■スポンサードリンク


ケンブリッジ大学の殺人



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
ケンブリッジ大学の殺人 (扶桑社ミステリー タ 9-1)

ケンブリッジ大学の殺人の評価: 2.83/5点 レビュー 6件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.83pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

仰天の結末は望めませんが、堅実なリアルさが身上の論理的ミステリーです。

イギリス・ケンブリッジ大学で考古学専門の教授として勤める傍ら余技として本格ミステリーを執筆した兼業作家ダニエルが1945年に発表して絶賛された処女作の本邦初紹介です。本書の最大の特徴は、素人探偵の大学教授とプロの警察官三人が競演して四者四様の推理合戦を展開する究極の論理的推理小説である点です。推理の巧拙を述べる前に四人を紹介しますと、まず著者の分身といって良い考古学教授のサー・リチャードは初老で独身の美食家です。次に地元ケンブリッジ署のウィンダム警部は独身で趣味がレコードの蒐集の物的証拠の重視派、警察本部長のハーディー大佐は意外な鋭さを見せ、最後にスコットランド・ヤードのマクドナルド警視は豊富な経験を持つ大ベテランです。事件は大学構内で早朝に門衛の射殺死体が発見されて幕を開けます。警察の取調べが始まる内に、学生監の失踪に続き彼の死体が学生のトランクから発見されて事件は複雑な様相を呈して行きます。四人の推理は、学生や教授の証言により犯行時間を絞り込み、容疑者の動機の可能性を分析しながら進んで行きますが、次々に新たな事実が判明して仮説が崩壊し、犯人特定に決め手を欠きます。著者はあらゆるパターンを想定し複数の考え方を読者に提示して、最終的にリアルで説得力のある結末を用意します。ミステリーの読者は天邪鬼で、極めて自然な決着に満足すべきなのですが、500頁を越える小説を苦労して読んで来て得られる結末がこの程度なのかという失望を感じてしまいます。論理の追求と現実との齟齬を示して見せる著者の意図は十分に解るのですが、ミステリーファンは多少不自然で矛盾していても仰天するような仕掛けを期待しますので、その意味で本書は私にとって残念ながら三級品です。それでも丁寧に書き込まれた登場人物の心理描写等読み所は多数ありますので、過剰に期待を持たないで読めば大いに楽しめる一冊であると思います。
ケンブリッジ大学の殺人 (扶桑社ミステリー タ 9-1)Amazon書評・レビュー:ケンブリッジ大学の殺人 (扶桑社ミステリー タ 9-1)より
4594056717

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!