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ヴェサリウスの秘密
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ヴェサリウスの秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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まず、題名中の「ヴェサリウス」とは16世紀に実在した解剖学者(画期的な解剖学書「ファブリカ」で有名)。本作の主な舞台は万博を目前に控えた19世紀後半のバルセロナ。折しも、当時のバルセロナではコレラの流行と共に女性連続事件が発生していた。主人公のバートンはバルセロナの著名な解剖学者を父として持つオックスフォード大の言語学教授。バートンと父とは疎遠だったが、父が亡くなった事により、バートンは久々に帰郷する。ところが、下水道でオムスという父の友人(?)の医師が残した暗号表混じりの奇怪な手記を発見した事などから、父が殺された可能性が濃厚となり......という発端。皆川博子氏の作品を想起させる設定(バートン自身が解剖学者ならソックリ!)であり、冒頭から怪奇・幻想趣味が横溢しているが、当時のバルセロナの頽廃振りを描く意図もあった様である(作者はバルセロナ在住のスペイン人)。 この後、バートンは父の元弟子で極めて優秀な医学生のパウの手を借りて、父の死の謎を追うのだが、この過程に様々な要素を織り込んでいる。バートンと父との確執の元となった(バートンのトラウマともなった)7年前の火事(バートンの当時の婚約者も焼死)の謎、その婚約者の妹イレーナとバートンの恋愛模様、イレーナの夫で(悪徳)実業家アデイを含む三角関係、万博を背景としたアデイの発電事業、パウのプライベート等々。最後の方には、交霊会や地下水道での追走劇も出て来る。「ヴェサリウスの秘密」に焦点を絞るならば、いっそ、パウを主人公にした方が良いとさえ思ったが、作者の意匠としては往時のバルセロナを映し出すために、これらのサブ・ストーリーを敢えて渾然一体として提示する狙いがあったのだと思う。流石に冗漫(600頁超)な印象を免れないが。 確かに真犯人は着想外だが、ミステリと言うよりは、ゴシック・ロマンと冒険小説とを融合させた作品という印象を受けた。古い言い回しだが、「冒険活劇」ファンで、バルセロナの歴史に興味を持っている方にはお薦めの力作だと思った。 | ||||
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