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模倣犯
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模倣犯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.01pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全405件 181~200 10/21ページ
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優れた宮部作品の中では人によって優劣の差がつくにしても(私自身もどれがベストかと聞かれれば『火車』と答える)、この『模倣犯』が格段に劣っているとは思われない。読み応えのあるすばらしい作品だと思う。既に多くのレビューがあるので今更細かいことは書かないが、内容を読んだ上で文庫版のカバーイラストを見ると、本当に怖い!特に1〜3巻。入院中の病室で深夜に気づいてしまい、ちょっとぞっとした。いくつか伏線のように書かれながら、結末までに処理されずに終わったように見える事柄(携帯電話、相談センター…)も、真犯人が”あのような”形でなくともいずれは露見していたはずだということの筆法であろう。心憎いやり方と思う。 | ||||
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時世を10年単位でセグメントしていくとするなら、 '00年代は宮部さんの「模倣犯」に始まり、村上さんの「1Q84」で締め括られる。 「1Q84」を読みながら、そんな想いにかられた。 ホコリをかぶった本書を棚の奥から引っ張り出し、再読する。 '90年代という世代を考えると、 奇しくも'89年という同じ年に起きた女子高生コンクリート詰め事件と宮崎勉事件から、 '94年のオーム、'96年の酒鬼薔薇、'99年のライフスペースと、 ワイドショーに求める刺激は強くなっていく一方だった。 それを逆手に「お前らを楽しませてやろう」と出現したのが網川浩一だった。 ドストエフスキーの「悪霊」で、ピョートルがスタヴローギンに心酔したように、 栗橋浩美はピースに心酔し、高井和明はシャートフと同じ運命を辿る。 浦沢直樹さんの「MONSTER」ヨハンもそうだけど、知的な犯罪者はスマートに見える。 容姿もスマートなら、語りもスマートだし、生き方もスマートだ。 それは悪魔でありながら天使であり「神の子」のようですらある。 ハンニバル・レクターのように。 でも、現実の事件はどうだろう? テレビの画面に映し出された誰がスマートだっただろうか? 作品の中で描かれるのは加害者はどこかの被害者で、被害者はどこかの加害者。 宮部さん独特の人間への慈愛が作品の節々にあふれている。 それでも読後感は哀しい。 確かに現実の事件でも加害者はどこかの被害者だったかもしれない。 だけど、それを知ったところで、被害者が納得するわけがない。 それを知っていたからスタヴローギンは自ら首を吊るした。 ピースは最期まで己が神だと誇示し続けた。 読後感の哀しさは、この人間の愚かさへの哀しさなのかもしれない。 | ||||
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一流の料理人が一流の食材を使い、一流の料理を作った。しかし、量が多すぎた。本書を読んだ感想はまさにコレです。蛇足とも思えるエピソードや、不要と思える登場人物まで、こと細かに描写されており、ボリュームたっぷりですが、読んでいて疲れました。事件そのものは最後のほうで、あっけなく解決してしまうし……。もう少し、的を絞れば、傑作になるのではと思います。 | ||||
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…なぜならば。 自分だけは、我が家だけはひととは違う。そう思って皆生きている。殺される瞬間まで。 被害者側もなにか普通とは違うところがあったのだ、だから私達とは別世界の問題、私達は安心、と思いたいのだ。 …そう言われたように感じたから。 「火車」の本間刑事的人物は登場せず、淡々と歩みを緩めずに非情な凶行が続いていく。 本間刑事は犯人の背景を描き出しつつ本人に迫っていく軌跡を描きましたが、ここで犯人に迫る役割を得たライターは自らも物語の波に押し流され、浮き沈みしつつ終幕へ向けて動いていきます。 神の救いの手は存在せず、もがき苦しみ、それでも営々と生活を続けなければならない人々がいる。そして、それは特別なことではない。そんな読後感でした。 それでも星5つをつけたのは、エンタテイメントを超えて、宮部さんが犯罪小説をかく意味を聞いた気がするから。 自らの役目を全うしようと仕事に取り組む気迫のようなものを感じる作品でした。 | ||||
