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捕虜収容所の死



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【この小説が収録されている参考書籍】
捕虜収容所の死 (創元推理文庫)

捕虜収容所の死の評価: 4.22/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(5pt)

巻おく能わず

捕虜収容所での殺人事件という珍しい設定のミステリー。一気読みした。収容所がドイツではなくイタリアであることがこの物語をうまく成立させているポイント。そうでなければ登場する捕虜たちはとっくに処刑されてしまう所為の数々。登場人物が多いので冒頭の「登場人物」を何度も繰りながら読む必要があるのは面倒だがだんだん慣れてくる。ミステリーファン必読と言っても過言ではない。
捕虜収容所の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:捕虜収容所の死 (創元推理文庫)より
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No.8:
(5pt)

スリラーと本格ミステリの要素とが混然一体となった名作である。

昔読んだミステリで面白かった記憶がかすかに残っているマイケル・ギルバード著『捕虜収容所の死』(1952年の作品)を在庫の本のなから取り出して再読することにした。
 本書の奥付には、2003年12月としてあるから評者が本書を読んでから12年過ぎたことになる。
 本書を読む前に巻末に書いてあった森英俊氏の解説を読んでいたら著者が第二次大戦中英国騎馬砲兵隊の一員として北アフリカおよびイタリア戦線で従軍し、1943年にドイツパラシュート部隊に捕り捕虜となった。
 その後、北イタリアのパルマにあった捕虜収容所に移され、その年そこを脱出した経験があると記していた。
 こんな経験があったからこそ、著者ならではの捕虜収容所のリアルな描写が読者を魅了してくれるのだろう。
 解説の森氏も語っていたように、本書が単なるミステリではなく最初から最後までスリラーと本格ミステリ的な部分とを絶妙なバランスを保ちながら書き上げていると称賛している。
 また、プロットもいくつかの謎が交錯し、だれがスパイか、だれが捕虜のクトゥレスを殺したのか、死体が脱走用に掘り進められていた地下トンネルで発見されるという謎。
 そのほかにも著者は、多くの興味ある謎の中で読者に与えるヒントを布石しながら読者を物語に引き込んでゆく。
 捜査を命じられたゴイルズが、トンネル掘削中土砂に埋まる事故に遭遇し危うく助けられたのち気が付き「手が動かせない」と繰り返していたことや、新規に収容所に入ってきた捕虜の一人ポッターという将校が入所後たった一日で他の収容所に移されたことなど心憎いヒントを読者に与えていたのである。
 ミステリ読みとしての評者も再読にもかかわらず、読み進みながらこんな布石に気が付かなかった。
 さすがに最終章「そして彼方に」まで読み進んできたとき、記憶がよみがえりスパイがだれか思い出し、ページを遡り著者がちりばめた布石やプロット構成のうまさに舌をまきながら脱帽したのである。
 本書を読みながら大昔観たウィリアム・ホールデン主演の『第十七捕虜収容所』と云うアメリカ映画を思い出したのだが、囚人たちの間に敵国の情報将校としてスパイが紛れ込んでいるというプロットは同じである。
 ただ映画の『第十七捕虜収容所』は、舞台劇を映画にしたからスケールが異なるし、そのほか有名なアメリカ映画『大脱走』とも似ているかもしれないが、やはり本書のほうがストーリーとして優れていると評者は感じたのである。
 本書を読むには、第二次大戦時のイタリアの国内情勢などを把握しておいたほうが面白く読めるだろう。
 森氏の解説で、植草甚一はかってこの作品をレビュー(晶文社『江戸川乱歩と私』[1976]所収)で取り上げ、「埋もれた傑作」と評したが、その表現は誇張でもなんでもない。今一度、声を大にしていおう・・・『捕虜収容所の死』はスリラーと本格ミステリの要素とが混然一体となった、奇跡のような作品である。
 と、記述していたが、まったく評者も同じ思いで本書を読み終えた。
 かって読んだ本であるのに、なんでこんな優れた作品を記憶してないのか情けなくなってしまった。
 
捕虜収容所の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:捕虜収容所の死 (創元推理文庫)より
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No.7:
(3pt)

「大脱走」を思い出させますね

第2次世界大戦下のイタリアの捕虜収容所で起きた密室殺人事件を扱ったもの。連合軍側の捕虜は脱出計画を練り"抜け穴"を掘るが、その中で密室状態で殺人が起こるというもの。連合軍の脱出劇というと映画「大脱走」を思い出すが、おおよそ雰囲気は近い。私は「捕虜収容所で起きた密室事件」というキャッチ・コピーに惹かれて本書を読んだが、正直ミステリという気はしなかった。密室の構成もあれじゃねぇ。
それよりも敗色が濃くなった枢軸国側イタリアの将校の思惑と、対する連合国側の将校の駆け引き等、当時の雰囲気が味わえる点が貴重だろう。また終盤、脱走兵の逃避行が描かれ、読み所の一つとなっている。
連合国側の上陸目前のイタリアの捕虜収容所を舞台に、兵士達の友情を含め、当時の雰囲気を描き出した貴重な一作。
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4488238025
No.6:
(3pt)

