■スポンサードリンク




新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

の評価: 3.75/5点 レビュー 143件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.75pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全32件 21~32 2/2ページ
<<12
No.12:
(3pt)

とにかくみんなよくしゃべる

登場人物がそれぞれの立場からよくしゃべる。対話形式を借りて、まるで語り手になったように、何かに付け理由を探し、ときに話が長くなると自問自答しながら、あるいは自己を開示する喜びを見出すように、話し、語り、説明し、そしてそれが精神的な戦いや、共感の達成ともなる。また、ひとつの出来事や人物評に対して、ちがう登場人物に語られることによって多様な見方や価値観を提示して物事の不確定さをあらわにするという効果もあるようだ。つまり、このおしゃべりこそ、小説『城』を特徴づけるカフカの意識的な手法なのだろう。
話し手の長い話に巻き込まれると、読者であるわたしは、独特な言い回しや省略した言葉の意図を、読んでいてすぐに理解できなかったりする場合がある。しかしそれは現実のわれわれの会話のなかでも起こることであり、先を読み進みながら、ときに引き返しながら話の意図をつかまなければいけない。したがって、ある程度の忍耐や寛容さを読者は要求されると思う。文庫本で読んでいたら最後まで読まずに放棄していたかもしれない(とくにオルガ一家の不幸をたどる長い話の途中で)。きれいな単行本だったので最後まで読めたと言ってよい。最後といっても、未完なので読後は物足りなさも残る。仕事の途中で読んだりしていたので、また後でじっくり読み返すこともあるだろう。カフカは興味深い作家なので、同じ全集で次は『失踪者』を読んでみよう。
城―カフカ・コレクション (白水uブックス)Amazon書評・レビュー:城―カフカ・コレクション (白水uブックス)より
4560071551
No.11:
(3pt)

"城"とは『城』のことだ

オーストリア=ハンガリー帝国領プラハ出身の、20世紀文学を代表するユダヤ系ドイツ語作家フランツ・カフカ(1883-1924)の未完の長編小説、1922年執筆。『失踪者』『審判』と並ぶいずれも未完の三つの長編小説のうち、最も執筆時期が遅いもの。

"城"から測量士として雇われたK.が、それにも拘らず延々とその"城"自体に辿り着けないまま、そもそも"城"からの呼び出しが一向にやってこない、という物語。『審判』に於ける"訴訟"と同様に、最後まで"城"の実体が明示的に語られることは無い。この物語でも、やはりその中心は空虚の一点である。内実無き不定点としての"城"、無限遠点としての"城"。その如何なる意味でも目的たり得ぬ不定点の周りを、方向も無く浮遊するばかり。物語が、"城"の実体に近づくようで手許を零れ決して到り着かず、或いは全く脱線していってしまう。物語のかなりの部分(とりわけ後半部分)がK.と他の登場人物との冗漫と云っていいほどの対話から成るのであるが、K.が外部から"城‐村"を訪れたという一事から繰り出される言葉の横溢に、K.自身にとっても読者にとっても"城"は益々その果てが彼方へ茫漠となるばかりだ。カフカ自身の筆が"城"に向かう気配が殆ど見えないのだから、読者はその無軌道に翻弄されるしかない。

そのうちに、K.も読者も不定点としての"城"の、その非自明性・不可視性に対する異和の感覚が知らず麻痺していってしまうのではないか、馴致されていってしまうのではないか。そして、不定点を紛い物の(無)内実・自明性という虚偽意識で埋め込まれることで、欺瞞でしか在り得ないところの日常性が成り立つ。不条理性から頽落した惰性態としての卑俗な日常性。そこには必ず、頽落した言葉、則ち駄弁のガラクタが堆積している。現実のどの瞬間を輪切りにしてみても、この物語の任意のページをめくってみるのと同じように、不定点を凝視する「覚悟」を失った冷笑面の方向無き言葉の乱反射が層を為しているだけだ。この瞬間を時間軸で積分して間延びさせた代物が、キェルケゴールが「批判」した「現代」の生の在りようだ。美的瞬間の対極としての日常性。つまり、不定点は無限遠点としての"城"ばかりではない、あらゆる瞬間が不定点で充溢しているのだ、"城"はその記号的な象徴でしかない。我々は既に、その充満した不定点という縁無しの空虚へ失墜しているのだ。そうした無間地獄として以外に在り得ない人間存在の自由性――則ち実存としての生――を自覚し不条理な世界に対して歓喜しながら豪奢な敗北に墜ちていくか、安いハリボテ同然の虚構を次々と不定点へ投げ込んでみては自己欺瞞で騙された振りをし通して安逸な日常を卑しく寿ぐか。あれかこれか、二つに一つだ。"城"は、このいづれを選択するか、その試金石だ。それは読者に対する小説作品としての『城』にも云えることだ。

