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天国でまた会おう
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天国でまた会おうの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.02pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全54件 41~54 3/3ページ
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一気に読み終えた。また読み返した。何度も考えさせられた。アレックスや死のドレスとは全く違う物語だが、作者は常に鋭く、人生のどうしようもなく逃れがたい悲しみに着眼していると感じる。 | ||||
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フランス文学の最高峰であるゴンクール賞(2013年)を得たこの小説は、受賞作に多い難解さはなく、スリルと興奮に満ちた冒険物語である。時は第一次世界大戦1918年11月、休戦が間もないとの噂が流れる西郡戦線では両軍の兵士は弛緩していた。しかし、ある朝銃撃が突然起こり、戦闘がはじまった。武勲を挙げられずあせったフランス軍のブラデル中尉が策をめぐらして開戦したのだった。その策に気づいたアルベールはブラデル中尉に殺されそうになるが、同僚兵士のエドゥアールに助けられた。しかし、砲弾の破片がエドゥアールの顔の下半分を吹き飛ばした。 パリに戻った二人は同じ部屋に住み、アルベールの乏しい収入で生活を始める。エドゥアールは資産家の息子だが、父とうまく行かず、自分を戦死したことにして別の名を名乗って生きていこうとする。アルベールは自分たち殺そうとしたブラデル中尉に復讐しようと考えている。ふたりは戦争が自分たちを駄目にしたと思い至り、世間への復讐として大規模な詐欺を企てる。一方、ブラデル中尉は武勲を立てた愛国者として帰国し、戦死者の墓地建設で大儲けをしていた。貧しい2人の帰還兵と戦争を利用して成り上がった男の対決が迫る。以上が、中盤までのあらすじである。この後、物語は二転三転し、さらに変化して予想もできない結末を迎える。 登場人物の造形が面白い。アルベールは元銀行の経理マンで、真面目ではあるが、小心で意気地なし、緊張するとズボンのなかでちびりそうになる。エドゥアールは金持ちの息子だが、絵画の才に秀で、アイディア豊富だが社会に対しては反抗的である。吹き飛ばされた顔を仮面で覆っている。敵役のブラデル中尉は長身美男であるが、冷酷で計算高く、人を利用する術に長けている。他にも息子への愛情に気づいて悩むエドゥアールの父や、聡明なその娘、気骨のある小役人など個性豊かな人物が登場する。こうして一癖も二癖もある人物が奇想天外な物語を動かしていくのだから面白くないはずがない。580ページの大部にもかかわらず一気読みであった。 物語の背景は第一次世界大戦である。3500万人の犠牲者を出した戦争が登場人物の運命を狂わせていく。多くの若者の命を奪い、生き残った者の心と身体にも深い傷を負わせる戦争への批判がこの作品には一貫して流れている。なお、タイトルの「天国でまた会おう」はアルベールがブラデルによって生き埋めにされ、死を覚悟したときに恋人セシルに呼びかけた言葉である。もともとは第一次世界大戦の時に冤罪で処刑された兵士が死の前に残したセリフだと著者はあとがきで述べている。 | ||||
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面白い。 第1次世界大戦の悲惨さが小説ながらも伝わってくる。 第1次大戦の「さらば古きものよ」というドキュメンタリー的な英国の本もよかったが、このフランスの本は小説だ。なので、話が作られているのだが、いろいろな複雑で興味を引くトピックがちりばめられている。 また、著者の語り口も、新鮮味があった。ときどき、それぞれの登場人物の目から語られるストーリー展開もおもしろい。 私にとっては、戦争が若者の命を大量に奪うだけでなく、負傷して帰って来たものにも、生活の苦難を与える様子が、なんというか、悲惨ではあるが興味深かった。 新書で「生きて帰ってきた男」という日本の実話がある。終戦間際に召喚された若者が、敗戦後にシベリア抑留から帰ってきた後に、普通の人として、どのように仕事を見つけ、仕事をやめたり次の仕事をしたりして、高度成長期も含めて生きてきたかを、当人の息子さんが書いている。素朴に感動しました。そうした本と比べ、こちらはフランスの小説ではあるが、やはり、戦争はいろいろなことを巻き起こす大事件であると考えさせられる。そうした基本のストーリ以外にも、別の重く深いテーマもあるし、とっても悪〜い貴族も出てくるし、さらに、フランスの男女の当時の結婚生活の描写も内容も面白い。 フラインスやイギリスに比べると、日本の女性開放は、現在では進んでるなあというような、まったく本筋とは関係ないような感想も持ちました。ルメートルさん、ありがとう。 | ||||
