あれは閃光、ぼくらの心中
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とにかく熱、熱、熱! 文章から目に見えない凄まじいエネルギーが溢れて、押し寄せてくる、そんな小説。 しまと弥勒の、とてつもない絆と、その間を繋ぐ「クソデカ感情」が、読んだ読者自身の胸まで熱くする。どうしよう。こんな、あたたかくて切なくてひりついた感情、胸のどこにも置いておけない。今すぐ叫び出したい。 あーーーーー! しまと共鳴したい、最高のラストシーンと一緒に。 読んでいて一番悶えたのは、 冷蔵庫に牛乳、シンクの紐にクリームパンが入ったレジ袋がかかってる。 そういう直接言葉に出してるわけじゃないけど、弥勒の優しさが表れてるシーン。公園で運動する場面とか、出前取る時やたら食べさせようとするところか。相手の睡眠や食事を考えるのって、愛情の最たるものだと思う。そしてしまが、弥勒が朝ごはんを買うためにコンビニに行ってくれたと気づいて、音楽を全身で感じるシーンも至高だ。 あと、弥勒が与えていたものをしまが好きだと言った時、びっくりするくらい自分も嬉しくなっている弥勒も愛おしい。彼にとって、誰かに愛情を与えて、それに応えが返ってきたっていう経験は、きっと長いことなかったんだろう。救ったつもりが、いつの間にか救われてる、そういうあったかい繋がりが2人の間にはある。 それから、彼らの関係について、弥勒は確かにしまの保護者だったけど、それだけじゃなかったのが最高に痺れた。 「ディズニー行く?」ってなって、台風でも外に出ようとするあの、馬鹿みたいなことを「うぉー!やるか?やっちまうか?」ってノリで突っ走れる関係。基本しまに弥勒が突っ込むのがこの物語の形だけど、そうやって時々子供みたいに2人が共鳴して盛り上がるのが個人的に好きだった。(鈴木隊長のところとか、) 友達、兄弟、親子…いや、どれも違うか?既存の関係に押し込められない2人だと思った。 いつか必ず、2人でディズニーに行ってほしい。そういう書き下ろしがあればすぐに買います!先生!! そして、火事騒ぎからの怒涛の展開。最後に向かっていくとともに、2人の互いへの感情が爆発して、もうほとんどラブレターみたいなモノローグが続く。しまが木の側で眠ってしまいみる夢なんてもう、 「新しい宇宙を、きみにあげる。」 こんな完璧な告白を、私は今まで見たことがない。美しく、切なく、しまがどれだけ弥勒を想っているかがこの一言に詰まっていると思う。彼はそこで15歳から始まる弥勒の理想的な人生を想像し、弥勒が幸せなら、自分が崖から落ちたまま終わったっていいとさえ思う。 でもこの後の部分もすごく、すごく良くて。 違う世界線を想像しても、やっぱり弥勒はしまの前に現れる。 これは、しまのピアノを聞いている弥勒の方でもそうだったと思う。マンションから落下するもう1人の弥勒を、しまが見上げて待っている。 物語の終盤かなりの頻度で2人の頭の中にはこういう「もしも」の世界が繰り広げられるのだがーーーどの結末にも必ず、弥勒が、しまが、互いを待っている。どんな世界線でも、それが運命かのように彼らは出会うのだ。理屈はわからない。でも絶対にそうなのだと思わせられる。 弥勒がいるからしまが生きて、しまがいるから弥勒が生きているのだと、本当に心からそう思わせられる、そういう文章の連なりなのだ。 竹宮先生は、目に見えない法則で必ず出会う2人の関係を、その情熱でもって訴えかけてくるから、読んでいるこっちも、「そう?そうか……そうだ、そうだよな!!!」と頷いてしまう。彼らがその瞬間に見た景色を、そこで湧き起こる感情を丁寧に丁寧になぞって、言葉に落とし込んでくれるから、読者は彼らを包む宇宙まるごと、なぜか理解できてしまうのだ。 まるでこの世にたった一つ、誰かのために特別に用意されたもの、 そういう存在。落ちてこいって手を広げて待っている、あぁこいつがいるから大丈夫だなって思えるような存在、それがしまにとっては弥勒で、弥勒にとってはしま。この事実がありえないほど奇跡的で、運命的で、心を震わせられる。 ラスト、再会するシーン。 「ディズニー」という言葉が咄嗟にしまから出てきて、あぁ本当に彼はずっと弥勒を思い続けていたんだとわかって、その時の2人の会話が全然感動的でなくて、だからすごくよかった。彼らはまたすぐに15歳と25歳の頃の彼らに戻れるのかと思うと、その変わらない部分が泣けた。 ライブ始まる寸前。しまが一瞬弥勒を指差し、その手首にクマのヘアゴムがあり、「見てて!」というあの数秒の出来事が、読んでいる私の目の前にありありと浮かんできた。 そうか、この瞬間で、そこで起きた爆発でまた、彼らはこの先10年間生きていけるのだろうと思うと、心から嬉しかった。そしてなぜか、彼らの世界の外側にいる私までもが、その爆発に巻き込まれたように熱くなり、胸奥がうるさく鳴った。そういう終わり方だった。まさしく閃光みたいな、素晴らしい物語だった。 | ||||
