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(短編集)
ポイズンドーター・ホーリーマザー
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ポイズンドーター・ホーリーマザーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 81~92 5/5ページ
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湊作品については、ある事件が起こり、登場人物たちが語る独白のような語りによって、 様々な真実が明らかになっていく流れが楽しみな作品だが、 今回の作品に限っては、最終話でがっかりしてしまった。 作者が、「ホーリーマザー」で理穂に語らせている内容が、いつもながらの「本人だけの身勝手な正論」 と受け取るには、物語の流れとして、どうしても楽しめないからだ。 「ポイズンドーター」の話を受けて、「ホーリーマザー」はあるが、 立場が違えば受け取り方はそれぞれだと読者が受け取るのには、理穂の立ち位置がわかりにくいため、 違う意味での不快感が残ることになる。 「ホーリーマザー」で語る理穂が「ポイズンドーター」の弓香よりも、 人間的に物事の本質を深く理解しており、大人として成長を遂げた人物のように 描かれているが、理穂のずるさが明確に浮き上がってこない分、読者としてはどう受け取ればいいのか戸惑うことになるからだ。 実際、理穂は自分の生きてきたちいさな世界だけで、自分が成長した人間だと認識しているし、 弓香を馬鹿にもしている。 また、週刊誌の記者に弓香のことを売ったにも関わらず、それについては隠そうとしている。 弓香が想像もしていなかったマリアの衝撃的な過去についても、父親がなぜ、中卒のマリアを採用したのかは、 考えないようにしている。 要するに、自分に都合の悪いこと、自分の周囲にいて、自分に優しくしてくれる人については、 (大人になった後、弓香の母親も含む) 「みんな本当はそんなに悪い人じゃない。」と考えることで、自分を守っているだけにみえる。 これは立場が違えば、見え方が違うのではなく、どう考えても理穂の生きていくうえでの 自分に都合のいい防衛本能のように感じる。 自分は笑いながら、弓香と話したかったなどと言っているが、 親子関係の悩みの解決時期など、理穂が決めることではないはず。 自分が結婚し、姑と同居し、母親になったからと言って、それがなんだというのだろうか。 作者は、毒親だと自分の親を安易に決めつけて、自分の人生がうまくいかないことへの 不満をまき散らしている人を非難しているのかもしれないが、 「毒親だと自分の親を言っていいのは、極論に値するような親を持った子供のみで、 それ以外は声をあげるべきではない。」 「沖で激しい波に飲みこまれて、息も絶え絶えに苦しんでいる人はいいが、 弓香は所詮、浅瀬でばしゃばしゃもがいているだけ。」 人の苦しみの基準は、その人にしかわからないものだし、弓香の母親が積み重ねてきたこと、 それによって弓香が苦しみ、追い詰められていたことも事実なはず。 このあたりの描写が、作者の偏った考え方によるものなのか、それともいつも通りの 身勝手に自分が正しいと思い込んでいる登場人物の意見なのかが、あまりに曖昧で力不足と思わざるをえない。 10年後には消えているだろう呼び名だ・・・・。 「毒親」という名前は消えるかもしれないが、どうせ、違う呼び名が出てくることだろう。 結局のところ、弓香と理穂は、それぞれが自分の気持ちの押し付け合いをしているだけで、 理穂が弓香よりも成長したとも思えない。 自分の立場が変わったから、母親を許し(たぶん)、娘からはたとえ一時的に毒親だと非難されようと、 いつの日か理解してもらえると思いたいだけなのだろうと思う。 そして、気の合わない姑と弓香の悪口を楽しむのだ。(笑) もし、理穂の子供が息子で、理穂の父親に性格が似ていたら? 自分を守るために、さて、理穂はどんな「成長」を遂げるのか。 母親を苦しめた父親、中卒のマリアを雇った背景を考えないことにしている理由、 意外と娘よりも息子が可愛くなり、「やはり母親は毒親だったのだ。」などと 言い出すのかもしれない。(苦笑) 理穂の立ち位置が、力不足。 残念。 | ||||
