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ヴェサリウスの秘密
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ヴェサリウスの秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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本書と同じバルセロナを舞台にしたカルロス・サフォンの『風の影』、江戸川乱歩の傑作『孤島の鬼』、さらにコナン・ドイル、モーリス・ルブラン、をミックスしたみたいな一大冒険探偵娯楽小説。文句なしに楽しめました。 | ||||
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医療関係者であれば、ヴェサリウスの名前に聞き覚えがある方も多いかなと思います。 猟奇殺人とヴェサリウスがどのように関係しているか興味が湧き本書を手に取りました。 スペインの小説は初めて読みますが、物語の展開や描写は非常に良くできており、ダン・ブラウンのラングドンシリーズを読んでいるような感覚が味わえます。疾走感のある展開や映画を見ているよな描写で後半は一気に読んでしまいました。終わり方も暗い気持ちにならずに、素直に面白かったと思えます。 はじめは登場人物の名前が頭に入ってこず、見開きを何回もみて読み始めますが、物語が流れてくると気にならなくなります。 1888年で万博を直前に控えたバルセロナが舞台です。亡くなった父親が街で起こっている猟奇殺人と関わりがあるのか調査を始めるところから物語が始まります。 ミステリーではなく、上述しましたがダン・ブラウンの冒険譚を読んでる感じです。ラングドンシリーズの初期の作品のような疾走感が味わえますが、お洒落さと没入感は一歩及びません。が近年の不甲斐ないラングドンシリーズよりは面白いと思います。 | ||||
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前半は正直ちょっと退屈で、1/3読んだところで一度止めました。 でも、手持ちの未読本がこれしかなくなって、しょうがなくまた読み始めたら「あれ?面白いぞ??」となり、 後半はもうどきどきしながら読んでました。 下水道の場面は怖いけど面白い。今時のグロい描写はなくても怖い。(胸糞悪いあいつは因果応報だったけど、 個人的にはもうちょっと…ゴニョゴニョ) 星ひとつ減らしたのは、前半の退屈さと主人公の元恋人に対する態度が納得できなかったからです。 「あの献身に対してお前・・・!!」と思ってしまったので。 | ||||
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推理物だと思って手に取ったのですが、最初が連続猟奇殺人。残酷物が苦手なのでこの時点でやめておくべきでした。中盤・後半でも同じような被害・残酷性が出てくるので読み続けるのが苦痛だったのですが、口コミ・書評が高いので我慢して読み続けました。本当の真犯人(おかしな書き方ですが、読んだ方は分かりますよね)が分かって、なんじゃこりゃ。こんな真犯人有り?こいつを犯人と推理するは不可能。途中、本当の真犯人への何の手がかりもなし。しかも自分は死ぬのに唐突に主人公を救うのは何故なんだ?結局、推理小説ジャンルじゃなかったというのがわかりました。スリルサスペンス+ロマンスジャンルなのでしょうか。映画にするなら+スペクタクル(崩壊のところね)また+ホラー(ツギハギのところね)か。もう、殺人の起こるスリルサスペンス小説をミステリー分野で紹介するのは止めて欲しいです。ここAmazonでも書かれている面白さが私には理解できません。良かったのは最後の場面で、鉄道チケットを破り捨てるところぐらいですかねぇ。あれ、チケットですよね?しかし、もっと早くに決断せんかっ、遅いわっ。 | ||||
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まず、題名中の「ヴェサリウス」とは16世紀に実在した解剖学者(画期的な解剖学書「ファブリカ」で有名)。本作の主な舞台は万博を目前に控えた19世紀後半のバルセロナ。折しも、当時のバルセロナではコレラの流行と共に女性連続事件が発生していた。主人公のバートンはバルセロナの著名な解剖学者を父として持つオックスフォード大の言語学教授。バートンと父とは疎遠だったが、父が亡くなった事により、バートンは久々に帰郷する。ところが、下水道でオムスという父の友人(?)の医師が残した暗号表混じりの奇怪な手記を発見した事などから、父が殺された可能性が濃厚となり......という発端。皆川博子氏の作品を想起させる設定(バートン自身が解剖学者ならソックリ!)であり、冒頭から怪奇・幻想趣味が横溢しているが、当時のバルセロナの頽廃振りを描く意図もあった様である(作者はバルセロナ在住のスペイン人)。 この後、バートンは父の元弟子で極めて優秀な医学生のパウの手を借りて、父の死の謎を追うのだが、この過程に様々な要素を織り込んでいる。バートンと父との確執の元となった(バートンのトラウマともなった)7年前の火事(バートンの当時の婚約者も焼死)の謎、その婚約者の妹イレーナとバートンの恋愛模様、イレーナの夫で(悪徳)実業家アデイを含む三角関係、万博を背景としたアデイの発電事業、パウのプライベート等々。最後の方には、交霊会や地下水道での追走劇も出て来る。「ヴェサリウスの秘密」に焦点を絞るならば、いっそ、パウを主人公にした方が良いとさえ思ったが、作者の意匠としては往時のバルセロナを映し出すために、これらのサブ・ストーリーを敢えて渾然一体として提示する狙いがあったのだと思う。流石に冗漫(600頁超)な印象を免れないが。 確かに真犯人は着想外だが、ミステリと言うよりは、ゴシック・ロマンと冒険小説とを融合させた作品という印象を受けた。古い言い回しだが、「冒険活劇」ファンで、バルセロナの歴史に興味を持っている方にはお薦めの力作だと思った。 | ||||
