あれは閃光、ぼくらの心中
評判
あれは閃光、ぼくらの心中の評価:
4.78/5点 レビュー 9件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1〜9 1/1ページ
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あれは閃光、ぼくらの心中の評価:
4.78/5点 レビュー 9件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
文章から目に見えない凄まじいエネルギーが溢れて、押し寄せてくる、そんな小説。
しまと弥勒の、とてつもない絆と、その間を繋ぐ「クソデカ感情」が、読んだ読者自身の胸まで熱くする。どうしよう。こんな、あたたかくて切なくてひりついた感情、胸のどこにも置いておけない。今すぐ叫び出したい。
あーーーーー!
しまと共鳴したい、最高のラストシーンと一緒に。
読んでいて一番悶えたのは、
冷蔵庫に牛乳、シンクの紐にクリームパンが入ったレジ袋がかかってる。
そういう直接言葉に出してるわけじゃないけど、弥勒の優しさが表れてるシーン。公園で運動する場面とか、出前取る時やたら食べさせようとするところか。相手の睡眠や食事を考えるのって、愛情の最たるものだと思う。そしてしまが、弥勒が朝ごはんを買うためにコンビニに行ってくれたと気づいて、音楽を全身で感じるシーンも至高だ。
あと、弥勒が与えていたものをしまが好きだと言った時、びっくりするくらい自分も嬉しくなっている弥勒も愛おしい。彼にとって、誰かに愛情を与えて、それに応えが返ってきたっていう経験は、きっと長いことなかったんだろう。救ったつもりが、いつの間にか救われてる、そういうあったかい繋がりが2人の間にはある。
それから、彼らの関係について、弥勒は確かにしまの保護者だったけど、それだけじゃなかったのが最高に痺れた。
「ディズニー行く?」ってなって、台風でも外に出ようとするあの、馬鹿みたいなことを「うぉー!やるか?やっちまうか?」ってノリで突っ走れる関係。基本しまに弥勒が突っ込むのがこの物語の形だけど、そうやって時々子供みたいに2人が共鳴して盛り上がるのが個人的に好きだった。(鈴木隊長のところとか、)
友達、兄弟、親子…いや、どれも違うか?既存の関係に押し込められない2人だと思った。
いつか必ず、2人でディズニーに行ってほしい。そういう書き下ろしがあればすぐに買います!先生!!
そして、火事騒ぎからの怒涛の展開。最後に向かっていくとともに、2人の互いへの感情が爆発して、もうほとんどラブレターみたいなモノローグが続く。しまが木の側で眠ってしまいみる夢なんてもう、
「新しい宇宙を、きみにあげる。」
こんな完璧な告白を、私は今まで見たことがない。美しく、切なく、しまがどれだけ弥勒を想っているかがこの一言に詰まっていると思う。彼はそこで15歳から始まる弥勒の理想的な人生を想像し、弥勒が幸せなら、自分が崖から落ちたまま終わったっていいとさえ思う。
でもこの後の部分もすごく、すごく良くて。
違う世界線を想像しても、やっぱり弥勒はしまの前に現れる。
これは、しまのピアノを聞いている弥勒の方でもそうだったと思う。マンションから落下するもう1人の弥勒を、しまが見上げて待っている。
物語の終盤かなりの頻度で2人の頭の中にはこういう「もしも」の世界が繰り広げられるのだがーーーどの結末にも必ず、弥勒が、しまが、互いを待っている。どんな世界線でも、それが運命かのように彼らは出会うのだ。理屈はわからない。でも絶対にそうなのだと思わせられる。
弥勒がいるからしまが生きて、しまがいるから弥勒が生きているのだと、本当に心からそう思わせられる、そういう文章の連なりなのだ。
竹宮先生は、目に見えない法則で必ず出会う2人の関係を、その情熱でもって訴えかけてくるから、読んでいるこっちも、「そう?そうか……そうだ、そうだよな!!!」と頷いてしまう。彼らがその瞬間に見た景色を、そこで湧き起こる感情を丁寧に丁寧になぞって、言葉に落とし込んでくれるから、読者は彼らを包む宇宙まるごと、なぜか理解できてしまうのだ。
まるでこの世にたった一つ、誰かのために特別に用意されたもの、
そういう存在。落ちてこいって手を広げて待っている、あぁこいつがいるから大丈夫だなって思えるような存在、それがしまにとっては弥勒で、弥勒にとってはしま。この事実がありえないほど奇跡的で、運命的で、心を震わせられる。
ラスト、再会するシーン。
「ディズニー」という言葉が咄嗟にしまから出てきて、あぁ本当に彼はずっと弥勒を思い続けていたんだとわかって、その時の2人の会話が全然感動的でなくて、だからすごくよかった。彼らはまたすぐに15歳と25歳の頃の彼らに戻れるのかと思うと、その変わらない部分が泣けた。
ライブ始まる寸前。しまが一瞬弥勒を指差し、その手首にクマのヘアゴムがあり、「見てて!」というあの数秒の出来事が、読んでいる私の目の前にありありと浮かんできた。
そうか、この瞬間で、そこで起きた爆発でまた、彼らはこの先10年間生きていけるのだろうと思うと、心から嬉しかった。そしてなぜか、彼らの世界の外側にいる私までもが、その爆発に巻き込まれたように熱くなり、胸奥がうるさく鳴った。そういう終わり方だった。まさしく閃光みたいな、素晴らしい物語だった。