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分離の時間
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分離の時間の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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清張の作品には短編にこそ秀作が多いと改めて思う。 この本は「分離の時間」と「速力の告発」。 どちらかというと「分離の時間」の方が清張らしさが強い。時系列、地理に幅を持たせつつ伏線を張って、起承転結の「結」でスピード感をもって読者の溜飲を下げさせる。 「速力の告発」は少し異色。句読点を少なく感じるようでありながら、立て板に水のように交通事故問題を取り上げる。少し話の展開に不安を覚えたところで、現実的なオチで結ぶ。 双方ともに時代の匂いを滲ませている点は期待を裏切らない。 | ||||
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光文社の清張プレミアム第三期が始まった。一期は六冊、二期は七冊だったが、今回は全四冊だ。いよいよ終盤か。 それにしても新潮文庫を中心に有名作品が並んでいるのに、まだこれだけ復刻の余地があるのに驚く。 質だけでなく量を伴ってこそ大作家だ、という説がある。清張は間違いなくその資格がある。 中編を二本収録している。表題作は同性愛を扱っている。欲情がサブテーマになることはあるが、同性愛は本作で初めて読んだ。 レア品ではあるが、展開が不自然で論理がグダグダだ。清張もたまには駄作を書く。 「速力の告発」は、表題作のダメさを補って余りある異色作で意欲作だ。木谷は妻と息子を暴走車に轢き殺された。 木谷は、真の悪はドライバーではなく過剰なスピードの出る車を売りまくるメーカーではないか、と考えて行動を起こす。 社会問題を追及するのは清張の数多い得意分野のひとつだが、主人公が一種の市民運動を始めるのは珍しい。 真摯な訴えをことごとく退けられたあと、木谷はとてつもない作戦を展開する。一歩間違えるとドタバタ喜劇だが、動機を考えると笑うこともできない。 当時の交通事故死者は、年間一万五千を数えたという。今の三倍だ。60年代の成長期は、良くも悪くも日本人のエネルギーが沸騰していたんだなあ。 | ||||
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2作品とも面白いが自分は速度の告発の方が楽しめた、それしてもインターネツト全盛の時代でも、すたれない面白さは、凄い。 | ||||
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松本清張プレミアム・ミステリー第三弾の1冊目 1969年発表の作品2篇収録。 ちなみに続刊は『彩霧』『梅雨と西洋風呂』『混声の森』(上・下)とのこと。 社会的人格から切り離された、プライベートな「分離の時間」(いつもながら清張作品らしい詩的な題名) 政治家や政治献金する企業の社長が登場する社会派な舞台設定だが、権力に使い捨てにされてボロボロになる人間の悲劇を描くという路線ではないようだ。 社会派的渋面というより、エンターテインメントなストーリーテラーとしての力量を存分に発揮した作品だと思う。 ヨーロッパの監督がヨーロッパの都会を舞台に映画にしてもそのままいけそうな雰囲気がある。 金のかかったインテリアで飾られた部屋から、暑さをしのぐためドアも窓も開け放ってカーテンで視線を遮る小さなアパートまで、その暮らしぶりの如何にかかわらずエゴイズムに突き動かされる人間たち。エゴイスティックな行動において、金持ち=悪、貧乏人=善の想定は成り立たない。 ただし、エンタメ小説らしい落としどころは設けてあるけどね。 併催作「速力の告発」の主人公は、交通事故の加害者もまた自動車産業偏重の社会風潮による被害者だと考える。 彼は交通事故で妻と子を失ったが、事故の加害・被害の立場を越えて市民ゲリラを組織し、権力のロジックに対抗する。そして作者はミステリーとしての小技を仕掛ける。社会派のエンターテインメント小説。 「交通戦争」という言葉が使われた頃の日本社会を舞台にしているが、交通事故の悲劇を尻目に自動車産業擁護一辺倒の省庁・マスコミの態度は、今読むと安保法制を推し進める政府のロジックの暗喩として読めてしまう。 権力が自分を正当化するロジック。 戦争ではなく武力行使ですと“冷静に”言い抜けるロジック。 60年安保の時あれほど戦争に巻き込まれるとの批判があったがそうはなりませんでした、“だから”安保法制によっても日本が戦争に巻き込まれることはありませんというロジック。 日米安保条約が破棄されたとは聞いてない。したがって正確には(核持込ちみや北爆や朝鮮戦争のことはさておくとしても)「自衛隊が米軍の戦争に巻き込まれたことは、今まではなかった」というのが正しく、「安保で戦争に巻き込まれなかった」と確定した事実であるかのように言うのは不正確(これからどうなる、ってことだから) (それとも、世界の情勢は60年安保のときと大して変わってない? でも、なんか、“安全保障環境”とやらがガラッと様変わりしたとか言ってませんでしたっけ? どっちがホント? 両立しないことをその時その時で使い分けるのは、二枚舌といいます。せっかく「道徳」の教科書を配っても紙クズになっちゃわない?) 9・11への対抗策として“あらゆる手段を排除せず”、“これは戦争だ”と顔面を紅潮させたブッシュ大統領と、その顔を少年のようにキラキラお目々で見つめるブレア首相。 “あらゆる手段”には、テロリストと断定した人物を裁判抜きで殺害することが当然のように含まれていた。 “民主的な”国々は、法の正義をいつまで踏みにじり続けるつもりなのだろうか。 テロとの戦争を礼賛する野蛮なロジックが世界を覆っている。 テロとの戦争を礼賛しながら、テロが野蛮とかのたまうのは茶番だ。 “あらゆる選択肢”などではなく、手段を選ぶのが文明ってものかな。 お題と関係ないこと言ってる? 清張作品の透徹した射程距離、ってなもんを感じますけどね。 | ||||
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年代が古めの本なので、ある程度は覚悟して買いましたが、手に取ってみてとてもきれいだったので嬉しかったです。 | ||||
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