記憶書店うたかた堂の淡々



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    初公開日(参考)2020年07月
    分類

    長編小説

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    記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)

    2020年07月22日 記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)

    静乃の優しすぎる恋人、誠が突如失踪した。職場を訪ねると、彼は一年前に亡くなっているという。彼は一体誰だったのか…?静乃の脳内に存在する、自分のものではない思い出。これは人の記憶が綴られた書物を売買する、うたかた堂の仕業か。記憶に浮かぶ海を、静乃は目指した。冷めた目をした美貌の青年が書物を繙くとき、心に秘めた過去が、秘密が、願いが、解き明かされる!(「BOOK」データベースより)




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    No.3:
    (4pt)

    記憶の使い方

    全6話からなる短篇集だ。
     記憶の売り買いや交換をなりわいとする青年と、そのお客たちが登場人物。
     どの話もひねりがあり、一筋縄ではいかないのが、さすが野村作品である。ギャグ・テイストの強いものもあれば、悲劇におわるものもあり、ハッピーエンドかと思ったらひっくり返されたり。
     しかし、いずれも上質。
     印象に残る一冊だ。
    記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)より
    4065204046
    No.2:
    (3pt)

    記憶の移植を請け負う青年というアイデア自体は悪くない連作短編だが過去作の色が濃すぎるキャラを登場させたのは疑問。

    最近活動を再開した女流作家・野村美月が久しぶりに講談社タイガから刊行した新作。タイトルからすると「お店屋さん」系のいかにもなライト文芸調。

    構成の方は連作短編形式。自分の記憶を他人に、あるいは他人の記憶を自分に移植する異能を持ち「記憶書店うたかた堂」を名乗って記憶の移植を請け負う美形の青年・現野一夜に様々なリスクを顧みず仕事を依頼した人物が各章の主役を務める形式の作品が並んでいる。

    一読した印象は良くも悪くもライト文芸とライトノベルの中間の様な色合いの作品だな、という点。ライトノベルレーベルとライト文芸レーベルでガラッと作風を変える作家さんもいるが野村美月の場合は「ああ、この人はどこまで行ってもライトノベル作家なんだな」と改めて思い知らされた次第。

    本作のキーマンである異能の持ち主・一夜に依頼する人物はそれなりに多彩。過去に犯した罪に悩む工員であったり、好条件の伴侶を求めて婚活中のOLや売れっ子の舞台専門女優、病弱な身体ながら山登りをしたがる小学生とバリエーションの幅は広い。せっかくの連作短編形式なのだから個性豊かな話を楽しみたいという読者も多いし、そういう意味では期待に応えているとも言える。最近刊行された「むすぶと本 『さいごの本やさん』の長い長い終わり」にも通じる楽しさであり、野村美月の新しい挑戦でもある。

    「記憶の移植ってなんだそりゃ」という方も多いと思うので説明させて頂くと、これが割とガチンコで怖い代物だったりする。中には鏡に映した自分の姿の記憶を使ってメッセンジャーとして使う様な軽い話もあるのだけど、どちらかと言えば攻殻機動隊に出てくるゴーストハックみたいな「偽記憶(独身のゴミ回収作業員が自分には可愛い娘がいると思い込まされていたアレ)」を植え付ける様な話も多く、しかも自分の記憶を他人に移植し過ぎると自我が保てなくなり廃人化したり、現実と虚像の境目が怪しくなったりするという割とシャレにならない代物だったりする。

    逆にこの自分の記憶と他人の記憶が入り混じり虚実の皮膜が危うくなる所に本作の個性がある、という言い方も出来るかもしれない。恋人と様々な場所に旅行し美しい風景を目に焼き付けて来た女性の記憶の正体であったり、あるいは高校時代から憧れてきた女性との交際の記憶とその裏にあった不幸な女性の焦がれる様な思いといった「何が現実なのか」と読み進めている間に揺らぎを覚えさせられる様な感覚が生じてくるのは中々に楽しい。

    ただ、個人的には章の構成やサブキャラの使い方に疑問を感じる部分があったのも事実。

    第一章は上にも書いた恋人と各地を旅行し美しい風景を目に焼き付けて来た女性の話なのだけど、これがかなりの変化球というか作品の土台となる異能者・一夜の存在を伏せた上で進められるので話の筋書きを飲み込むのに些か苦労させられた。特に後半でヒロインの記憶が揺らぎ始める辺りから「ん、これは何が起きているのかな?」とかなり困惑させられっる。

