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白樫の樹の下で
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白樫の樹の下での評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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今ひとつ剣の闘いの描写が物足りなかった。 | ||||
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青山作品を何作も読んだ後で出会ったデビュー作です。デビュー時点から完成度が高いという感心と、さすがに現在の域には遙かに及ばないなという物足りなさが同居する感想となりました。 貨幣制度や能、治水工事等、綿密な調査をして新たな知識を与えてくれるようなところはなく、友人3人の物語という侍小説に多い形式で、出世・恋愛・剣戟を絡めていきます。終盤はあまりにも予想外の展開で、あっけにとられました。これをよしとするか否かで、だいぶ評価が変わるでしょう。私はちょっとやり過ぎではないかと思いました。 | ||||
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ミステリーとして読むならこの作品は0点以下。 辻斬り(無差別殺人)を繰り返すキ印と嫉妬に駆られて惚れた女を斬ってしまう男が同一人物。動機がまったく違うのに残された結果だけがいっしょ。キ印だからなんでもあり。こんなもんが許されるならミステリー小説は決まり事なんて何もなくなるよ。 だいたい、恋人を殺した相手を目の前にして「気にするな」なんて言う人間がどこにいるんだ?「悪かった」で済む話でもないし。こんなのは人間の思考じゃないのよ。 ただその他のことで少し考えさせられることがあったのでいっこ★つけた。 この小説の舞台は平和になった江戸時代。 【武士は形だけは刀を挿しているが果たしていざというときに人が斬れるか。】この命題。 鉄砲を持っているからといって警官は怖くて人を撃てないよね?そもそも人を殺す[練習]などできない。 剣術はいくら上手でもあくまでも練習のための練習。 p.242-243 ---「さっ、始めよう。時間がない」 ---「なにを始めるのだ」 ---「稽古に決まっているではないか。お前はまだ人を斬ったことがないだろう」「あやつはできるぞ。(中略)いかな登とて稽古をしなければ勝てん」 ---真剣の形稽古など、できるはずもない。 そう来たか。このくだりだけはよかった。自分はこの小説にミステリ要素はいらないと思うな。 青山作品を3作読んでみたけど、どうも自分には合わないようだ。 | ||||
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ふと著者の作品を読み始めて、遡求して(時代小説)デビュー作に至った。処女作には全てが詰まっているよく言われるが全くその通りだ。木綿や刀剣や本草学のうんちくもそうだが、生産力の発展を背景とした社会矛盾に呻吟する人間を描いてわかりやすくて安易なハッピーエンドには決して陥らず、それでいて人間が生き続けることを励ますようなところは、筆者が読んだ著者の作品の長短にかかわりない共通の長所である。 「安易なハッピーエンドには決して陥らずと書いたが、本作品はむしろあんハッピーエンドである。作品における二人の「犯人」はどちらも痛ましくて決して安易な悪役ではないし、二人目の犯人などあまりに切なく痛ましい。この辺の純文学っぽさが筆者がハマってしまった所以である。 | ||||
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『半席』から入って、最後に残った青山文平作品。それがデビュー作である本作。『跳ぶ男』を読んだ後では、多少青臭いかな、と思っていた自分が恥ずかしい。デビュー作にして、すでに時代小説、ミステリー小説として満点の評価。ここから読んだ読者はきっと最新作を心待ちにしていたに違いない。さて、困った。今度を俺が心待ちにする番だ。もう、現時点では青山文平作品は全て読み尽くしたのだから。 | ||||
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青年武士の、成長に、辻斬り探しのサスペンスが、重なり、かなり、面白い作品に、なっている。 | ||||
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主人公の村上登、その友人である青木昇平、仁志兵輔、巳乃介の人物造形がよい。恋人の仁志佳絵も可愛らしい。辻斬りの犯人捜しを軸に物語は展開し、後半になると容疑者を巡ってめまぐるしい展開になる。もっと読者をミスリードするというミステリー仕立ての展開もあっただろうが、作者は、自分自身で考え、その結果、いつも迷い続けている登の性格を描こうとした。読者との駆け引きを廃した作者の意図が素晴らしい。 登場人物たちの閉塞感は、現代日本社会に満ちている閉塞感に通じている。山本周五郎も藤沢周平も、時代小説という枠組みを借りて、自分の生きた時代の断面(今を生きる自分が感じている絶望とその先にある希望)を描いたのだと思う。青山文平は、時代小説という枠組みを借りて、まさしく平成の「今」の日本社会を描いている。 文章は落ち着いていて深みがあるし、視点が主人公から外れないことによって、素直に物語の世界に入り込むことができる。第19回松本清張賞受賞作。デビュー作らしい(?)が、1948年生まれの作者が、2011年に63歳で出版しただけのことはある。小説としての完成度は、図抜けて高い。 | ||||
