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(短編集)

昨日がなければ明日もない



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昨日がなければ明日もないの評価: 4.24/5点 レビュー 94件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.24pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全94件 81~94 5/5ページ
No.14:
(3pt)

相変わらず達者だけど、新鮮味に欠ける

杉村シリーズだ。離婚の原因に納得いかなかったので、バツイチ杉村に今一つ感情移入できない。
中編を三本収録している。
『絶対零度』結婚した娘が自殺未遂を起こし、入院している。夫は彼女を隔離して、面会をかたくなに拒む。
背景には、最近話題のある重要な問題が横たわっていた。
宮部作品にはぶん殴りたくなるゲス野郎がしばしば登場するが、こいつはその中でもトップクラスだ。
杉村が最も探偵らしく活躍するのが本作だ。

『華燭』結婚式当日のトラブルが重なった。スラップスティックめいた展開で、何も考えず楽しめる。
本人たちはこれから大変だろうけど。
表題作は自己中極まれりの毒女が登場する。生育環境が普通でも、モンスターは現れるのだろうか。
天性の資質かな。嫌な天分だなあ。

小説の名手だけに、読み始めると一気に最後まで読んでしまう。重さと新鮮さに欠けるのが残念だ。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
4163909303
No.13:
(5pt)

罪悪感 < 被害者意識的な感情

本書を読んで< 思い浮かんだこと >が2つありました。

 ひとつは、最初に収録されている「 絶対零度 」では、筥崎(はこざき)夫人という人が、杉村探偵事務所の10人目の依頼人となる!のですが、その旦那さんは、< 東京電力の社員 >で、うちにもほとんど帰らずに、< 福島第一原発事故の後始末 >に必死になって取り組んでいる!という設定になっています。

 しかし、筥崎(はこざき)氏は、物語の中には一度も登場してきません!そのかわりに、筥崎(はこざき)氏の妻と娘と息子が、物語の登場人物になってきます。

 そして、この3人の登場人物に、< 東京電力という大企業がもつ属性を、分割して割り振っている! >という印象を受けました。

 なので、< 3人のキャラの特徴を総合する! >のであれば、< 東京電力という大企業がどういう会社か? >が分かるのではないか?と思いました。

 もう一つは、宮部先生が、この「 杉村三郎シリーズ 」で何をやろうとしているのか?という事について、< ひとつの解答 >がひらめきました。それは、次のようなものです。

 おそらく、宮部先生は、< 泥の中から一粒の砂金を探し出す! >ように、< この世の生き地獄の中から希望や幸福を探し出す! >ということを、この「 杉村三郎シリーズ 」でやろうとしている!のではないでしょうか?

 そう考えると、主人公の杉村が< 探偵 >を職業にしている!ことも、また、この「 杉村三郎シリーズ 」に< 後味の悪い作品が多い! >ことも良く理解できるようになります。

 つまり、後味の悪い作品には< 共通項 >があって、それは、< この世の生き地獄の中から希望や幸福を探し求めてみた! >けれども、< 力及ばず、結局のところ発見できなかった! >という< 結果報告 >をしている!のではないか?と思います。

 ちなみに、< 取り返しのつかないトンデモナイことをしでかた! >にもかかわらず、< 罪悪感 >よりも< 被害者意識的な感情 >の方がまさる!と言ったような場合には、100%間違いなく、< 希望を持つ! >ことも< 幸福を感じる! >こともできない!!はずです。

 ですので、そういう人たちは、< この世の生き地獄で、絶望しながらも、死ぬまでもがき苦しんでもらいたい! >と思います。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
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No.12:
(5pt)

読み返したくなる筆力

宮部みゆきの作品で、一番好きなシリーズです。他の方のレビューにもありますが、読後感は悪い。しかし、現実にありそうな展開。読後感は悪いものの、それでも読み返したくなる宮部みゆきの筆力には、脱帽です。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
4163909303
No.11:
(5pt)