それ故に、"城"とは『城』のことだ。

(新潮文庫版)
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024
No.10:
(3pt)

”城”と『城』

オーストリア=ハンガリー帝国領プラハ出身の、20世紀文学を代表するユダヤ系ドイツ語作家フランツ・カフカ(1883-1924)の未完の長編小説、1922年執筆。『失踪者』『審判』と並ぶいずれも未完の三つの長編小説のうち、最も執筆時期が遅いもの。

&#34;城&#34;から測量士として雇われたK.が、それにも拘らず延々とその&#34;城&#34;自体に辿り着けないまま、そもそも&#34;城&#34;からの呼び出しが一向にやってこない、という物語。『審判』に於ける&#34;訴訟&#34;と同様に、最後まで&#34;城&#34;の実体が明示的に語られることは無い。この物語でも、やはりその中心は空虚の一点である。内実無き不定点としての&#34;城&#34;、無限遠点としての&#34;城&#34;。その如何なる意味でも目的たり得ぬ不定点の周りを、方向も無く浮遊するばかり。物語が、&#34;城&#34;の実体に近づくようで手許を零れ決して到り着かず、或いは全く脱線していってしまう。物語のかなりの部分(とりわけ後半部分)がK.と他の登場人物との冗漫と云っていいほどの対話から成るのであるが、K.が外部から&#34;城‐村&#34;を訪れたという一事から繰り出される言葉の横溢に、K.自身にとっても読者にとっても&#34;城&#34;は益々その果てが彼方へ茫漠となるばかりだ。カフカ自身の筆が&#34;城&#34;に向かう気配が殆ど見えないのだから、読者はその無軌道に翻弄されるしかない。

そのうちに、K.も読者も不定点としての&#34;城&#34;の、その非自明性・不可視性に対する異和の感覚が知らず麻痺していってしまうのではないか、馴致されていってしまうのではないか。そして、不定点を紛い物の(無)内実・自明性という虚偽意識で埋め込まれることで、欺瞞でしか在り得ないところの日常性が成り立つ。不条理性から頽落した惰性態としての卑俗な日常性。そこには必ず、頽落した言葉、則ち駄弁のガラクタが堆積している。現実のどの瞬間を輪切りにしてみても、この物語の任意のページをめくってみるのと同じように、不定点を凝視する「覚悟」を失った冷笑面の方向無き言葉の乱反射が層を為しているだけだ。この瞬間を時間軸で積分して間延びさせた代物が、キェルケゴールが「批判」した「現代」の生の在りようだ。美的瞬間の対極としての日常性。つまり、不定点は無限遠点としての&#34;城&#34;ばかりではない、あらゆる瞬間が不定点で充溢しているのだ、&#34;城&#34;はその記号的な象徴でしかない。我々は既に、その充満した不定点という縁無しの空虚へ失墜しているのだ。そうした無間地獄として以外に在り得ない人間存在の自由性――則ち実存としての生――を自覚し不条理な世界に対して歓喜しながら豪奢な敗北に墜ちていくか、安いハリボテ同然の虚構を次々と不定点へ投げ込んでみては自己欺瞞で騙された振りをし通して安逸な日常を卑しく寿ぐか。あれかこれか、二つに一つだ。&#34;城&#34;は、このいづれを選択するか、その試金石だ。それは読者に対する小説作品としての『城』にも云えることだ。

それ故に、&#34;城&#34;とは『城』のことだ。
城―カフカ・コレクション (白水uブックス)Amazon書評・レビュー:城―カフカ・コレクション (白水uブックス)より
4560071551
No.9:
(3pt)

よく

よくわからんぞ
なんだかスッキリしない終わりかただったと思う。
城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:城 (角川文庫)より
4042083048
No.8:
(3pt)

