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そして夜は甦る



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そして夜は甦るの評価: 4.09/5点 レビュー 54件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.09pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全54件 41~54 3/3ページ
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No.14:
(5pt)

ハードボイルド万歳

原りょう「そして夜は蘇る」を読了。今回で3回目の読了です。やはり主人公、沢崎に心奪われてしまう私なのでした。チャンドラーの直系の物語作家である作者が生み出した、沢崎はやはりチャンドラーが生み出したマーロウと同じように東京の街を歩き回る。卑しい街、新宿を歩き回る。そこには人間模様の襞が2重にも3重にも重なっている事件が横たわっている。沢崎はその襞の一枚一枚を引き剥がし、真相に迫る。襞が全て剥がされた後、人間の悲しみがそこには残っている。

いつも沢崎に教えられる。男の生き方を。私が沢崎になるには、覚悟も経験も、もちろん我慢も足りない。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.13:
(5pt)

古いのに新しい

この作品を読むまで恥ずかしながら「原りょう」なる作家を知りませんでした。
直木賞も受賞している実績ある方だと読んでから知りました。
良い作品に出会う度に感心しか出来ませんが本作も非常に面白いですね。
所謂ハードボイルド物ですが主人公の沢崎探偵を中心に事件は進み、
ある程度話の流れが判って来たところでストンとひっくり返される展開は、
飽きさせないばかりかもっともっとと一気に読ませてくれます。
誉田哲也のような目まぐるしい情景変化がないのにあくまで穏やかに
それでいて最後の最後まで結末が見えてこないストーリー性と
沢崎のキャラクターに5つ星をつけさせていただきます。
24年前の作品と判らせるのは実際に起こった出来事や背景が描かれているからですが、
人間の持つ欲望や性が永遠に変わらぬ限り本作の面白さも新鮮であり続けるのではないでしょうか。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.12:
(3pt)

いかんせん古い

ハードボイルドの定義がよくわからないが、「主人公がクールな台詞を吐き続ける(苦境にあっても)」ということだとすれば、まさにハードボイルド小説であった。しかしそのことの帰結として、内面描写が妨げられて、典型的な人物たちによる淡々とした事実の羅列になってしまうのは、ハードボイルドというジャンル(?)では仕方のないことなのか・・・。

ハードボイルドという衣を剥ぎ取ると非常にクラシカルな本格推理小説で、事件があり、「口は悪いが腕は確かな刑事」とともに探偵が追い、最後に謎解きがある。その謎も今となっては若干古く、おおよその見当はついてしまう。

慰謝料5000万の解釈の「反転」だけは見事だった。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.11:
(5pt)

良質なミステリーを貴方に

寡作のミステリー作家、原ォのデビュー作。
あえて翻訳物のチャンドラーを読み漁った末に、あの雰囲気をそのまま「原ォ」のミステリーとして落とし込むとどうなるか。
まさに骨太の「完璧な」ハードボイルド・ミステリーが出来上がる。
この小説は、直木賞を獲った「私が殺した少女」の後で読んだのだが、デビュー作とは思えない仕上がりになっている。
翻訳調で、冷たく乾いた感じに仕上がった文体。
幾重にも張り巡らされた緻密なプロット。
これでもか、と畳み掛けてくる息をつかせぬストーリー展開。
ははぁー、犯人はこいつか、と思って読み進めていくと裏切られる心地よさ。
都知事候補を襲撃した犯人は誰なのか。
犯人を追っていた佐伯はどこに消えたのか。
大物俳優を弟に持つ都知事を狙撃した理由は何なのか。
大手鉄道会社を経営する一家と都知事との関係は。
渡辺探偵事務所の「沢崎」が徹底的に追いつめる。
ひとつだけ難点があるとすれば、ストーリーが入り組みすぎていて、時間をかけて読んでいると頭の中で話がつながらなくなる可能性があること。
一気に読み上げれば良いのだが、読み進めるのがもったいないとまで感じてしまう。
軽めのミステリーでは体験出来ない濃厚な味を堪能したのであれば、原ォ以外には考えられない。
そう、まさしく「堪能」という表現がぴったりだ。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.10:
(5pt)

凝りすぎでこわい位

一気に読まないと、分かりにくいほど、凝っている内容。登場人物が多数いて、誰が誰と、どういう関係から、どのように係わっているのか、頭の整理が必要でしょう。それだけに面白さは保証する。蛇足だけど、I原知事、I原Y郎を連想して笑ってしまった。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
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No.9:
(4pt)

おら、ハードボイルドだど!

初めてこの作家の本を読んだ。
ハードボイルド小説であるということ以外、
情報はなかったが、
読み続けていくうちにのめりこんだ。
途中で自作自演の狙撃ではないのかと思ったが、
最後まで面白く読むことが出来た。
作者の長編デビュー作らしいが、
発表順に読んでみたいと思った。
内藤陳の懐かしいギャグを思い出した。
「おら、ハードボイルドだど!」
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.8:
(4pt)

沢崎の下の名前はなんだろう…?

