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元職員



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【この小説が収録されている参考書籍】
元職員 (100周年書き下ろし)

元職員の評価: 3.21/5点 レビュー 28件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.21pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全13件 1~13 1/1ページ
No.13:
(3pt)

クズを極めてる

主人公がクズすぎて。
公金使い込み、日本での不倫、買春、情緒不安定。何なのこいつ。
前半ではずいぶん年下の武志に正論言われてタジタジオロオロしてたくせに、弟にボコられたら頭のネジが飛んだのか急にキレだしてしまいには開き直って笑いだしたり、怖いです。
卒業旅行での火だるまエピソードは本筋になんの関係もないし、なんで二回も同じような文で書いたんだろう。屋台のいけすかない日本人夫婦の話も二回目はもっとサラッとでいいんじゃ?と、変なところばっかり気になってしまった。
唯一、中盤の武志の言葉に込められたメッセージには少し思うところもあったけど、この人の作品は伝えたいことを登場人物が直接言っちゃうよね。それで薄っぺらくなっちゃうのが惜しい。
タイには行ったことはないけれど、とりあえずねっとりしてることだけは印象に残りました。
元職員 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:元職員 (100周年書き下ろし)より
4062150921
No.12:
(3pt)

筆者の最近のものでは純文学寄りだが、そこそこ

犯罪モノなどの新しい作風を試していた吉田修一だが、本作では純文学寄りのアプローチに戻っている。

とある事情からタイを訪れた主人公が、過去をフラッシュバックさせつつ、非日常を過ごすといった筋。漠然とした白昼夢のような世界観にプラスしてミステリー的な要素も加味されており、初期の傑作「パレード」には及ばないものの、最近の作品の中ではよい方の作品だと思う。
元職員 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:元職員 (100周年書き下ろし)より
4062150921
No.11:
(3pt)

嘘と異常なまでの麻痺感

読んでない人向け:
タイ、バンコクのスワンナプーム空港に一人到着する主人公、片桐。
BMWのリムジンで5つ星のホテルに向かい、旅先で出会った現地のバーで
働く日本人と痛飲、娼婦まで買う。

羽振りのいい片桐は、一人日本に残してきた妻と、自身の仕事を振り返る。

##########
読んだ人向け:
旅先のタイから実母にかける電話。この場面に作品を通して描かれている
「嘘と異常なまでの麻痺感」が端的に描写されていると思う。

「家を売ったら幾らになる」だの、年老いた実母に対して冗談でも言っては
ならないことを平然と言い、万事問題ないと嘘をつく。この描写が恐ろしい。
主人公は完全に麻痺している。すべてにおいて。

タイという地理的設定は、一時的にでも「日本での現実」から切り離し、
まるでそれが「夢の中の出来事」と自分勝手に錯覚させてしまう、異常さを
引き立てているに過ぎない。

この作品を、「悪人」と比較するのは厳しすぎるかと思う。両者は全く異なる
ゴールを目指し、それ相応のエネルギーで作品を仕上げている。この分量で
端的にテーマを描ききっている点は素晴らしいと思う。

また、「パレード」とも多少異なる。「パレード」では若者の熱を帯びた狂気が
描かれていたが、今回は大人(少なくとも一定期間以上、社会に出て仕事をし
糧を得ている)の静かな異常性を描いている。

読後の嫌な感覚から中々抜けきれないので星3つ。
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4062150921
No.10:
(3pt)

悪くはなかったが

バンコクのギトギトしたエネルギッシュな暑さ、そこに住む人々の暑さ、不正をした人、する人の
乾いた心理。よく描写されていると思いますが、吉田修一氏だけに、もう一捻りあったら最高でした。
それなりに引き込まれましたし、小説のスタイルとしてはありかなと思います。
元職員 (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:元職員 (100周年書き下ろし)より
4062150921
No.9:
(3pt)

