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月の森に、カミよ眠れ
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月の森に、カミよ眠れの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全37件 21~37 2/2ページ
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いろんな事を考えさせられる作品です。子どもから大人まで、幅広いファンに支持される上橋さんならではですね。 | ||||
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「月の森に、カミよ眠れ」上橋菜穂子 偕成社 私が書きたくてたまらなかったモノの一つを、上橋菜穂子は24年前に描いていたことが判った。 あとがきで著者は次のように書いている。 いまも日本は単一民族国家ではありませんが、日本の統一後というイメージが強い平安時代ころにも、日本には多様な民族が住んでいたようです。正史にはほとんど登場しない隼人を主人公にしたのは、漁労や焼き畑、狩猟採集の生活をしていた人々が、朝廷への服従を契機に異なる文化を知り、やがて稲作を受け入れ、強制的に国家に組み入れられていったことで、カミへの意識が変化していったのではないかと思い付き、その変化への葛藤を、3人の巫女に象徴させてえがきたいと思ったからです。(232p) この時代は班田収授法が実施されているので、奈良時代だろう。「朝廷」の軍事力は広く知られていて、昔多くのクニが共同して刃向かって多くの人々が血に沈んだことも伝えられている。九州の南が舞台のようだ。隼人族と伝えられている。主人公たちの風俗は、台湾原住民族の狩猟採集風俗を参考にしたのか、全身入墨を施している。九州縄文文化が稲作文化(弥生文化とは言いたくない)を受けいれる過程の「精神の葛藤」は、どの文献にも、どの考古学的遺物にも残っていない。小説として表したのをキチンと見たのも、これが初めてのような気がする。そもそも縄文文化の精神構造がどうだったかもわからないのだから、当然なのではある。 初潮があった少女を7日間1人籠らせて「月のもののケガレ」を取り除く儀式は、明治時代まで各地で行われていた民俗である。その1番原初的な姿をこの小説は取り入れていて、人類学者としての著者の面目躍如たるところがある。また著者はその原初の姿に縄文的な人類と自然との関わりを観たのだろう。 ここには、のちの「守り人シリーズ」に出てくるもう一つの世界(ユナーク)や、「獣の奏者」の闘蛇の姿も想起させる場面もあり、上橋菜穂子ののちの物語を語る上でも重要な作品になっている。 戦後70年の高度成長期を経て、情報革命を経た日本社会は、おそらく縄文から弥生に移った時以上の急激な変革を体験してきたのではないかと、私は個人的に思っている。その時に、その変革の両方の立場に足を置いた主人公を描いて、大きな物語を紡(つむ)いだこの作品の役割は大きい。しかし、ずいぶん前の作品にもかかわらずこれは一般の文庫に入っていない。「守り人シリーズ」とは一線を画している。著者はこの作品を実験作品とみているのかもしれない。だとしたら、のちに本当に日本の古代を舞台にして大いなる物語が紡がれる最初の話になるのか、それともこのままにするのかはこれからだということだ。私は私で、「カミの意識の変化」という時代を舞台に、あたらしいエンタメを描きたい。 2015年12月3日読了 | ||||
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大人向けの神話の本 と言った感じです。 ・・・読んでいるうちに風景を創造し広い世界感を作って読んでました。 他の作品も読んでみたくなりました。 | ||||
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主人公は人間であり、人間の生活から神々の息吹が失われていく瞬間が、見事なファンタジーとして結実されている。 人々の気持ちのありようを描くだけではなく、まさにこんな風であったかもしれないと思わせる生活のありようの具体性は、著者が文化人類学者であるからこそ。 日本の古代、律令が敷かれていく時代をモデルにしつつ、熱や匂いを感じるような活き活きとした物語になっており、気づけば主人公達と一緒に深い森の空気を感じることができるだろう。 文庫も子ども向けにルビがふられてはいるが、物語は大人であるこそ、感じる部分もあるのではないだろうか。 ナガタチの母子葛藤がキシメとの対話によって解消されるプロセスが見事だと思った。 この物語は現代に至るまでハッピーエンドを付け加えることができない。そこが読者たる私の、一人の大人としての苦々しい反省点である。 | ||||
