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そして夜は甦る



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そして夜は甦るの評価: 4.09/5点 レビュー 54件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 41~44 3/3ページ
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No.4:
(4pt)

モラリストのハードボイルド

 チャンドラーを読み込んだという著者の作品だからだろうか,主人公をはじめ,奇骨な登場人物たちの交わすセリフは,まず実際の日常会話では使われなそうな,翻訳調だが,それが独特の雰囲気をだしていて,いい。 ハードボイルド小説らしく,主人公は絶え間なく斜に構えたスタイルでつぶやきつづけるのだが,そのなかに,ときどきキラリと光るモラリスト的な一節がある。たとえば,離婚問題で揺れる,仕事でもめて会社を辞職した夫と資産家の娘である妻と夫婦についての,「単に世間とのつきあい方が下手なだけの若い世代なのだろうか。決定打を打つ前にジャブの応酬がないのだ。だから,摩擦が生じるといきなり破局を迎える。」といったような記述など。小説の通奏低音として,「失われた大義」を重んじる倫理感が,薄明かりのような響きをきかせている。 ストーリーはもとより,全体の雰囲気(著者のまなざし),日頃聴けないセリフの応酬も楽しめる,まさに正当派,日本のハードボイルド小説。 
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.3:
(4pt)

沢崎にはまってください。

「近寄りがたい人」「義理人情」今ではとても「イケテナイ」人種にあてはめられそうな「おっさん・ジジイ」系がこれほど素敵な野郎になるのはなぜ?現在の中年域の方々のあこがれでしょうか。少し、想像してみてください、もし、若い素敵な女性に「誘惑」されたらあなたならどうします?みじめに逃げますか?欲望のまま?どうします?少しあきらめた中年男性、少し自分をはげませる本です。素敵な目標ですかね。若い男性には「年齢」のとり方の見本です。沢崎を体験してください。でも、沢崎の愛車?日産ブルーバードの表現はね・・・いい!Michael.i
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.2:
(5pt)

そして謎は甦る

渡辺探偵事務所に、右手を見せない男が知人の安否を尋ねに訪れる。チャンドラーを敬愛する原りょうの、そして記念すべき沢崎シリーズ第1作「そして夜は甦る」はここに開幕した。乾いた文体と緊密な構成、極めつけのハードボイルドはこの湿った日本でも花開くことを証明してみせた。原りょうはその文体を自分の中に見つけるまで、始まりの違う第1章を何章も書き、終わりの違う終章を何章も書き上げたという。そして10年、やっとこれが自分の文体と呼べるものを見つけた。しかし出版関係に知己のない著者は、原稿を盗用されることを怖れてある仕掛けを本作に仕組んだ。さて、貴方は見つけることができるだろうか?なお、本書の文庫版には「あとがきに代えて」という短編が収録されている。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.1:
(5pt)

沢崎、デビュー!

 作者である原りょうの、「りょう」という漢字がインターネット上で使えないことはかなり知れ渡ってきたようだ。今の時代、それだけでも印象に残るに違いない。その作者のデビュー作となった本作品は、作者が出版社に郵送で持ち込んだという。その経緯もファンの間ではよく知られている。編集者から連絡が入るまでの間、作者は作品の盗作を心配したらしい。そのため本作品には作者が作者であることを示す暗号が隠されていることも今となってはかなり知られているはずだ。 「渡辺探偵事務所の沢崎です」 主人公の私立探偵沢崎は、年に100回ほどこう言って相手の間違いを正す。沢崎は、姿を隠して久しい所長の渡辺が開いた探偵事務所を一人で維持しているのだ。その渡辺が起こした過去の事件を追い続ける新宿署の錦織警部と清和会の橋爪にとって、沢崎だけが渡辺につながる糸だった。沢崎は彼らを情報源として利用しながら、依頼を受けた事件の真相に迫る。シリーズを通じて変わらない探偵沢崎の型である。 沢崎のデビュー戦は、海部と名乗る男から二十二万円の現金を預ったことから始まった。 失踪した佐伯直樹はカレンダーに渡辺探偵事務所のなと電話番号を書き残していた。そして、その佐伯の行方を追う沢崎の前に過去のある事件が浮かび上がる。 過去の事件の真相は? 海部と名乗る男の正体は? 鮮烈な印象を残すラストシーン。マスコミが伝えた事実には肝心な部分が抜け落ちていた。 自分の足で情報を集め、整理する。その繰り返しによって真実を突き止める沢崎の姿勢は、探偵という職業に徹する機能美を感じさせる。その美しさに魅せられた者はきっと「私が殺した少女」「さらば長き眠り」と続くシリーズを手に取るに違いない。 ハードボイルド、万歳!  沢崎、万歳!  そして、原りょう! 新作を待っている!
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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