扉は今も閉ざされて
- 監禁 (96)
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被害者のモノローグでストーリーが終始語られるが、犯人の不気味さ、どうなるかわからない主人公の境遇の不安定さとその怖さが、とぎれなくじわじわと迫ってくるところなどを考慮すると一読の価値ありと思う。 じわじわと迫り、なかなか離してくれないホラーといった感じでしょうか? | ||||
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30代のアニー・オサリヴァンは定期的に精神分析医のカウンセリングを受けていた。それは彼女が不動産業者だった1年ほど前、オープン・ハウスにやってきたデビッドという男に拉致誘拐された事件の経緯を話すことで、心に負った傷をいやすためだった。アニーが語る事件の真相とは…。 カナダのヴァンクヴァー島に育った不動産業者でもあった作者が書いたデビュー作品です。アニーが今はカウンセリングを受けていることから、何らかの形で誘拐犯のもとから脱出できたことは読みとれますが、誘拐された理由も、犯人の真の素性もなかなか明かされることなく、ひたすら厳しい拉致生活が事細かに語られていくことになります。 一人称の語りで、文章は大変平易。その上、奇異な物語が怒涛の展開でどんどん進むので、頁を繰る手がもどかしくなるほど。なかなか読ませる筆力は、とてもデビュー作とは思えないほど。一気に読み通してしまいました。 物語は半分過ぎたところでアニーの脱出を目指した決死行は一定の成果を見るのですが、そこからが意外な方向へと物語はねじれていきます。そしてようやく見えてくる結末の、あまりにも痛ましく苦い姿に言葉を失います。 ですがこの物語は、極限状況に置かれた人間がそれでも決してあきらめることのない力強さを込めた一行で、見事にしめくくられるのです。 一級のミステリーとまでは言いきれませんが、それでも私はこの物語を十分楽しんだと言えます。 | ||||
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処女作とは思えない構成力の高さ、読みやすい文体。 十分及第点でしょう。 キャラの描き方も良かったです。 読者に想像の余地を残し、なお且つ大事な部分はしっかりイメージさせる。 バランスが良く、ウマイです。 どなたかが仰っていましたが、 原題である「still missing」の方が、小説としてのテーマを欠かずに済んだでしょうね。 つまり、この物語が伝えたいことは、恐怖でもロマンスでもなく 失い続けることと、その中で生まれる希望であるということ。 だからこそ、あのラスト一行だということ。 傑作です。 | ||||
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本書のヒロインと同じ不動産業者から転進して大成功を果たしたカナダの実力派女流ミステリー作家スティーヴンスの大ベストセラー・サスペンス・スリラーのデビュー作です。私が本書の日本版の訳題を見て真っ先に思い浮かんだのは、同じ早川文庫から過去に出たアガサ・クリスティーの作品「鏡は横にひび割れて」でした。クールさを感じる原題「STILL MISSING」に編集者が情緒的な要素を加味されたのだろうと私が想像する訳題の意味はヒロインが長い監禁生活から開放された後もショッキングな体験がトラウマになって中々元通りに戻れない苦しい心理状態を表しているのだと思いますが、そこまで内容に踏み込まなくてもミステリアスな雰囲気を醸し出し読者を読んでみたい気持ちにさせるまずまずの良い選択だと思います。 独立した公認不動産業者として充実の日々を送っていた「わたし」アニーの順調な人生が八月のある日を境にして急変する。客を装った謎の男に誘拐され連れて来られた山小屋の中で監禁状態に置かれて屈辱的な地獄の日々が際限なく続く。やがてある事件をきっかけにして遂に地獄の日々にピリオドが打たれ彼女は帰って来たのだが、不可解にも事件はそこで終わりとはならずにまたもやアニーの身に新たな脅威が迫るのだった。 本書は最初から最後までヒロインのアニーが女性精神分析医に向かって対話する一人語りの手法で書き貫かれており、初めは無駄に思える話が気になって興が殺がれたりもしましたが、セッションが進み回を重ねるにつれて彼女の受けた深刻なダメージや目に見えない心の痛みに理解が及んでその迫真の描写に引き込まれ頁を繰る手が止まらなくなります。性格がすっかり厭らしく歪んでしまった事を自覚して自己嫌悪に駆られながらも、半ば人間不信にも陥っていて本来の優しい性質を取り戻せない、そんな自分をどうする事も出来ないといった彼女の苦悩する姿がどうにも痛ましく、同性の方ならば特に我が事の様に強く感情移入してしまう事でしょう。しかしそんな風に何度も折れそうになる心を懸命に励まして負けてたまるか!と踏ん張り抜き絶対に真相を突き止めようとがんばる根性とどんなに辛い現実にも目を背けずに立ち向かう姿勢は誠に立派で尊敬の念さえ覚えます。物語の真相については意外ではあっても全くあり得ない絵空事ではなく十分にリアリティーを感じさせる内容で、「事実は小説より奇なり」という有名な諺がありますが、最近は(良い悪いは別にして)逆に小説の方から意図的に事実に近づかせている様な現代ミステリーに共通する方向性を本作にも感じます。それからヒロイン・アニーの恋愛模様の変化については道徳感や多少の身勝手さや理屈は抜きにして男女の間に起きる互いにどうしようもなく魅かれ合い必然的に結びついてしまう出来事であってつまりはごく自然の結果なのだと思います。 既に刊行されている第2作も本書と同じ趣向のヒロインの一人語り小説だとの事で、女性心理の奥襞まで余す事なく濃密に描いてみせる著者の今後更なる活躍に期待して追い続けて行こうと思います。 | ||||
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いつもはカバーのあらすじをチェックして、中身を少しためし読みしてから面白さを確認して購入するのですが、帯のあおり文句につられてノーチェックで買ってしまいました。 早川ミステリはたまにボカをやらかしてしまいます。すごく悲しいことですが。 残念ながら、私にとってはこの作品がそうでした。 作家自身をそのまま反映させた主人公はともかくとして、全く怖くないミステリーは困ったものです。 作者は不動産業をされているので、『顧客を案内している時に誘拐されたり、襲われたらどうしましょう?』と想像し、そのまま頭の中で物語を展開させ、本を書き終わったのだと思います。 ヒロインのパニックが少しも伝わってこない上に、犯人が判明するプロセスも緩いです。ヒロインはかなり魅力的な女性のはずなのに、その恋人は存在感がなく、ぼんやりしていて、サブのキャラクターたちにもなんの面白みも深みもがありません。 ラストには新しいパートナーも現れてハッピーエンドなんですが、これがもしロマンスものであっても、いわゆるロマンティックサスペンスの世界のなかでももっと充実した作品は多々あります。 おなじ誘拐ものでしたら、ボケミスの『特捜部Q 檻の中の女』の上質感、鳥肌のたつ怖さを見習ってほしいです。 エマ・ドナヒューの『部屋』も極上です。こちらは生まれた子供が大きくなって、かしこくて可愛いです。 | ||||
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