    第二章は割と分かりやすい婚活中のOLさんが主役のコミカルかつ最初から一夜が絡んで来る話なので割とサクサク読み進められたし一夜の能力についても理解し易かったのでこちらの方が第一章には相応しかったのではないだろうか?作品世界の基本ルールみたいな物を理解できないままに変化球を投げられても読者としては些か困るのである。

    そしてもう一つ気になったのがサブキャラの使い方。第三章は自分の美貌、とりわけ並外れて細いウエストを誇る舞台女優が主役の話なのだけど、これがなんと乃木坂カレンなのである。以前からの野村美月ファンであれば「あいつかよw」とニヤニヤさせられる「ですわ」口調の色物キャラなのだが、これが何と言うか別作品、それもライト文芸レーベルの作品に登場させると必要以上に濃い……というか濃すぎる。

    いや、話の造りの方は野村美月だけあって笑わせながらも起承転結が上手くまとまった短編となっているのだがプライドが異常に高く、古色ゆかしい少女マンガのお嬢様キャラを更にカリカチュアライズした様な喋り方をするキャラクターがこの作品の中で使うには完全に浮いてしまっているのである。元々の登場作である「吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる」でも役回りは完全にコメディリリーフだったけど、ライトノベルという事もあってまだ雰囲気の枠内に収まっていた。

    だが、別作品にいきなりこの手の登場人物を出してしまうとそれだけで作品としての個性を食ってしまうというか若干独立性を損なってしまう事になりかねない。しかもこの乃木坂カレンが登場する話が一話だけでもお腹一杯なのになんと後半で更にもう一話追加された上に「吸血鬼となった~」を読んでいる人限定みたいな過去話を絡めてしまっているのでいよいよ「これスピンオフか何かなのか?」という塩梅になってしまっている。

    作者としてはお気に入りの登場人物なのかもしれないし、既存のファンへのサービスのつもりなのかもしれないが行き過ぎたサービスは時として本来の愉しみを、新作を読ませて貰いたいという希望を損ないかねない。そこいら辺はもう少し配慮があっても良かったんじゃないだろうか?

    ライト文芸っぽい連作短編形式を「むすぶと本」に引き続き楽しませて貰ったのは良いのだけど過去作の色が濃すぎる登場人物を使い過ぎた事で「読みたいのは過去作のスピンオフじゃなく新作なんだよな」とちょっと読者サービスの履き違えみたいな物も感じさせられた一冊であった。
    記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)より
    4065204046
    No.1:
    (4pt)

    記憶売買者は新鮮なコンセプト。考え出すと背筋がゾクッとする夏向き小説?

    人の記憶を買い取ったり売ったりする能力者が接するお客たちの話で、6話構成です。記憶売人現野一夜と彼が商談などで使うバー、そこのバーテンダー南、常連客の小説家犬飼あけるは共通です。
    第1話は読み進めると訳が分からなくなるところがありますが、ここは我慢して進みましょう。(レビュアーは読んで、放置して、読んで、放置して10日ぐらいかけてしまいましたが、根性が足りませんでしたね)
    続く5話も基本的に独立しています。「吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる」の印象的なサブキャラだった乃木坂カレンが演劇界で人気女優になって、第3話と第5話の客になっているところは繋がりますが、話のテーマは別ですので、どこから読んでも良いのかもしれません。ただ最終第6話は雰囲気に変化があるので、最後に残しておいた方が良いかな。
    記憶売買者というコンセプトはヤバい感じもあって、小説的にすごく面白い道具立て。客の生命の危機も絡んだりするところもありますが、自分の記憶の確からしさって真剣に追及するとこれが実に怪しい。このあたりを噛みしめると夏の夜を涼しくしてくれる怪談的なものが根っ子にあるのかもしれません。
    いろいろなエピソードを並べる今回のような短編集の形がぴったりだと思いますが、その分一話一話のインパクトは必ずしも強くない。それだけに乃木坂カレンの強烈なキャラはビビッドな色を持ち込んでくれました。「吸血鬼になった・・・」に食われちゃったところもありますが。「吸血鬼になった・・・」ファンには嬉しい2話です。
    同時発売の「むすぶと本。」シリーズ2冊と比べると凝った作りですので、読者は流し読みでなく真っ直ぐに挑んでください。

    最後になりましたが、野村美月先生復活バンザイ!
    記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)Amazon書評・レビュー:記憶書店うたかた堂の淡々 (講談社タイガ)より
    4065204046



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