■スポンサードリンク
なんでもない一日
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
なんでもない一日の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
シャーリィの短編集。 ちょっとお高いのが残念だが、どこからでも読める短編集の美味なる良さはちゃんとある。 文脈や結末は個性的なシャーリィならではで、コレが好きな手の人はハマって読んでしまうだろう。 ただし白黒結末をハッキリさせたい人には、かなり宙ぶらりんな感じになるかもしれない。 好き嫌いが別れるとすれば、そこなんだろう。 だがそれがシャーリィの個性的なのだから、と割り切って楽しめる自分には面白かった。 ジグザグに読みやすい所から、暑い夏を紛らわす一冊に、暇潰しの午後に、秋の夜長にと、季節を選ばず読みふけるには丁度良い短編集のシャーリィ・ワールドだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
三冊目のジャクスンだ。本国での出版は1996年だが、50~60年代の短編が23篇とエッセイ5篇を収録する。 『くじ』よりは好みの作品が多かった。 『スミス夫人の蜜月』同じ内容の話が2バージョン収録されている。 寂しいオールドミスは、相手が保険金目当ての殺人鬼と知りながらつかの間の蜜月を楽しむ。 このまま孤独に老いていくより、「被害者の人妻」になりたいのか。切ない話である。 『悪の可能性』匿名の投書で他人を中傷する。本人は正義を行ってるつもりなのだ。 今でいうネットのヘイト野郎か。いつの世にも似たようなのがいる。結末が愉快だ。 『メルヴィル夫人の買い物』自己中デブが我を押し通す。痛い奴である。結局損をしてるのではないか。 そんな性根だからデブるんだ、などと言ってはいかんかな。 『店からのサービス』身障者ネタの不快な話だ。当時はよくあったのかもしれない。 『レディとの旅』少年が若い女性と汽車で道連れになる。甘くてほろ苦い。好きな話だ。 『「はい」と一言』たぶん超能力少女の話なんだろう。不気味な後味がいい。 後半に収録されたご家族エッセイは、けっこう面白い。作者は四人の子供を育てながら作家をやって、四十代で亡くなった。 作風からは想像できないが、パワフルで幸福な人だったようだ。テープレコーダーにまつわる騒動が笑えた。 個性的ではあるが、追っかけるほどの熱意は湧かない。あと有名な「丘の屋敷」を読んで打ち止めにする。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
正直に言えば、私は著者の「くじ」を他のアンソロで何度か読んでいたが、イマイチぴんと来なかった。 何故かあの話、私の好きなホラーや、不条理系のアンソロジーには高確率で載っている。 「またこの話載ってる」って言うのが私のシャーリィ・ジャクスンの印象の全てだった。 だが最近知った所によると、どうやらシャーリィ・ジャクスンはかなり評価されてる作家らしい。 「タタリ」の原作者?「ずっとお城で暮らしてる」書いた人? 全部知ってるけどイマイチぴんと来なかったものばかりだ。 だが、前より若干大人になった今なら理解できるかと思い、ジャクスンを知るため、この短編に手を出したのだが、最初はマジでピンと来なくってこれは失敗かと思った。 しかし、読み進めていくと徐々に、この作家の持って回った言いまわしとか、比喩や暗喩に慣れてきて、何となく分かるようになってきた。「もっとはっきり言えよ」とは思うが。 この作家は悪意の描写に長けてるんだ。しかもその悪意は、酷く日常的。非現実的なものや、殺人鬼などミステリードラマでしか見た事のない悪意でなく、友人達のひそひそ笑いとか、同居人の唐突な敵意など、誰もが経験する生活の中の悪意だ。 特に、この短編の中にある悪意たちは、くじよりもより日常的であり、不気味であり、愛らしくもあったりする。 個人的には「レディとの旅」がかなり気に入った。 少年にとって、犯罪や悪が冒険と同義であると言う事を、女性がこれほどよく分かっていると言うのは実に興味深い話であると思う。或は、このシャーリィ・ジャクスンがそれだけ洞察力に優れてると言う事なのか。 何にしてもこの本は読んで良かった。 私は昔「くじ」を読んだときには、著者を底意地の悪い人間としか思えなかったのだが、この本を読んでいると、日常の悪意やすれ違いすら、ユーモアやロマンスとして昇華する著者の豊かな人間性が見えてきて、非常に愉快であった。 元より翻訳者の市田泉氏もそのつもりで「バラエティに富んだ」作品を選んだらしい。 「くじ」以上のパンチの効いた短編を期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、ジャクスンの人間性の幅の広さを知るにはうってつけの本であると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この人の短編は傑作「くじ」の時もそうだがショートショートに近い。しかし日本の星新一なんかを読みなれた者からすると最後が明快でなくモヤモヤするのが多いのだ。 このへんが他のレビューでも難解、と評される作品の比率が多い理由だろう。 ただ彼女の作品はとことん人間のあやふやさを見つめているので、あなたこのままで済むと思う?あてになんかならないわよ、という問いかけで締めくくっているんじゃないかと思う。つまりわざと読者に下す結論と印象をブレさせてるというか。 みんながこの作品集で傑作と挙げる「ねずみ」にしても、マルキン夫人は退治したのは果たしてネズミだけ? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
