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暗幕のゲルニカ
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暗幕のゲルニカの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全152件 121~140 7/8ページ
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美術の教科書でしか見たことがない「ゲルニカ」……。 絵画に全く興味のない私でさえ、どんな作品だったか思い出せるということは、よほど強烈な印象だったのだろう。 その制作過程を描いた部分が一番ワクワクした。 決してピカソが絵筆を折ることがないよう、様々な敵から守った愛人ドラ。 「ゲルニカ」を戦禍から逃し、アメリカ“MoMA”へ持ち込み、真のメッセージを世界に向け発信しようとしたバルド。 この20世紀パートの登場人物からは、強い意志、使命感が感じられ、生き生きと描かれていた。 しかし、21世紀パートの登場人物の主役である瑤子の描き方が雑。命が吹き込まれていなかった。 「9.11」と「ゲルニカ」を結びつけたのは理解できるが、成功したとは言えない。 表現の繰り返しが多過ぎるのも気になった。ちょっとしつこい。 瑤子が、テロ組織「バスク祖国と自由」に拉致されるあたりからは、「うーん……?」と唸るしかなくて、最後の展覧会の描写に至っては、盛り上がるどころか、興ざめ。 パブロ・ピカソの代表作の一つ「ゲルニカ」が生まれた背景を知ることができたことは良かった。 | ||||
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イラク空爆前夜、当時のアメリカ国務長官コリン・パウエルが国連本部で記者会見した際、そこにあるはずのタペストリーが暗幕で隠されていたという出来事があったそうだ。 それが、ピカソのゲルニカのレプリカだった。 その出来事に立脚されているが、物語中の「現在」は仮名を与えられた人物達が生きる、少し仮想の現在になっている。 その少し仮想の21世紀と、「ゲルニカ」を描いているピカソとそれを撮影するドラ・マールが生きる20世紀が、同時進行に語られる。 少々、複雑な進行をしているわけだが、ゲルニカの空爆と9.11やイラクへの空爆がぴたりと重なり合い、その野蛮に対するアートからの抵抗が呼応する。 そして、ドラのピカソへの愛と、瑤子のイーサンへの愛が共鳴しあう。 どこまでが事実に基づいており、どこからが創作であるのか、溶け合ってわからないほど。 物語がどこへたどり着くのか、ページを繰るのももどかしくなる。 私の敵は、戦争である。暴力である。憎悪である。 絵筆一本で闘ったピカソと、美の守護神となることで共闘した人々の祈りに満ちた物語だった。 | ||||
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こんどバスクに行くんですよと知り合いに言ったらこの本をすすめられた。ゲルニカ。気になって調べたところ、ゲルニカにはゲルニカはなく、マドリッドにある。そういう話もこの小説の複線になっている。原田マハさんはテレビの美術番組で見たことがあり、何をする人なのかなと思っていたがこういう小説を書く人なんだ。キュレーターとしてMoMAにいたこともある。登場人物の一人がMoMAのキュレーターというこの小説は彼女の経験と見識に裏打ちされて、大胆な筋書きながら絵空事とは思えない本物感が随所に出ていて読みごたえがあった。 ピカソは20世紀の芸術の代名詞みたいな人だけれども、子供のころに箱根の森美術館でピカソの陶芸コレクションを見たときには、「これの何がいいのだろう」と思った。長じて2回、ピカソの展覧会に行った。ひとつはMoMAのPicasso and Portraiture(1996)、もうひとつはTATE ModernでのMattisse Picasso(2002)。後者においてはマチスの存在感が圧倒的だったが、ピカソの描いた肖像画ばかりを集めたMoMAの展覧会はピカソの自在さと力強さとそれらの源泉となった彼にまつわる実在の人間の息吹が伝わってくるもので、強く印象に残っている。なかでも彼のミューズとなった女性たちのそれぞれの個性がカンバスに生き生きと再現されていて、彼女たちを知っているような気にさえなった。印象に残っているのはビスクドールのように端正なオルガ。母性溢れる温かなマリーテレーズ。そして、首の長い花として描かれたフランソワーズ。なぜかドラ・マールのことはあまり印象にない。そのとき自分が絵をみたかぎりでは、ピカソはマリーテレーズのことをもっとも愛したのではないかと思った。 しかし本書での主役はドラ・マールである。彼女がこの歴史的な作品の制作過程を写真におさめていた。ゲルニカはピカソにとっても特別な作品であろう。そのコンセプトの誕生から絵の完成までをともにしたドラ・マールとの関係が壊れたのは必然だったかもしれない。ピカソが苦しみ抜いて描いたゲルニカは、祖国を守るために世界を放浪するという悲劇の運命を背負っていた。この絵の母ともいえるドラを見るたびにそのことが思い出されただろう。ゲルニカがなければ二人の関係は少なくとももう少し長続きはしていただろうか。あるいは、ゲルニカを作るために二人の関係は続いたのか。というようなところは、本書の脇道の話だが、読みながら20年以上も前にニューヨークで見たピカソポートレート展の記憶が押し寄せるように戻ってきて、その後ほとんど思い出すことのなかった絵そのものもぼんやりと思い出されてきた。ピカソがマリーテレーズに会いにいっているかもしれない、「次の女」を見つけようとしているかもしれない、と思っていたたまれなくなるマリーテレーズ。でも「が、このいたたまれなくなる感じがいっそ好きだった」。マハはそんなふうにドラを描く。ポートレート展では絶対に「泣く女」もあったはずなのに、はっきり像を結ばない。