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R帝国
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R帝国の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 21~40 2/3ページ
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偶然の一致だろうが,まるで今,2020年の現実の出来事を描いたような…。とすると…。 「過去に流行ったウイルスの変種が遠いT大陸で猛威を振るい,初めは数百人だった死者が,数千人にまで増えていた。 特効薬はないが,免疫力を劇的に向上させるある薬が有効とされていた。だがその投薬を中心に治療しても,致死率は七十%を超えた。身体中に覚えのない傷跡が出る奇病。 変種となる前のウイルスは,致死率九十五%だったが感染力は低かった。だが今回の変種は,以前は体液からの感染のみだったはずが,近づけば空気感染を起こした。 つまり致死率は低くなったが,感染力が激変した変種。その国際NGOの活躍で,何とか近隣への感染を防いでいた。国際保健機構は機能してなかった。」 | ||||
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本書はいわゆるデストピア小説のひとつだと思う。しかし例えばオーウェルの「1984年」を読んだときのような新鮮な驚きというか不安感、嫌悪感がない。その理由を考えると、戦闘や爆撃以外の設定にまったく違和感、意外性がないからだと思う。それらはすでに目の前にあるものであるか、明日には起こりそうなことだからである。 例えば、冒頭の主人公が起床するシーンからHPと呼ばれる個人情報タブレットをパートナーとして行動することや、その端末を介して他者とコミュニケーションする様子は、スマホを見つめて歩く人ばかりの今の風景と同じである。AIや端末を通した管理社会は、GAFAによるビッグデータ支配や監視カメラに溢れる環境を連想させる。 さらに「R帝国」における経済や政治の状況については、「世界で一番進んだ社会主義国は、日本である」と揶揄される、この国の現状にそっくりだと言える。 まぁ、そんな既視感を感じさせる要素は多いが、小説としては大いに楽しめた。ただ、最後の方は登場人物に種明かしを語らせすぎかな、それに小さくまとまってしまったように思えるのが何となく残念だ。もっと徹底的に破滅に進むように話を広げても良かったのではないかと思った。 本作品は新聞連載だったそうだが、この作品を掲載することは作家としても新聞社としても大きな決断があったと思う。それは高く評価できると思う。 | ||||
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教団Xの続編と思った。世界の醜悪を広く曝き出した前回より国家と個人に的を絞って書かれていてまとまっていて、なお一層の醜悪さを描いていて、現実感があった。前回は最後に違和感のある小さな希望感が付け足してあったが、今回は、希望が打ち砕かれ絶望と諦めで終わっているところがいい。読者に夢を持たせず現実を突きつける感じがいい。世界の1%の富裕層とそれに付随する国家に一般市民は何も出来ないこと、真実もフェイクも一緒、善も悪一緒。人は諦観するしかないこれが悟りか?何も考えず楽しく生きて早く死ぬこと。 一つ希望があるとすれば“AI”が世界の1%の富裕層とそれに付随する国家を支配し全ての市民を平等に富裕層も貧困層もない世界を作る。 ただし、これも良いかどうかわからない”AI”が全てを支配しているわけで、要するに世の中はこのスパイラルで永遠に続く。 と思わせてくれた本です。 | ||||
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初めらへんを読んだ時の感想は、なんなんだ!この読みにくく硬い文章は!でした。 はじめの方、突然、未来世界しかも、まるで第二次世界大戦時のような息苦しさを持つ世界の情景、内向的で暗く、賢い自分に酔っているかのような真面目過ぎる主人公の頭の中がつらつらと描写された、文章は、読みづらく、私には理解しづらく、読むのをやめようかと思うほどでした。 また、場面が度々代わり、違う登場人物視点になるのも、あまり理解力の高くない私には読むのが辛く感じました。 しかし、そういう、辛さを我慢しつつ、読み進めていくと……突然、重なるはずがないと思っていた登場人物たちのストーリーが綺麗に重なり壮大な物語を編み出しはじめます!!