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熱帯
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熱帯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 41~54 3/3ページ
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私には正直難しいところもありました。今いる場所はわかるのに、来た道と帰り道がわからなくなって。 でも最後まで読めんで考えたら、視界がクリアになりました。 本を読んで、その世界に浸っていく、とても幸せな時間でした。 直木賞は逃したけど、賞なんてなくても面白いものは面白い! もっかい読みます! | ||||
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全体を俯瞰したレビューなどできません。これは読むしかないです。 「1982年に出た『熱帯』という謎に満ち魔術的な小説の探索」ということで最初は森見氏の視点で始まり、続いて白石嬢の話すお話になり、その中で池内氏のノートの内容になり、・・・と、読者は何重もの入れ子構造で深まっていく物語を必死に追いかけることになります。お行儀よく元のところに戻ってくるとは限らず、辻褄が完全に合っているわけでもなく、特に今回新たに書かれた第四章「不可視の群島」以降は、語り手が誰だか最後近くまで分かりません。読者はしばしば“えーっ”と驚愕するに違いありません。 物語世界に没入した読者はアクロバティックな構成に翻弄されながら、物語を読む、物語に浸る喜びを味わえるでしょう。千一夜物語がベースにあって、人が物語ること、物語を読むことの意味を次第に考えていくことになります。 そして「物語の終わりは新しい物語の始まり」となって円環的に続きます。本作ではこの“物語”は“自分”とか“人生”とかに置き換え可能です。「物語を読み終わり、新しい自分が始まる」とか「旧来の自分が終わり、新しい物語を編み始める」とか。作家でなくとも常に人生のターニングポイントに物語があるし、経験したことが書籍になっていなくてもそれは物語です。 人は生きることを物語を通じて学ぶものだし、人が生きた軌跡は次の人にとって物語だし、そんなことを感じさせてくれる「熱帯」でした。 だからこそ「汝にかかわりなきことを語るなかれ。しからずんば汝は好まざることを聞くならん」というキーフレーズが重いのでしょう。 森見氏の数々の作品に現れたイメージがふんだんに現れるのも楽しいですよ。 | ||||
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基本的にファンタジーノベルである。『千一夜物語』のように次々と物語が移り行く。読者は各々の物語を楽しみながら『熱帯』の核心部分に迫っていくことが出来るように構成されているので、話の展開に身を任せれば良い。後は著者の導きについていくだけだ。しかし、途中で登場人物の役割や話の筋が見えなくなるかもしれないが、構わずに読み進めれば良い。一つひとつの話が詰まらないと感じる人はそこでストップすれば良い。他に沢山読む本は氾濫しているのだから。どちらかと言えば、若い人より年配者向けの作品なのかもしれない。よくこれだけの物語を詰め込んだものだ。著者の類い希なるストーリーテラーとしての才能を実感した。最後まで諦めずに読み続けると意外な発見に辿り着ける。『千一夜物語』同様、最後まで読める人は少ないかもしれない。読書自体が読者の冒険である。宝を獲るまでひたすら読むべし。 | ||||
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以前、「夜は短し歩けよ乙女」が映画化された頃、古本市で“黒髪の乙女”似の売り子さんから佐山尚一著の「熱帯」を頂いた事があります。 それは 「夜は短し歩けよ乙女」の文庫本のレビュー(2017.4.14)にも書いていますから、間違いありません(写真再掲)。 その本は、不思議な条件(森見氏の作品を全て読むまで、この本は読むことも詮索することもしないで下さいとのことでした)とともに頂きました。 普段、あまり小説を読む事も無く、約束を破ってはいけないと思ってもいたので、いつしか部屋の何処かにしまい込んでしまいました。 ただ、頂いてすぐのころ余りに気になったので、約束を破って少しだけ読んだ事があります。 確かに「汝にかかわりなき」といった出だしに始まり、記憶喪失の若者が南洋の孤島で「佐山尚一」と出会い、不思議な世界に誘われそうになったところまで読んだ記憶があります。 ですが、そこまでです。 先日、ふとテレビのニュースで森見氏の「熱帯」が直木賞候補になった事を知り、しまい込んだ本の事を思い出しました。 森見氏と佐山氏の「熱帯」、、、状況が良く分からなくなってしまったので、森見氏の「熱帯」を読めば分かるのかと思いましたが、ますます不思議な世界に引きずり込まれてしまった様です。 肝心の佐山尚一著の「熱帯」は、部屋の何処を探しても見つかりません。そして、古本市もあれ以来開催される様子がありません。 今思うともう少し読み進めておけばと後悔の念が立ちますが、何処かにしまい込んでいるだけの筈なので、諦めずに探してみようと思います。 そして、森見氏の「熱帯」は、あくまでも森見氏の見解だと捉えておこうと思います。 | ||||