その理由さえこの本が与えてくれているような気がした。 あの展覧会は9.11以前のことだった。2003年にパウエル長官が国連安保理会議場のロビーで会見したときにゲルニカのタペストリーに暗幕がかけられていたというのは本当のことらしいが、知らなかった。それに憤った大コレクターの言葉を目にして原田マハはこの小説を書くと決めた、と東洋経済オンラインのインタビューで読んだ。おなじインタビューでこの作品は10%が史実で90%がフィクションであるとも書いてあった。フィクションの部分の最大の謎は「誰がゲルニカに暗幕をかけたのか」である。普通に考えるとホワイトハウスだが、深読みをするとあの人であるような気もする。それにしても、ヒトラー。最近読むどんな本にも出てくると言ったらいいすぎか。ピカソも含むモダン・アートの作品をわざと劣悪な展示環境で価値のないもののように展示した「退廃芸術展」なるものがあったことをこの本で初めて知った。芸術が政治の道具にもなり得るし、政治に対する武器にもなり得るということの証左である。 この小説に描かれる八神瑤子のゲルニカを借り出すための命懸けの戦いは、「映画みたい」な話ではなく、十分にありえた話だろう。芸術もビジネスにまけずおとらずかけひきとパワーゲームの世界であり、展覧会はキュレーターが全人格をかけてつくりあげたコンテンツだ。今回、自分の行った展覧会についての記録をネットで調べてみたが、たとえばMoMAのサイトではExhibition Historyとして展覧会の記録を開館当時のものまでさかのぼることができる。マドリッドではゲルニカを必ず観に行こうと思った。「世界が崩れる瞬間を見てしまった、創造主の目」をした牡牛に対面しに。 | ||||
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どこまでが事実なのかよく知らないながらも、ゲルニカの描かれた意図、ドラ・マール、の存在、ETAのことなど とても勉強になりました。 楽園のカンヴァスの方が良いという意見がたくさんありますが、楽園のカンヴァスを読んだ時以上に「そうなんだ!」ということが多かったです。 でも楽園のカンヴァスも久しぶりに読み直してみようと思いました。 今のような時代だからこそ、例えば芸術の力で平和が実現するような世界が本当に来ると良いな、という祈り、願いを強く感じます。 | ||||
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ヨーロッパに反移民と極右の波がひたひたと押し寄せ,アメリカにトランプなどというおよそアメリカ民主主義とはかけ離れた大統領が誕生するとき,第1次大戦後の Naziが誕生するときに驚くほど似ている現代に,Francoと真正面から向き合った Picasso の作品を, 2011年の WT Center への飛行機の突入とからませてストーリーを展開していく様子は,大変共感して読むことができた。多分そのころよりも今はもっと Fascism の脅威が強まっていると思われる。この時期に是非この本を多くの読者に読んでもらいたいと思う。 | ||||
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反戦画の傑作である「ゲルニカ」を扱った作品である。ピカソの登場部分は史実に基づくから、表紙に装丁された原画を見ながらスムーズに読み進められる。 それに対し現代に生きるキュレーターの瑤子部分は、マハさんの創作かな?無理にゲルニカに繋げようとしているようで現実感がなく、瑤子がスーパーヒーローとなりすぎて共感出来なかった。 むしろピカソの時代に絞ったら、読後感がすっきりしたかもしれない。 | ||||
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面白く読めるお話だった。 ピカソの人物像、ドラのその寄り添う様子、 それは実際にあったことなのだろう。 ドラが撮った、ゲルニカの完成までの過程をぜひ見てみたいと思った。 一度は聞いたり見たりしたことのあるピカソのゲルニカ。 その誕生するまでの歴史的な事実。 それは知ってよかった。 美術に詳しい作者が、その名画と画家を描きたくなるのは当然だし、 それによって興味深く読める私のような読者も多いだろう。 ただ、この作者は、美術をからめない、ほかの作品のもののほうが、 良さがでているのでは? と思うのはわたしだけだろうか? | ||||
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世紀の問題作を描いたのは誰か。時はスペイン内戦と第二次世界大戦、フランシスコ・フランコが率いる反乱軍を支持するナチス・ドイツがバスク地方の都市ゲルニアを空爆した。千人以上の人々が一瞬のうちに犠牲になり、その魂を一つの筆に宿した男パブロ・ピカソ。彼がこの作品「ゲルニカ」に込めた苦悩と想いが痛いほど分かる一冊。「スペインに本当の民主主義が戻るまでゲルニカを保管しててくれ」ピカソがMomaの初代館長アルフレッド・H.バーJr.に直接依頼した大事な作品。彼の作品とそこに込められた想いは今でも多くの人の胸に焼き、平和の象徴となっている。 そんな「ゲルニカ」のタペストリーに暗幕が掛けられた日。その日こそ国連が米国のアフガニスタン攻撃を容認した日だった。ピカソが「ゲルニカ」に込めた想いを9.11で傷ついたアメリカ国民と世界中の人に再度知らせる為、主人公の瑤子は「ピカソと戦争」という企画展をMomaで開催するために孤軍奮闘するものの、レイナ・ソフィアにある「ゲルニカ」を借りることは不可能である。なぜそこまでしてスペイン政府はゲルニカを他の国に貸さないのだろうか?その背景に隠された理由を史実に基づき紐解く知的ミステリー。あなたも「ゲルニカ」が誰のモノかわかるはず。 | ||||
