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高層の死角
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【この小説が収録されている参考書籍】
高層の死角の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 1~20 1/2ページ
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トータルとして60点という印象。 森村誠一氏のホテルマン時代の業務知識が、 これほどまでに書くか、というほど盛り込まれている。 前半は特に盛り上がりを見せ、どうトリックを見破っていくかが気になる展開になる。 しかし後半になるにつれて、「くどい」印象が強くなってくる。あまりにもトリックに関連するホテル従業員しかわからないネタが細か過ぎて、「早く終わらないかな」とさえ感じる始末。 幾重にも立ちはだかる犯人のトリックを文章で伝えたかったのだろうが、これは小説でやるにはくどすぎる。映画や長尺のドラマなら相性が良さそうだ。 あと全体的に森村誠一氏のサスペンス小説に共通する話なのだが、後半に入ると事件解説への糸口が結構偶然というか、都合が良すぎる形で収束していく。 ある程度どんな小説でも偶然とか、ちょっと都合よく事件解決に向かう事はあるのだが、森村誠一氏の小説は特にこの傾向が強い。 前半で風呂敷を広げるだけ広げて、 後半でダレてしまう小説。確かに読んでいて疲れた。 読み終えた後のスッキリ感は殆どない。 | ||||
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犯人が自明な状態で、トリックだけをひたすら解明していく展開に疲れてくる。新たな手段が露見してもそれほどの高揚感はなく、途中からは、いいから早く終われって感じになる。 で、結局側近の運転手があそこまでべらべら喋るのかい!って肩透かしで終わるところがあっけないというか、森村誠一らしい気もする。 事件後の刑事のそれからみたいな章がないのもまさにそれ。 | ||||
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アリバイやら密室やらいろいろトリックを崩していくのだが、最後、犯人を特定する決め手がしょぼい… | ||||
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今読むと結構初々しい 航空機を利用したアリバイは当時新鮮だった。 人間の証明の頃までは良い作品が多かったが 人気が出てからは独特の哀愁感が無くなり読まなくなったなぁ | ||||
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著者の出世作でありながら、令和4年になるまで未読であった。電子書籍なら身軽に読める、ということで購入した。 登場人物も魅力的な描かれ方をしており、キャラが立っている。昭和40年代にこの設定は、時代の先を行っていたのではないか?いちいち感心しながら、一気に読み終えた。 | ||||
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私が高校生の時に、本屋で偶然手にした文庫本が、この作品でした。40年以上前のおぼろげな記憶によれば、おそらく「江戸川乱歩賞」の文字も、購入の要因になったかと思います。中学生の時に、学校の図書館でモーリスルブランの怪盗ルパンシリーズに出会ったのが、いわゆるミステリー小説にハマったきっかけで、当初は主に海外作品を読んでいましたが、氏のこの作品を読んで、日本にも優れた推理小説があるんだと認識し、氏の作品にお小遣いの大半をつぎ込んだのです。角川文庫の青い背表紙が、本棚に並んで行く様は、同時に寝不足の自分を表していました。現在、加齢とともに老眼が進んだ私には、本棚に収まっている当時購入した文庫本の文字は、通読に厳しく懐かしさもあって、今回Kindle版を購入した次第です。ネットで調べると氏もすでに御歳85ということで、もうそんなに時が過ぎたんだな、と、自分の歳をも再認識する今日この頃です。 | ||||
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暗いストーリーで、めげました。おまけの短編小説には、東京の怖さを改めて感じさせられました。 | ||||
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1969年に出版され、見事に江戸川乱歩賞を受賞した作品です。一躍、森村誠一氏の名前を世に知れ渡らせた記念すべき作品であります。 1967年に青樹社の那須英三編集長に認められ「大都会」を出版するものの、全く売れませんでした。那須編集長は、青樹社社長を「この人は、必ず売れるから」と口説き「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と出版しますがサッパリでした。 「銀の虚城」に至っては、那須編集長が「他の出版社からも出して、顔を広めた方が良い」と言われ、紹介された出版社へ持って行くと「全く小説になっていない」と酷評される始末でした。 そんな時、那須氏が「推理小説みたいなのを書いたらどうか」とアドバイスされて、書いたのが本作品です。それが見事に乱歩賞を受賞しました。那須編集長が森村氏の才能を発見した慧眼が認められたことになりました。勿論、那須編集長も大喜びしたことと思います。 惜しいのは、その記念すべき出版が青樹社からでは無かったことです。本作以前那須編集長と二人三脚で執筆に取り組んできただけに、青樹社からの出版で乱歩賞を受賞してもらいたかったと思うのは、私の様な凡人だけでしょうか。 本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。 