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4.00/5点 レビュー 21件。 B ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 1〜20 1/3ページ
No.50
(5pt)

教科書に載らない名作

教科書には絶対に載らないタイプの名作です。
作品名だけなら資料集とかに出てたような…?
この著者の代表作にして、間違いなく歴史に残る名作です。
アンナを知らずにここに流れ着いた方はぜひ。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.49
(5pt)

パニックホラーの傑作に違いない

ページをめくるや最終ページまで、不安と恐怖の緊張感が走る。ジェットコースターのように、読み始めるや、途中で降車することはできない。いつ終着駅がくるのか。『出口』がまったくみえない、その圧迫感。著者は、ドラッグユーザーであったそうだ。「なるほど」とうなずける、まさにパニックホラーの傑作。至高の作品という世評もまた”うなずける”、そんな作品です :D
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.48
(5pt)

パニックホラーの傑作に違いない

ページをめくるや最終ページまで、不安と恐怖の緊張感が走る。ジェットコースターのように、読み始めるや、途中で降車することはできない。いつ終着駅がくるのか。『出口』がまったくみえない、その圧迫感。著者は、ドラッグユーザーであったそうだ。「なるほど」とうなずける、まさにパニックホラーの傑作。至高の作品という世評もまた”うなずける”、そんな作品です :D
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.47
(5pt)

パニックホラーの傑作に違いない

ページをめくるや最終ページまで、不安と恐怖の緊張感が走る。ジェットコースターのように、読み始めるや、途中で降車することはできない。いつ終着駅がくるのか。『出口』がまったくみえない、その圧迫感。著者は、ドラッグユーザーであったそうだ。「なるほど」とうなずける、まさにパニックホラーの傑作。至高の作品という世評もまた”うなずける”、そんな作品です :D
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.46
(5pt)

唯一無二の作品

"世界はすでに終わりの時を迎えてしまったように思われた。それももうどうでもいいことだった。この車が私たちの世界になっていた。小さく明るく暖かい部屋。静かに凍りついていく無辺の宇宙の中の私たちの家"1967年発刊の本書は"夜の世界を探索する作家"による唯一無二の美しい終末物語。

個人的には"文学のカテゴライズを越えた幻想小説"スリップストリーム文学とも、思弁的SFとも評価される本書を【一体どんな本なのだろうか?】と興味をもって手にとりました。

さて、そんな本書はもし誰かに説明するなら物語自体は割とシンプルで。全世界が詳しくは説明されない突然の『氷』により次第に破滅していく中【さておき"私"はひたすらアルビノの"少女"を追いかける】だけの個人主義的物語ともいえるのですが。

まず異論もあるようですが、私はやはり、この迫りくる『氷』追い続ける『私』(邪魔する『長官』)拒み続ける『少女』の構図がなんども繰り返される本書は【カフカ的な読み心地で】例えば"城"のようないつまで経っても辿りつけない不条理存在として『少女』が存在しているように読みながら感じていました。

一方で『私は道に迷ってしまった』と唐突に始まり、フラッシュバックの様に現実と幻想が不連続に挟まれる文章は物語として【頭で理解しようと目で追うと読みづらく混乱する】ものの【イメージの奔流が先にあって、文章が散発的に表出している】と受け止めると、やはり描写の圧倒的な美しさには独特の魅力があって。読み終えた後になんとも言葉にできない余韻を覚えました。

カテゴライズしきれない美しい文章に没入したい方や、雪に囲まれる中で読書する際の一冊としてオススメ。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.45
(5pt)

唯一無二の作品

"世界はすでに終わりの時を迎えてしまったように思われた。それももうどうでもいいことだった。この車が私たちの世界になっていた。小さく明るく暖かい部屋。静かに凍りついていく無辺の宇宙の中の私たちの家"1967年発刊の本書は"夜の世界を探索する作家"による唯一無二の美しい終末物語。

個人的には"文学のカテゴライズを越えた幻想小説"スリップストリーム文学とも、思弁的SFとも評価される本書を【一体どんな本なのだろうか?】と興味をもって手にとりました。

さて、そんな本書はもし誰かに説明するなら物語自体は割とシンプルで。全世界が詳しくは説明されない突然の『氷』により次第に破滅していく中【さておき"私"はひたすらアルビノの"少女"を追いかける】だけの個人主義的物語ともいえるのですが。