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めちゃくちゃ面白くて一気に読んでしまいました! 正直ラストはえっ…って感じだったのでマイナスいちにしましたが、全体通してとてもよかったです。原田マハさんは芸術好きな人には本当にたまらない作品を書いてくれる人なので大好きです。今のところ楽園のカンヴァスの次に好きです! | ||||
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ピカソに興味がわきました。 とてもよみやすかったです。 美術館に行ってみたくなりました。 | ||||
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重たさと、華やかさが混ぜあった、力強いお話しでした。相変わらず続編が気になります。 | ||||
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キュレターという職業の方が書くアートの世界のミステリーってホントに読み応えがある。 フィクションにしても、まるでその時代に、その場所に自分がいるように夢のような場所に連れて行ってくれたこの作品がとても好きです。 | ||||
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「ゲルニカ」誕生の背景や経緯がよくわかった気がする。「楽園のカンヴァス」以上に興味深く読んだ。 | ||||
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ピカソの章は、どこまでが史実でどこまでが脚色なのかわからないくらいリアリティがありグッド!現在の911との対比も良い。人間がずっと戦争を続けていて少しも成長していないことが感じられて切なくなる。ただ、現在の章は少し嘘くさい、薄っぺらさも感じるし、オチも、なるほどー!とはならなかったかな。 | ||||
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ゲルニカには他ならぬメッセージ性があります。またパリで描かれニューヨークに渡り、そしてマドリッドへ・・・何よりもゲルニカの歴史に驚きました。虚実織り交ぜたミステリーような作品は大好きです。ピカソにもゲルニカにもアートにも原田マハさんの愛があるように思います。また読みながら私もその場所に居るような臨場感さえあります。過去にタイムスリップしたような気になるのも凄いです。こんな作品をこれからも期待します。 | ||||
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ビカソの時代と9・11後のアメリカのイラクたたきを対比させ、ゲルニカの運命を描く。探偵小説的要素もあって、物語の展開に引き込まれる。直木賞は逃したが、十分に直木賞に値する作品。 | ||||
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20世紀のスペイン内戦から始まった第二次世界大戦と21世紀の9.11同時多発テロによるイラク戦争を交互に織り交ぜた内容はとても興味深く読めた。 作者の視点を通してピカソという人物が少し見えた一冊でした。 | ||||
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「ナチスとたったひとりで戦った男・ピカソ」のゲルニカをスペインから借り出し、ニューヨーク・MoMAでの展覧会で展示する意味は大戦中ここで保管されていたのための「里帰り」でもあるはずはなく、9・11からの立ち直りと復讐と報復の「悪の連鎖」がなくなるまで全世界の市民全員が「戦争」こそが「私たちの敵」であり永遠に持続しなくてはならない戦いである、との明確なメッセージが伝わる。 9.11で夫を亡くした日本人キュレータの強い意志、時代を越えてつながる芸術を庇護する人々の決意、そしてそれを支える無数の市民たちの姿など物語としての巧さにも脱帽。 さらに複雑な国内、国際情勢をからめたうえで、若干のアクションシーンも盛り込んでかなり完成度の高い小説となっている。しかも、ラストでの意外ではあるが読者全員が待ち望んでいた展示には思わず感極まってしまった。 1980年代に「プラド美術館別館」でゲルニカを初めて見たときに勝るとも劣らない迫力と感動を追体験でき、作者には大感謝。またいつの日かマドリードそして本作で紹介されているビルバオ、ニューヨークを訪れたい思いがいっそう強くなりました。 | ||||
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最近読んだ小説の中では一番のお気に入りです。 史実に基づく小説の骨格が重厚でありながら、著者の力量によって決して読みにくくない内容に仕上がっている。 結末も読後感を爽快にしており、エンターテイメントとしては一級品と断言する。 | ||||
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ピカソのゲルニカのことは知っていたが、 反戦のシンボルということは知らなかった。 「史実に基づいたフィクション」と書かれている。 ピカソがゲルニカを描いた時代と、現代を交錯させている。 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件にひっかけており、 上記事件後、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で ピカソ展を開催する際の目玉にするべく、主人公が奔走する。 ゲルニカは、ソフィア王妃芸術センターに移された後、 ゲルニカ(地名)に近いビルバオ・グッゲンハイム美術館、 ニューヨーク近代美術館等が貸与を希望していたが、 全て拒否されている。 反戦のシンボル故、狙われているとしている。 何が史実なのか、分からなくなる程、すんなりストーリーが入ってくる。 | ||||
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