部あります。他者の著書「その女アレックス」ほどではありませんが。 やや気になったのは、主人公が600人の命と自分の娘たちの命を比較して、どちらを選ぶべきか逡巡するところがあまりなかったところです。ここは親としては悩むところではないでしょうか。私なら、最悪子どもは諦めて、600人の命を選ぶでしょう。娘よごめん。そして、機長や警察に事情を話して13時間以内に発見する事を願うだけでしょう。 でも、そうすると物語は終わってしまうか? | ||||
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ハリウッド映画みたいな小説に遭遇することが時にある。それは主に海外ミステリに多い。日本小説は、武器類が一般的に許可されていないために、ドンパチを嘘臭くないように書く状況を作るのは大変であろう。嘘臭くても、日活無国籍アクションが許された時代はある。赤木圭一郎や宍戸錠が、撃ったばかりの銃口を口元に近づけて、口で硝煙を吹き飛ばすポーズが恰好よかった時代は確かにある。でもそういう作品は、映画でも小説でも、今の世に出てゆくのはちょっと難しいかな? さて本書は、ドイツ小説。ドイツのミステリを読んだことがありますか? ドイツと言えば医学? だからというわけではないのだろうが、本書の主人公は、医師のマッツ。飛行機嫌いなのに、わけあって、ブエノスアイレスからベルリンに向かうエアバスに乗り込む。そして、機内で脅迫を受ける。この飛行機を落とさなければ娘の命はないぞ。 一方ベルリン。ソシオパスのサイコ野郎に、娘のネレが誘拐される。臨月を迎えていたネレはHIV感染者であり、今日にも出産が始まろうとしている。病院で帝王切開を受け、赤ちゃんを自分の血液に触れさせてはならない。ネレは切実にそう思う。しかし彼女は、廃屋となった搾乳工場に牛のように閉じ込められ、ベッドに縛り付けられ、動画用のレンズを向けられる。 ベルリンでの娘の救出を医師が密かに依頼する。相手は、過去に関係を一度だけ持った女医フェリ。フェリは今日が結婚式当日であるにも関わらず、ネレの行方を追うことにする。 さて以上三人のトライアングル主人公による超サスペンス、スタート! パーフェクトな閉鎖空間である飛行機内と、地上との二か所での状況小説が展開する。そう、この状況が生まれた地点から始まる小説なのである。ジェットコースターに乗ったかのような気分。読者はページを繰る手が止められない。映画館に入った観客のように、暗闇と轟音の世界から逃れられない。 かつ、タイムリミット型である。ベルリンに着くまでに飛行機を落とさないと、ネレとそのベビーの命はない。そう脅されているからだ。場面展開も早い。次から次へとかかる三人へのプレッシャー。最後まで出口が見えない。二転三転の迷路が続く。 これだけ凝りに凝った展開を、作者は、事前にすべてをではなく書き紡ぎながら考えるのだと言う。見たこともないような長いあとがきの中で。書き出してみないと、本当のところ、考えが動かないらしい。前もって考えている部分は骨子だけ。そこに加わってゆく新たなアイディアや、思いもよらぬ展開が、執筆中に沸いて出てくるらしい。まるで自動筆記だ。でも、彼は一年一作のペースでじっくり書いているという。クリスマスも正月も、必ず毎日、机に向かって書く、という。どこかで聞いた話だ、とぼくは国内のある作家を思い浮かべて微笑する。 セバスチャン・フックは2006年『治療島』でデビュー。その後一貫して、面白く外連味たっぷりなサイコサスペンスを書き続け、毎作、ドイツ本国はもちろん翻訳先でも好調な売れ行きを示しているそうである。本書を含め7作ほど邦訳されているが、その他は未邦訳。本書は昨年出版された『乗客ナンバー23の消失』というこれまた豪華客船での面白小説に続いての物語であるらしいが、シリーズ物はこの作家は書かず、すべて単発作品。 ぼくがこの小説を知ったのは、携帯にも登録してある翻訳ミステリーサイト『翻訳ミステリー大賞シンジケート』内の『書評七福神の今月の一冊』による。書評家・吉野仁(ちなみに知人です)ら数人が本書を推していた。読後印象は、ほぼ推薦文通りのジェットコースター小説。あるいは全体が遊園地のよう。仕掛けに満ちた閉鎖空間を舞台にした強烈なサスペンス。さて、このゴールデンウィーク10連休、どこにも行けず楽しみに餓えているあなたにお勧めの一作である。毒気は強いが、美味。是非、ご賞味あれ。 | ||||
