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白樫の樹の下で



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【この小説が収録されている参考書籍】
白樫の樹の下で

白樫の樹の下での評価: 3.78/5点 レビュー 23件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(5pt)

地球の裏側ではフランス革命が起きつつある頃の江戸の貧困

ふと著者の作品を読み始めて、遡求して(時代小説)デビュー作に至った。処女作には全てが詰まっているよく言われるが全くその通りだ。木綿や刀剣や本草学のうんちくもそうだが、生産力の発展を背景とした社会矛盾に呻吟する人間を描いてわかりやすくて安易なハッピーエンドには決して陥らず、それでいて人間が生き続けることを励ますようなところは、筆者が読んだ著者の作品の長短にかかわりない共通の長所である。
 「安易なハッピーエンドには決して陥らずと書いたが、本作品はむしろあんハッピーエンドである。作品における二人の「犯人」はどちらも痛ましくて決して安易な悪役ではないし、二人目の犯人などあまりに切なく痛ましい。この辺の純文学っぽさが筆者がハマってしまった所以である。
白樫の樹の下でAmazon書評・レビュー:白樫の樹の下でより
4163807209
No.13:
(5pt)

デビュー作にして、すでに満点

『半席』から入って、最後に残った青山文平作品。それがデビュー作である本作。『跳ぶ男』を読んだ後では、多少青臭いかな、と思っていた自分が恥ずかしい。デビュー作にして、すでに時代小説、ミステリー小説として満点の評価。ここから読んだ読者はきっと最新作を心待ちにしていたに違いない。さて、困った。今度を俺が心待ちにする番だ。もう、現時点では青山文平作品は全て読み尽くしたのだから。
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No.12:
(5pt)

著者ベストか?

青年武士の、成長に、辻斬り探しのサスペンスが、重なり、かなり、面白い作品に、なっている。
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No.11:
(5pt)

時代小説という枠組みを借りて「今」を描く

主人公の村上登、その友人である青木昇平、仁志兵輔、巳乃介の人物造形がよい。恋人の仁志佳絵も可愛らしい。辻斬りの犯人捜しを軸に物語は展開し、後半になると容疑者を巡ってめまぐるしい展開になる。もっと読者をミスリードするというミステリー仕立ての展開もあっただろうが、作者は、自分自身で考え、その結果、いつも迷い続けている登の性格を描こうとした。読者との駆け引きを廃した作者の意図が素晴らしい。
 登場人物たちの閉塞感は、現代日本社会に満ちている閉塞感に通じている。山本周五郎も藤沢周平も、時代小説という枠組みを借りて、自分の生きた時代の断面(今を生きる自分が感じている絶望とその先にある希望)を描いたのだと思う。青山文平は、時代小説という枠組みを借りて、まさしく平成の「今」の日本社会を描いている。
 文章は落ち着いていて深みがあるし、視点が主人公から外れないことによって、素直に物語の世界に入り込むことができる。第19回松本清張賞受賞作。デビュー作らしい(?)が、1948年生まれの作者が、2011年に63歳で出版しただけのことはある。小説としての完成度は、図抜けて高い。
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No.10:
(4pt)

初めて呼んだ青山文平作品

恋愛推理時代小説と言った内容の楽しめる作品だった。大衆小説が定番になっている時代小説の中で、純文学感覚の文体も新鮮で味わい深い。新しいスタイルの時代小説として、今後、著者の作品を読んでみたくなった。
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No.9:
(5pt)

インテリジェント時代小説

サスペンスタッチの時代小説である。時代ものの多くは武士の群像もので、貧しい武士の子が剣の技を磨いて青年になり、身を立てて様々な事件に遭遇しながらも逞しく生き抜く姿を克明に綴ったものが目立つ。その感覚でこの小説を読むと、これまでの路線との異なりをより強く実感できる。その異なりを楽しめるかどうかがわかれ道か。

異なりの代表的な感情は恐怖感である。読み進むうちに徐々に事件が大きくなり、事件の奥深くに入り込んでいることがわかる。「こうならないといいな」と思いつつ、やはり「こうなった」というある意味わかりやすいストーリーなのだが、物語の根幹に行き付くまでの枝葉の描写が巧みで、容易に説明できない読み応えがある。

枝葉部分の面白味は何といっても剣術と刀に関するきめ細かな描写である。刀の成り立ちと特徴が詳細に描かれているだけにとどまらず、熟練に達した剣術者(主人公)が幻の刀を持ち始める頃からの緊迫感のある描写は素晴らしいの一言に尽きる。

著者はどれだけ調査・取材したのだろう。微に入り細に入り調べていることが伝わる。その一旦をいとも簡単に読める(学べる)のは有り難い限りだ。このきめ細かさが強力な説得力となり、物語の軸を強く支えている。剣術の描写を読むだけでも、この小説を手に取る価値があると思う。

ホテルのラウンジなど格好?を付けて読むときに合う本。
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No.8:
(5pt)

切ない

暖かい気持ちで読んでいたのに、1ページ進んだらいきなり息が止まるような展開に。
先を予想するもすべて裏切られ、まさかの結末でした。
こんな切ない過去を背負って、今後登さんはいい目付けなるんだろうけど。
気の毒すぎて泣けてきます。

青山さんの文章がとても好き。江戸の町が目に浮かぶようです。
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No.7:
(4pt)

