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ケンブリッジ大学の殺人
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ケンブリッジ大学の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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ときどきジャケ買いで本を買ってしまうことがあるのだけれど、この小説もまさにそうだったように思う。しかし買ったのはもう10年も前で、すでに記憶が曖昧だ。あらためて見ると「なんで買ったんだろう?」という気がしないでもないが、『ケンブリッジ大学の殺人』というタイトルはいかにも英国ミステリっぽくていい。とにかく本棚の肥やしになっていた本書を、読んでみた次第である。 それなりに面白く読んだ。解説で訳者の小林晋氏も書いておられるが、これはノックスの『陸橋殺人事件』やバークリーの『毒入りチョコレート事件』と同じタイプの小説である(といえば、ミステリファンの方には分かってもらえるだろうか)。つまり、物語的興味で読者を引っ張っていくのではなく、ああでもないこうでもないとプロ・アマ入り乱れて大推理合戦が繰り広げられるタイプの小説なのだ。 こういうのは、AをBがひっくり返し、BをCがやっつけ、という風にソリッドに展開すると「格好いい!」とシビレるのだが、本書には残念ながら老人の繰り言にも似たダラダラ感が最後まで付きまとった。それでも一応のドライブ感をキープできていた気がするのは、翻訳の力に負うところも大きかったのではないかと思う。つまりとても読みやすい文章だったわけだが、最近は海外ミステリの翻訳レベルもどんどん高くなっていますよね。 | ||||
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ラスト、決定的な物的証拠のオチが示しているように、 著者は事件そのものには重点を置かず、それに対する各人各様の仮説に 固執しているようです。 事件が起きて、探偵が登場し、証言・手がかり・物的証拠などから 推理が収斂したり、突然のひらめきで真相にたどり着いたりするのは、 本格ミステリでよくあるパターンだ。 ところが本書は、エヴァン・フォザギルとアン・ランドンの嘘八百の証言をもとに 仮説を立てたり、学寮長が自室から川べりの人物を目撃した時刻を二通りに 分けたりなど、推理の選択肢が増える一方で、どんどん拡散してゆきます。 この場合、消去法ではなく、加算法でドクサが巨大化します。 推理が拡散するということは、それだけあやしい人物も増えるわけで、 ありとあらゆる者が疑われます。 一方、探偵役のひとり、チェリントンの推理は、勘に近いものがあり、 結局、事件を解決します。 これまでの所轄署とヤードの微に入り細を穿つ(見当違いなものも含む) 推理は完全に水泡に帰してしまいます(アリバイを崩せない正解もあったが)。 既存の推理小説に対抗するつもりなら、拡散する推理の過程で契機を設け、 その後の流れで終着点を見出すべきではないだろうか。 しかし、これは著者の意図したもので、仮定・推理のゲームに打ち興じることが 目的だったのかもしれない。 | ||||
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何人かの方が長すぎると指摘されているが、本当にその通りだと思います。 同じ長さでも、事件が更に展開していく上での長さであれば読みやすいのだか、本書の場合は仮説を立ててはそれを崩し、事件そのものは常に振り出しに戻ってしまう。 変化する事件関係者の供述もあり、どれが事実であったのか最初から注意深く読んでいないと話が全くわからなくなってしまう。 パズラーものなので伏線はあちこちに張ってあり、それに気がつけば正しい解決まで行きつけそうだが、その前にうんざり感が先に来てしまった。 1945年の作品ですから、当時はこういう書き方でも充分ありだったのかも知れない。 ゆっくりじっくり考えながら楽しみたいという方にはおすすめできるかも。 | ||||
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何人もの人が事件に挑み、推理しては崩されの繰り返しでなかなか事件は解決しない。たぶん作者は、名探偵のひらめきで事件が解決するというご都合主義に対抗してこの作品を描いたのだろう。ただ、ここまで延々と推理合戦を繰り返されても読者がラストに到達する前にウンザリしてしまうかもしれない | ||||
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事件の展開もあり、長編で読みごたえありそう。と思い買ったが確かに展開はある、しかし回転が遅すぎ・・・登場人物にも魅力興味を感じないし結局は途中であきてしまい本棚に眠ってます。 | ||||
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イギリス・ケンブリッジ大学で考古学専門の教授として勤める傍ら余技として本格ミステリーを執筆した兼業作家ダニエルが1945年に発表して絶賛された処女作の本邦初紹介です。本書の最大の特徴は、素人探偵の大学教授とプロの警察官三人が競演して四者四様の推理合戦を展開する究極の論理的推理小説である点です。推理の巧拙を述べる前に四人を紹介しますと、まず著者の分身といって良い考古学教授のサー・リチャードは初老で独身の美食家です。次に地元ケンブリッジ署のウィンダム警部は独身で趣味がレコードの蒐集の物的証拠の重視派、警察本部長のハーディー大佐は意外な鋭さを見せ、最後にスコットランド・ヤードのマクドナルド警視は豊富な経験を持つ大ベテランです。事件は大学構内で早朝に門衛の射殺死体が発見されて幕を開けます。警察の取調べが始まる内に、学生監の失踪に続き彼の死体が学生のトランクから発見されて事件は複雑な様相を呈して行きます。四人の推理は、学生や教授の証言により犯行時間を絞り込み、容疑者の動機の可能性を分析しながら進んで行きますが、次々に新たな事実が判明して仮説が崩壊し、犯人特定に決め手を欠きます。著者はあらゆるパターンを想定し複数の考え方を読者に提示して、最終的にリアルで説得力のある結末を用意します。ミステリーの読者は天邪鬼で、極めて自然な決着に満足すべきなのですが、500頁を越える小説を苦労して読んで来て得られる結末がこの程度なのかという失望を感じてしまいます。論理の追求と現実との齟齬を示して見せる著者の意図は十分に解るのですが、ミステリーファンは多少不自然で矛盾していても仰天するような仕掛けを期待しますので、その意味で本書は私にとって残念ながら三級品です。それでも丁寧に書き込まれた登場人物の心理描写等読み所は多数ありますので、過剰に期待を持たないで読めば大いに楽しめる一冊であると思います。 | ||||
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