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自分は小説自体あまりよまないので、他のミステリーと比較しているわけではありませんが、この小説は惨い話に感じました。 というのは被害者の数が多く、各々の人となりをこと細かに描写している。そうしておいて犯人に理不尽に殺される。犯人の犯行に至った経緯や黒い感情を1〜2巻にわたって細かく描いている。そして被害者にとって救いとなるような話がない。犯人が裁かれるような話も(小説自体が犯人逮捕すぐに終わり、事後がほとんど描かれていない)。 そんなことを求めるなんて、まさに大衆だと、小説に登場した犯人逮捕に携わった人たちに笑われるかもしれませんね。まあ小説ってことなんで許してください。ただ、読み始めてみると、漫画みたいで続きが気になってどんどん先を読みたくなります。小説自体はかなり長めですが、緊張する場面、盛り上がる場面がテンポよく差し込まれており、読者を飽きさせない。推理要素的なものはなく、犯人や被害者たちのえげつない話を読みたいって方にはお勧めかもしれませんね。 | ||||
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小説は面白かったのですが、笑った顔がピースマークに見えるというのがどうしてもわかりませんでした。スマイルバッチに似ている、の間違いではなくて? と思ってしまったのですが。ピースマークは上に一本、そして下に放射線状に三本線が出ているマークですよね(わからないって方はすみません、検索してみてください)。あれに似てるって・・・? どなたかなにか書いてないかなとひと通りは見たつもりですが、見つけられませんでした。スマイルバッチならわかるんですけどね。うーん。 | ||||
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この名作を今頃読んでいて申し訳ないです。 遠い昔に映画で観てショボかったけど、原作は映画よりも格段に良いですね。 『蛇にピアス』、『告白』などは、なぜか原作よりも映画のほうが良かったのだけど、 やはりこの長さになると、とうてい映画では表現し切れません。 そして『ピース』の特異さを、Smapの中居さんでは到底……。 (ただ、『ヒロミ』の役をやっていた人はかなり合ってます。あのイメージで読みました) それから宮部みゆきの上手さは、普通に生活している人の描写にあると思います。 『理由』を読んだときも思ったのですが、いわゆる一般的な人たち一人ひとりの毎日の生活、趣味、思い、悩みが非常に丁寧に描かれていて、それが読んでいる側としてはとても心地良いのです。 作品が地に足についている感じ、決して荒唐無稽な話ではないという身近感。これが宮部みゆきの魅力であり、これは到底、映画で表現できるものではないと思います。 視覚障害のエピソードもかなりリアルだったので、あれに希望を見出した読者もかなりいたようだけど、実はそれもフィクションだったとは、結構驚きました。『識字障害』の一種で実在しているのかと思いましたから。 | ||||
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この小説は文庫本で5冊で、以下のような内容です。 【第一巻】 第一部 被害者の遺族および警察側の話 【第二・三巻】第二部 犯人者側の話(第一部の最後に至るまでの話) 【第四・五巻】第三部 その後の話 私は、三巻目の途中で読むのをやめようとしました。 それは、第二部で、犯人のイカれた考えの説明や行動が延々と続き、非常に気分が悪くなったからです。 人の首を絞めて殺すときの快感を説明されても、吐き気がするだけです。 スプラッタということではなく精神的にイヤーな感じです。 それに犯人以外の他の悪人も出てきてそのイカれた考えや行動も読んでるこちらをめいらせます。 すべて読み終わってみると、五巻目の展開がすごく面白かったので満足しているのですが、第二部はなくしてしまえば、反吐が出そうなところもなくなり、長さもほどよくなると思います。 第二部がある限り、女性や子供には薦められません。 | ||||
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昔立ち読みした本。良く読んだな、この厚みを立ちっぱなしで。 「楽園」を読むにあたり、ちゃんと読み直そうと思って文庫本で再読。 大作だった。 宮部みゆきの人物描写が好き。 心情表現など本当に細やかで、いろんな登場人物の悲喜交々が伝わってくる。 でも、終盤犯人のスケールがどんどんちっさくなっていったのは微妙に感じた。 「不幸なめぐり合わせ」と取るか「たまたまうまくいった」と取るかで この事件に感じる恐怖や被害者、犯人それぞれへの印象が随分変わってしまう。 狙って犯人像をスケールダウンさせていっているとは思うんだけど、 それと「たまたまうまくいった」要素が相まり、 読んでいて被害者へのやりきれない気持ちが強くなり過ぎてしまった。 結果として、読後感は悪かった。 悪いだけで終わらせないのが、この作家さんの凄さでもあるのだけれど。 最後の彼の慟哭が、今思い出しても切ない。 これだけの長編を見事纏め上げたのは素晴らしい。 ただ若干中だるみもあったため★はマイナス1で。 | ||||