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森見登美彦の「夜行」や「きつねのはなし」に描かれる京都の奥底の闇の物語を読んだことがある&気に入った人でないと厳しいです 逆に自分に合ったとすれば、森見ワールドの人物たちが迷い込んだ世界の穴に自分も引きずりこまれていくような妖しい体験ができるでしょう 点々と置かれる森見ワールドの断片たちが既視感を呼び、時にニヤリと時に「あれ?」と驚かせてくれます 没頭するあまり、読み終わった後思わず森見氏がご健在か確認してしまいました笑 | ||||
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全体としては「きつねのはなし」「宵山万華鏡」「夜行」のような幻想的な雰囲気がある.私は,京大大学生が主人公であったり,タヌキが出てきたりする話よりもこれらの作品がとても好きなので面白かったが,大学生とかタヌキっぽい話のほうが好みという人には期待外れかもしれない. 初めは,森見氏のブログのような感じである.筆が進まないことを嘆いているときに,ひょんなことから謎めいた読書会に参加することになる.そこから物語は一気に奈落の底に引きずりこまれるかの如く展開して,気付いたときには読み終わっていた.日常から転じて物語が走り出す感じは,村上春樹の小説のようでもあったし,あるいは夏目漱石の「こころ」(「私」が先生の手紙を受け取って電車に乗り,手紙を読み始めて語り手が先生に変わったときのあの感じ)を思い出させた. この物語の中心にあるのは,佐山尚一という人物が書いた「熱帯」という小説だ.森見氏やその読書会の参加者をはじめとする複数の人々は「熱帯」をあるタイミングで手に入れ,面白いと思って読み進めている最中に紛失する.彼らの「熱帯」への執着心が高まるにつれて,物語はどんどん不穏な色を帯びてくる. この小説(「熱帯(森見著)」)では,"千一夜物語"が重要なキーワードになっており,未読でも十分楽しめるが,内容を知っていると尚更面白いと思う.私はバートン版とガラン版しか読んだことがなかったが,本書を読んでマルドリュス版も読んでみたいと感じた. 他の方がレビューで「森見版はてしない物語」と書いていたが,私は,作中に登場する本と読者が今手にしている本がリンクしているという意味で「『はてしない物語』のようだ」と思った.昔に「はてしない物語」を読んでいて,作中に「はてしない物語」を読んでいる人が出てきて,本の外観の描写のところで,私が今読んでいるこの本そのものじゃないか!と驚いてわくわくしたことを思い出した.この本の装丁は作中の「熱帯」と同じではないので,ちょっと残念ではあるが. ところで,アマゾンで「熱帯 佐山」と検索すると面白いことになっていますが,これはどういうことなのでしょうか? | ||||
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森見氏の代表作「夜は短し歩けよ乙女」のような作品を期待して手に取った人にとっては期待はずれかもしれないが個人的には非常に楽しめた。複雑怪奇な入れ子構造、幻想的な雰囲気に飲み込まれ小説のなかを彷徨っているような気持ちで夢中で読み進めていった。 余談だが読んでいる最中に一度スマホを紛失し、まさかこれも最後まで読みきることのできない小説なのではないかとひやりとした。 | ||||
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映画『ペンギン・ハイウェイ』から興味が湧き、原作に魅入られ、この作品に至りました。 ペンギン・ハイウェイのアオヤマ君は、好奇心と探究心と検証を通じて得た知識から想像力を飛躍させ、お姉さんの謎の解明と未来での再会への道筋を獲得しました。 それに対して、この『熱帯』は想像力の獲得(獲得に至る過程)ではなく、想像力を駆使することを描いているのかな、と感じています。 想像力、というと夢や可能性や広がりなど前向きなイメージが先行しますが、思い込みや独善的な発想による閉じ込めとも決して無縁ではないのかもしれません。 この作品はたぶん『想像力』について何かを語っているのだと思う半面、それだけだとすると少し浅いような気もするのですが、その辺のことが(私の個人的な能力の乏しさのせいかもしれませんが)今ひとつはっきりせず、なんだかもどかしさが残る作品でした。 | ||||
