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最後の手紙
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最後の手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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矢口敦子さんの作品を読むの『祈りの朝』を含めて2作目です。 『祈りの朝』は震災小説として私は一人の女性の人生を見事に描ききった小説だと感じました。 こちらは『祈りの朝』のレビューにも書書かせていただきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。 さて、本作『最後の手紙』ですが、こちらも震災小説としての様相を意外と早い段階から匂わせます。 福島、チェルノブイリ、原発といったキーワード。 『祈りの朝』を読んで、そして、初版刊行が2016年だったことも考えると、「ああ、震災が重要な展開の道具として絡んでくるんだろうな」と、ある程度読書経験のある方なら予想がついたと思います。 『祈りの朝』の紹介文には「震災後の再生と家族の希望を描く感涙ミステリー」と書かれていましたが、まさに「震災が重要な展開の道具として絡」むことを予期していたとしても最後の一文には、タイトルと相まって何とも言い難い感情が渦巻いて、全身の肌が奮い立ったのでしたが、今作はその震災をテーマに扱っているものの、僕の心に直接響く「なにか」が欠けていたように感じます。 それは主人公に共感できなかった、魅力を感じることができなかったことに一つの起因を見ることができると思います。 この主人公が語る文ひとつひとつに対して、僕自身考えさせられるものも多々ありました。 学校、同性愛、自死、、、 しかし、主人公自身の真の心情に対してはなぜか冷めた目で見てしまうのです。 なんというか行動が浅はかであり、どんなに言い訳を一人称語りで語られても「確かにそうだよね…でもさ…」と言いたくなるような、その人の心を覗いても僕の心はあまり動くことはなかったのです。 良い小説、といえるほどの立場の読書経験があるわけではないですが、心を動かされる小説、心に残る小説というのは、どんなに主人公がクズだろうと、聖人だろうと、その人の心を覗くことに対して「もっとこの人の心を覗きたい」「このあとこの主人公はどうなるんだろう」と心情と展開に何とも言えない情動が沸き起こるのですが、この作品では、その情動が一過性、もっといえば感じることができなかったのです。 それは多分に、主人公の魅力のなさもあるでしょう。それゆえに主人公の心情に任せた展開もありきたりで「うーん…」と首を傾げたくなるラストでしたし、それに対して心は動かされません。予想もできますしね。 そして、もう一つのこの小説の魅力が欠けた理由として作者の顔が多分に見え隠れしてしまったところがあると思います。 『祈りの朝』では、作者の顔は全く見えないけれど、文体はそれこそ矢口敦子さんしか書けないもので絶句しましたが、今作は文体以外の部分で顔を出しすぎたと感じました。 そして、その顔の出し方がちょっと興醒めするようなものだったので、小説自身の魅力が欠けてしまったように感じます。 しかし、これを読んで「次の作品はもう読まない!」と思ってはいません。 むしろ震災小説の第一人者として、ベストセラーを叩き出すのは『祈りの朝』を読んだ時からこの人しかいないと感じているからです。 これからも矢口敦子さんの作品はどんどん読んでいこうと思っています。 長文失礼しました。 | ||||
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大変つまらない最後に、読んだ時間を無駄にしてしまったという感想しか残りませんでした。 何冊も読んでいた作家なので、とくに内容を確認することもなく購入し、読み出しましたが、なんのことはない、ただ反原発と叫びたいヒステリックなだけの結末に、鼻白みました。 ペンは剣よりも強しと言いますが、こんな風に小説の体をして、一方的な啓蒙をするとは恐ろしい物ですね。 もう二度とこの作家の本は読まないでしょう。 | ||||
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ネタバレが含まれるので、読み終えていない方はご注意下さい。 主人公「平野史子」の人生を、1956年から実際に起きた事件・事故を交えながら現代まで辿っていきます。 史子の年代は自分の親の世代なので、「こんな事あったんだなぁ」と時代を感じながら、自分もそこにいるかのように読み進めることができました。 シーちゃんこと「半田忍」は前世の記憶があるという不思議な女の子。 全ては史子がシーちゃんに恋をしたのが始まりでした。 歳をとっても様々な人にシーちゃんの面影を見つけてしまう程に史子の中でシーちゃんは特別な存在でした。 シーちゃんは、はじめは不思議な雰囲気の女の子でしたが、謎が解けていくうちに、身勝手な男に翻弄され続けた不幸な女性だったのだと分かります。 前世で誓い合ったのは、実は史子とシーちゃんだったのだと考えると(作者はほのめかしていますね)、話は更に面白くなり、そして哀しくもなりました。 少女の内面的な成長は共感する部分も多く、読んでいて楽しかったです。 同性、夫婦、家族などの様々な愛の在り方、絶望と死の誘惑、成長と希望、理不尽な世の中、、、。内容は盛りだくさんでした。 最初はただのミステリー小説だと思って読んでいましたが、反権力、反原発、責任問題、フェミニズムなど、メッセージ性の非常に強い小説でした。 特に原発の話は終始ちりばめられており、時は流れて史子たちは2011年3月11日を迎えることになります。 解説の斎藤美奈子さんが仰る通り、話がここに繋がることに一番驚きました。 ズシリと重く、胸に突き刺さる言葉が沢山ありました。 昔の小説ばかり読んでいましたが、「今」の小説を読むことは、本当に大事なことですね。 震災から5年が経ちました。 そして被災地の現状は、今ではあまり報道されなくなりました。 原発問題・事故の影響は多岐に渡り、今後ずっと続くのでしょう。 この小説が、多くの方が原発に対する正しい知識を持つきっかけになるといいですね。 向き合わねばならない現実問題はなんと多く、そしてなんと複雑なのでしょうか。 とてもとても考えさせられる小説でした。 「目がまわっても逆にまわれば治る。死ぬほどの悲しみも別の悲しみで癒える。」ウィリアム・シェイクスピア 愛しくも、哀しい世界です。 拙い文章ですが最後まで読んで下さった方がいらっしゃれば幸いです。 ありがとうございました。 | ||||
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