■スポンサードリンク
砕け散るところを見せてあげる
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
砕け散るところを見せてあげるの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.66pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全65件 61~65 4/4ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対、涙する。と小説の帯をみて 涙は、でないだろうと思って読みました。文字と文字の行間の意味がちらっとわかりだすと涙でました。 ひさびさに小説っていいなと悦びの本です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
【ネタバレあり!?】 (1件の連絡あり)[?] ネタバレを表示する | ||||
---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本屋にて、帯につられて購入。 書きたい事を書いている、という感じはいいのですが、読みたいと思う文章ではありません。 いわゆる、竹宮さんの作品のテンポが好きな人にはいいかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
男の子として産まれてきたら誰だって「ヒーロー」になりたいと一度は願う。「ヒーロー」と一口に言っても色々いるんだろうけど、こと王道を行くと言うのなら 閉じ込められ、酷い目に合わされて泣いている女の子を助けてあげられる様な活躍を、という事になるだろうか?人気女流作家・竹宮ゆゆこの新作は そんな男の子なら誰もが憧れる「ヒーロー」に成りたかった少年の物語 物語は大学受験を目前に控えた高校三年生、濱田清澄が毎月第一月曜日と定められた全校集会の日に遅刻し、開かれている体育館にこっそりと 忍び込む場面から始まる。三年生の自クラスの列に割って入る事も叶わず、仕方無しに一年生の列の最後方に紛れ込んだ清澄が目にしたのは一人の 小柄な女子に後ろからゴミを投げつけている場面を目にしてしまう。朝から気分の悪い物を見せられた、と思う清澄の目の前で嫌がらせは更にヒートアップ 件の女生徒の頭を上履きが直撃する事に。更に上履きを投げつけようとする後輩の腕を掴み止めさせた清澄だったが、集会が終了して体育館の外へと 出て行く生徒たちの群れの中に見えたのはしゃがみこんで投げつけられたゴミを拾い集める女子生徒の姿だった。その脇を退出していく他の女子に 「キモい」「うざい」と悪意の礫を投げつけられる姿を見ていられなくなった清澄は「いつもあんな事をされているのか?」と話しかけるが、女生徒は反応を 見せない。不審に思った清澄が女生徒の背中に触れた途端、女生徒は「ああああああああああああ!」と絶叫。ボロボロの服装と顔の半分を覆う様な 長い黒髪の隙間からぎょろりと大きな目で睨み付ける外見的なヤバさに怯む清澄に紙くずを投げつけて女生徒は立ち去るが、何でこんな目にと思いながら 開いた紙くずに書いてあったのは「しね」という文字。女生徒が浴びせられていた悪意の強烈さに恐怖を感じた清澄だったが、同じクラスのギャル・尾崎から 少女が学年一の嫌われ者・蔵本玻璃である事を知る。高校デビューの失敗から孤独を味わった経験を持ち、自分を大切にしてくれる人間の有難味を知る 清澄は、孤独といじめは違う、いじめを知りながら「自分には関係ない」と通り過ぎるのは自分以外の全ての世界をクソにする事だ、と一年生の教室へ 向かうが、そこで目にしたのは聞いた以上に激しい虐めを受ける孤独な玻璃の姿だった。義憤を感じながらも親友の田丸に「だからって何が出来る?」と 問われれば何も出来ず俯くしかない清澄は悪戯で毎日投げ捨てられている玻璃の上靴を拾ってやるしか出来ないまま一年生から「ヒマセン」と呼ばれる 日々を送る事に。