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恋愛推理時代小説と言った内容の楽しめる作品だった。大衆小説が定番になっている時代小説の中で、純文学感覚の文体も新鮮で味わい深い。新しいスタイルの時代小説として、今後、著者の作品を読んでみたくなった。 | ||||
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爽やかな青春時代小説と思います。作者の次回の作品に期待します。 | ||||
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サスペンスタッチの時代小説である。時代ものの多くは武士の群像もので、貧しい武士の子が剣の技を磨いて青年になり、身を立てて様々な事件に遭遇しながらも逞しく生き抜く姿を克明に綴ったものが目立つ。その感覚でこの小説を読むと、これまでの路線との異なりをより強く実感できる。その異なりを楽しめるかどうかがわかれ道か。 異なりの代表的な感情は恐怖感である。読み進むうちに徐々に事件が大きくなり、事件の奥深くに入り込んでいることがわかる。「こうならないといいな」と思いつつ、やはり「こうなった」というある意味わかりやすいストーリーなのだが、物語の根幹に行き付くまでの枝葉の描写が巧みで、容易に説明できない読み応えがある。 枝葉部分の面白味は何といっても剣術と刀に関するきめ細かな描写である。刀の成り立ちと特徴が詳細に描かれているだけにとどまらず、熟練に達した剣術者(主人公)が幻の刀を持ち始める頃からの緊迫感のある描写は素晴らしいの一言に尽きる。 著者はどれだけ調査・取材したのだろう。微に入り細に入り調べていることが伝わる。その一旦をいとも簡単に読める(学べる)のは有り難い限りだ。このきめ細かさが強力な説得力となり、物語の軸を強く支えている。剣術の描写を読むだけでも、この小説を手に取る価値があると思う。 ホテルのラウンジなど格好?を付けて読むときに合う本。 | ||||
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暖かい気持ちで読んでいたのに、1ページ進んだらいきなり息が止まるような展開に。 先を予想するもすべて裏切られ、まさかの結末でした。 こんな切ない過去を背負って、今後登さんはいい目付けなるんだろうけど。 気の毒すぎて泣けてきます。 青山さんの文章がとても好き。江戸の町が目に浮かぶようです。 | ||||
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時代小説に独自の境地をみせる青山文平の士道話し。天明年間、田沼時代が終わり松平定信の始まりころ話しを設定。竹刀ではなく木刀による形稽古メインとのちがいがかなり具体的に記述され、初めて知る話しもあり新鮮。 剣流は、不釋流。一刀流の流れにあると語るが初めて聞く。 また貧乏御家人の内職に金魚養殖の話しも興味深い。 読了。最後に主人公が、真剣を振るうが、もう少し、藤沢周平くらいに、具体的に殺陣を描いてほしい。イマイチ物足りない。敢えての叙述かもしれないが。 | ||||
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書店に行くと、時代小説は特別にコーナーが用意されており、今でも人気があるようだ。しかし、戦国武将、新撰組、など書き尽くされた感は否めず、多少読みやすくはなっても過去の名作を超えるクオリティを望むのは難しい。 江戸時代、泰平の世の無名の武士を主人公に据えたことは時代の必然なのかもしれない。しかしながらだからこそ、司馬遼太郎や海音寺潮五郎では読むことのできない切り口で楽しむことができるともいえる。本書の時代は幕府が開かれてから180年余りたった天明の時代、戦のない世界で3代にわたって失業したままの若き侍の物語だ。生業とした仕事をしながら自分は何者なのか、このままでよいのかと自問しながらも支えを持って辛うじて均衡を取りながら生きていく閉塞感は現代に通じるところが大きい。 そんな中、江戸で起こった辻斬り事件を軸にフーダニットの味付けも加えられて読み物としてまず楽しめる。それに加え、貧困や挫折が人のバランスをどう崩し壊していくか、思ったより簡単に壊れてしまう人の心とどう折り合いをつけていくかということを考えさせられる。現実社会は思い悩んだからといって結論が出ることはまれであり、カタルシスない点では本作品と共通する。現実逃避することはできないが明日への糧にはなるかもしれない。 | ||||
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文芸春秋のレヴューを読んで私も読んでみたいと思った。 だが物語のクライマックスがどこなのかはっきりしないしそこまでの運びが冗長気味だった。 作者の一人合点的言葉が散在しているのも気になる。 読後感にいろいろなクエスチョンマークが残る。 | ||||
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腕は立つけど、少々繊細すぎる心の持ち主。 大事な人を辻切りで失う・・・推理物の時代物。 テンポ良く引き込まれ、一気に読めました。 | ||||