直木賞作家のデビュー作である。受賞したのは別の作品だが、こちらのプレビューの「原りょうの作品は発表順に読む方がよろしい」とのアドバイスに従ってこちらを先に読んだ。
さて中身はというと、まず文体だがこれは好みが分かれるところだろう。日本人作家にもかかわらず、翻訳小説さながらの地の文は、残念ながらヘチマたわし愛用の私の純和風の肌には合わず、星を一つ減らす原因となっている。
しかし、普段から翻訳小説を読みなれている方や、チャンドラーのファンであるといった方には全く気にならないか、むしろ大いに好まれるのではないだろうか。
それよりも原りょう作品にはもっと強烈な魅力がある。すでに読まれた方は画面の前で叫んでおられることだろう。
「台詞だよ、台詞!」
そう、台詞である。この作家は、フィクションとしての、そしてハードボイルド小説の登場人物としての味わいある台詞を書くのが実に巧い。
登場した主人公の最初の台詞を聞いた(沢崎の台詞に限ってだが、私の頭の中で音声として聞こえる)とき、細かい描写など必要なく、その立ち姿をはっきりと思い描くことができた。
また、「処女なんて捨ててしまいたい」とすがってくる19歳の据え膳娘に対する台詞が、40歳になった男の渋さを滲みださせていて心憎いばかりである。
さらに、依頼人である妙齢の女性から独身かと問われてそれに答える件もまた良い。この依頼人とは至極細い男女の糸を引き合うシーンが何度かあるのだが、その糸が決して大きくは振れない辺り、この作家の筆力の深さが感じられる。
これらの台詞はハヤカワ文庫JA版ではそれぞれ8、131、192ページに記載されているので、少しでも気になる方は、ぜひご自分の目で確かめられることをお勧めする。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.7:
(4pt)

ハードボイルド

文体とか、舞台とかは、『ららら科学の子(ほんとは学の字が違うけど』と近いし、村上春樹の『ダンスダンスダンス』とも似ているかもしれない(一人称で、主人公が人探しをしていて、その主人公は何らかの過去の思い出に囚われていて、で、ときどき人が死ぬ)。この世代の人はハードボイルドが好きなのかな。ちなみに村上春樹の初期の小説を「僕」という人称で語られるハードボイルドと言っていたのは、確か加藤典洋だったと思う。ま、そんなまとめ方をされても作者たちは迷惑かもしれないけど、そんなことも思った。 全体として、スリリングで面白い。気の利いた言い回しもたくさんあってよい。最後の場面とか、どきどきする。うん。傑作なのだと思う。ただ、この1980年代の小説を読みながら、小道具や風景描写に時代を感じてしまったり(携帯電話がないし、都庁が新宿ではない)する自分がいるのは残念だ。小説を読んでいて、時代を感じるということは決してマイナスポイントじゃないと思うのだけど、作中の舞台・時間があまりに自分の住んでいる場所、生きている時代と近いと、なんというか、熱海とかの近場に旅行に行って緊張感のない時間を過ごしているのと近い感情を覚える(そういえば、熱海にいっても、10年くらい時代をタイムスリップした錯覚に陥る、もちろん10年前)。文章に緊張感が漲っているだけに、そのギャップが残念。しかしこれは当然作者の責任ではない。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.6:
(5pt)

沢崎に惚れる。

推理小説好きな人には、是非一度手にとっていただきたい作品。文章に独特の理屈っぽさがただよう。まず、それを心地良いと感じるか、不快に感じるかが、この沢崎シリーズを好きになるかどうかの、基準になると思う。「そして夜は甦る」は、探偵沢崎シリーズの第一作目。推定独身、東京都在住、すすけた中年探偵・・・・彼のルックスについては、ほとんど明らかにされていない。しかし、彼がくゆらせているであろう煙草の香りを、私は確かに感じた。彼に惚れてしまった。もし、現実に彼が居たら、哀愁を帯びたその背中を、いつまでも追っかけてしまうであろう。物語は、緻密で、理論立てて構成されている。読み終わった後、妙に理屈っぽくなり、恋人と大喧嘩をした経験が有る。それでも、読むのを止められなかった。次の作品も、そして次の作品も、読み応え有り。まず、この作品からどうぞ。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.5:
(5pt)

沢崎の初登場

日本にもあったかと思わせる、沢崎シリーズの記念すべき第1作である。沢崎はけっしてかっこいい探偵ではない。しかし、ハードボイルドらしく、自分で決めた信念には忠実にしたがって生きていく。各場面、へーと思わせる沢崎の観察眼を披露する。ストーリーも緻密に組み立てており、ミステリーの要素も多い。じっくり読みたい一品だ。
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4150305013
No.4:
(4pt)