ネタバレありです。 作者の意図も判明して、今後のシリーズも期待できる

まず、後味が悪いとの評価がありますが、概ね同意します。ただし、本当に後味が悪いと感じたのは「絶対零度」で、「華燭」は逆に好ましいエンディングと感じました。この本の題名にもなっている「昨日がなければ明日もない」は、やりきれない話ではありますが、もっとも杉村シリーズらしい話ではないかと思います。
どれも素晴らしい短編ですが、個人的には初版限定附録の「杉村三郎シリーズガイド」が収穫でした。その中の著者インタビューがいいですね。いや、シリーズ第二作の「名もなき毒」のあたりで、いつかは私立探偵を職業にさせるのかなと思ってましたけど、第三作までが杉村を私立探偵にするための前振りだったとは!こういう展開を最初から考えていたのかと思うと・・・。作家さんは怖いなあ。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
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No.10:
(3pt)

ネタバレあり。

杉村三郎シリーズ第5弾です。シリーズのうち、どの本から読んでも楽しめる感じになっています。
今回は3つのお話が入っており、連作短編集ではないのでどこからでも読めます。
3つともとても読みやすくて面白いお話でした。これだけの人物の複雑な関係を分かりやすく書けるのはすごいです。
ただ周囲に迷惑をかけてばかりのどうしようもない人間が被害者で、苦しめられてきた周りの人間が加害者になるお話が多く、やるせない気持ちにさせられました。
読後感はあまり良くありません。
それと、最近はネットをたどればある程度のことは分かってしまうので、昔のようにいろいろな場所や人を訪ね歩き、さまざまな謎が一つに繋がっていくようなそんなワクワクした感じはなくなりつつあるのかなと思いました。
時代の流れもあるのでしょうが、やはり今度はそんな長編を今度は書いてほしいと感じました。
以上の2つの点をマイナス2とし、星3にさせていただきます。
内容的にはさすがにすごく面白かったし、星4でもよかったのですが、今後への期待を込めて厳しめの星3で。
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No.9:
(5pt)

さすが宮部みゆき!

杉村三郎シリーズの最新版です。
私立探偵になってからの物語です。
離婚してから、一人になり、私立探偵として生活をして事件を解決していきます。
しかし、彼の人柄でしょうか?
周りには彼に協力的な人が集まっています。

宮部みゆきさんの作品は読みやすく、長編が多いのですが、短編もさらりと読めます。
今回は女性に特化した物語が3編書かれています。
いずれも面白く、また女性の視線で、女性をよく見ているなあと感じられる作品です。

新品ではない・・・と言うことでしたが、新品でした。(問題なし美品)
女性では実力NO1の作家さんではないでしょうか?
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No.8:
(5pt)

複数の人数をうまく回せる作家

宮部みゆき作品は本当に登場人物が多い。
その人物たちも、年齢や生い立ち、考え方などが多岐にわたり、多種多様です。
いつも思うのはよくこれだけの人数をそれぞれ独立させて物語を作れるなあということ。
そして読み進むにつれ、独立していたそれぞれの人物はだんだん絡んでいき、知らないところで関係をもったりしていて
まるでそれは社会の縮図のように感じさせるのです。
人は人と無関係ではいきていけない。

現代の日本は人種のるつぼになりつつあり、常識や考え方も様々で、個を大切にしながらも団体が一つの意思をもち、それらのカテゴリわけで意味をもつ
複雑な世の中になってきました。それを反映したかのような内容でした。
社会の闇に焦点をあてたシリーズではあるのですが、主人公やその周囲の会話の妙や軽快さですいすいと読み進めていけますが
読んだ後にはたくさんの人生を目の当たりにしたような
どっと疲れるような重さが残ります。
それもまたエンタメとして面白いところです。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
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No.7:
(5pt)

宮部みゆき先生のダークサイド!!

宮部みゆきさんのミステリーでは心がキリキリする程悲しみだったり理不尽な程に腹立たしい人達が登場する事があります。彼等は物語に深みを与えてくれますが、個人的には心の中に何ともやるせない重苦しい感覚を残していきますが。
その重苦しさを表現できるのが宮部さんの凄さだとおもいますし、容赦のないストーリー構成は鳥肌ものです。
僕は杉村シリーズに全体的な物足りなさを感じていましたが、今作では今までになかった負の部分が加わり、「絶対零度」と「昨日が無ければ明日も無い」については名作としか言いようがありません。
登場人物に立科警部補も加わり、今後本格的な長編を杉村シリーズでみたいと期待感が膨らんだ作品でした。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
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No.6:
(5pt)

