■スポンサードリンク


Dの複合



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

Dの複合の評価: 4.03/5点 レビュー 32件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.03pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 21~25 2/2ページ
<<12
No.5:
(4pt)

社会派のレベルを示す佳作

売れない作家の伊瀬のところに創刊間もない雑誌から民俗学をからめた紀行文の連載が依頼される。それ以来伊瀬の取材先では奇妙な事件が起こり、果ては殺人まで。伊瀬は自分が犯人の企みに巻き込まれたことに気づく…

視点人物である伊瀬が、ワトソン役兼探偵役となる凡人探偵もの。随分久しぶりに読んだのですが、優れた作品だという印象を再確認しました。視点人物回りの造型が自然で、例えば伊瀬は売れない作家なので少々おかしな依頼でも受けますし、自分で動き回るだけの知識とコネと時間があります。奥さんの描写はさらに自然。状況の異常さを、仕事がらみの大量の蘊蓄と地に足の着いた人物で隠蔽しているわけですね。

この程度の蘊蓄推理ものは今ではよくありますし、本格として見ると、若干偶然に頼っている部分が多いことと細かな部分で情報の後だしがいくつかあることが気になります。それでも「社会派の旗手」である松本清張さんが1965年から1968年にかけてこういった水準の作品を書き、ベストセラーになったことを知れば、島田荘司さんや京大推理研を中心とした新本格作家たちがどれほどの覚悟で「社会派と戦う」ことにしたかを伺えるでしょう。そういう点では井沢元彦さんの「猿丸幻視行」(1980)も興味深いかと。
Dの複合 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:Dの複合 (新潮文庫)より
4101109281
No.4:
(4pt)

旅の思い出にひたりながら

先日宿泊した旅館が、松本清張さんがこの作品を執筆されたところでフロントで販売されていたので買い求めました。前半は旅行の情景を思い浮かべ、民俗学を学び、考えるのに精一杯で少しずつゆっくりと読み進めました。ですが後半は一気読み。綿密に張り巡らされた伏線に驚嘆すると共に作者の取材力、深い知識、文章力に感嘆いたしました。現代のリズミカルな作品と違うので慣れない分かなり読み終わるのに時間はかかってしまいましたが、たまにはこういった丁寧な文章にも触れていこうと思います。伏線が全て回収されたことも大満足。
Dの複合 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:Dの複合 (新潮文庫)より
4101109281
No.3:
(4pt)

517ページを3時間で読ませる小説

宮部みゆきさんの書く小説は、登場人物と出来事の絡み具合の巧妙さにほとほと感心して、好きになったのだけれど。
その宮部みゆきさんが責任編集した松本清張傑作短編集というものを先日読んで、宮部みゆきさんが松本清張ファンということを知ったのだけれど。
この「Dの複合」、今まで読んだ松本清張作品の中でいちばん面白い。
というのは、登場人物と出来事の絡み具合の巧妙さにほとほと感心したからだ。
さすが、宮部みゆきさんがファンになるだけのことはあると思ったのだ。
所々にコミカルな部分を織り交ぜ、殺人事件を追い求めているというより、主人公伊瀬忠隆の好奇心とぼくの好奇心がぴったり一致して、伊瀬の「次はここに行ってみよう」とか「これが気になる」という筋の展開に疑いもなく同意し読み進めていくのだった。
517ページの長編なのだけれど、3時間で読み終えてしまった。
でも坂口みま子さんが殺されることはないと思うのだけれど。
Dの複合 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:Dの複合 (新潮文庫)より
4101109281
No.2:
(5pt)

清張版ダヴィンチ・コード!!

浦島伝説に興味をもった編集者と、
それに振り回されながらも次第にドップリとのめりこんでゆく作家。
話しは浦島伝説だけで終わるはずはなく、
クモの糸のように張り巡らされた伏線が、
いつの間にかあるひとつの終着点へと向かうのである。
Dの意味と時刻表、日本地図・・・。
半世紀も前にダヴィンチ・コードをしのぐ名作が、
この日本にもあったのだと言ったら大げさだろうか。
温故知新の極み、これ極まれり!!
Dの複合 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:Dの複合 (新潮文庫)より
4101109281
No.1:
(5pt)

浦島、羽衣伝説の蘊蓄と、事件の謎との絡ませ方が絶妙。実に面白い歴史ミステリーです!

 作家の伊勢忠隆は、「月刊 草枕」編集部の浜中三夫から原稿の依頼を受けた。紀行文と随筆とをまぜた読みもので、「僻地に伝説をさぐる旅」というテーマで書いて欲しいというもの。依頼を承諾した伊勢は浜中とともに、浦島伝説と羽衣伝説にゆかりのある土地を訪ねる。ところが取材旅行を始めてから、伊勢の身辺に奇妙な事件が起きるようになった。取材旅行と事件の間に、何か繋がりがあるのだろうか? 不審を抱き、あれこれと推測を巡らせる伊勢と浜中であったが、やがてふたりは殺人事件に直面することになるのだった。 とまあ、序盤の話の展開は、こんな感じ。話の経糸に、取材旅行の過程で起きる不可解な事件の謎を追いかけつつ、緯糸では、浦島や羽衣といった伝説の蘊蓄を傾ける趣向になっています。そして、このからくりに潜むあるキーワードが明らかになる件りから、思いがけない方向に話が転じていく終盤と、読み始めたら止まらない面白さ。 また、「ああ、あの時の描写には……そういう意味があったのか」と、後になって思い出される何てことない場面での、用意周到な伏線の張り方。なるほどなあ、巧いもんだなあと、ミステリーを読む醍醐味を堪能しました。 さらに、事件の渦中で伊勢がシャーロック・ホームズのことを思い浮かべる場面では、くすりとさせられました。そう言えばこの作品、あるホームズ譚と一脈通じるところがある話かなあと。そのホームズ譚のタイトルは、ぐっとこらえて言わずにおきましょう(笑) それと、本文庫の解説は先に読まないほうがいいですよ。作品のミソと考えられる点を明かしてしまっているので。本書の趣向にあっ と言わされるためにも、作品読了後にお読みになることをお勧めします。
Dの複合 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:Dの複合 (新潮文庫)より
4101109281

スポンサードリンク

  



<<12
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!