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あっという間に読み終えました。 下巻が楽しみです。 さすがに賞を取っているだけあってストーリー展開が絶妙ですね。 | ||||
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平静に読み進めるのが困難。 フランスって一種憧れの文化・文明の国と思っていた。 そこでまず、フランスにもこんなに薄汚い人間が正々堂々と生息しているのか、だなんて、大人げない感心をしてしまった、強い嫌悪感とともに。 主人公二人の過酷な人生は読み進めるのもつらいのだが、この二人にその過酷な人生を歩ませた人物が登場するたびに吐き気がするので、物語の先を知りたいのに、なかなか先へすすめない。 いまだ2割程度。 ルメートル氏の作品はまだ一作しか(アレックス)読了していないが、この著者は、他人の身勝手により過酷な人生を歩まざるを得なかった人を描くことのようだ。 | ||||
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「イレーヌ」や「アレックス」とはまったく違うお話です。 最後の最後までなんのミステリーもなし。 ですが、なんとも言えない滑稽さら切なさやらが 大戦後のフランスの混とんとした世上と混じりあい 不思議な世界を醸し出してます。 なんともいえない悲劇はずなのに なぜかなるべくしてなったと納得させられました。 白黒のフランス映画を見ているような気分でした。 登場人物が目に浮かんでくるんですよ。 名作です。 | ||||
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「イレーヌ」や「アレックス」とはまったく違うお話です。 最後の最後までなんのミステリーもなし。 ですが、なんとも言えない滑稽さら切なさやらが 大戦後のフランスの混とんとした世上と混じりあい 不思議な世界を醸し出してます。 なんともいえない悲劇はずなのに なぜかなるべくしてなったと納得させられました。 白黒のフランス映画を見ているような気分でした。 登場人物が目に浮かんでくるんですよ。 名作です。 | ||||
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前作のイレーヌの何とかが人間の生理学を無視した非現実世界に遊んだ愚作だったのに。 同じ作者がこんな傑作を書くって人間の不思議さに驚愕。 読後感はゴルフで言えばバーディー、アルバトロス、ホールインワン、ノーボギーで回ったあとの気分。 そんなあり得ないような傑作を書いた人間、そして人間の持つ多用な複雑性と能力に改めて驚愕。 | ||||
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「その女アレックス」で一世風靡して今や注目度NO.1のノリに乗るフランスのミステリー作家ルメートル氏が十八番の猟奇サイコ・サスペンスの世界を離れて新境地に挑んだ近世歴史犯罪小説の傑作です。初めにこんな細かい事を書くと「そんなのどうでもいいじゃないか!」とまたまた多くの方からお叱りを頂戴しそうですが、本作は明らかにミステリーではありませんので早川書房さんには「ハヤカワ・ミステリ文庫」ではなく「ハヤカワ文庫NV」の方から出して欲しかったなと思いますね。 休戦が近いとの噂が流れ始めた戦地で若い兵士アルベールとエドゥアールの二人の運命が交錯し、二人は戦後のパリで一世一代の大勝負に打って出るのだった。 本書には著者の持ち味である血みどろの猟奇サイコ・サスペンスの要素は全くありませんし世知辛い現代社会の忙しなさとも無縁で、のんびりとした時代の空気を反映してか筆運びもゆっくりとしていて必然的に読むスピードもスローにならざるを得ませんでしたね。本当の意味で興奮を覚えたのは下巻の第3部「一九二〇年三月」の章からで、二つの犯罪がどういう結末を迎えるのか?