中毒性のある杉村三郎シリーズ

クリント・イーストウッド監督の映画「グラントリノ」を思い出した。何故かというと、この映画にも「親族(または、自分が積極的に関わりを持つわけではないが、なにかしらの縁があるために知己がある人物)に不条理にひどい目にあわされる女性(少女)」が出てくるからだ。
時折ニュースサイトを見ていると、インドの事件で「自分の妹(等の血縁者)が強姦されたため、報復として犯人の妹(等の血縁女性)を強姦仕返した」というニュースが目につくことがある。報道されるのはそう頻繁ではないが、仕返しをされる犯人の血縁女性にとってはなんと不条理なことなのだろうと思ったのは一度ではないはずなので、一度きりのレアケースではないということだろう。
こうしたニュースで見ると、仕返しに強姦をされた妹にとってはなんと不条理なのだろう、犯人もそうであるが、そもそも強姦という魂の殺人を犯した己の兄こそを殺したいのではないか、と考える。だが、それとは全く別にもしもそれが自分の身や、近しく、大事にしている者の身に起こったとしたら、私はまさに八ツ墓村を参考とした装束に身を包み、その犯人だけではなく、犯人の親兄弟、婚姻しているならば配偶者、その子までに報復を行い、血を絶やしてやりたいと思うのではないか、と考え、ああ、これが日本にもある「末代まで祟る」「末代を絶やす」というという恨みの波動かと思い当たる。
そんな人間を育てた親に責任があるか。
犯人一人のみの問題であって、親兄弟子孫姻族には全く関わりない、むしろ不幸であるのか。
この一冊の中に三本の短篇が入っているが、育てた親にも責任があるだろうもの、親族にとっては不幸であるもの、やはりどちらのケースもあるだろう、と答えなど出ないと思い知らされるような話揃いだった(余談だが、前作の「幸福荘」にも同じように考えさせられる話がある)
宮部みゆきの初期作「魔術はささやく」にも、犯罪者の子供は子供と色眼鏡で見られる事象が描かれているし、「火車」もまた、家族だからこそ逃げられなかった、という悲しみがあった。
杉村は、度を超した資産家の娘との結婚を母に厭われ、一度は自分が育まれた家族を失い、そうして得た家族をまたもや自身の離婚によって失った。
特にこの本の表題作について断ち切れぬ血の縁について考えさせられるのと同事に、杉村の境遇を考えると、探偵とはかくも孤独でなくてはならないものかともの悲しさを覚える。

今年の夏に急に読みたくなって、大昔に読んだ「誰か」を読み直したことがこの杉村三郎シリーズに久々触れた理由だった。私がかつて手をつけたときにはまだ発刊もされていなかった「ペテロの葬列」までを夏の間に一気に読んで、特に「ペテロの葬列」の最後あたりにある一文には打ちのめされるような衝撃を覚えた。
このシリーズには、とてつもなく残酷で、やるせない内容が描かされることがある。ただし、このやるせなさは共感能力が高かったり、もしもこれが自分に起こったらと想像できるタイプの人でないと恐ろしさは感じないかもしれない。
作者が意識してのことだろうか、杉村三郎シリーズはそういう話揃いのように思える。
故に、このシリーズは特に「ペテロの葬列」以降は人によって合うか合わないかがはっきりと分かれるのではないかと感じられる。
だが、合う人にとっては「面白い、つらい、でも面白い、後味が悪いけれどそこがいい」となるし、いまややもめ男となった杉村の、大家一家や馴染みの侘助のマスターとのやりとりにホッとしたり、杉村の人の良さやシリーズの以前の話の中で出会った人に思いを馳せて、11月のわずかの日だまりのような暖かさを感じたりもする。

今、このシリーズを読んでいて気になるのはかつての義父とのもう一度の再会は叶うのだろうかということだ。
叶って欲しいと思うが、果たして作者はそこまで杉村に、読者に優しいだろうか。
答えが気になるところだが、そういえば、このシリーズの難点が一つ。
それは次の巻が出るまでに、何年もかかることだ。今、第一作「誰か」の初出年を確認したら2003年だった。次の「名もなき毒」は2006年。足かけ15年にわたるこのシリーズ。作者曰くの序章を終えて、ついに杉村が私立探偵と名乗りだした今、次の再会はもう少し早い時期にしていただけたらありがたい。

