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(短編集)
東京湾景
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東京湾景の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全55件 1~20 1/3ページ
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詳細を書くと未読者の興味を削いでしまうので書きませんが、この小説の最後の言葉に尽きる気がします。 とても読みやすく、一気に読んでしまいました。 オススメです。 | ||||
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この作品を読んで、お台場やモノレールに乗りたくなりました。出逢いは様々だけど、出会い系でこんな深くなれるなんて、凄いな!他人事ながらのめり込んでいました。 | ||||
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品川埠頭の倉庫街で働く亮介は、携帯サイトで出会った涼子に心惹かれていく。ぶっきらぼうな初対面から、徐々に距離を縮めていく二人。涼子はお台場のOL美緒が名乗ったかりそめのの姿だった ・・・ 東京湾を挟んだ品川埠頭とお台場で、ワークスタイルや生活スタイルが全く異なる男女のラブストーリー。亮介と美緒それぞれの日常が交互に描かれているのだが、接点を持つはずのない二人が、うさんくさい出会いをきっかけに、人生のひとときを重ねていく。 亮介と美緒には、恋しくて愛おしくてといった胸焦がれるほどの思いを感じない。それぞれ満たされない何かを抱えている二人の、どこか乾いたところが、かえってリアルなんだろうと思う。 二人の周辺の人々が、本作品を味わい深いものにしている。亮介をモデルにした作家 青山ほたるの雑誌掲載の連載小説が、やんわりと二人に気づきを与えるいるようで面白い。 お約束どおり、亮介も、美緒も二人の関係にためらいを持ち始め、そして・・・ と続く。僕は、本作品の締めくくり方しては、これ以上のものはないと思うのだがどうだろう。 | ||||
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以前から不思議に思っていた。 自分の暮らす場所を別の視点、特に高い場所から見下ろすと感じる不思議な気持ちをどう表現すればいいのかと。 「自分が今、どんなところにいるか、あんな高い場所から見下ろせるんだよ。それって幸せなことよ」 走るモノレールから自身が生活するアパートを見下ろす亮介に対し、涼子が言ったこの言葉で、そうか、自分が感じていた思いは「幸せ」という気持ちだったんだと妙に納得してしまいました。 吉田修一という作家は、普段何気なく、特に気にもかけずにいたような物事の細部を表現するのが本当に上手いです。 吉田修一の文体は、スラスラと読みやすいのだけれど後にしっかり残るものがある。 そういった文体を作りあげることは一見簡単そうに見えて非常に高度な技術が駆使されているのではないでしょうか。 吉田修一はこれまで多様な作品を書いてきていますが、本書は著者のそういったさりげない技術力が味わえる代表作の一つと言えるでしょう。 東京湾を挟むお台場と品川埠頭。 目の前に見えているからといって、決してそこが近い場所とは限らない。 私自身、お台場から品川埠頭方面をみたことはあっても、品川埠頭側からお台場をみたことはありません。 それでもその雰囲気がとてもリアルに伝わってきます。 肌感覚とでもいった感じでしょうか。 | ||||
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これが最初に読んだ吉田修一の作品でした。 カバーに惹かれて購入したのですが、たまに無性に読み返したくなるほど好きです。 どんどん読み進めたくなる物語で、一気に吉田修一の世界に魅了されてしまいました! | ||||
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そのような時間をもらった。愛とか恋とかそういうことに体当たり出来たのか、出来なかったではないか。私は後悔に囚われた。 | ||||
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現代の若者と、華やかでなくブルーカラーのごく普通な世界での小説で共感を得ました。 | ||||
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お台場から品川埠頭を見る。ネットで知り合い、お互いの属性すら知らないがゆえに惹かれ合う。二人を打算のない純粋な関係性ととることができるかで読後感はかわる。彼の胸の傷と彼女の上司と幼馴染とのエピソードがバランスしていると思えるかどうかにかかっている。 | ||||
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東京湾景、今更だけど読みました。 切なくて、すごく良かった! 感情の起伏があまり見えない二人ですが、心をさらけ出すことに抵抗がある人は共感できる部分があるかと。 読後の余韻も、私は好きでした。 | ||||