性根の腐った悪党プラデルはどうでもいいとして元兵士の若者アルベールとエドゥアールの二人が無事に逃げ切れるのか?の興味がタイムリミット・サスペンスの強烈なスリルと興奮を呼んで、俄然ぐいぐいとストーリーに引き込まれましたね。私が本書をミステリーではないと感じる理由は、著者が犯罪を捜査する側のプロの人物を登場させていない事で、第一次大戦の影響で心身共に傷を負った若者二人に完全に肩入れ(同情)して少々甘く書いている所には、正義の追求という意味でフェアではないのですが、それでも強く共感を覚えましたね。ああ!悪党プラデルと若者二人がもし最後に顔を合わせていたら完全に破滅だったなと思うと読んでいる時には自然に冷や汗が出ましたが、結局は「そうしないでくれて本当にありがとう!」と著者に感謝の思いを伝えたい気持ちで一杯ですね。登場人物では著者のミステリーでは殆ど悲運の立場を割り振られる女達が本作では達者でしっかりした性格に描かれているのが嬉しいですね。回想の中だけに登場するアルベールの母、エドゥアールの姉でプラデルの妻の常に冷静なマドレーヌ、若者二人を助ける優しい娘ルイーズ、アルベールの冷たい元恋人セシルと正義より実利を選ぶ新恋人ポリーヌ、と皆それぞれに私は好きでしたね。それから悪党プラデルを追い詰めた変人の役人メルランに、ご存知のどケチな刑事アルマンの面影を思い出した方はきっと私だけではないでしょうね。そしてエドゥアールの父ペリクール老人は誠に渋い好人物だなあと思いますし、最後に息子とほんの少しだけでも心を通わせてから旅立てたのが幸いだったなと心から嬉しかったですね。次に人として最低に思える悪党プラデルの末路は当然の帰結で、殺人罪で告発されないだけでもまだ運が良かった方だと思いますね。そして奇矯な悲劇の若者エドゥアールは顔面の一部を損傷してモルヒネ依存となり心も捻じ曲がってしまいましたが、でも幼時から変わり者の彼は例え戦争がなくても平凡でまともな人生を歩んだとは到底考えられず、この末路には哀れみを感じますがでも彼なりに勝利を味わえて満足できたでしょうし、麻薬依存症の苦しみを長引かせずに済んで却って良かったかも知れませんね。最後にどうしようもなく臆病な小心者の主人公アルベールは運がない様に見えて実はそうでなく変人の友エドゥアールからまたとないチャンスをもらった滅多にいない強運の持ち主で、どうか女房の尻にしかれながらも時々は襲われるだろう良心の呵責に折り合いをつけて幸せな生涯をまっとうしてくれたら良いなと願いますね。 これを読んだフランス国民は、所詮が嘘の話だから他人事だからと割り切る事ができたからこそ、戦争の犠牲者である二人の若者の卑劣な詐欺行為にも目をつむって喝采を送れたのだろうなとは思いますが、まあそれにしてもそれぞれの人々のその後の運命が語られるエピローグに漂うしみじみとした哀感には誠に心を打たれるものがありまして、犯罪小説としての評価は別にしても文芸作品としては十分に成功していると思いますし、著者が残酷な殺人ミステリーだけでなくこういった味のものも書ける事がわかったのは嬉しい驚きで、作品世界の幅が広がってますます今後の作品が楽しみになりましたね。 | ||||
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戦争がもたらした悪行によって翻弄された悲惨な人達の浮かばれないお話です。 登場人物すべてが悲惨な結末を迎えます。 「天国でまた会おう」という邦題も、内容にまったくあっていません。 何より主人公は誰なのか?サイドストーリーが散在し軸のメインストーリーが希薄です。 アルベール、エドゥア―ル、プラデルの話が展開した上巻はまとまっていましたが、 下巻では木っ端みじんになります。三人の結末が数行でかたずけられキツネにつままれたようです。 そしてなにより、エドゥア―ルの身に起こる不幸があまりにも酷い。 絶望の艱難辛苦が続き、一時の高揚はかりそめで、結末が悲惨すぎる。 それは、読了後に不愉快、不快な気持ちさえ残ります。 フランスの権威ある賞を受賞した本作だそうですが、審査対象作品があまりに 不作だったのでしょうね。 7冠受賞「その女アレックス」著者の最新刊にして代表作! とい腰巻の文句が あまりにも侘しくあさましい。 「ベストセラー1位」なんて表示もありますが、なんでレビューが少ないのかも疑問です。 トム・ロブ・スミスの「偽りの楽園」程は酷くは無いですが、読了後の不愉快感を考えると、 決してお薦めできる作品ではありませんね。 | ||||