ところで、クリント・イーストウッドも後味が悪く、ガツンと殴られるような衝撃のある映画を作ることが多い。しかし、「グラントリノ」はそれもあるものの、納得も出来るような、これしかないと思えるようなラストだった。
この映画を思い出したのは、読後感がどこか似ているからかも知れない。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
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No.5:
(5pt)

万引き家族との共通点

日頃、一般的なメディアでは、オリンピックやワールドカップでの高揚感や一体感、日本を褒めそやす外国人へのインタビュー、等々希望や期待や羞恥心が感じられないほど高めの自己評価に溢れています。
しかしながら、人間世界の現実として、絶望的に邪悪で、いくら絆や希望という文脈の中で話をしても立ち直る事のない人がいるということ、そして邪悪の気にあてられた人が犯罪者になってしまうほど追い詰められることがあるということまではなかなか教えてくれません。
杉村三郎にとっても、読者にとってもこんなに苦い展開にしなければならないほど現代社会には、我々(少なくとも日常的な読書習慣があり、新刊を単行本で買えるような人)には見えない、或いは見ようとしなければ見えない現実があるということだと思います。
映画『万引き家族』に通ずるテーマを感じました。
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No.4:
(5pt)

面白い!でも、このシリーズの中では1番、読後感が悪い!

この小説は短編が3つです。杉村シリーズです。お好きなかたも多いはず。やはり、面白いし、また、彼を取り巻く環境も、ユーモラスな人たちがいて、ほんわかしますが、第1作から読んでいますが、元妻とのやり取りが出てくるのが、ほんの少し。しかも、ちょっと、淋しいかな。離婚した時も、かなりの勢いでなんで⁇と感じました。でも、今回はもっとその距離がなんで⁇となりました。これは個人的な感想ですが、なんか、主人公が杉村さんがちょっとかわいそう。そして、表題になったこの作品は、最終のお話です。
読後感が、半端なく悪い。私も杉村さんと一緒に呆然としたまま、本を閉じました。
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No.3:
(5pt)

面白かった!でも・・・

やっぱりこのシリーズは、後味があんまりよくないお話が多いですね。
登場人物が好感が持てない人が多いというか。
でも本当に面白くて、一気に読めます。
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No.2:
(5pt)

持てる者と持たざる者

宮部みゆきさんの他のシリーズでも見られることですが、杉村三郎シリーズでは特に、お金や愛情といったものに関して、持たざる者が持てる者に対するルサンチマンや悪意といったものがクローズアップされているように思います。杉村さんの結婚からして、他者に嫉妬や羨望を抱かせるものでしたし。
 「持てる者」の中には、傲慢な金持ち根性の人も出てきますが、大概は「金持ち喧嘩せず」的な上品でおっとりした人が多いです。しかし、「持たざる者」の強烈な嫉妬や嫌がらせの陰で、持てる人特有の鈍感さ、悪い意味での鷹揚さもさりげなく描かれています。
 杉村探偵事務所は(杉村さんも自覚しているようですが)、ミステリ小説に出てくるような一般的な探偵事務所というより町内のトラブルシューター、よろず相談承り所のようになっていますが、我々一般市民の周囲でいつでも起こりうる事件や揉め事ばかりなのでリアリティがあります。そして富裕層は別として、近年多くの市民が何かしらお金のことでギスギスしている、そんな世相が反映されていると思うのは、穿ち過ぎでしょうか?
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
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No.1:
(5pt)

評価と好き嫌いが分れるかもしれない秀作

杉村三郎シリーズは身近な社会の闇をテーマにしている感があるので、今回も内容が苦手と思われる方もおあれるかもしれません。第一話目から人の尊厳を踏みにじる胸が焼けそうな加害者たちばかりが登場しますが、それでも人物描写は相変わらず秀逸で被害者たちも報われるあたりは深く感情移入が出来ますし、結局は悪党(と表現してもいいような者)たちは然るべき制裁(天罰?)を受けますから読後感はそれなりによろしいのではないかと。
卓越した筆力とストーリー構成は健在ですので、このシリーズを全て読んでいる、または宮部みゆきファンの方には十分楽しめると思います。
昨日がなければ明日もないAmazon書評・レビュー:昨日がなければ明日もないより
4163909303

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