チャンバラとしては物足りないが、、、

時代小説に独自の境地をみせる青山文平の士道話し。天明年間、田沼時代が終わり松平定信の始まりころ話しを設定。竹刀ではなく木刀による形稽古メインとのちがいがかなり具体的に記述され、初めて知る話しもあり新鮮。
剣流は、不釋流。一刀流の流れにあると語るが初めて聞く。
また貧乏御家人の内職に金魚養殖の話しも興味深い。
読了。最後に主人公が、真剣を振るうが、もう少し、藤沢周平くらいに、具体的に殺陣を描いてほしい。イマイチ物足りない。敢えての叙述かもしれないが。
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No.6:
(5pt)

現代に通じる閉塞感の中で若者はどう折り合いをつけていくのか

書店に行くと、時代小説は特別にコーナーが用意されており、今でも人気があるようだ。しかし、戦国武将、新撰組、など書き尽くされた感は否めず、多少読みやすくはなっても過去の名作を超えるクオリティを望むのは難しい。

江戸時代、泰平の世の無名の武士を主人公に据えたことは時代の必然なのかもしれない。しかしながらだからこそ、司馬遼太郎や海音寺潮五郎では読むことのできない切り口で楽しむことができるともいえる。本書の時代は幕府が開かれてから180年余りたった天明の時代、戦のない世界で3代にわたって失業したままの若き侍の物語だ。生業とした仕事をしながら自分は何者なのか、このままでよいのかと自問しながらも支えを持って辛うじて均衡を取りながら生きていく閉塞感は現代に通じるところが大きい。

そんな中、江戸で起こった辻斬り事件を軸にフーダニットの味付けも加えられて読み物としてまず楽しめる。それに加え、貧困や挫折が人のバランスをどう崩し壊していくか、思ったより簡単に壊れてしまう人の心とどう折り合いをつけていくかということを考えさせられる。現実社会は思い悩んだからといって結論が出ることはまれであり、カタルシスない点では本作品と共通する。現実逃避することはできないが明日への糧にはなるかもしれない。
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No.5:
(4pt)

すっきり

腕は立つけど、少々繊細すぎる心の持ち主。 大事な人を辻切りで失う・・・推理物の時代物。 テンポ良く引き込まれ、一気に読めました。
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No.4:
(4pt)

映像化したい作品

松本清張賞受賞作品、作者が同年代ということで購入した。 確かな時代考証に裏打ちされた、無駄のない洗練された言葉が流れる。 江戸の街と、そこに暮らす人々の心の葛藤が様々な色彩に包まれて描かれている。 「迷うことのねえ奴に、この役目は任せらんねえ」。 いま、この時代だからこそ、この言葉が身にしみる。 敢えて不満を言えば、盛り上がりが後半に集中してしまったことだ。 中盤の工夫がほしかった。 山田洋次監督に映像を撮らせれば、さらに味わいのある作品としてよみがえるだろう。
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No.3:
(5pt)

財産

楽しめる、大人の作家。   『しもねたは馬鹿な作家の松葉杖』と聞く中で、乙川優三郎などとならんで日本にとって貴重。 青山は感情的、美的知能指数も高い紳士なんだろう。 ご健康と発展を祈ります。
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No.2:
(5pt)

一気に引き込まれた江戸のイメージ

最初は、一気に引き込まれて、あっという間に読んでしまった。 この話のイメージがすごく鮮烈だったので、もう一度、今度はゆっくり、1行1行確かめて読んだ。 頭の中に、江戸時代の1日の四季の書割りができて行くような気がした。 丁寧な、色彩豊かな、無駄のない短い文章なのに、臨場感がある。 次回作にすごく期待します。
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No.1:
(5pt)

切れ味良い、圧倒的な文章力に脱帽

切れ味良い、圧倒的な文章力に脱帽し、酔わされた。

第18回松本清張賞受賞作である。大いに期待して読み始めたが、期待をさらに大きく上回る読後感だった。長編だが、読み出したら止まらず、休みを入れるのに苦労した。その訳は、「文体の洗練度の高さに目を引かれた」(小池真理子氏)、「何より文章に無駄がない」(伊集院静氏) と、選者の方々が述べておられるように、一行一句が研ぎ澄まされ読み手に挑みかけてくるためだ。目をやった瞬間、物語に引き込まれてしまう。

江戸に幕府が開かれて百八十年、戦乱の世ははるかに遠く、侍といえども人を斬った者は少なく、剣術においても怪我を避けて竹刀稽古が当たり前になっていた時代が背景になる。その中で、古来に則り、木刀による形稽古に拘る三人の若者たちがいた。稽古仲間である彼らの関係に変化の兆しが見え初めた頃、周辺で立て続けに辻斬り事件が起こる。そして、持ち込まれた一本の脇差「一竿子忠綱」が醸し出す三人の心の影。当時の侍の実生活や心情を細やかに描きながら、物語は終焉に向かう。

「闘いの文章の間合い、呼吸がすばらしい」(夢枕獏氏)や、「剣技の描写に並々ならぬこだわりを感じた」(大沢在昌氏)とあるように、剣で対峙する場面は実証的でリアルである。登場人物や町並みの様子、侍の生活の描き方も同様である。実証的でリアルな視点があるから、スピードある洗練された文体が生きてくる。そういう意味において、新しいタイプの時代小説の予感を感じた。
白樫の樹の下でAmazon書評・レビュー:白樫の樹の下でより
4163807209

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