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飢餓同盟
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飢餓同盟の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.53pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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安部公房作品の良さは寓話性とリアリズムの絶妙な絡み具合だと思いますが、読みにくいのが難点かなと。 | ||||
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舞台は雪深い小さな町・花園。かつては温泉町として栄えた(宮城県か?)。花井太助は、キャラメル工場の主任であり、「ひもじい同盟」という貧乏くさい集まりのリーダー。この町に地下探査技師の織木という男がやってきていきなり服毒自殺を試みる。織木は、地下構造を測定する方法を発明し、今は枯れてしまった温泉脈の心臓を探り当て、地熱発電をするつもりだったらしい。 この織木のことを知った花井は興奮。織木の技術を使って地熱発電所を作れば、ちょっとした財閥をつくることも夢ではない。花井は、金儲けをしたいのではなく、共産主義的思想(というかアナーキー思想)に基づく社会変革の資金を手に入れることに興奮している。花井は、革命をしたあとでまた独裁政府を作るという共産主義には共鳴しない。花井は思想の否定、思想からの自由、絶対自由、と一切の権力否定を志向する。 織木は死なずに復活。花井たちは地熱発電所に熱中。地下のどこを掘れば蒸気がでてくるのかその「ポイント」を探る必要がある。 しかし、花園を支配する多々良は、花園温泉復活を公式発表し、地熱開発協会を発足させ、地価も高騰。計画は横取りされてしまう。花井は閉じ込められて発狂し、織木は死に、ひもじい同盟から昇格した「飢餓同盟」は消滅。要するに、革命の資金源は、あっさりと権力に奪われてしまうという喜劇。 安部公房は、八方をふさいでいる壁そのもののうちに、壁を突破する可能性を探り続ける、というテーマを中心にしているという。ユートピア夢想者の花井に壁突破の可能性を垣間見させる織木は、人間計器みたいな存在であり、温泉、ひいては、地熱発電のための「ポイント」を探り当てるキーパーソン。理想実現のためには資金が必要、ということだったのだが、地熱発電所建設が目的化し、やがてその計画そのものが地元の有力者に横取りされてしまう。花井は狂人として精神病院行き。高邁な理想が現実の中で挫折し、変質していく過程を寓話的に示す小説である。 | ||||
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