ある公金横領男の一週間のバンコク旅行のエピソードを綴ったお話

「講談社創業100周年記念出版」の<書き下ろし100冊>シリーズの第1弾として発表された作品。

飛行機はファーストクラス、ホテルまではタクシーでなくBMWのリムジンサービス、宿泊は五つ星ホテルのレジデンススイートという豪華なバンコク旅行に来た男片桐。本の帯に「吉田修一が到達した最高の『犯罪文学』」とあるので、期待して読み進んでみたが、片桐はある公社の会計課で公金を横領していることが次第にわかってくる。彼は有給を使って、ドタキャンした妻を置いて、ひとりで最後の豪遊をするつもりらしい。

物語は、現地で出会った武志という若い男にミントと名乗る娼婦を紹介され、彼女と過ごすさまざまなエピソードに終始する。この南国の大都会でいろんな体験をして、最後に帰国する時、なぜか開き直って大笑いする場面で終わっている。

片桐の言動は、なかなか良く書けているので、根っからの小心者らしい彼の心象風景を綴った一種の心理小説といえるだろうが、それ以外の広がりというか奥の深さというものはあまり感じられなかったし、『悪人』を読んだ時のように魂が揺さぶられるような感動をおぼえることもなかった。

本書は、「最高の『犯罪文学』」というには及ばない、「吉田修一」というブランドで読ませる、ある公金横領男の一週間のバンコク旅行のエピソードを綴ったお話である。
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4062150921
No.8:
(3pt)

みんな、ごまかして生きている

「静かな爆弾」でも感じたけれど、実際にあった事件を下敷きにしてるような?
アニータ事件を思い出したのは私だけじゃないはず。

はじめはたったの514円。バレないのが不運だったというか、その金額はやがてとんでもない金額に・・・。
ささいなことから人間はこんなに落ちてしまうものなのだろうか。人間の弱さを見せつけられます。
主人公も武志もミントもごまかして生きている。彼らがときおり見せる怒りはきっと自分自身に対するものでもあるのだろう。
最後の主人公のキレっぷりにはポカーン。
結局のところ、この人はどうしたいんだろう。この旅行で何を得たんだろう。
「だから、ナニ?」・・・みんな、ごまかしながらバンコクでかりそめの時間を過ごしているだけ、それだけの作品です。
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4062150921
No.7:
(3pt)

なんと1時間で読めてしまった

テーマ自体は、薄っぺらくないと思うのだが、読むのにかかった時間≧考えさせられた時間となると、それが一時間…というのは、どうなんだろう(笑)?
表現、物語の展開、登場人物のセリフ、何一つ引っ掛かるものがなかったと言える。
読み手に「自分ならどうだろう?」
「もしかしたら自分も…」と迫ってくる迫力が無さすぎた。
内容と、読ませるための技術、読み手に自分のこととして考えさせる工夫、3拍子揃わないと、いい作品にはならないようだ。
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4062150921
No.6:
(3pt)

心象風景を描くことの難しさ

書き下ろしの中編。あまり時間をかけて推敲したとは思えない。アイディアはいい。時に光り輝く表現やシーンがあるので、全面的にダメだとは言いたくない。でも、吉田修一の本としては、ガッカリした。
 自分を偽るステージとしてのタイ王国/バンコクというステージはすばらしい発想だと思う。しかし、都合の良い日本人青年を登場させて、お約束の性サービスやエスコート、場所の説明などを盛り込むと反比例して小説としての内容が薄くなる。
 この本は、石田衣良が吉田修一と偽って書かれた作品なのであろうか。それとも、吉田修一が石田衣良になりたかったのだろうか。
 日本人が日本人の中にある「異国」を描くのにバンコクが必要だったのだろうか。
 「ブランド物の」といった表現でディテールを一切排除する一方、不快に感じる日本人観光客や駐在員のことは冗舌に語ります。【海外ロケ】はそれなりに効果ありますが、登場人物のスケールが息苦しくなるほど小さく、評価が別れるところだと思います。
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4062150921
No.5:
(3pt)

深いようで浅いけど深い、けど浅い

おそらく「吉田修一」が著者でなければ手に取ることも
読むことも、レビューを書くこともなかったかも。

公金横領した中年男が、バンコクで現地の娼婦と
過ごした、なんでもない時間を描いただけの小説です。
短編だったなら、それなりに余韻を感じたかもしれない
けど、わざわざ一冊の本にするまでもないような気も。