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著者の「イレーヌ」や「アレックス」と同じミステリ路線を期待すると確かに肩すかしを食らうかもしれませんが、 エンタメ作品としてはとっても楽しめますよ! 他の作品は残酷なシーンが多く、面白いんですけど読んでいて辛いものがありますが、この作品は素直に楽しめて、 こういった直球の作品も書けるルメートル氏はやはり凄い作家ですね。 エドゥアールの最後の場面なんか綺麗で悲しくて、映画化して欲しい! | ||||
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途中に思ったほどの、ひねり無し。ラスト最後まで期待した....一気に押し寄せるカタストロフィーもそこそこ。 思うに主人公の一人アルベールに魅力がない。悪党ブラデルがどんどん尻すぼみの悪党になっていくので、対峙する 主人公もこの程度に成ってしまったのか.... 帯に<苦難>とあるので、もっと踏んだり蹴ったり、弱り目に祟り目、みたいな艱難辛苦な目に合うのかと思ったが、 そこそこ生活出来てるし、アルベールの性格に起因する困難もあるので、この男には、.ほとんど肩入れ出来なかったわ.... エドゥアールにしても、映画<鉄仮面>みたいに最後仮面を脱ぎ捨て、皆を[あっ]と言わせて呉れること期待したけど、 あっけなく.....ブラデルと義父ペリクールとの関係も”お約束”の範囲内だし、もっとエンタメな意図もって書いたら、ずっと 面白くなった気がして残念なところ。それでも☆4には十分な力作か....それ以上ではないが..... | ||||
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本作を読む方は相当面食らうと思う。「悲しみのイレーヌ」、「その女アレックス」というヴェルーヴェン警部シリーズ中の両作(共に傑作)、その合間に執筆された「死のドレスを花婿に」(やや凡作)とは全く異なるジャンルの作品だからである。読者の意表を突くミステリ的技巧と濃いノワール風味とが作者の持ち味だと思うが、本作はミステリでさえない。強いて言うと、戦争(第一次世界大戦)を背景としたバルザック風の人間悲喜劇である。 本作の狂言回し(私の見立て)役は第一次世界大戦で下級兵だった優柔不断なアルベール。主人公はアルベールの戦友だった風変わりなエドゥアール及び両名の上官だった貴族階級のブラデル。これに、エドゥアール(実は富裕層の出身)の父子関係が絡む。本作の文庫版は初めての上下巻二冊だが、上巻ではブラデルが人間の命を何とも思わない如何に卑劣で上昇志向の高い男かがこれでもかと子細に描かれる。勿論、アルベール、エドゥアールの両名は生還したのがまさに奇跡なくらいにブラデルから不条理な扱いを受ける。ここに、作者特有の濃いノワール風味が出ているとも言えるが、日本においては、<戦記文学>というジャンルが確立されているので、戦争における不条理には慣れっこになっており、余り新鮮味を感じなかった。むしろ、この時点では、下巻において如何なるミステリ的技巧を用いて両名が復讐を成し遂げるかという期待感が強かった。 そして下巻である。詳しくは書けないが、物語は平板に進み、結果的には復讐(と言うよりはブラデルの自滅に近いが)は成功する。面白いのは、エドゥアール(別人に成り済ましてやっと生還した)がアルベールに向かって、「君はブラデル個人に復讐しようとしているが、僕は戦争に対してだ」と言い放つシーンである(これがエドゥアールの突拍子もない計画に関係している)。エドゥアールの父は息子の戦死通知を受け取って以降、贖罪の念を抱き始め、ラストで意外な形(本作で唯一の意外性)で父子の和解が成立するのだが、これも型通りの粋を出ていない感がある。海外では、本作を「波乱万丈の冒険物語」として評価する声が高い由だが、「読者の意表を突くミステリ的技巧」を期待する私の様な者には凡作にしか映らなかった。 | ||||
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ミステリ文庫から鳴り物入りで発売され、版元は「あのアレックスの作者の最高傑作」と煽りまくり。 そして文春ミステリレビューも大激賞と事前の期待値Maxで読みました。 個人的には切ない人間模様が深い余韻を残す傑作だと思いますが、確かにミステリの文脈で語るのは無理があるかなぁ。 でもやっぱり凄い作家だと思うのです。 | ||||
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