私は、物語の核となる、メッセージは、もちろんですが、このような、散りばめられたパズルが、綺麗に嵌っていくような華麗な様子に心を奪われました!読み辛いと思いつつ、めくっていたページがいつのまにか続きが知りたい、伏線回収の快感を味わいたいという思いが強まり、どんどんページが進んでいきました!! そして、、、 私が、考えていた、どうせこういう、ハッピーエンドになるんでしょって、思っていた結末がなんと、ひっくり返され、物語は陰鬱で救いようのない結末でひっそりと幕を閉じます。 その様は、なんだか、作者が未来を変えるのは、あなた達だ!この本の続きはあなた達が作るしかないのだ、警鐘を鳴らしているよう。何というか、ひどく、冷たいようで、優しい性格の、矢崎のような終わり方。 心に尾を引く終わり方。 どうか、たくさんの方にこの本を読んでほしい。そして、自分の住み慣れた世界の裏側をほんの少し考えるきっかけになって欲しい。そうすることで、未来は変わるのかもしれない。 暗い未来を暗示するような、この本の未来を共に変えましょう! 理解力が、低い私にははじめの方、ほんの少し読みづらかったので、⭐️4にしました… | ||||
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令和元年、正式に帝国Rの時代となります。元年休みに、この本を読み直して、状況確認するのも良い過ごし方かもしれません。 | ||||
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R帝国の登場人物は人工知能付きで人格も備え会話もできる携帯電話HumanPhoneを持っている。登場人物とHPの会話等で話が進んでいくあたり斬新で面白かった。おそらく現実の世界を(シリア難民、ヘイトスピーチ、内閣人事局による行政権力の集中による三権分立の機能不全、内閣調査室とマスコミの癒着による世論操作や言論の自由が狭まってきている現状)をかんがみて小説が作られているだけあって部分部分がとてもリアルで面白かった。 残念な点は今の現実が物語の中で「小説」として扱われ場面場面の比喩に使われているところが違和感があった。作者は作者なりの意図があったのだろうけれど昔の大日本帝国時代やナチのことを取り上げるなら「大昔にあった出来事」として取り上げてしまったほうがよかったのではないだろうか。それにしても難民の心理描写がリアルだ。作者はシリア難民に取材でもしたんだろうか。 | ||||
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国内のメディアも含めた政治的問題や国際情勢が凝縮された話だ。 今、私達が生きているこの世界も絶望しかないと思ってしまうが、まだ間に合うのだから希望を捨ててはいけないと考えさせられる。 この話と現実を照らし合わせて、色々な声に耳を傾け真実に気付き、正しい方向に世界が進むよう、私達は声を上げていかないといけない。 | ||||
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本書はスケールの大きさの点において著者の代表作であろう。敵国から資源を奪うため、敵国を戦争や陰謀に巻き込むR帝国。それに敢然と立ち向かう組織L。このように書くと本書はいかにも近未来世界を描いたSF小説、サスペンス小説に見えるがそうではない。戦争の無意味と平和への愛を主題にした純文学作品だ。この作品に登場する人物たちは、戦争や陰謀に巻き込まれて愛する親や家族を失い、自分自身も戦争や陰謀に巻き込まれ、生命を危険に晒している。戦争や隠謀を描くストーリー展開になっているが、本書を貫くモチーフは「人間愛」だ。しかし、圧倒的な暴力の前に、人間愛は余りに無力だ。そして著者が描く近未来社会のコミュニケーションは何と貧困なのであろうか?HP(人工知能)が一番頼りになるコミュニケーションツールだとは。だとすれば、戦争のない平和な国際社会を形成するために必要な国際的平和組織は、人類の経験上「国際連合」のようなものしかないであろう。国際法がR帝国の国家的犯罪を裁くのだ。そうした構想は著者にはなく、ひたすらR帝国を取り巻く近隣諸国の対立と戦争・陰謀のみを描く。ストーリー展開には未熟さを感じるが、微弱な組織と少人数で戦う人間たちの愛と死は心を打つ。この展開はどうなるのか、平和的解決に果たす宗教の役割にも触れてほしかった。いろいろあるが、著者の創作的関心は個人から国際社会へ広がった。お勧めの力作だ。 | ||||