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嫌ミス作家の売れっ子筆頭とされる湊さんの新作で、直木賞候補作でもある作品です。 内容については詳しくは言いませんが(ネタバレしてしまうと、面白さが半減してしまうので)、面白いのは確かなんです。確かなんですけど、これが直木賞候補作になったのは少し不思議でした。親しみやすい文章だし、適度な毒を入れているのも湊さんらしいです。ただ、毒の入れかた、そして毒の見せかた、そういったものが露骨すぎる気がするんです。おまけに表題作になっている「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」は、ちょっと前に発表された「母性」という作品のダイジェスト版のようにしか思えなかったです。 | ||||
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殺人に至る経緯、それぞれに考えがあっての流れが巧みに描かれていて、無理なく読んでしまいました。自分の経験からもう少し早く出逢っていたら、親子関係が違ったかも?とも思いましたが、人間って混乱の最中では解れないと思った次第です。作品はどれもワクワクでした。 | ||||
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湊さん、『ユートピア』で山本周五郎賞受賞おめでとうございます。 さて、本作は僕は大いに共感できる部分がありました。 僕は父親から中学受験をすすめられ、中高一貫校に入学しましたが、 僕の本当の夢は画家になることで、 高校は美術の専門高校に行きたかった。 中高一貫校での勉強はとても大変で、 美術の大学を目指したかったのに、 先生からは猛反対され、 生徒からは異端扱いされ警察沙汰のいじめに遭い、 精神分裂症・広汎性発達障害・鬱病にかかって、 絵が描けなくなってしまい、 結局美術の大学を諦めた。 全部、父親のせいだ! 画家になりたかったのに。 美術の高校に行きたかったのに。 美術の大学に行きたかったのに。 そう思っていたんですが、本作を読んで、 僕の考えも少し変わったように思います。 父親も何も悪いことはしていないと思いました。 マリアの母親のようにもっと悪い親がいるので、 僕は恵まれているのだと思わないといけないと思いました。 束縛の強い父親でしたが、これからは愛を持って接していきたいと思いました。 湊さんに感謝です。 | ||||
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湊かなえさんの作品は、ほぼ完読しています。 この作品は、特に良かったです。 一日で一気に読めました。 ひっかかりもなく、さらっと読めました。 読書中に眉間にシワがよらないようなこういう作品が、私は好きです。 でも内容は決してLightではなかったです。 人間の心理の本質が描かれてました。 とても面白かったです。 やるせない気持ちにもなることもありましたが、そこもまた楽しめました。 歳をとるごとに感動のハードルが高くなりがちでしたが、久々にあるあると主人公に感情移入しながら楽しく読むことができました。 良い時間を過ごせた作品でした。 Kindle版で読みたかったのが、残念です。 | ||||
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キンドルで読みたいのですがいつなるのでしょうか、時期を知りたいです。 | ||||
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思っているだけでは伝わらない事が沢山あるんだ 言葉で伝えて沢山話をしたいと思いました。 | ||||
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毒親をテーマに扱っているという著者の記事を元に初めて購入した。 弓香、理穂共に母親が境界性、依存性パーソナリティ障害の傾向にある内容であった。マリヤ同様弓香のケースも虐待に相当する行為だ。机を勝手に開けるなど。故に過干渉、過保護は同異議と以前聞いたことがある。どちらの母親も自尊心が低く、見捨てられ不安がある精神的に弱い人物。何かに依存することでしか存在意義を見出せないのであろう。 ネット社会の影響か誰が悪いか徹底的に叩く傾向があるバッシング社会の昨今。人の問題に関心を持ち過ぎる過剰な情報社会がこのような弊害を生み出しているのではないだろか。人の悩みは比較出来ない。特に理穂の弓香に対する口調は自己満足にしか私には聞こえなかった。自分がいかにして上に立つかという点しか頭に無いのであろう。理穂は心の中で母親を許したとあるが、いつまでも共依存のまま何も学ばずに老い零れて行くのが哀れであった 女性のマザコンについての視点は新しいが、私は今後著者の作品は読まないと即断した次第だ。毒親に関しての内容が著しく薄い。自立出来ない娘について記述したかったのだろうが、周囲の拒否反応を過度に気にしていてそこまで振り回される必要は無いと感じた。人は人。自分は自分。そう割り切って情報を流す習慣を身に付けなければ、きっと誰かを傷付けることになるだろう。それは今の日本では無理なことだとは理解してはいるのだが。 海で溺れてどちらをという場面は溺れさせておけばいいのです。スピリチュアル的に申し上げると、向上心がある娘はその真逆の傾向にある母親と対立し易いということ。最終場面の理穂の記述がとにかく不快!買わなければ良かった。 | ||||
