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沈黙法廷
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沈黙法廷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.59pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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約550ページの社会派ミステリーで、大きく前半部分は警察捜査と後半は法廷シーンに分かれます。東京で不動産賃貸業の独居老人が殺害され、捜査線上に一人の女性が浮かぶ。捜査員が女性のもとに駆け付けた目の先で、埼玉県警の刑事がその女性を任意同行で連行してしまう。警察同士の鍔迫り合いや容疑者をめぐる連続不審死の謎など、数多くの関係者も登場し事件は広がりを見せる。 一方、この事件を知った仙台市の工務店で働く弘志は、ある理由から会社も辞めてまでもこの裁判を傍聴する。有力な物証がなく、ほぼ状況証拠で展開される裁判員裁判は、この法廷闘争を前提に事件を組み立てているのか、読み応え十分。加えて、一人の女性の人生を浮き彫りにする裁判もリアリティがあり、骨太で良質なエンターテインメント小説。 | ||||
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佐々木譲は傑作が多く、ファンなのですが、 たまにペラペラな内容のものに遭遇することもあり、逡巡しながら購入。 結果としてはなかなか面白く、550ページを飽きずに読み通すことができました。 「誰が犯人なのか?」ではなく、「この人は犯人なのか否か?」 というプロットに貫かれた、ユニークなミステリーです。 何よりも引き込まれたのは、被疑者である山本美紀というキャラクター。 真面目そうで地味な感じの30歳、この一見パッとしない女性が実に上手く描写されており、 その「どこにでもいそう感」「やることなすこと有りがち感」がリアルに際立っているのです。 ただ、心を揺さぶられる要素は個人的になく、 本体2100円ということもあって☆3+あたり。 | ||||
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ストーリーとしての派手さはなく、淡々と物語が進んでいく。 どんでん返しやトリック、動機やアリバイの面白さを求めて読むと物足りないが、人間の物語として読むとひじょうに深い。 警察組織の怖さ、メンツを重視して捜査や証拠固めをないがしろにする杜撰さなど、警察に限らず、現在の組織というものの怖さを痛感させてくれる。 真実よりも、組織の都合が優先されているのは、警察だけではない。 作者は、現代の組織社会の恐ろしさを訴えたかったのだろうか? 被告を弁護する弁護士の心の葛藤や、被告となった女性の心の奥が描ききれなかったように感じるが、読みごたえは十分だった。 ただ、もう少し何かを感じさせてくれるラストならさらに読後感が上がったと思うので☆は一つマイナスで4つにした。 | ||||
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手に持って読むのに疲れる本の重さ。にしては、やや冗長で内容空疎のきらい。約560ページで税込2,268円の価値はありや? 法廷部分をテンポよくして、裁判を通じて徐々にあらわにされていく彼女の薄幸で苦難に満ちた人生行路をこそもっと物語の核に据えて構成すればよかったのに、と不平のひとつもこぼしたくなるのは読者の身勝手でしょうか。前半部、見込み捜査と組織内の思惑がらみで突き進む警察とこれしきの状況証拠だけで起訴する検察の活写はリアリティがありますが、その人身御供と化す彼女の視点から書き込めば、前述の「物語の核」もより明瞭になったのではないでしょうか。 | ||||
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この小説は、いろんな登場人物の視点から事象にアプローチし社会に課題を残した形となっています。 事件を捜査する刑事の視点、被告人の視点、敏腕弁護士の視点、検察の視点など。 557ページに及ぶ長編ミステリー。 前半は事件を追い続ける部分であり、後半は刑事裁判へと展開していきます。 警察組織の内部事情たるメンツを露呈し、警察の現場とキャリアのギャップに上意下達。 状況証拠だけで仕立て上げられるという恐ろしさ。 三現主義に則り、行為者主義ではなく、行為主義が原則ではないか。 刑事裁判を傍聴した事があります。 「それは右手か左手か」との質問に、その時の行為が正確に答えられるものか疑問に思うところ。 また、プライバシーを越えた愉快さを煽り偏ったマスコミ報道といった現代社会に一石を投じています。 加えて、平穏な社会構造の中に潜む、仕事、生活といった様々な要素をピックアップしています。 最後の最後まで、有罪か無罪かは判然とさせないところにミステリーの醍醐味があります。 少し惜しいところは、結末をショートカットしたような、あとは類推で読者にお任せと言う描き方にあります。 ほんの少しだけ、ピュアにハートをつかんでくれる人間性をクローズアップしてほしいところです。 | ||||
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私が佐々木譲の小説を読む楽しみの一つに地図を広げて確認する作業がある。 『警官の血』『地層捜査』『廃墟に乞う』『代官山コールドケース』、『制服捜査』『笑う警官』、これらの傑作小説すべては、地図を広げることなしでは読めなかった。佐々木譲はそれほど土地にこだわって書いている。 本書は東京都北区赤羽。埼玉県と隣接する東京の下町。まず、地図を広げて場所を確認する。それから、膨大な人数の登場人物を書き込む大きな紙とペンを用意して読みはじめた。 ざっと50人近くが登場するので、読了したときには紙は人名でいっぱいに埋まってしまった。557ページという長い小説だが、あまりに面白くて途中でやめることができず、土曜の夜から読みだして日曜で読了。読み終えるのが惜しかった。 主人公の女性は27歳。眼鏡をかけたやせ形のジーンズの似合う、フリーの家事代行業者。ほんとうは才能も有り、素敵な女性なのだろうが、小さいころから不幸の連続で、本来の姿を発揮できない。外見は男性的だが、もって生まれた生真面目さからか、魅力があり男性を引き付ける。しかし、現実には学歴も資格もなく、いつも貧しさのなかでカツカツの生活を強いられる。家事代行という汚れ仕事を引き受けるしか生きていくすべはない。 始まりは北区赤羽の古い住宅地で一人暮しの財産家の男性が殺害されるところから。その容疑者として彼女の名前があがる。埼玉の大宮でも同時に彼女の犯行ではないか、という殺人事件が起きる。それだけではなく、彼女が家事代行の仕事に出かけた高齢の男性宅では次々と事件が起き、人が死んでいく。彼女は実際に納得した場合に限り、初老男性に、家事サービスだけでなく性のサービスも介護サービスもこなして、多額の現金を借りたり、もらったりしている。人には知られたくないし言いたくないもない恥ずかしい生活の実態が裁判の過程で丸裸にされていく。読んでいて痛い。しかし、人間は追い詰められたら誰だって恥ずかしく、おぞましい生活を強いられるのではないか。追い詰められて爽やかに生きることなど誰にもできないのでは? 彼女は本当に殺人事件の犯人なのか。警察、検察、弁護士それぞれの立場から、彼女の周辺で起きた事件を詳細に探っていく。同じ事件でも立場が違えばこれほど、違った見方ができるのかと感じた。今までの佐々木譲の警察小説とは違った法廷小説として読み応えがある。 | ||||
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警察小説と法廷小説が融合した長編ミステリー。とても気に入った。 | ||||
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