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小説?これは2018年現在、現実に起きています。テクノロジー犯罪はご存知ですか。 近未来ではありません。思考盗聴は普通。蚊もいないのに遠隔からかゆみが出来上がる。 脳へのAIからの会話強制される。会社の同僚がAAAと話しているのに、私にはBBBと聞こえる。 これにより会社で強制公開処刑。 この小説も、著者が自分で考えたというより、考えの移植、脳のハッキングで作らさせたと思う。 ご本人はそんなつもりないけれど。 でも仕方ない。わからないんです、操られているということが。 | ||||
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紀伊國屋書店のスタッフが全力で推薦する「キノベス」で2018年の1位となった小説。ということで知り、読んでみた。読売新聞夕刊に連載していたらしい。知らなかった。村上龍の『愛と幻想のファシズム』を思い出した。あの疾走感。裏切りの連鎖。強者が弱者を踏み台にしてより強くなっていくという「運動」。 ただ、『愛と幻想・・・』が書かれた1980年代にはインターネットもスマホもなかった。『R帝国』では、1ページ目からHPといわれる「自らの意志」を持ったAI搭載の携帯が登場する。「党」はHPを通じて収集した国民のビッグ・データを最新の人工知能に解析させ、国内世論を操作する。ネット上に「ボランティア・サポーター」なる人たちがいて、「党」を支持する書き込みを常時おこなっている。「党」はまた、ネットを通じて必ず敗者を生み出す戦争や経済活動に直接間接関与することへの罪悪感から国民を「守る」ために情報を操作する。そして「貧しくても充実して生きられる」「金持ちは本当の幸福をしらない」といった“ライフ思想”をメディアを通じて拡散する。それによって、国民の84%を占める貧困層にプライドを分配する。さらに、貧困層を4段階に分け、その下に移民という攻撃対象を設けて優越感と自己承認欲求を満たす仕組みを作っている。そんななか、人々は「フレンズ」とつながり合い「幸せアピール合戦」を繰り広げている。「人々が欲しいのは、真実ではなく半径5メートルでの幸せなのだ」。 【以下ネタばれ注意】物語はR帝国がB国との戦争中にY宗国が帝国内コーマ市の原発を占拠する、という異例の事態が発生したところから急展開する。しかしこれは「異例」ではなく党がシナリオを書いた壮大な「やらせ」であった。GY宗国が分裂してY宗国とG宗国になったところに、R帝国をはじめとする大国が裏で介入していたのだ。R帝国はG宗国を支援する「ある大国」からY宗国を攻撃することを求められていたが、その「口実」として「ある大国」はY宗国のテロリストをそそのかし、R帝国の原発を狙わせたのである。しかもその原発の所在地は、党内少数派に属する市長のいる場所だった。テロリストの爆弾はダミーとすり替えられているので原発は損傷を免れ、「テロにも安全な原発」として世界に売り出すことができる。そして、テロリストたちを排除するためという大義名分で同胞を見殺しにしたという国民の罪悪感までも「党」は利用する。 こうした「情報」は党の黒幕である加賀から徐々に明かされていく。野党の次期党首である栗原の前で。栗原にひかれた、地下組織Lのサキの前で。一見、国家にいいように操られている大衆とは違い、自身の信条をもって行動しているように見える栗原もサキもじつは「党」のコマにすぎなかった。加賀はクプウクプウと笑いながらその残酷な事実を本人たちに突き付ける。「君に今から、情報という名の絶望の種子をあげよう」という謎めいた言葉。幾通りにも解釈することができる。ひとつには、善悪の境目を曖昧にしてしまうような「本当の話」による世界観の崩壊。もうひとつには、「初めて聞く本当の話」よりも「慣れ親しんだ嘘の話」のほうが世の中を動かすというパラドックス。 エドワード・スノーデンさながらに、サキらのグループが命がけで流した「真実」は「党」のつくりあげた世界ではすでに無力化されていた。萱野稔人は『カネと暴力』の系譜学で、国家を暴力の物理的な格差を、〈暴力への権利〉をめぐる法的状態に転換する装置であるととらえていただが、そうだとするとR帝国は、暴力の物理的な格差をテクノロジーを駆使した徹底的な愚民化によって最大限に拡大し、その〈暴力への権利〉に幾重にも保険をかけ、ほぼ絶対化した状態である。 先日、NHK-BSで、「ヒトラー 権力掌握への道」というCC&C/France 2のドキュメンタリーを放送していた。国民を思い通りに支配するには、国民の文化的教養を下げ、チンパンジーのように愚かにすること、そしてそのチンパンジーたちに「真実」だの「人権」だの「教養」だのをふりかざす面倒な人間たちを始末させればよい、という加賀の思想は、ヒトラーが憎悪や怒りといった感情を煽り、国民から理性を奪い、戦争にかりたてていったことと重なる。ヒトラーがインターネットを使えていたら、どんなふうにそれをしただろうか。この本のなかには、沖縄戦や満州国の話が架空の『小説』として出てくるが、小説を凌駕する現実のディストピアに戦慄させられる。こんなことをアマゾンレビューに書きこもうものなら、R帝国だったらHPに感知されてすぐ「党」の知るところとなり、いつのまにか、ふっと消える……。 | ||||
