大聖堂の殺人
- アリバイ (477)
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2006年享年93歳で逝去された英国ミステリ界の重鎮ギルバートが1947年に発表した処女作です。その作風は本格推理・犯罪小説・冒険小説・警察小説と多彩ですが、その器用さが印象をばらけさせ、個々の作品は水準作ですが大ヒット作にも恵まれなかった為か、日本では人気を獲得しませんでした。本書は題名が示すように聖職者の世界を描いていますので、全体的には重厚で堅苦しいまさに英国的な雰囲気の物語ですが、端々に上品なユーモアがちりばめられ緩和されています。 イギリスの大聖堂の首席司祭が最近の心配事続きで悩んでいた。一年以上前に起きた司祭の転落死に続いて、老齢の主席聖堂番を中傷する落書きが書かれたり、悪意の手紙が届く事件が頻発していた。首席司祭は甥のスコットランドヤードに勤めるポロック巡査部長に調査を依頼する。ポロックが滞在し関係者に聞き込みを開始後暫くして、悪意の標的となっていた主席聖堂番が教区内で撲殺死体となって発見される。地元警察の要請によりヤードのヘイズルリッグ主席警部が招聘され、殺人事件の捜査に乗り出す。しかし10人以上もいる容疑者には皆アリバイがあり、初めから困難な捜査が予想された。 著者は尋問場面ばかりの退屈さからの救いとして中盤での尾行による追跡劇や終盤で動機の手掛りに英語クロスワードパズルを利用する趣向を凝らしています。アリバイ崩しの面白さに加えて犯人隠しの技巧にも秀でていて、本格ミステリーとしてはまず満足出来ると思います。唯、惜しいのは容疑者が多過ぎて個性が十分に描き切れていない嫌いがある事、犯人は計算高い完璧主義者と作中で警部により言及されて期待を抱かせるのですが、事件解明後は捕えられるだけで存在感が薄れていますので、もう少し人間性を追及すれば尚良かったと思います。事件の背景は人間の悪意に満ちた衝撃的なドラマですが、穏やかで静かに幕を閉じるのが如何にも英国的だと感じました。 | ||||
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