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沼の王の娘
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沼の王の娘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.79pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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主人公がナチュラルに母親を見下しているのがいや、母親を小馬鹿にし続ける主人公に耐えられなかった、そういう感想も目にしていたので覚悟して読みました。 が、料理が下手だとこぼす記憶の中の父に対して、『少女を誘拐したのだから当たり前。料理のできる年長女をさらってこなかった自業自得だ』と言ってのけたり、性教育もまともに受けていない年齢でさらわれ、十数年犯され続け、気に入らないことがあれば暴力を振るわれ、医者もいないただの汚い小屋で自力で加害者の子どもを産まされ、電気のない場所で家事一切を強要される――そういう母親の境遇を分かっていてもなお、『でも私は沼の生活は幸せだった。母だって冷静に客観的に自分を見つめることができれば、沼の生活にも幸せな瞬間があったと分かることができたはず』と言い切った時には「あ、わたしも無理かも……」となりました。 母親を可哀そうと言いながら、その次の行で自分がどれほど父親に愛され、様々な知恵や知識を授けてもらったか、数ページにわたってとうとうと何度も語る彼女の姿に、「そういうとこだぞ」と言いたくなりました。 彼女自身にも境遇の問題があると分かっていても、主人公が受け付けない人がいるのは納得だと思います。 沼のじめっとした描写、季節の移り変わり、植物や生物の情景など、臨場感があり光景が目に浮かぶようでした。 ただ述べたとおり、ほぼ回想。自然や電気のない生活の描写に興味がなければ、読むところなさ過ぎて半額でも厳しいです。終盤、脱獄した父と再会し、ようやく現実ターン来たと思ったらまた長い回想に入った時は笑いました。 | ||||
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どうなっていくのか ワクワク 一気読みかと思ったら後半 想像の世界? ちょっと戸惑ってしまいました。でも、久しぶりに興奮 面白かった。タイトル秀逸 | ||||
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描かれているのは、のどかすぎて、緊張感のない街で起きた衝撃的な事件。 ワイルドな、”極悪人”が、とても魅力的なところは、流石、サイコパス! 大自然を相手に、ワイルドに生きる親子にとっては、昨今のアウトドアブームは、おままごとでしょう。 ロハスで、エコな監禁生活は、とてつもない危険との隣り合わせですが、 獰猛な野生動物と対峙しながら、逞しく生きている主人公が素敵で、 極限状態のサバイバルゲームがスリリングです。 乗越えられそうにない、強すぎる障壁を倒しにいく姿にワクワクします。 | ||||
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タイトルに惹かれ、あらすじに惹かれました。 家族というものの概念、 それはなんというものか。 無慈悲で切なく、何処か 悲哀かつ哀愁漂うのある物語は まるで映画を観ているようで、 「家族とはなんというものか」というもの を考えるきっかけになりました。 | ||||
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総合すれば面白かったと思う。 特に、出だしの期待感は秀逸。 未成年の少女を誘拐監禁し、強姦の果てに子を産ませる。これは、実際に起こっていることであるし、映画「ルーム」その原作「部屋」などにはモデルとなったであろう実際の事件がある。調べてみれば、多いことなのかも知れない。事件性と内容の凄惨さからして被害者保護の観点から秘匿されることも多いだろうが、日本でも同様のことは起きているだろう。(考えてみたが、かつて足立区で起きた女子高生コンクリート詰め事件などは、あまりにも残虐な同様の事件と言っていいように思える。他、女性が日常生活で危険にさらされることはあまりにも多い) しかし、凄惨な事件を元にしているはずのこの話がどこかノスタルジックな空気を漂わすのは、語り手である主人公のヘレナ、拉致監禁を行った犯人であるインディアンと北欧系白人のダブルの父親の娘、アンデルセンの「沼の王の娘」における「沼の王」にたとえられた父親の血を受け継ぐ娘がその生い立ち、かつて自分が犯罪の末に生まれた子供だとは知らず、文明から離れ、自然の中で両親と三人で育った頃のことを細やかに語っていくからだろう。 幼い彼女は、「サイコパス」の父親が自分をインディアンの血を受け継ぐ子供として育て、自分の知識を分け与えることに喜びを覚え、父に尊敬と愛情を抱いていた。 目にする文明は50年ほど前の古い自然科学雑誌。だから、世の中には他の人間がいることはわかっていたが、一般的な社会の文明や常識、良識とされる物は教えられずに育った。彼女が教えられたのは、狩りの仕方、湿地の歩み方、狩りの獲物の皮のはぎ方や内臓の処理。 