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最後まで読めた。 消えなかったので私の手に入れた 熱帯が本物です。 | ||||
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マトリョーシカのような、ミルフィーユのような、不思議な構造にワクワクした。それが途中でぐるっと反転してメビウスの輪のようにつながる感じが爽快だった。まぎれもなく怪作。 | ||||
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小学生の頃に図書室で、はじめて、挿絵がない、ぶ厚い物語本を読んだときの引き込まれた感を思い出しました。それくらい文字や風景描写、人物像が頭にはいってくる読みやすい作品です。 今、自分が大人になり、まわりからの情報や環境に影響される立場から、この「熱帯」という本を読んでいくと、場面の変化から謎が深まるばかりか、本から与えられるメッセージとは?この物語に出てくる登場人物達とは? 読みながらも、自分が哲学的な考えな考えに至ってしまうばかりか、固定観念にとらわれぬよう、想像力と思考力をフル回転させなければならない不思議な物語でした。おもしろい作品です。ぜひ読んでほしいです。 | ||||
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入れ子構造の形式で進んでいく物語、 前作“夜行”同様に日常世界の中に非日常が混ざり合ってくる不気味さ、 すぐに物語世界に引き込まれてしまいました。 森見作品なので読みやすい文章ですが、幾分複雑な構造となっており一回読んだだけでは理解できない部分も多かったです。 それでも、人間の想像力により創造された物語が人間を取りこみ、その人の世界そのものを変えていってしまう様はぞっとするが、小説好きな人間なら程度の差こそあれ経験があることだと思います。 わかりやすい結末がないので苦手に思う人もいるかと思いますが、内容紹介で少しでも興味を持った方は絶対買いです! | ||||
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枕元から無くなることを恐れてひと息に読んだ。 怒涛の伏線回収はあっぱれ。真ん中あたりは多少間延びしたが、最後はまとまっている。 後半のマジックリアリズム的展開は視覚イメージがよく広がったので、アニメ化されたら盛り上がりそうである。 「謎」についての核心的描写がもう少し欲しかったが、そこは自分の『熱帯』だけが本物なのだから、という逃げ方もできるだろう。 読み終わると、最初からもう一度読み始めたくなるので、読者は熱帯に閉じ込められること必定である。よくできた本なのは間違いない。 | ||||
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その昔、他ならないこのAmazonのサイトの中にマトグロッソというページがあって(今は別のサイトに引っ越していますが)、森見がこの『熱帯』を連載していました。最後まで読んだ読者が居ない幻の小説『熱帯』(佐山尚一)を巡っての、『熱帯』に取り憑かれた人間達の謎に満ちた追跡劇。しかしその連載は2011年に中断しました。連載を抱えすぎた森見が心身症を発症して「書けない作家」になったからです。正直な話、森見登美彦の『熱帯』も幻の本になるのではないかと私は観念して居ました。しかし森見は復活し、1−2年に一作というペースで中断した連載を着実に完結させていったのである。今回、完結した『熱帯』を読むことができて森見読者の一人として至福の至りとしか言いようがありません。 本作について語るべき点は多々あって、とても語り尽くせるものではありません。脇筋の「虎」ひとつとっても、森見に絡めて語るべきことは山のようにあります。小説についての小説、あるいはメタフィクションを書こうという作家が必ずと言っていいほどに拘る『千夜一夜物語』にこの小説も拘っているという点で、物語の方向性は明らかなのですが、そこをどう森見の「語り」が捌いて見せるのかが読ませどころかなと思います。ただ、人の想像力/想像力をテーマにして、その想像力に「食べられそうになる」人間がどう立ち直るのかを描いているという点で、これは森見版『果てしない物語』だなと思いました。 | ||||
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