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人を信じることは難しい。そんなこと今さら言われなくたってわかってるよ、とあなたは言うかもしれない。では、なぜ難しいのだろうか。裏切りというハイリスクが伏在するから難しいのだ、と指摘する人もいるだろう。だけど、僕はこう言いたい。「信じる」とは、何を信じていいかわからないから難しいのだ、と。 しかし、信じるという行為の「不確かさ」が「確か」な手応えとなるひとときがある。それがセックスだ。セックスって、「自分はこの人とつながっている」という確証を五感で認識できる、もっとも強い物理的な作業だ。それ以外のときには相手のことがよくわからないし、愛なんて曖昧なものの存在を疑ってばかりいるけれど、セックスだけは「今そこにあるもの」だと思える。『東京湾景』を読みながら、僕はぼんやりと、でもずっとそんなことを考えていた。 「目の前に広がる美しい東京の夜景、その中で起こっているさまざまな出来事に比べれば、五分おきにこのレインボーブリッジを渡るゆりかもめの、その最後尾の車輛のシートで、好きでもない男の人と手を握り合うくらい、なんでもないことのように思えた」。これは、何を信じていいかわからず、ただただ心の中に穴が広がっていく日々を過ごしていた主人公のひとり、美緒の心象風景だ。このあと彼女は、出会い系サイトで亮介と出会う。 挫折のせいで「信じる」ことを放棄した男。理性のせいで「信じる」ことを躊躇する女。「信じる」は「愛する」に変換可能だ。そして物語は、終わった時点から始まろうとしている。 | ||||
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普通1Kmと言えば歩いても行ける距離。そこに東京湾を挟むことによって、心の距離を巧みに表現できているのではと感じた。 読むだけで情景が浮かぶような、自分もそこに赴きたくなるような、そんな気持ちになれる本。 実際に泳いで渡ったのかまでは書かれていない終わり方も、気になるし、ふに落ちないし、もどかしいのに面白い。 ただキャラクターの心情はとてもよく分かるけれど、どこか平均的な個性に落ち着いていたのが残念だった。 けれども総じて、大好きな本です。 | ||||
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とあるブログからの紹介で自分のリンクさせるフレーズがあったので、読んでみた。 吉田さんの書く男性はいつも男らしく、私自身の理想男性像に近いのでとても入っていきやすかった。 終わり方が結局「ご想像にお任せします」的な終わりになっていて私的には腑に落ちない部分があったが、 全体的には、ひとつの今時の恋愛観、という学びになった。 物語はいつも恋が成熟したところで終わり、その後飽きたところまでは書いていない、といった感じの 記述があったが、確かにと思った。 | ||||
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久しぶりにストーリーの面白い小説を読んだ気がする。第一章から第六章まで、まるで推理小説の謎を解き明かすような展開と時間という空白の使い方のうまさに感心してしまい、一気に読み上げてしまった。 東京という巨大な都市において、品川の倉庫で働く青年とお台場という注目の場所で働く女性の出会いは不釣合いのようでいて不釣合いではない内容だった。この立場が反対の設定であったら、ここまでうまくストーリーは展開しなかったのではないか。 同僚から紹介してもらった彼女はいるものの、主人公の「亮介」が出会い系サイトで「涼子」と知り合うという始まりはお手軽な恋愛小説を彷彿させるが、それが帳消しになるほどその後の展開は際立っていた。羽田と浜松町を往復するモノレールに乗ったことがない謎の「涼子」像を行間で追いかけていたが、意外な「涼子」の真実に感嘆するしかなかった。 巨大な都市に蠢く人間たちは苦みばしっているが、全体的にさっぱりしているのはこの作品が物事に囚われない現代の若者気質を取り入れているからからだろうか。 しかし、そこに「亮介」の高校時代の担任の先生との同棲生活が露になることでさっぱりした中に澱のような不純さが感じられることで話しに厚みを増したと思う。 東京湾で阻まれている品川の「亮介」とお台場の「涼子」であるが、最終的には東京湾の海底を通過する「りんかい線」で一挙に結ばれるという設定はできすぎと思った。 が、うまいなあと感心する。 ただ、惜しむらくは博多っ子の「涼子」と実家の父母との会話は博多弁もどきになっており、東京と博多という距離感が曖昧になってしまっていることか。 | ||||
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文庫本の解説で、この小説は、 「持てる女性」と「持てない男性」の格差恋愛を描いている、 という指摘があったが、全くもってその通りだと思う。 品川埠頭の倉庫に勤めるごく普通の高卒労働者と、 お台場の大企業に勤める才色兼備のキャリアウーマン。 2人の職場は距離にして1キロと離れていないが、間に東京湾が横たわるため、 モノレールができるまで行き来が不便だった場所だ。 「男と女の間に横たわる深い川」そのままに、近くて遠い。 その2人が「出会い系」というバーチャルを介して出会う。 御伽噺の娘がその美貌と優しさを武器に王子を射止めるように、 亮介はその真っ直ぐな情熱と愛情を武器に、美緒に迫る。 唯一つ御伽噺と違う点があるとすれば、 美緒が女の目から見ても非常にリアルなところだ。 偽名を使い続け、外出せずひたすら部屋で交わり、 その交わりすら「体だけの付き合い」と心から切り離し、 あくまで亮介を非現実=バーチャルに留めようとする美緒。 自分と同じくらい教養や社会的立場を備えた元同級生への態度と比べると、 その差は歴然である。 物語はそんな亮介が、美緒にとってのバーチャルから現実に昇格するか? というところで小気味良く終わっているが、 その後の彼らの付き合いは想像がつかない。 儚いという表現が良く似合う、幻想的でスタイリッシュな小説だった。 | ||||
