ミスター・ディアボロ
- 衆人環視 (67)
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普段は遅読の私が4日目で読み終えたというのは、つまるところ面白かったということになります。 作者の他の作品がスパイ・冒険系統であることからすると、意外にもこの1作は古典的パズラーの作法に則っており、1960年の作というのが信じがたいですね。史上に残る傑作とはいきませんが、活劇場面も適度に織り込まれ、一切退屈はしません。人物描写も必要最低限で、無駄に物語を膨らまそうとするあざとさもなし、謎解きに集中できるのはやはりこの時代の作風の長所か。 ですが謎解きにおいて玉にきずは、走れば人間は息がはずむものというごく当然の現象を無視しているところ。こういう点も含めて、まさにクラシックです(;^ω^) | ||||
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本格ミステリというよりは、クラシカルなジュヴナイルの雰囲気の作品。 でも、好きだな、こういうの。 犯人はバレバレだし、トリックだってグダグダだけど、それは今の感覚で見ればだから。 本作の書かれた当時でも、もっとスタイリッシュなミステリが一般的だったはずだ。 だから、あえてこんなクラシックスタイルのミステリを書いたのには、それなりの理由があったのだろう。 海外の大学の雰囲気、そして大学を取り巻く人々の描写などなど、著者が描きたかったのは、本当はこっちなんじゃないかと思うくらい生き生きとしている。 そして怪人の妖しいスタイル。 二十面相かジゴマかという感じだ。 探偵役に魅力がないのが難点だけど、私には面白い作品だった。 | ||||
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オカルティズムと不可能犯罪の融合を試みたと思われる作品。舞台は英国の大学。冒頭で18世紀に、ファラントと言う教授が黒魔術による「ミスター・ディアボロ(悪魔)」の呼び出しを研究していた事、ある晩ファラントの研究室の裏の道で何者かを見た学生が、失神後に密室状態の研究室を訪れた所、ファラントの死体を発見した事が語られる。その学生が翌日、自殺した事も。そして現在、米国からの交換研究生達の前に姿を見せた「ディアボロ」は不可能状況の中、忽然と姿を消してしまう。乱歩の探偵小説風発端である。 更に、その目撃者の学会員ビルの絞殺死体が密室状態の自室で発見される。しかし、消失トリックも密室トリックも隙がありそうで、独創的アイデアが披露される期待感が持てない。物語の進行もモタモタしていて、怪異性もサスペンス性も全く感じられない。長々とした記述で分かった事は、ビルが女誑しで恐喝屋だった事だけである。 結果として、「ミスター・ディアボロ」を用いた妖異譚でも無く、動機も不可能トリックも新鮮味が無く、パズラーとしての出来も悪い。作者が本作を書いた狙いがサッパリ分からない内容で、消化不良の感を味わされた。 | ||||
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イギリスのスパイ・冒険小説界のベテラン作家レジューンが30代の若き日1960年に著した唯一の本格ミステリー長編小説です。本書のタイトルの人名ディアボロはギリシャ語で悪魔を意味する言葉だとの事です。探偵役は全長編小説9作の内6作に登場する陸軍省所属の好漢アーサー・ブレーズで、ワトスン役は彼の元部下で外務省所属のアリステア・バークが務め同時に本書の語り手となります。 イギリスの西洋学研究部で開かれた学会の夕食会の席上、大学で過去に起きた不気味な「ミスター・ディアボロ」の伝説が披露された直後に、まさに当人と思しきシルクハットにマント姿の怪人が中庭に現われ、皆が追う内に裏手の〈悪魔の小道〉と呼ばれる路地に逃げ込み、そこで帽子とマントを残して忽然と姿を消してしまう。しかも、その夜ある学会会員が密室状況で死体となって見つかり、アメリカから来たバークは当地に滞在していた元上司のブレーズ、恋人のバーバラ、地元警察のリンゼイ警視らと共に事件の謎を追う。 本書は冒頭から密室ミステリーの巨匠J・D・カーの世界を髣髴とさせる魅力的な不可能興味に溢れてはいるのですが、作風の決定的な違いは怪奇性の描写が淡白で悪魔が終始狂言回しとしか考えられない冷静で現実的に過ぎる怪奇浪漫趣味の欠如でしょう。被害者が女たらしの卑劣漢だと判明すると朧気に動機が見えて来ますし、何よりもトリックの解明部分があっけない内容で、魅力的な謎との落差が大き過ぎてがっかりしてしまいました。ミステリーと言う分野は難しい物で、埋もれていた傑作という触込みに勢い込んで期待すると逆に裏切られる事も多く、慎重に精査する必要があるなと痛感します。それでも、探偵が全員を一堂に集めて謎解きを披露する古典的名場面から一転して狂気の殺人者の追跡へと転換するサスペンスの盛り上げはお見事で、著者が本作以降冒険小説の分野で活躍される才能の萌芽を感じました。 | ||||
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