モラリストのハードボイルド

 チャンドラーを読み込んだという著者の作品だからだろうか,主人公をはじめ,奇骨な登場人物たちの交わすセリフは,まず実際の日常会話では使われなそうな,翻訳調だが,それが独特の雰囲気をだしていて,いい。 ハードボイルド小説らしく,主人公は絶え間なく斜に構えたスタイルでつぶやきつづけるのだが,そのなかに,ときどきキラリと光るモラリスト的な一節がある。たとえば,離婚問題で揺れる,仕事でもめて会社を辞職した夫と資産家の娘である妻と夫婦についての,「単に世間とのつきあい方が下手なだけの若い世代なのだろうか。決定打を打つ前にジャブの応酬がないのだ。だから,摩擦が生じるといきなり破局を迎える。」といったような記述など。小説の通奏低音として,「失われた大義」を重んじる倫理感が,薄明かりのような響きをきかせている。 ストーリーはもとより,全体の雰囲気(著者のまなざし),日頃聴けないセリフの応酬も楽しめる,まさに正当派,日本のハードボイルド小説。 
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4150305013
No.3:
(4pt)

沢崎にはまってください。

「近寄りがたい人」「義理人情」今ではとても「イケテナイ」人種にあてはめられそうな「おっさん・ジジイ」系がこれほど素敵な野郎になるのはなぜ?現在の中年域の方々のあこがれでしょうか。少し、想像してみてください、もし、若い素敵な女性に「誘惑」されたらあなたならどうします?みじめに逃げますか?欲望のまま?どうします?少しあきらめた中年男性、少し自分をはげませる本です。素敵な目標ですかね。若い男性には「年齢」のとり方の見本です。沢崎を体験してください。でも、沢崎の愛車?日産ブルーバードの表現はね・・・いい!Michael.i
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.2:
(5pt)

そして謎は甦る

渡辺探偵事務所に、右手を見せない男が知人の安否を尋ねに訪れる。チャンドラーを敬愛する原りょうの、そして記念すべき沢崎シリーズ第1作「そして夜は甦る」はここに開幕した。乾いた文体と緊密な構成、極めつけのハードボイルドはこの湿った日本でも花開くことを証明してみせた。原りょうはその文体を自分の中に見つけるまで、始まりの違う第1章を何章も書き、終わりの違う終章を何章も書き上げたという。そして10年、やっとこれが自分の文体と呼べるものを見つけた。しかし出版関係に知己のない著者は、原稿を盗用されることを怖れてある仕掛けを本作に仕組んだ。さて、貴方は見つけることができるだろうか?なお、本書の文庫版には「あとがきに代えて」という短編が収録されている。
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013
No.1:
(5pt)

沢崎、デビュー!

 作者である原りょうの、「りょう」という漢字がインターネット上で使えないことはかなり知れ渡ってきたようだ。今の時代、それだけでも印象に残るに違いない。その作者のデビュー作となった本作品は、作者が出版社に郵送で持ち込んだという。その経緯もファンの間ではよく知られている。編集者から連絡が入るまでの間、作者は作品の盗作を心配したらしい。そのため本作品には作者が作者であることを示す暗号が隠されていることも今となってはかなり知られているはずだ。 「渡辺探偵事務所の沢崎です」 主人公の私立探偵沢崎は、年に100回ほどこう言って相手の間違いを正す。沢崎は、姿を隠して久しい所長の渡辺が開いた探偵事務所を一人で維持しているのだ。その渡辺が起こした過去の事件を追い続ける新宿署の錦織警部と清和会の橋爪にとって、沢崎だけが渡辺につながる糸だった。沢崎は彼らを情報源として利用しながら、依頼を受けた事件の真相に迫る。シリーズを通じて変わらない探偵沢崎の型である。 沢崎のデビュー戦は、海部と名乗る男から二十二万円の現金を預ったことから始まった。 失踪した佐伯直樹はカレンダーに渡辺探偵事務所のなと電話番号を書き残していた。そして、その佐伯の行方を追う沢崎の前に過去のある事件が浮かび上がる。 過去の事件の真相は? 海部と名乗る男の正体は? 鮮烈な印象を残すラストシーン。マスコミが伝えた事実には肝心な部分が抜け落ちていた。 自分の足で情報を集め、整理する。その繰り返しによって真実を突き止める沢崎の姿勢は、探偵という職業に徹する機能美を感じさせる。その美しさに魅せられた者はきっと「私が殺した少女」「さらば長き眠り」と続くシリーズを手に取るに違いない。 ハードボイルド、万歳!  沢崎、万歳!  そして、原りょう! 新作を待っている!
そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))Amazon書評・レビュー:そして夜は甦る (ハヤカワ文庫 JA (501))より
4150305013

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