この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。 捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにしています。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。 変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れています。変死した冬子の心情が無ければ、密室にならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけていて、いわゆる「線」の部分を長くしています。 1957年に松本清張氏が「点と線」で人気を博した推理小説ブームが去った後でしたが、この後は、森村誠一氏が新たなブームを築き上げることになりました。記念すべき森村氏の代表作です! | ||||
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1969年発売の本書ですが、私が中学生の頃に読んだ事があり、何十年ぶりかで買って読み直しました。当時は同種のジャンルで一世を風靡していたのは松本清張氏でしたが、森村誠一氏の本書を読んだ時、都会的なセンスを感じ違った意味のセンセーショナルを感じた記憶が思い起こされます。 本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。 この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。 捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにしています。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。 変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れてあります。変死した冬子の心情が無ければ、ここまで難しくはならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけてあり、いわゆる「線」を長くしています。 本書を読み、1957年に連載された松本清張氏の「点と線」と対比して読まずにはいられませんでした。時刻表を使ったアリバイも「点と線」を意識し、更に用意周到して「線」を延長したり、「点と線」では無かった、犯人が追い詰められ怯える様子も後述の型で表記されていて、作者がそれを意識しているようでなりませんでした。作家の意識としては当然の事だと思います。 現在では密室の解明、アリバイ崩し、トリック破りなどが飽和状態で多くの作家が、事件を起こりえない奇異な物にしたり、誇大な人物像を描いて、そんな事、有るわけないだろうと思わせる様な小説が多い中、半世紀も前の素朴なアイデア合戦がとても素晴らしく読めるのでした!森村誠一氏の代表作だと思います。 | ||||
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1969年発売の本書ですが、私が中学生の頃に読んだ事があり、何十年ぶりかで買って読み直しました。当時は同種のジャンルで一世を風靡していたのは松本清張氏でしたが、森村誠一氏の本書を読んだ時、都会的なセンスを感じ違った意味のセンセーショナルを感じた記憶が思い起こされます。 本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。 この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。 捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにしています。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。 変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れてあります。変死した冬子の心情が無ければ、ここまで難しくはならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけてあり、いわゆる「線」を長くしています。 本書を読み、1957年に連載された松本清張氏の「点と線」と対比して読まずにはいられませんでした。時刻表を使ったアリバイも「点と線」を意識し、更に用意周到して「線」を延長したり、「点と線」では無かった、犯人が追い詰められ怯える様子も後述の型で表記されていて、作者がそれを意識しているようでなりませんでした。作家の意識としては当然の事だと思います。 現在では密室の解明、アリバイ崩し、トリック破りなどが飽和状態で多くの作家が、事件を起こりえない奇異な物にしたり、誇大な人物像を描いて、そんな事、有るわけないだろうと思わせる様な小説が多い中、半世紀も前の素朴なアイデア合戦がとても素晴らしく読めるのでした!森村誠一氏の代表作だと思います。 | ||||
