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トンコ
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トンコの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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新人賞受賞作が出版時に手直しされるというのはよく聞くが、表題作「トンコ」の場合は改作に近く、なぜここまで変えてしまったのかと惜しまれる(読メのレビューでこれを知り、著者ブログで公開された改作前の内容と読み比べた)。 当時の出版社の表現規制に著しく抵触するため改作を求められたようだが、現在は規制基準が変わり、公開の許可が出たようだ。 改作前の「トンコ」は仏教の六道と観音救済をテーマにした、どことなく花輪和一的な雰囲気のある寓話だが、出版された改作では、六道も観音救済が完全削除されている。地蔵たちの豚成仏シーンが規制抵触したかと邪推しているが、お地蔵様軍団が削除されてしまったことでテーマも少々表面的になってしまい、惜しまれる。 作者がこのレビューを読み、改作前のオリジナル版をブログからkindleに移行してくれることを期待。 | ||||
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あたりまえの事のように僕たちは、命をいただいている。「うまい」といって奪い合い「良くない」といってしりぞける。どちらも生きた証に成長の記憶をその身にきざみつけてきたことだろうに、この物語のどこがホラーだろう?食肉の豚の行く末か?はたまた無神経に糾弾する、あるいは無責任に同情する人の有り様か?強いて云えば逃げた彼女に語りかける兄弟姉妹の鳴き声、放屁がホラーであろうか?かつて半村良はその作品で登場人物に「この星は醜い…」と語らせたが、果たしてそうであろうか!?弱肉強食は生態循環であり、すべからくこの地上の生き物は生きるために死に、死ぬために生きている。『ぞんび団地』未成熟な大人が子を持つ不条理と、あっちゃんの健気に涙。『黙契』その選択は卑怯だ!遺された者が救われない。 | ||||
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三話から成る、短編集です ホラー小説を好んで読んでいますが、今まで読んだ中でも、すべての話が異質な感じでした トンコもぞんび団地も黙契も、残酷な話ですが、どこか救いを感じる話でした 養豚という一般人には体験することは無いが、確実に行われている悲しい行為、妹の自殺といういつか自分が体験するかもしれない怖さ、無敵のゾンビのみなさんが、団地で仲良く(?)生活しているという一生体験しないであろう話、そう中でもトンコの話は悲しいというより寂しい話だと感じました 私は幽霊だ、化け物だ、もっと怖い心霊ものは無いのか?なんて考えで本を買うことが多いです ホラー好きな方ならそういう本を探すと思いますが、そういう人こそ、たまには現実的な怖さも感じてみることをオススメします | ||||
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先日たまたま目にした書評でまだ書かれてるんだと思いネットで検索したところ今年でこの筆名を使うことをやめたという事だそうである。 現在はルポルタージュの方で仕事をされているらしく共同執筆者の意向もあって現在の筆名は明かされていないのだとか。 そんな事もあって書棚に眠っていた本書を取り出してざっとだが再読した次第。 感想としては数年前にレビューを書かれているLofaさんとほぼ同じである。三作のうちで一番気に入ったものも同じだった。 この本は刊行されて間もない頃買ったのだが、当時ダヴィンチでえらく激賞されておりホラ大も好きだった事もあって購入したのだった。 まあ印象に残ったというのはダヴィンチでやたら評価されていたというところが大きいかも知れない。 これで入選するんだというのは先に挙げたレビュアーさんと全く同意見なのである。これは再読しても正直同じであった。 しかし二篇目である「ぞんび団地」がいい。三篇ともに悲しい話であるのだけどやはり子供には弱いということか。 それと初読の時におおっと思ったのがゾンビの歩く描写について。詳しくは書かないが新しい解釈だなと思った。 そこが実は一番気に入った点だったかも知れない。 現在ルポをやっておられるという事からも解るようにホラー作家として見ても社会派の性格を持った作家さんであると思う。 ここに収められている三篇はいずれもそういう切り口で語ることの出来るものである。私は割りと好きなタイプのホラー作品なので活動休止されたのはちょっと残念に思う。本年発表した最後の小説も是非読んでみようと思う。 | ||||
