捕虜収容所の死
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捕虜収容所での殺人事件という珍しい設定のミステリー。一気読みした。収容所がドイツではなくイタリアであることがこの物語をうまく成立させているポイント。そうでなければ登場する捕虜たちはとっくに処刑されてしまう所為の数々。登場人物が多いので冒頭の「登場人物」を何度も繰りながら読む必要があるのは面倒だがだんだん慣れてくる。ミステリーファン必読と言っても過言ではない。 | ||||
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昔読んだミステリで面白かった記憶がかすかに残っているマイケル・ギルバード著『捕虜収容所の死』(1952年の作品)を在庫の本のなから取り出して再読することにした。 本書の奥付には、2003年12月としてあるから評者が本書を読んでから12年過ぎたことになる。 本書を読む前に巻末に書いてあった森英俊氏の解説を読んでいたら著者が第二次大戦中英国騎馬砲兵隊の一員として北アフリカおよびイタリア戦線で従軍し、1943年にドイツパラシュート部隊に捕り捕虜となった。 その後、北イタリアのパルマにあった捕虜収容所に移され、その年そこを脱出した経験があると記していた。 こんな経験があったからこそ、著者ならではの捕虜収容所のリアルな描写が読者を魅了してくれるのだろう。 解説の森氏も語っていたように、本書が単なるミステリではなく最初から最後までスリラーと本格ミステリ的な部分とを絶妙なバランスを保ちながら書き上げていると称賛している。 また、プロットもいくつかの謎が交錯し、だれがスパイか、だれが捕虜のクトゥレスを殺したのか、死体が脱走用に掘り進められていた地下トンネルで発見されるという謎。 そのほかにも著者は、多くの興味ある謎の中で読者に与えるヒントを布石しながら読者を物語に引き込んでゆく。 捜査を命じられたゴイルズが、トンネル掘削中土砂に埋まる事故に遭遇し危うく助けられたのち気が付き「手が動かせない」と繰り返していたことや、新規に収容所に入ってきた捕虜の一人ポッターという将校が入所後たった一日で他の収容所に移されたことなど心憎いヒントを読者に与えていたのである。 ミステリ読みとしての評者も再読にもかかわらず、読み進みながらこんな布石に気が付かなかった。 さすがに最終章「そして彼方に」まで読み進んできたとき、記憶がよみがえりスパイがだれか思い出し、ページを遡り著者がちりばめた布石やプロット構成のうまさに舌をまきながら脱帽したのである。 本書を読みながら大昔観たウィリアム・ホールデン主演の『第十七捕虜収容所』と云うアメリカ映画を思い出したのだが、囚人たちの間に敵国の情報将校としてスパイが紛れ込んでいるというプロットは同じである。 ただ映画の『第十七捕虜収容所』は、舞台劇を映画にしたからスケールが異なるし、そのほか有名なアメリカ映画『大脱走』とも似ているかもしれないが、やはり本書のほうがストーリーとして優れていると評者は感じたのである。 本書を読むには、第二次大戦時のイタリアの国内情勢などを把握しておいたほうが面白く読めるだろう。 森氏の解説で、植草甚一はかってこの作品をレビュー(晶文社『江戸川乱歩と私』[1976]所収)で取り上げ、「埋もれた傑作」と評したが、その表現は誇張でもなんでもない。今一度、声を大にしていおう・・・『捕虜収容所の死』はスリラーと本格ミステリの要素とが混然一体となった、奇跡のような作品である。 と、記述していたが、まったく評者も同じ思いで本書を読み終えた。 かって読んだ本であるのに、なんでこんな優れた作品を記憶してないのか情けなくなってしまった。 | ||||
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第2次世界大戦下のイタリアの捕虜収容所で起きた密室殺人事件を扱ったもの。連合軍側の捕虜は脱出計画を練り"抜け穴"を掘るが、その中で密室状態で殺人が起こるというもの。連合軍の脱出劇というと映画「大脱走」を思い出すが、おおよそ雰囲気は近い。私は「捕虜収容所で起きた密室事件」というキャッチ・コピーに惹かれて本書を読んだが、正直ミステリという気はしなかった。密室の構成もあれじゃねぇ。 それよりも敗色が濃くなった枢軸国側イタリアの将校の思惑と、対する連合国側の将校の駆け引き等、当時の雰囲気が味わえる点が貴重だろう。また終盤、脱走兵の逃避行が描かれ、読み所の一つとなっている。 連合国側の上陸目前のイタリアの捕虜収容所を舞台に、兵士達の友情を含め、当時の雰囲気を描き出した貴重な一作。 | ||||
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題名から想像するような暗~いドキュメントではなく、第2次世界大戦下の捕虜収容所を舞台にしたミステリー。捕虜収容所という、変わった状況下のミステリーで面白かったが、登場人物が多く、アングロサクソン特有の長い名前がなかなか覚えられず、1/3まで読み進めないと探偵役となる主人公が誰だかわからないので、若干読みづらかった。謎解きとしては気になるので最後まで一気に読了。しかし、絶賛されるほど完成度が高い作品とは思わなかった。一種の密室殺人のからくりも、なーんだという感じ。 | ||||
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1952年の作なので、翻訳までに半世紀経っているけど古びていない。舞台が、捕虜収容所と山の中というのもあるのかもしれないけど。映画『大脱走』が大ブームになった時になぜ便乗出版されなかったのか不思議だ。と思うほどに出来は良い。密室殺人と何ヶ月にもわたる山中のサバイバル逃避行が両方描かれている小説というのは他にないんじゃないでしょうか。ただ、これだけ登場人物が多いと、読むほうとしても一人一人識別するのが大変。外人の名前だからということもあるだろうけど。主人公のキャラクターがいまひとつ立っていないのは、そのせいなのか、それとも構成を重視する作者の作風なのか。映像化するのに向いていると思うんだけど、最近、戦争映画も推理映画も受けないからなあ・・・。 | ||||
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