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1969年発売の本書ですが、私が中学生の頃に読んだ事があり、何十年ぶりかで買って読み直しました。当時は同種のジャンルで一世を風靡していたのは松本清張氏でしたが、森村誠一氏の本書を読んだ時、都会的なセンスを感じ違った意味のセンセーショナルを感じた記憶が思い起こされます。 本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。 この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。 捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにしています。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。 変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れてあります。変死した冬子の心情が無ければ、ここまで難しくはならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけてあり、いわゆる「線」を長くしています。 本書を読み、1957年に連載された松本清張氏の「点と線」と対比して読まずにはいられませんでした。時刻表を使ったアリバイも「点と線」を意識し、更に用意周到して「線」を延長したり、「点と線」では無かった、犯人が追い詰められ怯える様子も後述の型で表記されていて、作者がそれを意識しているようでなりませんでした。作家の意識としては当然の事だと思います。 現在では密室の解明、アリバイ崩し、トリック破りなどが飽和状態で多くの作家が、事件を起こりえない奇異な物にしたり、誇大な人物像を描いて、そんな事、有るわけないだろうと思わせる様な小説が多い中、半世紀も前の素朴なアイデア合戦がとても素晴らしく読めるのでした!森村誠一氏の代表作だと思います。 | ||||
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1969年に出版され、見事に江戸川乱歩賞を受賞した作品です。一躍、森村誠一氏の名前を世に知れ渡らせた記念すべき作品であります。 1967年に青樹社の那須英三編集長に認められ「大都会」を出版するものの、全く売れませんでした。那須編集長は、青樹社社長を「この人は、必ず売れるから」と口説き「幻の墓」「銀の虚城」「分水嶺」と出版しますがサッパリでした。 「銀の虚城」に至っては、那須編集長が「他の出版社からも出して、顔を広めた方が良い」と言われ、紹介された出版社へ持って行くと「全く小説になっていない」と酷評される始末でした。 そんな時、那須氏が「推理小説みたいなのを書いたらどうか」とアドバイスされて、書いたのが本作品です。それが見事に乱歩賞を受賞しました。那須編集長が森村氏の才能を発見した慧眼が認められたことになりました。勿論、那須編集長も大喜びしたことと思います。 惜しいのは、その記念すべき出版が青樹社からでは無かったことです。本作以前那須編集長と二人三脚で執筆に取り組んできただけに、青樹社からの出版で乱歩賞を受賞してもらいたかったと思うのは、私の様な凡人だけでしょうか。 本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。 この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。 捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにしています。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。 変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れています。変死した冬子の心情が無ければ、密室にならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけていて、いわゆる「線」の部分を長くしています。 1957年に松本清張氏が「点と線」で人気を博した推理小説ブームが去った後でしたが、この後は、森村誠一氏が新たなブームを築き上げることになりました。記念すべき森村氏の代表作です! | ||||
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1969年発売の本書ですが、私が中学生の頃に読んだ事があり、何十年ぶりかで買って読み直しました。当時は同種のジャンルで一世を風靡していたのは松本清張氏でしたが、森村誠一氏の本書を読んだ時、都会的なセンスを感じ違った意味のセンセーショナルを感じた記憶が思い起こされます。 本論は、高級ホテルで起きた密室殺人事件と、福岡博多で起きた若い女性の変死事件の二つを絡めています。最初の事件は、日本ホテル業界老舗のパレスサイドホテルの社長、久住正之助が自社のホテルの最上階のコネクティングルームで二重の密室という状況で死体となって発見されます。第二の事件は福岡博多のホテルで久住の美人秘書で参考人でもある有坂冬子が変死体となって発見されるのです。状況から毒殺と判断されますが何かを秘しての死だったのです。 この捜査に当たるのが捜査一課の平賀高明なのですが、事件発生以前に有坂冬子と関係があり、どういう関係かは控えますが、平賀はこの二つの事件解明に向けて、とりわけ執念を燃やします。 捜査は、専ら密室の謎と犯人のアリバイ崩しの展開になります。一遍の小説で密室破りとアリバイ崩しの二つをテーマにおいた事は、当時としては画期的だったと思います。密室トリックは意外に簡単に解明されます。あまりにも簡単なので現在では通用するものではありませんが、当時一般の人がこの様な高級ホテルに滞在する事が稀有の時代であって、多くの人が頷いてしまったのかもしれません。変死事件の容疑者のアリバイ崩しは、実に念を入れてあります。変死した冬子の心情が無ければ、ここまで難しくはならなかったであろう点は否めません。このアリバイ崩しは時刻表との戦いで、さながら「点と線」を彷彿とさせますが、更に輪をかけてあり、いわゆる「線」を長くしています。 本書を読み、1957年に連載された松本清張氏の「点と線」と対比して読まずにはいられませんでした。時刻表を使ったアリバイも「点と線」を意識し、更に用意周到して「線」を延長したり、「点と線」では無かった、犯人が追い詰められ怯える様子も後述の型で表記されていて、作者がそれを意識しているようでなりませんでした。作家の意識としては当然の事だと思います。 現在では密室の解明、アリバイ崩し、トリック破りなどが飽和状態で多くの作家が、事件を起こりえない奇異な物にしたり、誇大な人物像を描いて、そんな事、有るわけないだろうと思わせる様な小説が多い中、半世紀も前の素朴なアイデア合戦がとても素晴らしく読めるのでした! 森村誠一氏の代表作だと思います。 | ||||