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湊 かなえさんの最新短編集 「マイディアレスト」「ベストフレンド」「罪深き女」「優しい人」 「ポイズンドーター」「ホーリーマザー」 これら6編が収録されています。 表題作になっている「ポイズンドーター・ホーリーマザー」は 「ポイズンドーター」で生じた疑問が「ホーリーマザー」を読むことで解き明かされます。 長編のイメージが強い湊さんですが、短い短編の中にも不穏な空気感が凝縮されていて ドキドキさせられつつも面白かったです。 主人公の独白から始まる「マイディアレスト」 母と娘二人の関係性を描いたストーリーですがホラー的要素もあり1話目からかなり怖い 脚本家を目指し最優秀賞を受賞した「大豆生田薫子」 優秀賞を受賞した、「漣涼香」「直下未来」 珍しい名前を持つ3人を描いた「ベストフレンド」は斬新な内容と結末の意外性が面白い リアリティーがあり常に登場人物が脳内映像で動いていた「罪深き女」「優しい人」 表題作になっている連作の2編は最近耳にする様になった「毒母」「毒娘」がテーマ 短編とは言え、一筋縄では行かない人間の様々な感情がイヤミス感満載で描かれ 良い意味で予想を裏切る結末は気持ちがザラリとするものの面白かったです。 ブラックな湊作品が好きな方にはオススメの1冊 余談ですが図書館に返却に行った所、予約数152件も入っていました。 やはり目が離せない作家さんです。 | ||||
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どこにでもあるような、ちょっとした擦れ違い。 誰でも一度は経験があるだろう思い違い。もしくは誤解。 行動すべてにいちいち説明を付けてはいられないのだから、それぞれの人の解釈で、その人その人受け取る。 誤解も思い違いも、すれ違いもきっと世の中にはいっぱいあって、世の中はできているんだとあらためて思う。 湊かなえさんのすごいところは、そういう誤解や思い違いから生まれる小さな悲劇を、避けることなく隠すことなく、書ききるところだと思う。 大きなことを大きく描く作家はいっぱいいるけれど、狭い範囲のことをより狭く絞って書く。 誰にとっても取るに足らないだろう出来事を、あえて、そんなことどうだっていいじゃんと思うようなことにキチンと目を向けるところなんだろうと思う。 | ||||
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母娘の話というより、 『同じ出来事でも、見る人や立場によってこんなに見え方が違う』 という連作だったように思う。 最近の湊さんの作品はちょっと中弛み感があったので(ユートピアとか)、久しぶりにピリリとした湊節が見られて満足です。 ただ、湊作品は全部読んでますが、初読時は予想外で面白いんだけど、後から何度も読み直そうとは思えない。 出オチというか、一度読めばいいかという感じで、恩田陸さんとか宮部みゆきさんみたいに、ミステリーの中に人間の深みがあるわけではない。そこが物足りないかなあ。 まあキャラというよりトリックの作家さんだと思うので湊節はこれからも楽しみですが、一度ちゃんと人間の業を描いた、手元にずっと残しておきたいような湊作品も読んでみたい気がする。 | ||||
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短編6編。 読み始めは「あれ?こんなもん?」という気がしないでもなかったが、「罪深き女」辺りからエンジンかかった。 後は「何?何が悪かったの?なんでこうなってしまうの?」の世界にどっぷり浸りました。 表題作の印象は、コップの中の嵐は悲劇なんだろうか喜劇なんだろうか、でした。 好み的には「優しい女」がツボだった。 楽しませて頂きました。 ☆は「湊氏ならこの位面白くて当然」というスタンスで付けてます。 | ||||
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