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箱男
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箱男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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安部公房(1924~1993年)は、東京生まれ、満州育ち、東大医学部卒の小説家。作品は海外でも評価が高く、世界30数ヶ国で翻訳され、晩年はノーベル文学賞の有力候補と目された。 本作品は、『壁‐S・カルマ氏の犯罪』(芥川賞受賞)、『砂の女』(読売文学賞、フランス最優秀外国文学賞受賞)と並ぶ代表作の一つと言われ、1973年に出版、1982年に文庫化された。 内容は、ダンボール箱を頭から腰まですっぽり被り、小さな除き窓から外界を伺いながら、街を徘徊する「箱男」を主体としたフィクションだが、箱男が書いたとされる文章のほかに、他の人物が書いたらしい文章、新聞記事、独立したエピソード、白黒の写真等が多数挿入された複雑な構成となっている。 私は、読み始めたとき、都市部の地下道などでダンボール箱に入って寝ているホームレスを思い浮かべ、彼らのテーマにした作品だろうと想像したのだが、それは全くの見当違いで、読み進めると、上記の通り様々な書き手・形態の文章が次々と現れ、(極論すれば)脈絡なく話は進んで行った。そして、終盤では、それらの断章がどのような形で統合・回収されるのだろうと思いながらページを繰ったのだが、結局ほぼバラバラのまま終わるのである。 部分的に見れば、「本物」と「偽物」、「見る者(覗く者)」と「見られる者(覗かれる者)」、「書く者」と「書かれる者」のような比較的わかり易い二元論的なモチーフは見られるものの、一つの作品として全体を理解することはできない(敢えて「難しい」とは書かない)作品なのではないだろうか。 一読した後で、ネットで作品評価や解説を読んでみたところ、専門家の間でも、「成功作か失敗作かの評価が定まっていない」、「実験的な手法」などと評されているようである。 私は普段ノンフィクションを中心に読書をしており、本作品は安部公房の代表作の一つということで読んではみたのだが、好みの分かれる作品という気がする。 (2025年3月了) | ||||
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劇中劇あるいは一種の推理小説。面白くはなかった。 解説から読むべきであろう。 | ||||
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前半は読み進めるのに苦労したが、後半は面白くてあっという間に読む事ができた。 人は大なり小なり視たい、視られたい欲求が潜在意識の中にあるのだと思う。それがバランスがとれていれば問題はないが、偏りすぎると問題になる。 純粋な愛なんて人間に求めるのが無理な話。愛憎があるからこそ人間。あとはバランスが大事なんだとそう考えさせられた。 | ||||
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かなり難解。そして変質者的。錯乱。正気でこのようなものを書ける安部公房というのは、すごい作家だとは思いますが、後味はかなり悪いです。それにしても箱男というタイトルは非常に人を惹きつけますよね。 | ||||
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あらすじに浮浪者の話とありましたが、 前半は面白い視点からとらえた作品で 夢中になりましたが、中盤から??? ちょっと難しい世界観を持つ作者だと思います。 | ||||
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安部公房は1924年に東京に生まれ、1歳から16歳までの時期を満州で過ごしている。 本作の構成は凝っている。巻末の平岡氏の解説によって、ようやく私は本作を理解できた気がする。登場人物は良く言えば個性的、悪く言えば異常である。狂気に関心がある人には向くのではないか。しかし、私個人は、本作は良く出来ているとは思うものの不快感を感じ、またその好みを正直に星に反映させるべきだと思うので、3としておく。正直言って、私の入手した平成24年版は58刷、アマゾンレビュー40という関心の高さには驚いた。 ところで、現実の世の中では箱男を見かけないな。安部はせっかく具体的に箱男となるための箱の作り方、生活の仕方などまで懇切丁寧に書いているのに。 ちなみに私が10年以上前に読んだ「砂の女」は傑作だと思っている。「箱男」を読む気になったのは、「砂の女」への印象と「箱男」というタイトルの個性のためである。 | ||||
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ダンボール箱を被って身一つで生活する事で、自ら社会から離脱し、「箱男」として生きる男を主人公にして、様々な問題を提起する実験作。 男を覆う「箱」は男に匿名性を与え、男は自分が持つ視姦癖を自由に発揮できるようになる。ダンボール箱に閉じ篭る事で、逆に自由性を獲得するという逆説である。「箱男」は複数人存在するが、世間はそれを認知していないか気付いていない。「人は見たいものだけが見える」と言う皮肉でもある。この作品では"視点"が重要視され、作者が町の風景を撮った写真が数枚挿入されている程である。本作だけでなく、作者が社会を見る眼は細かく、鋭いと思う。主人公と、看護婦、贋箱男(=医者)との間で、覗く側と覗かれる側の立場が何度も逆転する心理模様は面白い。そして、医者が実は軍医の代わりをしている贋医者だった、と言う辺りから読む側には虚実が曖昧になる。冒頭で、敢えて「...今のところ、この記録を書いているのは僕である」と書いてあるが、小説の記述者とは何かと言う問題も提起している。「この記録を書いているのは僕である」と書いているのは誰なのか ? 主人公に成り済ました別人かもしれないし、作品全体が主人公の妄想かもしれない。「今のところ」と言うのがクセものである。 しかし、後半は殆ど支離滅裂の展開で、これを理解せよと言うのは無理がある。とても計算された内容とは思えない。こうした作品に明快な解答を求めるのはヤボだが、限度がある。前半で提起した問題を後半で膨らませるとか、もう少し小説の体を成した形にした方が良かったと思う。 | ||||
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本作の最大の美点であり欠点は、このタイトルだろう。一体何人の中高生が、この素晴らしいタイトルに惹かれてこの本を手にしたのだろうか。そして何人が、この訳の分からなさに跳ね返されて、その他の傑作に出会う機会を逃したのだろうか。想像するだけで残念な気分になる。 もしこれを読んでいるあなたが、安部公房に興味があるけど何から読んだらいいか分からなくて困っているなら、悪い事は言わない、本作はおよしなさい。まずは「鉛の卵」辺りの中期の短編か、「砂の女」にすべし。その次に戦慄の傑作「第四間氷期」。 その後は、全作読みたくてたまらなくなるだろう。そうなってから手に取るべき、中級者向けの作品。 | ||||
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一体誰がこの文章を書いている箱男なのか、あるいは書いているのは本当に箱男か、途中で完全にわからなくなった。。。「燃え尽きた地図」しかり、非常に難しい構成。結局何を理解すれば?わからん。。。 一つ興味深い部分。我々一般人は「ニュース中毒」である、というところ。テレビに関わらず、新聞、ラジオ、あらゆるものはニュースの媒体。皆何気なく、でもきちんと見たり読んだり聞いたりする。結局ニュースは「〜である。でもあなたには関係ない」ということを言っている。結論は常に「あなた(自分)には関係ない」。(もし関係があるとニュースではなくなる)だから、本来は見ずとも、読まずとも、聞かずともわかっていることの確認。要は自分は大丈夫、ということの確認。 そう考えると、それらに執着する意味なんてないように思えてくる。そういう生活が箱男の生活ってことかな? | ||||
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電波少年で少し前に放送されていた企画「箱男」の元ネタとされている作品。安部公房の作品にありがちな、よく訳が分からないが何だか読み進めてしまう、という感じがにじみ出ている作品だと思います。最近の薄っぺらい作品に飽き飽きしている人は、是非この作品から安部公房ワールドへ入って行くことをお奨めします。もし安部公房が嫌いなら、この一冊で嫌になることでしょう。 | ||||
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