まず異論もあるようですが、私はやはり、この迫りくる『氷』追い続ける『私』(邪魔する『長官』)拒み続ける『少女』の構図がなんども繰り返される本書は【カフカ的な読み心地で】例えば"城"のようないつまで経っても辿りつけない不条理存在として『少女』が存在しているように読みながら感じていました。

一方で『私は道に迷ってしまった』と唐突に始まり、フラッシュバックの様に現実と幻想が不連続に挟まれる文章は物語として【頭で理解しようと目で追うと読みづらく混乱する】ものの【イメージの奔流が先にあって、文章が散発的に表出している】と受け止めると、やはり描写の圧倒的な美しさには独特の魅力があって。読み終えた後になんとも言葉にできない余韻を覚えました。

カテゴライズしきれない美しい文章に没入したい方や、雪に囲まれる中で読書する際の一冊としてオススメ。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.44
(5pt)

唯一無二の作品

"世界はすでに終わりの時を迎えてしまったように思われた。それももうどうでもいいことだった。この車が私たちの世界になっていた。小さく明るく暖かい部屋。静かに凍りついていく無辺の宇宙の中の私たちの家"1967年発刊の本書は"夜の世界を探索する作家"による唯一無二の美しい終末物語。

個人的には"文学のカテゴライズを越えた幻想小説"スリップストリーム文学とも、思弁的SFとも評価される本書を【一体どんな本なのだろうか?】と興味をもって手にとりました。

さて、そんな本書はもし誰かに説明するなら物語自体は割とシンプルで。全世界が詳しくは説明されない突然の『氷』により次第に破滅していく中【さておき"私"はひたすらアルビノの"少女"を追いかける】だけの個人主義的物語ともいえるのですが。

まず異論もあるようですが、私はやはり、この迫りくる『氷』追い続ける『私』(邪魔する『長官』)拒み続ける『少女』の構図がなんども繰り返される本書は【カフカ的な読み心地で】例えば"城"のようないつまで経っても辿りつけない不条理存在として『少女』が存在しているように読みながら感じていました。

一方で『私は道に迷ってしまった』と唐突に始まり、フラッシュバックの様に現実と幻想が不連続に挟まれる文章は物語として【頭で理解しようと目で追うと読みづらく混乱する】ものの【イメージの奔流が先にあって、文章が散発的に表出している】と受け止めると、やはり描写の圧倒的な美しさには独特の魅力があって。読み終えた後になんとも言葉にできない余韻を覚えました。

カテゴライズしきれない美しい文章に没入したい方や、雪に囲まれる中で読書する際の一冊としてオススメ。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.43
(3pt)

分類なんか蹴散らす作品

カフカが引き合いに出されることが多い作家なので気になっていましたが、
この作品を読んだ限りでは、似ているとは思いませんでした。
既存の型に当てはまるようなものではなく、著者独特の世界が精緻に描かれている作品でした。

カフカにはシュールなやり取りから生み出される滑稽さや、読んでいるものを次第に
不気味な世界に引き込む認識のずれや違和感からの広がりがありますが、
カヴァンの表現方法はもっと直截で、より幻想的なのに世界は広がるどころか狭まってゆき、
ユーモアは排除され、世界は湿っているのに文体は乾いています。

肝心の内容は、文体には品があり、技巧を凝らしていて、描写も細かくすごいと思えるのに
どうにも展開が退屈で、おもしろいと思えませんでした。
設定や表現には鋭いえぐさがあるものの、端々にメルヘンチックな雰囲気を感じてしまいます。
残酷さや暴力も混在する少女漫画でも読んでいるみたいな、むず痒い気分になってしまいました。
いやな言い方をすると、女性キャラのヒステリーな感情描写だけやけに生々しくなることがあり、
メンヘラの聖典みたいな印象を受ける本でした。

すごいと思うんだけど、おもしろかったとは言えない、不思議な感覚でした。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.42
(3pt)

分類なんか蹴散らす作品

カフカが引き合いに出されることが多い作家なので気になっていましたが、
この作品を読んだ限りでは、似ているとは思いませんでした。
既存の型に当てはまるようなものではなく、著者独特の世界が精緻に描かれていました。

肝心の内容は、文体には品があり、技巧を凝らしていて、描写もすごいと思えるのに
どうにも展開が退屈で、おもしろいと思えませんでした。
設定や表現には鋭いえぐさがあるものの、端々にメルヘンチックな雰囲気を感じてしまいます。
残酷さや暴力も混在する少女漫画でも読んでいるみたいな、むず痒い気分になってしまいました。