話は長いよ・・・

水も飲まずに絶対そんな長い間しゃべれない!と言いたい登場人物のセリフは終盤に向けてどんどん長くなり、”話半分”に読まなければ最後(話は未完ですが)までたどりつくのはなかなか大変です。
主人公は、測量技師としての仕事をする権利があるとか言いながら女のケツなんか追いかけてみたり、この人大丈夫なの?と思ってしまいますが(カフカがそんな人だったようですね・・・)、もちろん大丈夫でも無く、カフカ風理不尽な物語はどこまでも続き、最後は「えっ。ここで終わりですか!」ということに相成りました。
しかし、登場人物たちの欺瞞、保身、怠惰、何かをしているが結果が無い仕事、組織への反発と迎合など、不条理とか実存とかいう言葉で語られるカフカではあるものの、いやむしろ現実そのままではと思わせるものがあります。現実は死ぬまで終わることはなく、よって物語が未完であるのも然り、と感じた次第。
城 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:城 (角川文庫)より
4042083048
No.7:
(3pt)

組立困難な彫刻のよう

物語の構造が面白いですね。
内容は冗長で途中でイラつくほどです。

城という伏魔殿のような存在をその周りに取り囲む滑稽な人間達を描きながら浮かび上がらせる。
文章による3D画像のような作品。

木を彫刻刀で彫っていき輪郭や形を浮かび上がらせるような感覚とでもいったらいいのか。
しかもそれが同じ人物に対してすら人によって彫りあがった人物像が異なり、それが何人も重なるため人物描写によって幾重にも彫りあがった木が重なりイビツな何かが現れてくる。

また、同じものを同じようにみているにも関わらず人によって全く違う認識をするこの世の不条理を気持ち悪いくらい濃密に描いている。
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024
No.6:
(3pt)

田舎の閉鎖性が…

よくでた作品です。田舎は一見秩序があるようで、実際は誰の意見もなく、村に入ってきた異物に意味もなく過敏に反応します。大して害もないのに、花粉に異様に反応する抗体のようです。欧州でも田舎はどこも同じなんだなあと感じます(実家の田舎もこんな感じです)。ユダヤ人である彼は常に、花粉さながらの反応をされて続けて来たんでしょうね。花粉が花粉であることの存続を証明するのは骨がおれます。

村上春樹をバカにするレビューがありましたが、文章の立体感や滑らかさ、娯楽としての度完成度では(娯楽と書くと嫌がる人がいるかもしれないけれど)彼の方が数倍上です。

会話文が長すぎて途中から誰が喋っている文章かわからなくなります。(作品の個性とは別に)恐らくまだ言葉をそぎ落としていない段階だからでしょう。だらだらと続く退屈な文章を、外国の文学だからといって有り難がっているのは、文学村のプライドでしょうか? モチーフはかなり面白いです。逆に村上春樹に書き直して欲しい作品です。
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024
No.5:
(3pt)

着想は唯一無二だが・・・・。

カフカは税務官として多忙な日々を送りながら小説を書いていた。その繁忙な中で全集が出るほど作品を生み出した事は驚く。だが、職業作家でなかったカフカには本当に時間が無かったらしい。友人マックス・ブロートに残した遺言の中に外に出すべき価値のある作品として本作の名は入っていない。なるほど冒頭部分の不穏な世界は巧く滑り出しで引き込まれる。だが、城や城を中心とした官僚組織に近づけない過程が惰性で書いたような立体感の無い会話で構成され、正直に言って冗長すぎる。仄聞した事だがカフカの日記には「今日は一文字も小説を書けなかった」という苦悩が残されているらしい。『変身』と短編では間違いなく天才の着想と完成度を誇っていたカフカからすれば、本作は読ませるに値するレベルでは無かったのではないか?もっと言えば若干41歳で逝去する事がなければ、カフカは本作をリライトし超絶的な名作にしていたと思う。
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024
No.4:
(3pt)

読み始めはツライです

何とか読了しましたが、途中で何度か「読むの止めようかな……」と思いました。
でも、全編の3分の1くらい読んだ辺りからは物語に展開があったので、意外とスムースに読み進む事ができました。

さて、読後の感想ですが箇条書きにしてみます。

1.作品の時代背景や当時の欧州の習慣などを知らないと、正確にこの物語を判断できない気がします。
登場人物のちょっとした仕草や言葉の中に実は重大な意味が隠されている可能性もあるので。

2.しかしながら、そもそもこの小説には「意味」とか「主題」とか「教訓」などは全く無い気もします。
カフカ自身、この小説を多くの人々に読んでもらおうなどと言う野心や期待を持っていなかったのではないでしょうか?
「何となくこういう物語を書きたいから書いた。でも書いているのが自分でも面倒になったので途中で止めた」事実はそんな事なのではないでしょうか。