読みにくい印象が・・

題名から想像するような暗~いドキュメントではなく、第2次世界大戦下の捕虜収容所を舞台にしたミステリー。捕虜収容所という、変わった状況下のミステリーで面白かったが、登場人物が多く、アングロサクソン特有の長い名前がなかなか覚えられず、1/3まで読み進めないと探偵役となる主人公が誰だかわからないので、若干読みづらかった。謎解きとしては気になるので最後まで一気に読了。しかし、絶賛されるほど完成度が高い作品とは思わなかった。一種の密室殺人のからくりも、なーんだという感じ。
捕虜収容所の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:捕虜収容所の死 (創元推理文庫)より
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No.5:
(4pt)

『大脱走』+密室モノというハイブリッド

1952年の作なので、翻訳までに半世紀経っているけど古びていない。舞台が、捕虜収容所と山の中というのもあるのかもしれないけど。映画『大脱走』が大ブームになった時になぜ便乗出版されなかったのか不思議だ。と思うほどに出来は良い。密室殺人と何ヶ月にもわたる山中のサバイバル逃避行が両方描かれている小説というのは他にないんじゃないでしょうか。ただ、これだけ登場人物が多いと、読むほうとしても一人一人識別するのが大変。外人の名前だからということもあるだろうけど。主人公のキャラクターがいまひとつ立っていないのは、そのせいなのか、それとも構成を重視する作者の作風なのか。映像化するのに向いていると思うんだけど、最近、戦争映画も推理映画も受けないからなあ・・・。
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No.4:
(5pt)

薦めてまわりたい、よくできたミステリです。

時は1943年、独裁者の支配するイタリアの捕虜収容所。捕虜となったイギリス軍将校たちの手で脱出の計画が練られていた。その脱出用に掘られていたトンネルの中で、崩落した土砂に埋もれた男の他殺死体が見つかる。嫌われ者だったこの男を殺したのは誰か?犯人探しの謎解きと、冒険小説的なスリルあふれる脱出劇が一体となった、とても贅沢なミステリです。驚いたのは、バスケットボールやラグビーの試合をしたり、語学の講義を受けたりと、収容所の中での捕虜の生活が意外と自由だったということ。また、自治とまではいかないまでも捕虜側の組織が整っていて、その代表者には収容所側の人間もある程度の敬意を持って接していたということ。作者自身が戦争で捕虜となり収容所での生活の経験(しかも収容所から脱出しているそう!)があるそうなので、小説とはいえこれに近いものだったのでしょう、捕虜や収容所などと聞くと、旧日本軍による過酷な労働やシベリアでの強制労働などがまず思い浮かぶので、なんとも意外でした。殺された男は出入りが不可能な状態だったトンネルにどうやって入ったのか?なぜ、誰に殺されたのか?400人の捕虜たちは無事に収容所を脱出できるのか?ぜひ確かめてみてください。と、みんなに薦めてまわりたい、とてもよくできたミステリです。
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No.3:
(3pt)

じっくり読まないと...。

宝島社『2004年このミス』海外編第2位ランクインの作品です。著者のマイケル・ギルバートは1912年生まれ、2002年には90歳で短編集を出した驚くべき作家です。例によってこの作品も各地で評価絶賛.....なのですが、確かに第2次大戦中の捕虜収容所に於ける大脱走計画の行方とそんな中で起きたスパイ容疑の捕虜の殺人事件、その犯人探し....、等々内容的には文句なし、なのです。が、個人的にはどうもその世間一般の高評価に値して納得し切れません。仕掛けとその謎解きは確かに「へぇ~」なのですが、全体的に緊迫感がないのです。収容所の中でもイタリア国内の脱走場面でも。ひょっとしてこれがよく言われる〝本格ミステリ〟でしょうか??相当じっくり読まないと真からは楽しめないかもしれません。そうはいうものの、読んでみる価値はありますよ、きっと。
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No.2:
(5pt)

シンプルでいて奥が深い

章が短くまとまっていて、その中にきら星の如く多くの要素が詰まっている。この要素の数々を見落とすことなかれ。結末に近づくにつれ、『ああ、そういうことか』と頷かざるを得ない、そう言う心憎い要素の数々である。 まるでジグソーパズルをはめてゆく感覚で読むことが出来る。ということは、柱になる主題とそれを取りまく多くの伏線、小気味良い展開の妙と人間洞察表現の上手さがかもし出す独特の雰囲気が良いのだろう。 種種のミステリー大賞受賞がきっかけで読んだ方は多いと思うが、実はM・ギルバートの過去の作品も本書に負けず劣らず絶品のオンパレードである。
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No.1:
(5pt)

捕虜収容所の舞台設定が生かし尽くされている

 最近読んだ推理小説の中では最高の出来映え。第二次大戦中イタリアのイギリス人捕虜収容所を舞台に、殺人事件、脱出計画、スパイ探し、イタリア特殊警察との駆け引きなど複雑に絡み合ったストーリーが最後まで緊張感を保ち続ける。著者は実際に捕虜収容所にいたことがあるとのことで、物語にも現実感があり、またその特殊な設定が余すことなく生かし尽くされている。 舞台となっているのは将校専門の捕虜収容所である。そのため、みなパブリックスクール出身で、同窓生をたどれば全員の身元を確認することが出来る。イギリス軍将校が特殊な階層に偏った世界であることは知っていたが、第二次大戦という時期まで、その状況が厳密に維持されていたとは驚きであった。
捕虜収容所の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:捕虜収容所の死 (創元推理文庫)より
4488238025

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