一年の間に広がる虐めの酷さに憤慨するクラスの女子から市営運動場のトイレで何かが起きていると気付いた清澄は掃除用具入れに 閉じ込められた上で真冬に水をぶっ掛けられ凍えそうになっていた玻璃を見付けるが… たぶん、本書を手に取り、読み始めた方は「つまり、UFOが撃ち落とされたせいで死んだのは二人」という台詞から始まる2ページのプロローグで 頭が「???」となろうかと。それで良いので構わず、最後まで一気に読んでしまうべし。長く、陰鬱で、救いが無い話を締め括る最後の約20ページを 読み終え、この意味不明なやりとりの意味を理解した時、声を無くすほど驚かれる事は間違いない。誰が死んで、誰が救われて、誰が「ヒーロー」と なったのか?この物語の主人公・清澄が何を成し遂げたのか、最後の最後で明かされる、そういう構造になっているのである 予め断っておくが、「陰鬱な話」と書いた通り、本作のヒロイン・玻璃が置かれた状況はまことに救いが無い。ライトノベルでも一際尖った作風で知られる ガガガ文庫辺りならスクールカーストであったり、一方的に振るわれる暴力など「救いの無い状況」が描かれる作品も珍しくないので、本書に手を出される 際には、本作で描かれるのはその辺りを描いた作品を読むのだ、という覚悟が必要かと。冒頭から描かれる「おかしな女」、「キモい奴」である玻璃に対する 凄惨な虐めも気の優しい読者であれば目を覆いたくなる物があるが、これは玻璃が沈んでいる底なし沼の様な状況の「入口」に過ぎない。他人の、世界の 「ありがたさ」を知る清澄が玻璃に近付けば近付くほど、その底の見えない状況が次から次へと明らかにされて行くので読み進めて行くと実に気が滅入る 大袈裟だと思われる方もおられるかも知れないので、その凄惨さをちょっと書き出してみる 玻璃の指は何本か曲げられなくなって震えていて、顔の半分は、目蓋から頬まで大きく盛り上がる様に腫れてしまった。片目は開いていない。目の下は 黒い隈取りのように内出血を起こし、唇も裂けていびつに腫れて、息をするのもつらそうだった。顔の形状も肌の色も、元の玻璃から随分変わってしまった。 長かった髪も、耳よりも上でざんばらに断ち切られて、切り損ねたわずかな部分だけ筋のように長く残って胸の下で揺れている。鼻にも口にも耳たぶにも 擦って、乾いた血がまだついている。 よくこんな体で、あの道のりをここまで来られたと思う。見ればパジャマみたいな薄手のズボンで、裸足にスリッパを履き、その上にフード付きのコートを 着ただけだった。コートの前はちゃんとしまっていなくて、中にはキャミソールしか着ていない。見えた肌の部分は全部、切り傷やひっかき傷、内出血で 覆われていた。その色彩はまるで花を束ねたみたいだった。青や赤、紫、黄色、ピンク、オレンジ、本当に色とりどりのたくさんの花で、玻璃は全身を 覆われているようだった。 玻璃の姿その物も惨たらしいが、こんな凄惨な暴力を誰が振るったのか?なぜ玻璃は抵抗する事も、逃げる事も出来ずにいるのか、を知った時には 吐き気を催すほどの世界の残酷さに読者自身が晒されている様な気分にさせられるかと。学校で耐えていた虐めすらもが霞む様な暴力と悪意が 玻璃という少女を蝕む様は、よくぞこれほどの物を女性作家が描けた物だと変な感心の仕方をしてしまった。途中の展開で玻璃が問題を抱えているのは 決して学校内だけでは無い、という点に気付く方も多いだろうけど、事実はその上を行くとだけ申し上げておく。言っておくが単なるDVなんかではない これだけ凄まじい世界を描いた物語であるのに、割合にホイホイとラストシーンまで読めてしまったのは竹宮ゆゆこの極上のユーモアのなせる業かと 清澄がトイレの真冬の掃除道具置き場に閉じ込められて水をぶっかけられた玻璃を助け出すシーンでは助け出す清澄も助けられる玻璃もテンパリまくって ジャージの股の部分が顔に当たる様な巻き方をするわ、「便所のし尿的なものじゃなく、水道水でまだ助かった」と変な仏心に感謝するわと、読者も 苦笑しながら「いや、今それを気にする場面か?」とツッコミを入れたくなるドタバタ劇を繰り広げるのは従来の竹宮作品を読んで来られた方には お馴染みの展開ではないだろうか?しかもこのドタバタ劇が単なる瞬間芸で終わらず延々と続くので一時ではあれど、読者の頭からは玻璃の置かれた 凄惨な状況も、玻璃を助けたくても無力さが付きまとう清澄の苦悩もどこかに行ってしまうし、だからこそ、これほど惨い話であっても最後まで読めてしまう のだとも言える 凄惨ではあるけれど、本作のベースはあくまでもボーイ・ミーツ・ガールであり、清澄と玻璃の関係も基本的には「助けた・助けてもらった」の関係から 始まって、互いに一目惚れしてしまった初々しい少年少女のそれである。