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便利な世の中になり、匿名でものが自由に言えるのにも関わらず、結局はみんなが同じ意見になるように流され違和感を感じる今の世の中ですが、さらにこのまま進んでいけば、いづれはなりうることもあるのかもしれない世界のお話。 戦争に関してもみんな知らないかあるいは考えないようにしているだけで、裏ではこんなことも実際にあるのかもしれないと考えさせられました。 作者の方の「生きにくさ」という考えにはとても共感できますし、あとがきの「共に生きましょう」の言葉にはいつも励まされています。 ただ、この作者さん独特の読書の世界に引っ張られて心を掴まれるという感覚は、この作品ではあまり味わえなかったように思います。 R帝国とか、LとかAとかCとか、固有名詞がアルファベットだったから少し混乱してあまりのめり込めなかったのかもしれませんし、ただ単にあらすじの政治や戦争の話が難しかったからということなのかもしれませんが。 | ||||
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この作品の楽しみ方としては間違っているのかもしれないが、私はこの作品を笑いながら読み進めてしまった。 あまりにもストレートすぎる言葉で、私が普段感じている現代の違和感を全て風刺していたためである。 他の方のレビューにもある通り、確かにこの作品はあまりにも救いがなく、また現代の問題点を列挙していった内容でもあるため、 読み進めることが苦しいと感じるディストピア小説と言えるであろう。 だが、この作品は決してこのままではこうなってしまうぞ、考えを変えろという著者の恣意的なプロバガンダのために存在しているのではない。 あとがきには著者自身が「僕たちの世界の今後の展開が、この小説の未来を決めるという風に。この小説の全体からでも、たとえ一部からでも、何かを感じてくれたら作者としては嬉しい」と述べている。 あえて著者は現代の問題点、時代の流れを誇張することで、現代のおかしな点を風刺し、読者の立ち位置を考えさせようとしているのである。 作中では現実世界における戦時中が「小説」という形で登場し、作中内での登場人物が自分たちの立ち位置を考えさせられ、 その内容を知り「ふざけている」とリアクションする者、現実での生活に生かす者、その他の反応をする者が描かれている。 このうちどれが良いかは個人の取る立場次第であるが、自分を見つめ直す材料にはなるため、是非とも「フーム」と考えながら読んでみて欲しい | ||||
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中村文則の世界を読んでみようと思いました。読み応えあります。 | ||||
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中村文則信者にとっては最高です。きょうだんX以上に興奮しました。 | ||||
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普段小説は読まないのですがディストピア物は好きなので買ってみました。 印象として序盤は現政権の右傾化対する批判や全体主義に警鐘を鳴らしているありがちで左翼的な作品かと思い退屈しましたが、物語中盤からこれは真逆の世界観でることに気付き、作中の世界は某国共産党により物質的な豊かさと引き換えに言論、報道、思想の自由が奪われた将来訪れるかもしれないディストピアであり現在の香港、ウイグル、チベットで起こっている悲劇を架空の日本と云う世界を通して描いた野心的な傑作でした。 ※作中に登場するブレードランナー風ガジェット(ヒューマンホン)もサイバーパンクな感じで好みです。 | ||||