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他の作品とは違って、はじめは、物語に入り込めない感じでしたが、物語にぐいぐい引きこめれました。神話の時代の悲しくも美しい物語です。上橋菜穂子ファンなら一度は読んでみて欲しいです。 | ||||
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「精霊の守り人」のアニメから入り、原作を読み、もっと上橋さん作品を読みたいと思って手に入れた一冊。 これは、初期の部類に入ると思うのですが、やはり読み始めたら止まらなくて、一気に読んでしまいました。 一般に知られている日本の古代史では語られない、どちらかというと神話に近い世界で、神や自然と一体となって生きている人々の物語です。 気になったのは、ほとんど回想で話が成り立っている点。一般的に見れば、現在進行形で話を進めてほしかったという思いがよぎるのですが、それを差し引いても、上橋ワールドはやはりすごい! この作品があるから後の「精霊の守り人」や「獣の奏者」に繋がっていくのだなと納得しました。 | ||||
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ナミダ涙で読んでいました。深いお話ですね。大好きな内容でした | ||||
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美しい物語だったと思います。 ホウズキノヒメの愛、タヤタの愛、森の生命… 感動の余韻で、蛇好きになってしまいそうです。 | ||||
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篠崎正喜氏の絵本物語と勘違いして購入してしまいました。 作者の他の作品は読んだことがないのですが、アニメーションの「精霊の守り人」は大好きな作品でした。 この作品は短編ではありますが、「もののけ姫」のような世界観が好きな方には十分楽しめるものと思います。 | ||||
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日本には八百万の神々がいて、神様は人だけの為に居るのではない。 カミとは無条件に尊び、懼れるモノだと思いました。 大和朝廷に併呑されていく時代くらいのお話だと思って、読んで良いと思います。 消えていくモノ、もしくは、消えていかざるおえないモノに対する想いが切ない一冊です。 | ||||
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悲しい話だった。最後かなり泣いた。タヤタが哀しくて哀しくて。ていうか、この話に出てくるカミは人に殺されるか人に裏切られるかされてて、ほんとかわいそうだった。かわいそうっていう言葉が陳腐に聞こえるほどに。 どうして人ってこうなんだろう。 タヤタの最後の一言が、悲しくもあり、そしてなんて優しいのだろうと。そこが涙のピーク。大泣きした笑 ここまでのことをされて、なお愛しいと言ってくれるのか。最後微笑んで逝ってくれたのが、せめてもの救いだった。 「神様なんて居ない」と言う人は、統計を取ったらどのくらいになるのだろうか。日本なら5割越えていても不思議ではない。 かつて人とカミとはこんなにも近く、惹かれ合い、寄り添う絆があったのかと考えると、悲しくもあり虚しくもなるが、それが人に与えられた報いなのだろう。 人の欲、たとえば財をもっと増やしたい、今よりも豊かな暮らしをしたい、という欲は、そのまま経済の発展にも繋がる。けれど、それと引き換えるものは大きく、失う未来と得る未来は大きく差がある。足ることを知れば、欲は少なく、争いもなく、少ない糧ながらも、それに感謝しながら心豊かに暮らせる。しかし、欲しがることをすれば、人はそれを叶えることが出来てしまい、もっともっとと止まることをしなくなる。文化や暮らしは変化し、過ごしやすくなるだろう。しかし、地球の命の渦、草や木、水、風、動物、虫、からは独立し、人だけがこの世で異質なものとなってしまった。もう、交わることはないのだろう。 カミ殺しをし、都合よく祭り、不都合な手に負えぬものはオニとして、己の欲を包み隠し、邪悪なものとして非難する。そうやって、目に映るすべてのものは、人が都合よく意味付けしたもので、その本来の、流れるままに在ることを、人はもう気づくことも、考えることも、認めることもしないだろう。 それでも、醜いだけの人ならばまだ良かったのに、人には情というものがあるから始末におえない。中途半端な正義が一番ひどいというのに。人ってもう、どうしようもないよ。 読んでる最中にたつみや章先生の月神シリーズを思い出した。あれと通じるものが結構(いや、かなり)あると思う。この本が好きなら読んで見て損はないと思う。またもや児童書だけど。 | ||||