3.読書中は「つまらないロールプレイングゲーム」をしているような感じ。
例えばドラゴンクエストだったら、主人公がある村に到着したら、村の人たちから「ゲーム進行のヒント」を聞き出さなければならないので、その村をウロウロしますよね。
 まさにあの感じで主人公Kは村をうろつき、村人から様々な情報を聞き出すのですが、その台詞の長い事長い事……。

4.何時間もかけて、やっと数千ピースのパズルを完成させた!と、思ったら1ピースだけ足りなくて結局未完成になってしまった感じ。不完全燃焼。
(この小説に限って言えば、あのような尻切れトンボもあり、と言えばありなのでしょうが)

まあ、それでも登場人物たちの台詞の中にはドキッとさせられるような人間に対する鋭い洞察に満ちた言葉も多々あり、時代や文化に関わらず人類共通の世界が描かれているのも確かで、全くつまらない物語りとは言えません。

読書好きで時間に余裕のある人にはイイ小説かもしれません。
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024
No.3:
(3pt)

不条理とは?

以前も挑戦した事があったのですが、そのときは全く読めなかったのですが、今回の池内さんの訳はとても読みやすくてよかったです。

城(または、組織)が支配する村に測量士として招かれたKを主人公に、非常に不思議な物語が展開されます。そして、読み手に対して丁寧にも関わらず、その判断を下す事を絶えず躊躇させ、それでいて非常に強大で圧倒的な『城(私は個人的には城に付随する『組織』と考えました)』だけが常に存在感を示し、Kを、読者を従えようとしてきます。

個人的にはいわゆる「不条理もの」と認識いたしましたが、それだけでない、読者に語りかけ、今現在でも通用する(と言うかヒトが生きている時代ならいつでも)誰でもが思う不条理さの持つ何かを問いかけてきます。組織という見えないものなのにも関わらず、圧倒的チカラを持ったモノに対抗する不条理さのリアルさが、信頼置ける何かまでもが、少しの事で(時間の経過、状況の変化、視点の転換、相手の思い込み、自分の錯覚、など)信頼していたものが、全く変わっていってしまう感覚などがまたとてもリアルです。

不条理さとは何か?と考える事は少ないけれど、この世の中は不条理に満ち溢れています、その世の中を生きていくためにも少し不条理さについて考えてみたい人に、オススメ致します。

特に「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が好きな方には、是非とも。あの物語の原点を、私は個人的に感じました。
城―カフカ・コレクション (白水uブックス)Amazon書評・レビュー:城―カフカ・コレクション (白水uブックス)より
4560071551
No.2:
(3pt)

村上ファンにオススメ

昨年授賞したフランツ・カフカ賞の授賞式にて、村上春樹氏は「15歳の時にカフカの『城』を読んでショックを受けた」と語っていた。

早速新装版を購入して読んでみたのだが・・・

なるほど、とらえどころのない世界観は、村上春樹氏の作品と大いに通じるところがある。

きっと「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」あたりにその影響を色濃く残しているものと思われる。

しかしストーリーの脈絡の無さとなかなか進行しない点については、いささか期待外れであった。

少々この作品に期待しすぎていたのかも知れない。

終盤になると測量士である主人公の「K」と、登場人物との会話が延々と続き、それもページに隙間無くびっしりと書き込まれており、想定よりも読むのに時間がかかった。

だらだらとした展開にも関わらず、途中で投げ出さずに最後まで読んだのは何故か。

そう、このだらだらとした展開から一転目の覚めるような結末が待っているのだと確信したからだ。

しかし620ページ目の唐突な「終わり」を目にして、その確信はもろくも崩れ去った。

ここ最近の読書の中でもかなりがっかりした。

読了後に知ったのだが、本作品は未完とのこと。

村上ファンや、「カラマーゾフの兄弟」に感動した方、時間のある方は一読されてはいかがでしょうか。
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024
No.1:
(3pt)

何が言いたいのかよく分からない

職業が人間の唯一の存在形式となった時代の作品です。主人公Kは測量士という肩書きを持ちながら、依頼された村からはなんの仕事も与えられない。つまり、K自身を必要としていなかった。Kは理屈と愛に逃げるが故、滑稽な場面でもどこか虚しさが同居しています。話しの一貫性の無さは最後の最後まで残りますが、全てを論破してしまうKの言葉の数々から、人間の存在の本質について感じ取ることが出来ます。
城 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:城 (新潮文庫)より
4102071024

スポンサードリンク

  



<<12
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!