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久し振りに再読した。あらためて感じたのは、著者の丁寧さと読者に対する誠実さだ。その場面にしか登場しないような人物にもストーリーを持たせ、本筋のストーリーに厚みを持たせるという手法を、「ムダに長い」と感じる人もいるはずだが、私はこれが作者の作品の魅力であるととともに、丁寧さと読者に対する誠実さだと思っている。 そして、長篇であってもリーダビリティが高いのは、ストーリーテラーとしての実力もあるが、もうひとつ忘れていけないのは作者の文章だ。難しい単語が使われることはなく、すっと文意が理解できる。だが、無機質な文章ではない。登場人物のセリフもふくめて体温を感じる文章だ。 著者の作品を全て読んでいるわけではないので断言はできないのだが、彼女の作品ではどんなに残酷な世界が描かれていても、何かしら救いの部分がある。これが、宮部作品の魅力なのだが、同時に物足りなさを感じる部分でもあると思う。 この作品でもそうだ。確かにピースは救いのない人物ではあるが、著者は他の人物に救いを与えている。 ただ、自分自身はそこに、なんとなく物足りなさを感じてしまうので、ここ数年は著者の作品から離れていた。今回、久し振りに再読してもこの印象は変らなかったのだが、これは読み手の好みの問題であり、著者の実力に起因するものではない。 10年以上前の作品なので、設定などの部分で今の時代にそぐわない面もあるが、小説としての輝きは失われていなかった。やはり、日本を代表する小説家の一人だと思う。 | ||||
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映画がイマイチだったり、登場人物が多すぎて敬遠されたりでマイナスイメージも付いてしまってる気がして心配なのですが、コレ、相当面白いです。 ミステリーでもありますが、群像劇でもあります。 人間の「気持ち」が描かれている。 「宮部作品は、時代小説のほうがいい。だって人情味があるから。」という意見を昔聞いたことがありますが、宮部現代ミステリーにも、ちゃんと人情味があります。ミステリーテイストに包まれて見えにくくなってるだけで。 一度目はミステリー要素に引きずられて早く真相がしりたくて人間の気持ちにあまり目を向けずに読んでしまいましたが、しばらくしてもう一度読んでみたら、ヒューマンドラマ的な印象になりました。 二度読み、オススメです。 | ||||
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読後の感想は「長い。けれど、読み応えある丁寧なサスペンス」 時間をかけただけはある。著者の主張がいたる所に散りばめられている。 義男とピースのやり取り、編集長と滋子の対峙。と読むべき個所は随所に。 丁寧という印象はおそらくそこから来ている。 登場人物の過去、心理描写にページを割くあまり、「長い」小説となっているのは 仕方ないのかもしれない。 「火車」ほどのスリリングさ、テンポのよさはないかも知れないが、この小説には 随所に盛り上がる個所があるため長くても読めてしまう。 | ||||
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上下巻の上巻です。 どちらともとても分厚い。 その中には登場人物ひとりひとりの気持ちが深く記されています。 一番印象的なのが孫が行方不明になった老人の気持ち。 色々な情報が詰まっているので老人の出来事がよく知る人のことのように感情移入できます。 なんでこんな酷い事ができるの?、自分を正当化するイっちゃってる犯人、 小説の中だけにしてほしい。。。が、実際こんな事件はたくさん起こっているし 巻き込まれた被害者もたくさんいる。 被害者の気持ち、犯人の気持ちがいろんな意味で痛いほど伝わる悲しいお話です。 長いですが苦労して読んだ分、この物語の一登場人物になったように 一緒に怒り、一緒に泣けることのできる作品です。 | ||||
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殺人は、被害者や加害者だけでなく、その家族の人生までも殺してしまう。 ウソは、どんな遠くに放り出しても、自分で帰り道を見つけて戻ってくる。 最終盤で見せる展開は上巻からでは想像もつかないもので、事件前の日常を丹念に描き込んだことで、落差を強調する効果が出ています。特に、高井由美子の文字通りの転落ぶりには驚くばかり。 それぞれのエピソードは面白いし、スルスル読めるのですが、読む絶対量が多いから苦行感は抜けないし、撒かれた伏線も忘れてしまいそうなのが困りモノ。 エンタメ小説としては面白い部類に入ると思うけど、その分量は読む側・解釈する側に十分な覚悟を求めます。それだけに「作者が映画化の出来に納得しなかった」というのも分かるような気がします。 | ||||
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『(登場人物)は現在〜な状態である。そもそも(登場人物)は〜(人となり、生い立ち、環境などの説明)である。だから、今、〜なのだ。(短いエピソード)。と、いうことは、どういうことなのだろう?』この繰り返し。個々のエピソードはそれなりに面白いのでどんどん読めますが、あまりにも数が多いため、三分の二程度まで読み進むとほとんどの章がこのような同じ構成であることに気づいてしまいます。そして丁度その頃合で、お話自体も何か別の世界の物語のように変わってしまいます。前半の細かく繊細な思考や行動をする人々がいなくなり、大雑把で場当たり的な人々だけしか登場しなくなる、または同じ人物であってもまるで別人のように思考力を失って迷走してしまう。後半の物語をまとめ、終わらせるためには仕方ないことなのはとても理解できるのですが、要するに作者のご都合主義が「果物皿の中のモナリザのように、面白いほどよく見え」てしまいます。最後のどんでん返しもとってつけたように感じました、なぜならラストに至るまで「その人物がそのポイントにそんなにも」拘泥しているという描写が無かったから。そして最後のまとめ方。終わりよければ全て良しですか?「世の中を甘く見て」いるのはいったい誰ですか?……とこう批判的な意見を述べましたが、全体の感想としてはとても面白かったです、タイトルにも書きましたが通勤しながらちょっとずつ読むには最適です。私がこうも穿った批判的な感想を持ってしまったのは、ついおもしろくて、後半部分を休日に家でじっくり読んでしまったのがなによりの失敗ではないかと思う次第です。 | ||||