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そういえば、評者は吉田修一の結構いい読者だと思うのだが、彼の作品へのレビューはすべてアマゾンの“検閲”で掲載されないなあ。ヘボレビューであれこれとは言わないが、なぜかな? それはともかく。 入学や就職で新たにこの大東京で生活を始める人も多かろう4月。今回、文庫版で初めて目にした陣野俊史のややナイーヴな解説にもあるように、本書は「東京生活」入門になるかもしれない。 いろいろと無惨なことも目にするだろう。 哀しくも、寂しくもあろう。 増田悦佐は若者の東京流入こそが日本経済活性化の起爆剤だと言い、谷川雁はその昔、「東京へ行くな」という逆説を述べた。吉本隆明はもっと素直に東京へ出て来いと書いていたなあ。 その心は、ひょっとするとこの無惨な東京を見て、そこに生きることが、生活や思想にとっての何事かであるということではないか? 長崎から東京へ出て、大学時代をスタートしたらしき吉田修一の小説には、ナイーヴなセンチメンタルなどほとんどない。カツマーや一人勝ちやオンリーワンたらのつまらないイデオロギーに染まることは吉田の読者には無縁と言うべきか。 | ||||
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「悪人」に感動して次にこの本を読みました。恋愛小説は男性作家より女性作家の方がはるかにうまいと思いますが、吉田氏のこの作品はまるで女性が書いたかと錯覚するほど微妙な心の揺らぎが書けています。しかも登場人物は男性よりも女性の方がよく描かれていると思います。女性の読者がこの意見に賛同するかどうかは分かりませんが。宮本輝氏も女性に人気がありますが、女性の方はどちらの作家がお好みでしょう。「悪人」を読んだ時も感じましたが、この作家が人を観察する力は相当なものです。 | ||||
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「悪人」に感動して次にこの本を読みました。恋愛小説は男性作家より女性作家の方がはるかにうまいと思いますが、吉田さんのこの作品はまるで女性が書いたかと錯覚するほど微妙な心の揺らぎが書けています。しかも登場人物は男性よりも女性の方がよく描かれていると思います。女性の読者がこの意見に賛同するかどうかは分かりませんが。「悪人」を読んだ時も感じましたが、この作家が人を観察する力は相当なものです。 | ||||
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気になっている作者であるので今までのレビューでは辛口になっていましたが、本作は良いです。初めは「出会い系?」と不安の出だしであったが、一章から良質な物語が紡ぎ出されております。ここまで恋愛に対して、体と気持ちの対立や同調を描いた作品は余り無いと思います。その問題はいつまでも僕たちを悩ませる問題でもあります。なぜならこの問題にはゴールがあるのか、無いのかすら解りません。当然ゴールを見ることもできません。 本作の主人公達は見つけたのでしょうか。私は見つけていないのだと思います。彼や彼女は体と気持ちの問題に気付き、両者で理解し、初めてゴールを目指そうとしているのです。 読者である私は心から素直に彼らの行く末が幸せであることを祈っております。それぐらい良質な恋愛物語であると思います。一読の価値があります。 | ||||
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この手の本にしては結構ハッピーエンドで、読み終えた後にホッとする内容でした。人間は動物と違って恋をし、恋に悩むこともあります。(人によっては一番の悩みかもしれません)恋愛は人間にとって一番素敵でドキドキする反面、一番難しくそして残酷なものかもしれません。そんな恋愛をロマンティックで少女漫画的に描くのではなく、現実的で現代的に描いたのが本書です。お台場と天王洲を中心に行われる現代的な恋愛に何となく心が和みます。 | ||||
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お台場と品川倉庫。東京湾をはさんで向かいあう地で働く男女の出会いの物語。 この小説、男女の設定が非常にうまいコントラストで描かれている。華やかなお台場と質実剛健な品川埠頭。広告業と港湾労働者。偽名を語る女と本名を名乗る男。これらが、東京湾をはさんで1kmほどで隣り合っている。それなのに、ゆりかもめ−山手線−モノレールと乗り継がないと到達できないアクセスの悪さ。目の前にいるのに、遠い存在。そんな二人が出会う。モノレールは、そんな二人のわずかな接点の象徴だ。「モノレールに乗ったことがないから。」女はそこで、未知なるものへと一歩を踏み出す。 体のつながりよりも、心のつながりを切実なまでに求めつつ、うまく表現できない男。「体だけならいいのに」と自らの心を排除しようとする女。そんな二人の恋愛の結末は最後まで語られない。こちらとあちら。近くて遠い二人は、分かり合えるのか。 気になるキーワードはいくつかある。「女を窮地に追い込みたかった」と照れ笑いする殺人犯。「私にはまだ傷がない」といって小説執筆を断念する小説家。「なにやっても楽しくないんだよねぇ」といって自殺した少女。「いつ愛が消えたんだ」と問いかける映画『日蝕』の主人公。深い闇を心の奥に抱える二人に未来はあるのだろうか。 まぶしい明かりと漆黒の闇のコントラストに、女と男の関係を重ね合わせた恋愛小説。東京湾の夜景を楽しみつつ、味わってほしい。 | ||||
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