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大和朝廷の力が九州の山深いムラにまで浸透してきたころの時代がモデルとなっているファンタジー。 このムラでは船に乗りこの地に移民した時より、直にカミとヒトが触れ合って活きてきた。 しかし、朝廷より聖域である月の森の沼地を開拓し、水田を開くことを求められる。 カミはヒトの生死よりも掟を守ること、つまり自然を守ることを求める。 ヒトはカミを殺し封じる苦渋の選択に揺れる。 古代日本の姿を情緒豊かにえがきつつも、ヒトのエゴもえがききった名作。 | ||||
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カミとヒトが強い絆で結ばれていた古代日本で、「神殺し」が行われるに至る村人たちの葛藤と痛みが見事にファンタジーとして昇華されている。人は成長する一方で、大切なものを失っていく。そんなどこかにしまって忘れていた、心の痛みに共鳴するようだった。 | ||||
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もののけ姫を少しほうふつさせる物語りに感じられます。 村の長「カミンマ」と呼ばれるキシメ、蛇神のタヤタ、山の神の子ナガタチの愛の物語り。 <掟は人の命よりだいじ>とこの話しの中でよく出てきますし、キーワードでもあると感じます。この意味(理由)が書かれてますが、私的には半分くらいしか納得出来ないのが本心。特に今の世の中の人達はそうだと思う。 本編の内容、物語りは最後は泣けてくるいいものです。 | ||||
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大和朝廷が近隣の村々を「力」で併呑していった時代くらいの設定でしょうか? 焼畑から稲作への転換をめぐっての「カミ殺し」の話ですが、本文のほとんどは「如何にして殺すか」ではなく「カミがどのような存在だったのか」を、一度死んで生まれなおした娘のキシメの昔語りという形式で書かれています。 ナガタチの異なる視点での語りもあるのですが、ほとんどはキシメの視点でカミの子であるタヤタが語られているため、あまり「カミ」であるタヤタに魅力を感じません。 そのため、「狐笛のかなた」のバッドエンド版のような展開であるにもかかわらず、悲壮感をかんじませんでした。 時代設定こそ違いますし、良い意味でのジュブナイルだから表現が抑えられている部分もありますが、ちょっと坂東 真砂子 が得意とする 「新しいモノ」「ヨソモノ」が介在することでおきる「村」社会「旧価値観」のカタストロフ を彷彿とさせるところがあります。 | ||||
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守人シリーズが好きで、この本も読んでみました。国や時代の設定はちがいますが、作者の自然を愛する気持ちというか、土のにおいがする懐かしい感じは共通しています。 登場人物のキャラクターに違和感があったので、星三つです。はじめ、キシメは村のリーダー的な存在で、若くして人格者なのかと思いましたが、実は幼い現代っ子?でした。ナガタチの役割ももっと大きいと期待して読んでいましたが最後までいまいちでした。ホオズキヒメを主人公にした方が盛り上がったかも…と思いました。 でも、神をも恐れず(存在さえ忘れられ)自然破壊を押し進める現代に重ね合わせた物語として書かれたのかなあと思いました。 | ||||
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もののけ姫の名を出してしまったが、この本のほうが初版の出版時期は古い。念の為。 そう、自然はかくも大きく、恐ろしく、敬われた存在だったのだ。 にもかかわらず、都の暮らしに惹かれ、目先の利益に追われ、土着のカミを遠ざけていった人々。 現代に通ずる自然を殺す人の欲、横並び意識、いろいろと考えさせられた本でした。 | ||||
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