敢えて深読みすれば、それなりの発見もあるでしょう。
でも1300円という価格に見合った充実感は・・・ない。
「吉田修一」というブランドに対する価値だといわれれば、
それもアリなのかな、とは思いますけど。
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4062150921
No.4:
(3pt)

バンコクの熱気が作品に充満し、澱んだ作品になっている

バンコクの空港を降り立った時から、空港を発つまでの1週間の休暇を、主人公である片桐が過ごした時間。
ファーストクラスでやってきたにしては、自らを金持ちだと考えていない片桐の秘密が、バンコクで知り合った武志とミントと過ごす時間から滲み出てくる。
それはまるで溶けていくかのような描写で、どろどろと真実が見えてくる。
帯にも書かれている514円を始まりに手を染めた片桐の犯罪に対し、バンコクでの時間は彼の真実を暴かずに嘘のまま終わる。
日本に戻った片桐が辿る結末は不明のまま、片桐の胸の中に去来する犯罪への気持ちだけで物語は終わる。
バンコクの熱気が物語にも充満し、作品自体が澱んだ仕上がりになって、吉田修一作品と期待するファンからすると物足りない書き下ろしだった。
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No.3:
(3pt)

イマイチ

職場の金を横領している男の話し。

最初はタイに旅行できた男の話しかと思いきや、
途中で公金を横領し、
タイに遊びに来ているということが分かる。

横領が発覚することを恐れながらも
発覚するはずがない、と最後に開き直るその態度。
タイに来たことで
自分の気持ちに整理がついたのか、
帰りの飛行機の中で大笑いする。
そのラストに微妙に引いてしまいました。

横領の話よりも
タイでの出来事、タイで出会った人たちとの交流がメインのような。
その中で
彼の中に何かが芽生え、公金横領に対する後ろめたさまでも
失わせる。
それがタイの魅力によるものなのかどうかは分からないが、
果たして対を舞台にする必要性は?
横領したから高飛び=アジアの国?という連想?
もう少し犯罪小説として書かれてもよかったんじゃないだろうか。
まぁ、彼の場合『悪人』『さよなら渓谷』等で評価を得ているようなので
そこまで書く必要がなかったのか・・・。

どちらにせよ、この前に読んだ『あの空の下で』が良かっただけに
何だか、もったいないような気がした。
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4062150921
No.2:
(3pt)

小心者バンコクにて開眼するの譚

自らの業務上横領が露見することを懼れている小心者の公社職員が、旅行中のバンコクで買った娼婦の弟にボカスカ殴られて、「ビクビクしているから、何事も悪い方向に向かうのであって、堂々としていれば、悪事などバレるわけがない」(165頁)との確信(開き直り)に至るまでの内面を描いた中編心理小説。(2001年に発覚した青森県住宅供給公社事件の千田郁司受刑者がモデルか。)

期待し過ぎることなく、特にバンコクの街の風情や夜の表情、日本人の生態を一見したことのある方々はそれを思い浮かべながら、読み進むとそれなりに楽しめる一作ではあります。(細部はともかく、バンコクの夜のあのまったりとした街の空気は、よく描けているように思います。ちなみに、文中「でかいビルが一棟そのままソープランドになってるところ」(22頁)というのは、あの「ポセイドン」のことでしょうか。)
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4062150921
No.1:
(3pt)

小心者バンコクで開眼するの譚

自らの業務上横領が露見することを懼れている小心者の公社職員が、旅行中のバンコクで買った娼婦の弟にボカスカ殴られて、「ビクビクしているから、何事も悪い方向に向かうのであって、堂々としていれば、悪事などバレるわけがない」(165頁)との確信(開き直り)に至るまでの内面を描いた中編心理小説。(2001年に発覚した青森県住宅供給公社事件の千田郁司受刑者がモデルか。)

期待し過ぎることなく、特にバンコクの街の風情や夜の表情、日本人の生態を一見したことのある方々はそれを思い浮かべながら、読み進むとそれなりに楽しめる一作ではあります。(細部はともかく、バンコクの夜のあのまったりとした街の空気は、よく描けているように思います。ちなみに、文中「でかいビルが一棟そのままソープランドになってるところ」(22頁)というのは、あの「ポセイドン」のことでしょうか。)
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4062150921

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