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時間をつぶすには最適な本ですお勧めな一冊です。宮部みゆきは、面白いですね。登場人物がいっぱい出てきます。事件に関係ある人ですが、誰がどう関係するか、あとになって絶妙につながって、関心します。それにしても、700ページの半分くらいで、犯人が誰だかわかり、動機や犯行の手口が明らかになってくるわけですが、下巻には何が書いてあるのでしょうか・・・。早く下巻が読みたいでーす。 | ||||
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やはり残念な後読感だったなと。火車 理由 と読んで久々に宮部作品を読んだ感想である。 プロットは、なかなか面白いので読んで終うのだが、途中かなり我慢して読んでいる自分がかなり居る。 一番気になるのが会話文の不自然さだ! 普通の会話でこんな言い回しや熟語使わないだろうと言うのがかなりあるし会話文でその人物の年齢や人柄が全くにじみ出てこない。 その次に長い長すぎる! この半分で十分と言うかその方がテンポよくしまった作品になったと思う。そしてラスト ここまで狡猾に来た犯人があんな落ちかたか?ここまで読ませてこれかよ!!!ってかんじですか。あー残念! | ||||
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前半(特に最初の一巻)はとても面白かった。一々の事件の背景やスリリングな内容、被害者家族の抱える闇、それに相対して無情に犯行を繰り返す犯人。 一冊読み終えると次巻に進まざるを得ない程に次から次と引きつけられました。しかし残念なことに、読み進むにつれ、展開に対する物足りなさが次々と出て来たような気がします。一々前半で強烈だった登場人物像が、後半で物語が核心に近づくにつれ、徐々に徐々に薄っぺらい存在になっていったような気すらします。(ネタバレ)高井和明の妹由美子の前半の姿と後半との落差には、物語の衝撃性を求めての結果でしょうが、どうにも共感も感情移入もできませんでした(結局は愚鈍だと感じていた兄よりも本人のほうがより愚鈍だったのか。。。)。 特にクライマックスのテレビ局でのやりとりも、あれだけ冷静に冷酷に振る舞っていた『X』の最後にしては、熱くなりやすいという欠点を踏まえたとしても、いささかあっけなさすぎるような気がします。 前半に上手くちりばめられていた要素が、殆ど後半に活きなかったような気がします。 終わりを急いだのでしょうか。 前半で引きつけられた分、余計に残念な気がします。 | ||||
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読後の感想としてまず頭に浮かんだのが、「なんて辛い話だ、、、」ということ。 連続殺人というミステリーものには定番の設定で、実際の内容も笑う犯人、追う警察、悲しむ遺族といった 、連続殺人の話には定番に登場するであろう人々がやはり登場し、その人々の視点を代わる代わる描くといった内容。絡み合っている人間関係ではあるが、それもミステリーには欠かせない要素、まぁ「新しい!」 とは言える展開ではないと思います。 しかし、その設定の中で光るのが遺族の悲しみの目を通した視点。遺族がどれだけ悲しいか、どれだけ 辛いか、遺族の周りの人々との会話や心の内の声でその様子を読み手の心にシンクロするように描いている。読み手に心を焦らすような描写といえばよいでしょうか、とにかく遺族の気持ちが伝わってきて、こちらまで辛くなってきます。 そして、ネタばれですが、行方不明の孫を持つ祖父のその孫の遺体が見つかる場面。行方不明の身内を持ち、暗い日常を過ごし、しかしそれでも過ぎていく日常にいきなりその知らせが届きます。 そのシーンの唐突具合、そしてその知らせを聞いた祖父の目も眩むような絶望。読み手も一緒に目が眩み、涙が浮かんでしまうような淡々とした、それでいて深い絶望を感じます。 その場面で、たまたま近くにいた人の「なんてひどい、」というセリフが、この小説の上巻を表し、この場面が全体の山場を表しているかと私は思います。 このような、心深くまでもぐりこむような描写をする作者が怖いです。しかし、今このレビューを書いていて思いましたが、実際の殺人の被害者遺族はこのような心境になっていたのではと思うと、、、やりきれません。 読み手の心に深く入ってくるその描写手腕は明らかに一級品。文句なしの5つ星です。 | ||||
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とにかく長い。無駄に長いと思われるストーリ。引き込まれるものが何もなく、1巻の終わりまで読んでも、登場人物の背景が綴られるだけの展開に限界がきてしまい、1巻の途中で挫折しました。 自分は『火車』も読めませんでした。 | ||||
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