先輩は凄い、ヒーローみたいだ、と素直に憧れ、少しも自分に対して優しくない 世界の中で諦めきっていた自分に「戦っても良いんだ」と気付かせてくれた、と心を開いた玻璃の見せる人懐っこさは後輩キャラとして実に可愛らしく 「UFOを撃ち落とします」という言葉に始まる謎めいた部分も、それはそれで魅力的ではある。四年前にいなくなってしまい、今でもどうしているのか 分からない母親を案じた玻璃に父親が「見えないUFOが攫って行ってしまったんだ」と言ってきかせた事で、自分の思い通りにならない事は全部UFOの せいだ、と思い込む事で耐えきろうとしていた悲しい姿から脱して、「ヒーローである先輩みたいに強くなってUFOを撃ち落とす」と少しずつ能動的な 姿勢を見せ始める玻璃には良い意味でライトノベル的な成長物語としての要素が確かに感じられるのである 学校で虐める側に対し、立ち向かう姿勢を見せ始めた玻璃の姿に安堵をおぼえながら、清澄が気が付くのは直接的な暴力が振るわれていない学校での 虐めと常に厚手のタイツを履いて、夏場でも長袖の制服を脱がず、手袋をはずそうともしない玻璃の格好との矛盾である。ずぶ濡れなった玻璃を着替え させたクリーニング屋のおばちゃんの話あたりから少しずつ玻璃の体に隠された秘密が明かされて行くのだけど、玻璃の父親との直接的な遭遇で 決定的な不審を抱いた清澄と、そんな清澄の不安を裏付けるように学校に姿を現さなくなった玻璃の行動から「本物のUFO」が誰なのか、と気付いて しまい、物語は少女の成長物語から一気にサスペンス調へと舵を切る。そして上に書いた様なボロボロの姿を晒した上で迫る危機を伝えに来た玻璃に 「玻璃は、綺麗だ」と思いを打ち明け「俺たちのUFOを撃ち落としに行くぞ」と正面切って残酷な世界と戦う決意を固めて真相と対決する事に 「UFO」の真相を知った清澄は最後の戦いに臨むけれども、勝利は簡単に与えられないし、ヒーローにもなれない。そして大切な物を失う事にもなるの だけれども、圧倒的に力不足な清澄がどうやって最終的な勝者となったのか?UFOに攫われた女の子をどんな形で助け出して見せたのか?それが 一番最初に描いた本作全体を包み込む様な大きな構造に隠されているのである。恋した少女をボロボロにする残酷すぎる世界を、それでもヒーローとして クソにはさせまいと抗った少年の想いが世界中に広がり、やがては囚われていた少女の解放に至るまでの時間的なスケールの大きさはちょっと規格外 色々と異論は出るかもしれないし、見ようによっては非常に迂遠とも言えるのでお好みに合うかどうかも保証はできないが、この発想は女性作家ならでは、 という他なかった 何もかも諦めきって空の上に浮かぶ見えないUFOに囚われていた少女を、何の力も無いまま少女が憧れたヒーローの仮面を見に付け、世界をクソに するまいと戦いを挑んだ少年の物語。凄惨なまでの暴力描写と竹宮ゆゆこならではの極上のユーモアにボーイ・ミーツ・ガールや成長物語といった ライトノベル的要素をふんだんに取り入れながら、男性には思い付かないスケールの時間の流れを用いて「ヒーロー」の姿を描いてみせた一冊 エグみも甘さも爽快さも見事に調和させた作者の確かな技量が伝わってくる見事な出来栄え。丁寧で繊細で、本当に完成度の高い「ライトノベル」を 望まれる方には是非お勧めさせて頂きたい | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前作『知らない映画のサントラを聴く』で一般文芸デビューを果たした竹宮ゆゆこの最新作。 凄い。めちゃくちゃ面白い。 キャラクター小説らしい会話劇で物語は進むが、最後はマジッリアリズム的な「文学」の領域にまで作品が到達する。特に、ラスト30ページ。エンタメの面白さと驚きはそのままに、ほんとに素晴らしい「小説」が顔を出す。 ただただ、圧倒された。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!