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ホラー大賞受賞という肩書きが、この本のレビューを低くしている。 この作品は自分にとって、「星の王子様」以来の強烈なバイブルになった。 このような感性、視点でモノを書ける人がいる。ドラマを描ける人がいる。 それだけで嬉しい。表題作の「トンコ」は、いつでも大切に思い出したい傑作。 すでに古典として自分の心に根付いている。 | ||||
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正直「トンコ」を読み終えた後には疑問しか残らなかった。 この程度で入選するものなか? 茶化したいのか真面目なのか? 安いドラマ の様にありきたりなテーマじゃないのか?(例えば「屠殺」に目を背ける人が 肉を食す事など、人・畜生の愚かさや儚さ、矛盾といったもの) はっきり言って、全てが中途半端に映り作者の真意が読み取れなかった。 つまり、捉えどころがなく、意味不明と評価される事の多い、骨子が薄弱で中 途半端な作品。との印象しかなかった。選考の「ブタで良くここまで書ききっ た」というだけで入選なのではないかとすら思ってしまう。 ※ ここから若干ネタバレ それが「ゾンビ団地」で一気に固まった。「ですます調」と「ナンセンス調」 の相性の良さが極まって、作者の真意が非常に分かりやすかった。実際、父母 視点であれば普通に怖い「真面目」なホラーではないかと思う。 それをあえて子供視点でブラックユーモアや、シニカル、意地の悪い表現に置 き換えて馬鹿馬鹿しい笑いを誘うように狙っている。 それでも、ふと女の子の日常や最期を感じ取った時、悲しみや、けな気さに気付 く事が出来るし、子供のひたむきさに幽霊の執念を同調させてホラー的な要素 も織り込んでいる。そして父母にとって「恐怖」する状況も、最終的に「平穏」 へと向かっていく。 自分は、手紙を読み返して泣く母親には愚かさも感じたが、憐れさも感じた。 なんだか「この家族にとっては、ゾンビや幽霊になって仲良く暮らす方が実際 幸せなんだろうな」という気分になってくる。 作者が言う「怖くないホラー」。 私の感性には、見事にフィットした。 ちょっと大げさに言えば、皮肉の籠った意地悪な視点の根底に、人、モノ、人 間関係……に対する哀しみや慈しみが流れている。そんなアンビバレントな感 性。それを愉しむ事が出来るどっちつかずの人には、すばらしい作品ではない だろうか。 トンコでは☆3だったか、ゾンビ団地で5つに増やす。 黙契が残っているが非常に楽しみだ。それにしても選考委員はすごいな。「ト ンコ」で作者の力量が分かるもんなのか――。それとも他の作品も勘案してい るのか「紗央里ちゃんの家の方がマシ」とのレビュアに一部共感を覚えていた のに。 | ||||
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3本の短編を収録 3本とも見事に作風が異なる 著者の地力の高さが滲み出る短編集だ 「トンコ」 第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作 屠殺所に向かう途中の運搬トラックから、脱走した豚が主人公 兎に角、異色作だった 基本的に超常的なものは出てきません 物語は、三人称の視点で描かれる もし、一人称の豚の視点で描かれたのなら映画「ベイブ」のような、ほのぼのしたものになっていたのかもしれない この三人称の視点の採用は大成功だ 独自の世界が築かれている 淡々と豚が彷徨う様が書かれているだけだが、どこか悪意を感じる 「ぞんび団地」 家族小説ホラー ゾンビものと思わせといって・・・ 「黙契」 こちらはいかにも現代的なホラーだった このハッピーエンドとも、そうでないとも解釈できるラストは個人的には好きだ | ||||
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