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この作品で森村誠一氏のファンになりました。 1969年(昭和44)第15回江戸川乱歩賞は、氏の「高層の死角」に与えられた。 久々に現れた推理界の大型新人(本格推理作家)として、華々しいデビューを飾った。 この受賞作はホテルを舞台に、狡猾な犯人と捜査員の平賀刑事との知恵比べで、 大ホテルのオーナーが刺殺された二重の密室の謎と犯人の構築したアリバイを攻略していくプロセスは、 かなりの重圧感で精神的疲労すら覚えます。捜査の進め方に、もどかしさや人物が描けていないなど、 物足りない点はみられますが、それを補ってあまりあるほどの傑作であると私は思います。 受賞後二作目の「虚構の空路」もアリバイ崩しの読み応えのある作品となっており、 その後は「~殺人事件」シリーズ、そして「~の証明」シリーズへと続く。 ちなみに、受賞前の作品「銀の虚城(ホテル)」は、やや荒削りな文章ながら、ホテル業界の 過酷な生存競争を描いた企業サスペンス物として、一読に値します。 また、長編のみならず、中、短編においても「浜名湖東方15キロの地点」や「殺意の架橋」なども面白い作品で、 氏の旺盛な執筆力は日本の推理小説界に多大な貢献を果たしてきたものと確信します。 | ||||
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一時代を画した傑作ということで 購入しました。 なるほど発表当時は巨大ホテル、国際線、キャリアウーマンといったきらびやかな舞台で繰り広げられた事件ということで多くの読者を魅了したと思う。 だが推理小説ということで考えると犯人を特定した切っ掛けがEasyだし、特定したあとのアリバイ崩しも本丸でないところを細かく推理していくのが長々と語られるが、何のことはない運転手を追い詰めて行けば時刻表トリックだなんだという事とは無関係にアリバイは崩せたのではないか? 普通の刑事ならまず最初に関係者を徹底的につぶして行くと思いますが・・・まぁそこらへんに気を留めさせない筆力の森村ワールドです。 | ||||
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森村作品には珍しく 色気のほうがごく控えめの作品です。 その代わりすごいのは犯人が自己を守るために施した 緻密なアリバイ作りの数々です。 舌を巻くことでしょう。 そしてそんな難事件に挑むのは 狡猾な犯人によって 愛していたものを殺された一人の巡査です。 その愛は彼の執念の捜査からもうかがえることでしょう。 ただし、運命というものは 実に酷なものでして、 待ち受けている事実は巡査にとっては あまりにもきつすぎるものでしたが… とにかく使う手段が大胆ですが それでいて何度も苦労させられるのです。 犯人の狡猾さ… それが強い作品でした。 | ||||
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高層ホテルで起こった殺人を巡る推理。確かに、ダイナミツクには描いていますが、在り来たりで、新鮮味に欠けます。また、勢いを感じる処は買いますが、人間が描けていません。兎に角読むのに疲れる本です。 | ||||
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現在も第一線で活躍されるミステリー小説の大御所である森村誠一氏の江戸川乱歩賞受賞作。これにより今まで売れないサラリーマンものビジネス小説家だった氏が、本格推理小説の旗手として一躍注目され、その後の活躍に繋がることとなる記念すべき作品と言えるだろう。近年の江戸川乱歩賞受賞作は純粋な本格ミステリーが受賞することは全くなくなっているが、69年に受賞した本作はしつこいくらいに密室とアリバイという2大不可能トリックの構成と謎解きに重きが置かれており、最近はこういうパターンの作品は過去のものとして殆ど書かかれることはなくなっているので逆にその堂々たる本格推理の王道とも言うべき作風は新鮮に感じられるだろう。本作後、森村氏はホテルや空港を舞台にしたアリバイと密室の本格推理ものの傑作を連発されていくが、それらの要素は本作に全て詰まっていると言える。日本推理小説史上においても重要な位置を占める作品なのでミステリー小説好きならマストアイテムと言えるだろう。 | ||||
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のち角川商法でベストセラー作家となった森村の出世作。しかし、途中での飛行機をめぐるアリバイ崩しは別に新味はなく、最後のホテルでのチェックインのアリバイ崩しはまあまあだが、逆に犯人がそこまで考えるかという疑問もある。 なかんずく、刑事と女と犯人の三角関係めいたものに、一向にリアリティがない。そこが描けていなければただのトリックのための添え物のファンタジーになってしまう。 まあしかし、世評的にもこんなもんだろう…。 | ||||
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のち角川商法でベストセラー作家となった森村の出世作。しかし、途中での飛行機をめぐるアリバイ崩しは別に新味はなく、最後のホテルでのチェックインのアリバイ崩しはまあまあだが、逆に犯人がそこまで考えるかという疑問もある。 なかんずく、刑事と女と犯人の三角関係めいたものに、一向にリアリティがない。そこが描けていなければただのトリックのための添え物のファンタジーになってしまう。 まあしかし、世評的にもこんなもんだろう…。 | ||||
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