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個人的にややこしい読書体験になってしまった。 一言で言えば期待したものではなかったということだが、 つまらなかったとか、レベルが低いということではないからややこしい。 作家の力量は相当なものだろう。 だてに松本清張賞を受賞してはいない。 まず文章がいい。 流れるようなものではなく、かみしめるような、心地よい重みを感じさせるものだ。 そして話がわかってくると、この文章の重みは、そのままテーマに結びついているのだとわかる。 つまりリアルなのである。 この小説のテーマとは、下級武士の貧窮という素材を使って、 つまるところ生きることの厳しさ、重さのようなものだろう。 そうした重さが、主人公、村上登らの道場で行なう、流行らないが実戦的な木刀による形稽古として現れ、 刀を抜くことの並々ならぬこだわりとして現れ、 そしてこの文章の重みに現れている。 文章の重みは、真実の重みである。 ところが、それをもってして厳しい現実を乗り越えていく話と早合点したこちらの予想は、 最終的に裏切られてしまった。 ストーリー自体に立ち入るわけには行かないが、 私の理解では、物語の帰結は、現実を乗り越えることにではなく、これを受け入れ、背負うことにある。 これらは似て非なるものである。そして辛い。 そしてこうしたスタンスに共感できるかどうかが、この小説を楽しめるかどうかの分かれ目ではないか、 という気がする。 私は共感できなかった。 読者の共感をいざなうには技術的な問題もあると思っているが、 それ以上に最後は世界観の違いのようなものだろうと思っている。 ということは、こう言っては身も蓋もない気はするのだが、好みの分かれる物語ということだろう。 私には現代もののミステリーなどによく見られる結末の展開は、ドロドロした苦しいものと映った。 個人的に時代小説には微妙に違ったものを求めているので、違和感は強かった。 ネットの読者評などでは評価はわりに高いから、おそらく共感する読者は多いのだろうが、 しかしそうではない場合もありえること、かつ、その分かれ目は、前半からは予測しにくく、 ある種の危険を伴うとだけ言っておきたい。 | ||||
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箇条書きの連発で読むのが辛い。 14ページ13行目で挫折して閉じました。 〜〜気がおきない 〜〜疲れている 〜〜異様に重い 〜〜繁盛している 〜〜紐をゆっくりと解き始める 〜〜愛嬌が湧く 〜〜笑みが洩れた 以上は14頁。 こんな感じで(ほぼ1行ごとに)改行される度に、だ、か、ら、何なんだ! と突っ込んでしまう。 久々に苛々する本でした。 がっくり。 | ||||
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松本清張賞受賞作品、作者が同年代ということで購入した。 確かな時代考証に裏打ちされた、無駄のない洗練された言葉が流れる。 江戸の街と、そこに暮らす人々の心の葛藤が様々な色彩に包まれて描かれている。 「迷うことのねえ奴に、この役目は任せらんねえ」。 いま、この時代だからこそ、この言葉が身にしみる。 敢えて不満を言えば、盛り上がりが後半に集中してしまったことだ。 中盤の工夫がほしかった。 山田洋次監督に映像を撮らせれば、さらに味わいのある作品としてよみがえるだろう。 | ||||
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松本清張賞受賞作って結構充実しているんですよ。昨 年の村木嵐『マルガリータ』はひとまずおくとして、梶よう 子『一朝の夢』、広川純『一応の推定』など佳作が目白押 しです。本作も受賞作に相応しいものだと思います。 真剣などめったに振るうことがない大平の世での、文字 通りの真剣勝負を中心に据えた構成がまず光ります。し かも豪奢な田沼意次から綱紀粛正を図る松平定信の治 世への転換期を背景にとり、不安とうっ屈の気分を十分 に漂わせてなかなかに読ませてくれます。浅草回向院の 出開帳や大川中州の新地の繁栄をストーリー展開の梃子 に取込むなど、時代考証にも怠りはありません。確かに、 突然文脈が入り乱れて頭が混乱することもありました。し かし読み返すと、主人公と言い交わした娘の思い詰めた 行動などはいかにも真に迫っていて、思わず唸ってしまい ました。 新人(といっても純文学での実績はあるようですが)の ものとしては、上々の出来だと思いました。 <付記> 同賞最終候補作となった丸山正樹『デフ・ヴォ イス』も受賞作に見劣りせぬ力作で、久しぶりに一気読 みしてしまいました。同書には、異例とも言える執筆動機 を記した「あとがき」が付されています。因みにわたしが 以前勤務していた難聴幼児の通園施設では、人工内耳 を施した子の訓練を重点化していました。(2011/10/15) | ||||
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楽しめる、大人の作家。 『しもねたは馬鹿な作家の松葉杖』と聞く中で、乙川優三郎などとならんで日本にとって貴重。 青山は感情的、美的知能指数も高い紳士なんだろう。 ご健康と発展を祈ります。 | ||||
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