彼女が今、夫と二人の娘と共に、外の世界で暮らすのは、母と共に保護をされ、父親が逮捕されたからだ。 それは自分が父親を差し出したのだと彼女は語る。 全く知らなかった外の世界に苦労しながらも、彼女はなんとか生き、伴侶ができ、子供ができた。 一見、平穏な暮らしを送る中、唐突に影が差したのは父親の脱獄のニュースが流れたこと。ヘレナは名前を変えて生きており、その生い立ちを自分の夫には明かしていなかった。 脱獄した父親はどこへ向かうのか。それがわかるのは自分しかいない、そして父親の狙いは自分であるのだろうと彼女は悟る。 夫と子供から離れ、彼女は父親のいる箇所を探して移動しながら、自分の生い立ちを語る。 父親、そして娘の対決がメインのように押し出されているが、実際はヘレナの生い立ちが話のメインとなっている。 彼女がどんな暮らしを送っていたのか、その細やかなエピソード、彼女の推察や葛藤、描かれ方はなんとも面白い。この部分は大変に引き込まれる。 ただ、読んでいて、もう残りページはこれしかないのに、父親との対決はいつ??と読みながら思ってしまった。 肝心の父親とどんな対決をするのか。 その、生身の現在の二人がぶつかり合う部分が、ヘレナの過去の濃厚さに比べて、薄い、少ないとどうしても感じてしまう。 面白いのに、いきなりあっけない。そう感じてしまうのだ。実際は生身の対決の時間など短い物だろうと考えればわかるのだが、それまでの重厚さを考えるとどうしてもバランスが悪くなっているように感じてしまった。 実際、その部分を長くするためには大変に後味の悪いエピソードが連なりそうであるので、これくらいが読みやすいのだろう…というか、映画化は正解かも知れない。この終わり方ならば、映像になっても結果に耐えられる。 だが、小説としてみれば、どうしてもそこの部分にバランスの悪さを感じてしまった。他の方のレビューも拝読したが、どうも評価が悪い、難があると書かれているのは概ねその点で、私もその点が残念だと思っている。 しかし、ヘレナの生い立ちを描いた部分は大変に面白い。 一読の価値があると素直に言える。 面白かった。 | ||||
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素直に楽しめました。ただ、法的にはどうなの?とラストは気に掛かりました。 | ||||
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題名はアンデルセン「沼の王の娘」から採ったもので、モチーフもほぼそれを踏襲している。ヒロインの父親は「沼の王」と呼ばれるシリアル・キラーで、アメリカ原住民の如く森の生活を知悉している。ヒロインの母親は「沼の王」に15歳前後で誘拐・監禁・強姦され、ヒロインと一緒に森の生活を余儀なくされた(ヒロインは「沼の王」に訓練され、6歳(!)でライフルを撃つ)が、「沼の王」は12歳に成長したヒロインによって警察に逮捕される。 ヒロインは更に成長し、家庭を持つが母親は2年前に他界する。そこへ、「沼の王」が看守を殺し、脱獄したという知らせを受ける。ヒロインは「沼の王」が必ず自分の元へやって来ると確信する。読者としては、バリー・ライガの父・息子シリアル・キラー三部作を想起し、父娘シリアル・キラー対決を期待する所である。しかしながら、物語はヒロインの「沼の王」に纏わる回想譚、しかも、父親への愛情を滲ませたロマンティックな回想譚が大半を占め、読む者をガッカリさせる。アメリカ北部の森の生活に関心のない方にとっては一片の価値もない。この回想譚と現実の物語とがカットバックで描かれる(どちらもヒロインの一人称)のだが、その現実の物語にもお伽噺の妖精が出て来るのだから話にならない。また、プロットハウンド種の飼い犬が重要な役割を果たすのは最初からミエミエでもっと工夫の仕様があったろう。更に、「沼の王」が何故このタイミングで脱獄したのか最後まで説明されないのも不可思議。 スリルもサスペンスもない愚作。父娘シリアル・キラー対決を期待する方には呆然とする程出来の悪い作品だと思った。 | ||||
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けど、がつく作品だと思いました。主人公の女性の視点で、現在、すんごく過去、最近の過去、の3つのストーリーが流れていくのがどうもじぶんにはのめり込めない流れ方でした。総合すると面白いんだけどね。読後感も、けど、がつく感じでなにかを引きずります。 | ||||
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久々に面白い小説に出会いました。アメリカ自然とその中で文明から隔離された暮らしの描写が写実的。読後、作者なバックグラウンドを知って納得しました。主人公と父親との愛憎表裏一体の関係も良く描かれている。映画も観てみたい。 | ||||
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過去の話と現在の話を同分量ずつ並行記載し、各章ごとにアンデルセン童話を分割挿入する形式の小説でした。 そうせざるを得ないのは、現在進行形の父娘のバトルだけでは、とても連続で持たせきれないほど内容が薄いからです。必然性もなければ(娘が捜査機関に情報提供すればよいだけ)、活劇としても到底1冊の3分の1分すら持たない。 これであればいっそ、現在分は切り捨てて、母親がとらわれてから娘が脱出するまでに全力を傾注した方がよかった気がします。まあ、少数民族は特殊能力を持っているという点を含めて、いかにもハリウッド向きですね。 | ||||