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ベルリンで出産を控えた娘ネレに会うため、精神科医マッツ・クリューガーはブエノスアイレス発の旅客機に搭乗する。そこへ見知らぬ相手から携帯に電話がかかってくる。「娘を拉致した。娘の命を救いたければ、客室乗務員のカーヤを心理操作して飛行機を墜落させろ……」。犯人は誰なのか。そしてその目的は何なのか……。 -------------------------- 昨年邦訳が出た『乗客ナンバー23の消失』に続くセバスチャン・フィツェック原作のドイツ産サイコスリラーです。前回は豪華客船が舞台でしたが、今回はさらに逃げ場のない旅客機の中と、さらには、誘拐されたネレの監禁物語の二つの<密室>事件が展開します。 ここ数年、海外ミステリーで女性の拉致監禁モノが多い印象があります。私が読んだ作品で思い出せるものをあげると、最近ではシェヴィー・スティーヴンス『扉は今も閉ざされて』(2011/11/25 ハヤカワ・ミステリ文庫)、ピエール・ルメートル『その女アレックス』(2014/9/2 文春文庫)、リサ・ガードナー『棺の女』(2016/11/8 小学館文庫)、J・D バーカー『悪の猿』(2018/8/17 ハーパーコリンズ・ ジャパン)と枚挙にいとまがありません。もうそろそろ食傷気味なところでしたが、ところがどっこい、この『座席ナンバー7Aの恐怖』は二重の密室劇が交互に展開されるために緊迫の度合いも二倍。しかもジェットコースター並みの高速テンポで、読者を上下左右に激しく翻弄してくれるので全く倦むことがありません。読者の心をもてあそぶかのように物語を二転三転させるフィツェック節は前作『乗客ナンバー23の消失』と同じ。よくよく考えると、犯人の動機や犯行計画は少々現実離れの感がなきにしもあらずですが、そんなことお構いなしにこのエンターテインメント小説は読者である私をぐいぐいと牽引し続けました。 ドイツミステリーの邦訳者はこの人をおいて他にいないと感じさせる酒寄進一氏の素晴らしい訳業も健在です。「訳者あとがき」では昨2018年にドイツ本国で出版されたフィツェックの新作『Der Insasse』のあらすじに触れていて、これがまたぜひとも読みたいと思わせる新たな密室劇なのです。酒寄氏自身が「いつかみなさんに日本語訳を届けたいと思う」と記していますが、「いつか」といわずにぜひとも今年中にお願いしたいものです。 -------------------------- *227頁:ある女性が自分の年齢を「これでも、あたしは五十八」と述べる場面がありますが、Amazon.deのBlick ins Buch機能を使って原著『Flugangst 7A: Psychothriller』で原文にあたると、「Ich bin erst fünfundfünfzig.」(233頁)となっていました。であれば「58歳」ではなく「55歳」になるはずです。 . | ||||
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「座席ナンバー7Aの恐怖」(作:セバスチャン・フィツェック 文藝春秋)を読む。 だいぶ前に早川書房から出版された同作家の「アイ・コレクター」を読んだ記憶がありますが、忘れています。昨年は「乗客ナンバー23の消失」を読みましたが、Page-turnerは面白すぎて詳細を忘れてしまいます(笑)。予想以上に世評は高かったですね。 さて、今回のサイコ・サスペンスの主人公は、ブエノスアイレスに住む精神科医マッツ。妻を失い南米に隠遁している彼を引きずり出すのは、HIVを罹患しながらも妊娠中の娘ネレ。娘に会うためにベルリン行きの旅客機に乗ったマッツ。起きるのは誘拐事件。そしてマッツは、犯人側からある手段によってベルリン行きの旅客機を墜落させるよう<指令>を受け取ることになります。これ以上は、書けません(笑) 主人公マッツ、娘ネレ、マッツのかつての恋人、そして犯人側とシーンは目まぐるしく、シャープにカットバックします。多くの現代性溢れるトピックを絡ませながら、パズラーとしての仕掛けもしっかりと構築されています。特異なアイディアと多くの訳ありの登場人物。前作同様、今回も他に類を見ないPage-turnerに仕上がっていると思います。プロローグも効いています。 そして、この悲愴なはずの閉塞的なシチュエーションの中、登場人物たちに希望を与え、彼らを陽気に描こうとする作者のスピリチュアリティにも注目だと思います。 それは、かつて「愛とは決して後悔しないこと」という有名なキャッチコピーがありましたが、今回は「愛は決心するものよ」(Kindle の位置No.4474-4475)という記述に良く表れているのかもしれません。 | ||||
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前回は船(乗客ナンバー23の消失)、今回は飛行機!! 地上と飛行機内…あらゆる謎と犯行が同時進行していき、巧みに読者を惑わす。 誰が黒幕なのか!?動機はいったい何か!? 読み始めたら最後、睡眠時間を盗まれるミステリーです! 上手く伏線が巡らされていると唸る1品。彼の作品は辛い後味の作品もあるが…ああ、前回よりも好き! ミステリーの醍醐味がぎゅっとつまってる。楽しみました! (しかし情報屋ディーゼルは出てこないのだろうか…) | ||||
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