名手、ジャクスンの短編を集めた短編集。 さすがに短編の名手だけあり、バラエティ豊かな短編を堪能できます。が、やはり、名作「くじ」を超える作品は見当たらなかったというのが、心情です。何編かは「くじ」に並ぶかも知れないと思う物もないではないですが、「くじ」の強烈さはさすがに本人でも超える事は出来なかったのかな、と思いました。23編もあれば当然玉石混交になるのは当たり前ですが、ジャクスンの短編集という事で期待しすぎる方もいるとは思いますし、私もそうですが、ここは大目に見て様々なジャンルの短編を楽しみましょう。 実を言えばこの人の長編で名作と言われる「山荘綺譚/丘の屋敷」をまだ読んでいないという不埒な読者で、いつか読まないとと思いながら、いつの間にか20年くらい経ってしまいまして反省しております。これから読もうと思います。 ジャクスンは最近になって再評価が進んでいるいる様でこれから知られざる傑作が長編等で沢山出る様で嬉しいです。この短編集がその流れに竿を指す役割を担うかも。「くじ」だけではないこの人の知られざる全貌が判ると思うと楽しみです。 異能作家の片鱗が垣間見られる短編集。機会があったら是非。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
スティーブン・キングがべた褒めしていたシャーリー・ジャクスン。 優雅な文章と悪魔的な意地悪さの微妙なマッチングがたまりません。 山荘奇譚、ずっとお城で暮らしてる、を読んで、これで3冊目になりました。 だけどこの短編集で面白かったのはむしろ子育ての体験談。 シャーリー・ジャクスンで爆笑するとは思いもよりませんでした。 この線ももっと読んでみたかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おことわり。 本レビューでは、最後に、傑作「ネズミ」の謎のラスト2行が、何を意味しているのか検討していますので、本レビューを読まれる方は、先に「ネズミ」を読まれることをお勧めします。「ネズミ」はたった6頁の傑作で、決して、読んで損することはありません。 概略 シャーリー・ジャクスンの短編23編、エッセイ5編の翻訳である。ここではエッセイについては触れない。シャーリー・ジャクソンの短編を23編続けて読むのは、なかなか気力を要することと思う。なぜなら、一筋縄ではいかない世界、人物、ストーリーが一作ごとにリセットされるからである。とても一気読みというわけにはいかない。ちょっと苦労して読んだ読者として、何かの参考にならないかと、以下、読みやすさ、読みにくさ、難解さ、つまらなさ、傑作のベスト5をあげる(なお、冒頭の青髭物2作は除く)。もちろん、個人的感想である。 読みやすさベスト5 一位「レディとの旅」。二位「貧しいおばあさん」。三位「店からのサービス」、四位「喫煙室」。五位「ネズミ」(難解だが、読みやすい) 読みにくさベスト5 一位「行方不明の少女」(難解)、二位「逢瀬」(難解)、三位「メルヴィル夫人の買い物」(長すぎる)、四位「インディアンはテントで暮らす」(ややこしい手紙形式)、五位「城の主」(唯一の時代もの) 難解さベスト5 一位「逢瀬」、二位「行方不明の少女」、三位「お決まりの話題」、四位「ネズミ」(伏線を全部回収したか?)、五位「よき妻」(だいたいわかるが・・)、次点「アンダースン夫人」(ラストが・・?) つまらなさベスト5 一位「貧しいおばあさん」、二位「店からのサービス」、三位「家」、四位「おつらいときには」、五位「偉大な声も静まりぬ」 傑作ベスト5 一位、「ネズミ」(衝撃)、二位「うちのおばあちゃんと猫たち」(スーパー猫とスーパーおばあちゃん)、三位「喫煙室」(非日常をコミカルに)、四位「「はい」と一言」(ピタリ)、五位「なんでもない日にピーナッツを持って」(アイデア)、次点1「レディとの旅」(いい雰囲 気)、次点2「アンダースン夫人」(なるほど) 最後に、「ネズミ」のラスト2行の謎を検討する ●謎は「マルキン氏はなぜ、妻を、見たこともないほど恐ろしい女だと気づいたのか?」である ●まず、マルキン夫人が殺したのがネズミか人間かだが、これは描写からみて、ネズミであることに間違いない ●ネズミの腹が膨れていた理由としては、一、食べ過ぎ、二、妊娠が考えられるが、食べ過ぎでは伏線を回収できないので、二、妊娠の方だろう。 ●妻が妊娠していたネズミをフライパンで叩き殺した理由は、「子供を持たず」とあるように、妊娠、出産に嫌悪感を抱いていたからだろう。 ●だが、それだけでは、マルキン氏の秘密預金が説明できない。これは、マルキン氏に秘密の愛人がいて、彼女が妊娠して、その出産のため、週に1ドルずつ預金していたということなのだろうか?? マルキン夫人は妊娠ネズミを叩き殺すことで、断固たる決意を表明した???? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原書は持っているが、拾い読みだったので、まとまった訳が出るのはありがたい。 けれど54編中30篇のみの翻訳。 この作家のものが次にまとまって翻訳される可能性は乏しいと思うので、何とかならなかったものか。 それに配列も入れ替えてあるのはチト理解できない。 その点を加味すると星3つといったところ。 確かに若書きが多いので、全体の出来は「くじ」あたりに比べれば落ちるが、「悪の可能性」は傑作。 意地悪く考えれば、ミス・マープルへのオマージュ。 原書ではこの作品がトリをつとめ、エピローグに到る。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!