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この作者の前作『心が折れた夜のプレイリスト』に関しては、あまりにも奇抜な面が強調されていて個人的には高く評価しなかったのですが、今作に関しては、少なくとも中盤まではしっかりと地に足の着いた物語になっているように感じられました。「全く関係の無さそうな二人が出会って、そこから話が始まっていく」という展開はある種の「ベタさ」を感じられますし、今作の主人公・嶋がもう一人の主人公・弥勒と出会うシーンは明らかに某映画を意識したりしていますが、やはり、読者を分かりやすく引き込むものがあります。 もちろん、この作者のことですから、陳腐なものになるはずがありません。「ピアニストを目指す道の途中で壁に突き当たり、家出してしまった少年」と「ゴミだらけの部屋に住んでおり、家族に関して後ろ暗い過去を抱えているホスト」という組み合わせは興味深いですし、コミカルで生活感のある描写を交えつつ二人が次第に打ち解けていく展開もなかなか読み応えがあります。中盤以降も、嶋の両親と弥勒自身の手によって二人が引き離されたり、これまでの言動から「弥勒が自殺するかもしれない」と思い至った嶋が再び家出を敢行したり……と、分かりやすくドラマチックに進んでいきます。 それ以降は、「嶋が弥勒の働いているホストクラブに突入するが彼はおらず、そこにあったピアノで弥勒に届かせるように渾身の力で演奏を行い、満足した嶋は家出を終える。その後、話は10年後へと飛び、そこで『嶋が演奏していた時、実は弥勒は偶然ホストクラブの近くに来ていて、その演奏を聴いて自殺を思い留まった』ということが読者に明かされ、二人は10年ぶりに再会し、物語は幕を閉じる」となるのですが……個人的にはこの展開についていけませんでした。この作者らしい超常的ともとれる凝った描写で飾られているものの、「嶋が弥勒の自殺を直接止める」という分かりやすい展開を無理に避けたせいで生じた不自然な展開を、作者の描写力で強引にまとめたように見える点が否定できません。特に、嶋の演奏シーンについては、感動的に仕立て上げたいのは分かるのですが、「弥勒の姿を確認したわけでもないのに、そんなタイミングでピアノを弾いてどうするの?」と思ってしまい、ある意味、作者との「温度差」というものを感じてしまいました。 また、「弥勒は自身の『父親』と『姉』の間の子供で、その姉は父親を病気に見せかけて殺した」という過去が中盤で読者に明かされるですが、それが軸になって話が進んでいくわけではないので、そこまで重い設定にしなくても良かったように思えます。その「弥勒の姉」というのも、弥勒の回想の中で重要そうな感じで何度も出てくるのですが、本筋にはほんの少ししか登場せず、10年後の姿も描かれていないので、何だか、同作者の『砕け散るところを見せてあげる』の玻璃のような「メインヒロインになり得るキャラクター」を無理矢理脇役に追いやったように見えてしまいました。 先程挙げた通り、中盤までは結構面白く読めましたし、凝った描写を興味深く読める点はあるものの、やはり「終盤の強引な展開」と「あまり活かされていない重い設定」が足を引っ張っている印象があり、前作ほどではないにせよ「あまり高く評価できない」というのが正直な感想となります。この作者の小説は色々と目を通してきましたが、「そろそろ読むのはやめようかな」と思わせるような一冊でした(『いいからしばらく黙ってろ!』の続編が出るなら話は別ですが)。 | ||||
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本当に久しぶりに竹宮ゆゆこ先生の本を読みました。『ゴールデンタイム』以来かもしれません。 私がほとんど本を読まなくなってしまった間も、先生はこんな小説を書き続けていてくれたんだなぁと思いました。 まばゆい閃光と大爆発、号泣でした。とんでもない本です。ぜひお読みください。 | ||||
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最初から最後まで飽きる事なくただひたすらエモくてハッピーなおはなしでした。おすすめです! | ||||
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何度も泣いた。後半のホストクラブは情景が美しすぎて嗚咽が止まらなかった。笑えて泣けて憧れる、二人の関係性。この作品を読めて良かった。 | ||||
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