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設定が凄すぎる。凶悪犯の父が刑務官二人を殺害の上脱獄した。娘は家族を非難させ、父を狩るために、原始の森へ帰ってゆく。かつて父に教えられ、父を超えた、あの狩りの技術を駆使して。そういう設定である。 12年前。ヒロインのヘレナは父に誘拐監禁された母とともに森の中の父による幽閉生活から脱出し、父は終身刑を課され重警備刑務所で獄中にあった。その父が脱獄したのだ。 ぼくとしてはワイルドなアメリカ・カナダ国境の山の奥で、父と娘の壮絶な闘いがずっと演じられる作品を思い描いていた。C・J・ボックスの『鷹の王』が描いたネイト・ロマノスキーの凄まじい闘いのように。サバイバル技術に長けていた映画『ランボー』のように。 しかしこの物語は、闘いに向かう現在よりも、むしろ、完璧に幽閉され、外の社会を全く知らずに育ち切ってしまったヘレナの過去に重心が置かれる。その特異性、独自性に物語の奥行きは存在し、その暗闇ゆえに、父娘の愛憎がもたらす、のっぴきならない底深さを、読者は否応なく思い知らされるのだ。 14歳の時に誘拐され、森の中のキャビンに幽閉され、そこで虐待され、レイプされ、子を産んだ。精神の底から100%の奴隷と化してしまった母。父から森と狩りの教育を施され、逞しく育ったヘレナ。ヘレナの一人称で語られる、独自で偏った過去と、現在がクロスしながら物語は進む。 時折カットバックされるのが、ヘレナが読んでいたとされるアンデルセン童話『沼の王の娘』からの抜粋。沼の王とは父のことであり、娘とはヘレナのこと。過去と現在の描写、そして童話の暗示するもの。三つの断章により語られるヘレナという人間像。父という男の暗闇の正体は、やはり過去の虐待にあったという。暴力の連鎖。汚れた血の系譜を断ち切るために暴力から非暴力へ。普通の暮らしへ。 全編、そんな幼き少女の悲鳴という圧力が充満した物語なので、読むほうも心してかかりたい難物、かつ重厚、そして確かな読みごたえを感じさせる大自然の描写。街を離れた完全自給自足生活。狩猟民族の系譜。力と頭脳の対決。愛と憎悪のひしめき。 本作は、ミステリの重鎮が多く獲得している名誉ある賞バリー賞の最優秀作品賞受賞の栄誉に輝いた。『一人だけの軍隊』(映画『ランボー』原作)の作者デイヴィッド・マレルからのエールもあったようで、作者は彼に、登場する猟犬の名ランボーの名を冠し、さらいあとがきでの謝意表明で応えている。 サイコ・サスペンスと言われてもいるが、ワイルドなサバイバル小説、あるいは懐かしい冒険小説のジャンル名も似合いそうな骨太な、否、骨太すぎる力作である。 | ||||
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はやくもBest10、決定作品登場。全編をとおして高まる異常なまでの緊迫感。他に類を見ない設定で、過去と現在のバランスも良い。まちがいない。 | ||||
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子どもは親を選べない。尊敬する父親がソシオパスだったなら。自分自身の中にも、彼を愛し懐かしむ気持ちがあり、しかし自分の新しい人生を生きて行くためには、彼を乗り越えなければならない。自然の描写も秀逸、アンデルセンのお伽話とのリンクも素晴らしい。 | ||||
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母親と共に父のもとから逃げ出して15年。 現在ヘレナは27歳。夫、2人の娘と平穏な生活を送っています。夫には自分の過去を打ち明けていませんでした。 そんな時飛び込んできた、収監されている父が、移送中2名の看守を殺害して脱走したというニュース。 過去を秘密にしていたことで、夫との間にも微妙なひびが入ります。 そこで、過去との決別を図るためにも、自然の地において父を捕らえることができるのは、そのノウハウの教えを受けた私だけと、ヘレナは単独で父を追う決意をします。 追跡の過程において、生まれてから12歳までの北米の沼地における一家の暮らし、家族関係、父から教えてもらった様々な自然界の物事(ネイティブアメリカンの考え方ー父はハーフ)、猟、銃器の使い方、父から受けた仕打ち等を思い起こします。 母親は14歳で拉致され、16歳でヘレナを出産。強い夫に完全に委縮し自我を失っていました。 常識や道徳観を学ぶことなく育ったヘレナが、父親の異常性を認知し逃亡に至ったきっかけは何だったのか? 父親との最後の決戦に至るまで、複雑に愛憎を交差させ揺れ動くヘレナの感情、思いが切々と語られます。 読んでいるほうも、父親愛を感じたり、やっぱり悪人だと感じたり…。 思い起こしている場面がほとんどです。そのため、実際の決戦がもう少し肉厚に描かれていてもよかったのではと思いました。 ですが、著者のこのサバイバル知識の情報収集はすごいです。読み応えがありました。映画化される予定とのことで、公開されれば鑑賞したいと思います。 | ||||
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