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近未来のAI搭載スマートフォン「HP」を通してネットと密に接続された社会が 従来とは異なる大衆心理の形成していく表現が、現実の延長線の話であり面白いと感じた。 また、「新世界より」のように独特な思想を持った社会の世界観であり、 ドキュメンタリー的な面白さも感じた。 一方でキャラクター同士の関係描写が不足し、物語の展開は唐突に感じられることがあった。 また、本筋ではないが、戦闘描写で、発射された後のミサイルを受け止めたり、 無人機とはいえ航空機にライフルを全弾当てるのは、現実的にはあり得ず引っかかる表現と感じた。 | ||||
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日本の現状を徹底的にシニカルに戯画化していて、終始息苦しくなるディストピア小説。安倍政権による三権支配を盲目的に支持するネトウヨの群れ、現政権の底知れぬ腐敗を暴く証拠が次々と出てきても、他よりましと自公に投票する、もしくは、投票すらしない、半径5m以内にしか興味を持たない大衆の群れは、ここに書かれた貧しくても帝国に満足し従順に従う85%の帝国国民そのもの。 欺瞞戦争を日常化する国際社会や、ご都合主義的な人間関係等々の設定にはあまり説得力はないものの、劇画の世界のように、深く解析することなくどんどん読み進められる。 | ||||
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ここで提起されている問題、社会のイヤな面、ダメな面、言いたいことには共感できるのですが、小説としては説明的すぎるというかあらすじだけ読んでるみたいな感じがしてさほど面白くはなかった。でも他のみんなにも読んで欲しいです。 | ||||
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現在の日本が抱える政治的課題を網羅的にストーリーに盛り込んだということで、バッシングを恐れない作者の勇気と気概に星4つ。 荒唐無稽な話なんだけど、ほとんどのエピソードが現実とリンクしていて、特に過去の出来事を「都市伝説」として登場させるアイディアは、歴史修正主義の行き着く先をデフォルメした形で暗示していて笑えない。 高度経済成長以後のさまざまな困難を、政治的リーダーの不在のまま浮遊してきた日本のなれの果て。飼い慣らされることを良しとする国民性と、プラスにつながり合うのではなく足を引っ張り合う方が好きという文化が、官民を堕落腐敗させ、政治家のエゴイズムを増長させてきた。 その壊滅的な人心の危機に立ち向かえるのは女性(サキ)なんだろうという作者の意識の反映が感じられる。 | ||||
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私は政治に明るくないので政治的観点からは物は言いませんが、 普通にSF感覚で読めて面白かった。 中村文則作品の特徴に、主人公を通じた著者の人間性の「剥き出し」ということが 挙げられるけれど、 本作はその「剥き出し」に加えて著者の「主張」が籠められているのを感じた。 そして速度。物語に速度があるとするなら、中村氏はどんどん そのスピードを増していっている。本作はもはや「疾走」に近い。 中村氏に手を引かれるようにして、一気に読み終えてしまった。 漫画「ドラゴンヘッド」でもそうだけれど、安定を失った世界でこそ 人はその真価を問われるもので、そんな世界で自分を見失わずに生きる 四人の主人公の姿には胸を打たれた。 私もサキやアルファのように気高く、矢崎のように人間の誇りを失わず、 栗原のようにこんな世の中にあっても自分を否定せず生きたいと強く思った。 「彼氏だな」 「おあいこだね」 の台詞には、息苦しいこの実際の世界の中でも人間らしく生きようとする 中村氏の優しさが垣間見えるようで、この人は弱いけれど強い人だ、と感じた。 人間というものを常人より強く意識し、またその本性を敏感に感じ取れてしまう、 中村氏はそんなひとではあるけれど、それでも人間を否定しない。 作中に「人間なんてこんなもんだと思っているから逆に優しく出来る」 というような表記が出てくるけれど、本当に人間が嫌いならそもそも初めから 小説なんか書かないし、このひとは人間を肯定したいが故に苦しんでいるんだろうなと いうことが痛いほど伝わってきた。 ラスト一行は中村氏の叫びとなって直接鼓膜に響いてくるようで苦しかった。 おすすめです。 本作が好きなひとは、漫画「ドラゴンヘッド」「ぼくの地球を守って」も おすすめ。 | ||||
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