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久々の星 | ||||
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1888年、イギリスのオックスフォード大学で教授を務めるスペイン人ダニエル・アマットは父が溺死したとの報を聞き、故郷バルセロナへと戻る。埋葬の場で新聞記者のフレーシャから、父は事故死ではなく殺害された可能性があると告げられる。折しもこのころ、バルセロナでは若い女性の惨殺事件が続いていた。連続殺人事件と父の死には何か関係があるのだろうか…。 --------------- 集英社文庫はスペイン・ミステリーを精力的に翻訳出版していることで私はずっと注目を続けてきました。(カルロス・ルイス サフォン『』、エステバン・マルティン/アンドレウ・カランサ『』、トニ・ヒル『』) この『ヴェサリウスの秘密』は作者にとって初の長編小説ということですが、どうしてなかなか、完成度の高さには大いに唸らされました。 都市化によって19世紀末のバルセロナでは人々の生活が急速に変化を遂げています。工場労働者である女性たちが労働組合を結成してストライキの動きを見せるかもしれないとか、経営者側が政治家や治安警備隊(グアルディア・シビル)を味方につけて、スト破りの準備を進めているといった描写が出てきます。その一方、市では間もなく万国博覧会が開催されようとしていて、経済発展に伴う緊張と高揚が背中合わせになっている時代です。 その場所で猟奇的連続殺人事件が発生。大学教授ダニエル、ジャーナリストのフレーシャ、そして有能な医学生パウという魅力あふれる登場人物たち3人が16世紀の幻の医学解剖書をめぐって、暗号解読を進めながら真相に迫っていく。そのさまは、ダン・ブラウンのラングドン教授シリーズを彷彿とさせます。 またダニエルとかつてワケありの関係だったキューバ出身の美貌の女性イレーナを配して、ロマンスの香りづけも十分です。<まだ少しでも私を大切に思ってくれるなら、すべて忘れてイギリスに戻って>と彼女がメモに刻んだ言葉の切なさに、胸を締め付けられます。 怪事件の背後で密かに進められていた遠大な計画には、スチーム・パンクSFの趣がありますし、忌まわしき悪霊<ゴス・ネグラ>が背後にいるかもしれないというゴシック・ホラーの味わいや、地下下水道で繰り広げられる冒険活劇にも大いに胸躍らされます。 ことほどさように、ひとつの小説に様々なエンタメ要素がてんこ盛りにされていて、文庫本で600頁という大部の著作ですが、一度として倦むことなく読み通すことができました。 幕切れもまた甘く切なく、ほろ苦いものです。ですがこのように物語を締めくくった作者ヨブレギャットの筆運びは、老練で円熟したストーリー・テラーのそれを思わせるもので、私は大いに満足しました。 宮﨑真紀氏の翻訳だからこそ安心して読めたともいえます。宮﨑氏はこれまでもフェリクス・J・パルマ『』、『』、トニ・ヒル『』、『』といったスペインのSFやミステリーを見事な日本語に訳してきてくれた人物です。 今年は東京創元社からR・リーバス /S・ホフマン『』という、これまたバルセロナを舞台にしたスペイン・ミステリーを大変読みやすい和文に移し替えてくれています。年末にはフランシスコ・ナルラ『』の翻訳が控えているそうです。そちらもぜひ手にしてみようと思っています。 ------------------ 校閲が不十分な点があったので、今後修正されることを期待して、以下に指摘しておきます。 *234頁:「広場が一望に見渡せる」とありますが、「広場が一望できる」あるいは「広場が見渡せる」で十分。「一望」は「広い景色などを一目で見渡すこと」ですから、「見渡せる」という言葉を接続すると、意味が重複してしまいます。 *274頁:「今日おまえが鼻をつっこんでくるまでは」という表現が出てきます。「ある事に深入りする」ことを日本語では「首をつっこむ」、あるいは「嘴(くちばし)を容(い)れる」と言います。「鼻をつっこむ」は、スペイン語の成句「meter las narices (英語で言うところのto put the nose)」の直訳でしょう。事実、321頁では「その必要もないところに首を突っこんでいるんだ」、そして334頁では「あたしは無類の噂好きで、いろんなことに首を突っこむ」と、日本語らしく訳されています。 *295頁:「御者台にしがみつき、なんとか馬を卸そうとしたが、無駄だった」とありますが、馬を巧みに扱おうと努力している場面ですから「卸(おろ)そうとした」ではなく「御(ぎょ)そうとした」でしょう。行人偏(ぎょうにんべん)が欠けています。 | ||||
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面白いです。波乱万丈の物語です。はずれが続いていた翻訳ミステリーでしたが、久しぶりに徹夜して読みたい本に出会いました。 | ||||
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