すごいと思うんだけど、おもしろかったとは言えないような、不思議な感覚でした。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.41
(3pt)

分類なんか蹴散らす作品

カフカが引き合いに出されることが多い作家なので気になっていましたが、
この作品を読んだ限りでは、似ているとは思いませんでした。
既存の型に当てはまるようなものではなく、著者独特の世界が精緻に描かれていました。

肝心の内容は、文体には品があり、技巧を凝らしていて、描写もすごいと思えるのに
どうにも展開が退屈で、おもしろいと思えませんでした。
設定や表現には鋭いえぐさがあるものの、端々にメルヘンチックな雰囲気を感じてしまいます。
残酷さや暴力も混在する少女漫画でも読んでいるみたいな、むず痒い気分になってしまいました。

すごいと思うんだけど、おもしろかったとは言えないような、不思議な感覚でした。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.40
(5pt)

自殺願望の化身

続けて、アンナ・カヴァンの最期の作品で、代表作と言われる「氷」を1日で読了。
期待を裏切るか、「草地は緑に輝いて」が特別だったのか、と、ドキドキしたが、良かった!
二人の男性(一人が語り手)が、氷に浸食される末期の世界の中、儚げだというのに夢のような圧倒的存在感の美少女をただひたすら追い求める話。この話は時代によっては、SFに分類されたこともあったが、スリップストリームというのに今は位置づけられるとのこと。不条理を描く純文学。思い当たるのは村上春樹。アンナ・カヴァンの「氷」は、(村上春樹からユーモアと性描写を抜き取り)あり得ないことが延々続くのに、非常に上質な小説として成り立ってしまう凄い作品だった。
幼い頃に、サディスティックな母に虐待を受け、心に傷を負い、神経症のようなイメージさえ受ける華奢な美少女は、その純度の極まった雪の結晶を思わせる美しさからか、語り手と社会的権力のある「長官」から執拗なまでに求められるが、現れたかと思えば消え、囚われとなったかと思えば夢のように抜けだす。男たちは迫り来る氷の浸食を背に彼女を追い求めるが、人間性を覗わせる理由や心根が一切分からない。純度の高い、美しさを極めた「孤独」に心酔しているかのように、少女を手中に納めようとする。世界が終わるというのに、こんなに少女に執着するのは一体。。。
最後、語り手は少女と共に迫り来る氷から逃げるため車を走らせる。みちゆき。車は疾走するふたりを包む暖かい小部屋。少女と寄り添い、懐の拳銃の存在を感じ、物語は終焉する。

私には、少女が魅惑的な死の願望の象徴に思えてならない。

因みに、アンナ・カヴァンは、「氷」の発表の翌年亡くなる。40年常用したヘロインが直接的な死因でないらしい。自殺未遂を繰り返した経歴もあるが、それが死因でないらしい。

次は、精神病院に入院した経験が影響した短編集「アサイラム・ピース」を読む予定。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.39
(5pt)

自殺願望の化身

続けて、アンナ・カヴァンの最期の作品で、代表作と言われる「氷」を1日で読了。
期待を裏切るか、「草地は緑に輝いて」が特別だったのか、と、ドキドキしたが、良かった!
二人の男性(一人が語り手)が、氷に浸食される末期の世界の中、儚げだというのに夢のような圧倒的存在感の美少女をただひたすら追い求める話。この話は時代によっては、SFに分類されたこともあったが、スリップストリームというのに今は位置づけられるとのこと。不条理を描く純文学。思い当たるのは村上春樹。アンナ・カヴァンの「氷」は、(村上春樹からユーモアと性描写を抜き取り)あり得ないことが延々続くのに、非常に上質な小説として成り立ってしまう凄い作品だった。
幼い頃に、サディスティックな母に虐待を受け、心に傷を負い、神経症のようなイメージさえ受ける華奢な美少女は、その純度の極まった雪の結晶を思わせる美しさからか、語り手と社会的権力のある「長官」から執拗なまでに求められるが、現れたかと思えば消え、囚われとなったかと思えば夢のように抜けだす。男たちは迫り来る氷の浸食を背に彼女を追い求めるが、人間性を覗わせる理由や心根が一切分からない。純度の高い、美しさを極めた「孤独」に心酔しているかのように、少女を手中に納めようとする。世界が終わるというのに、こんなに少女に執着するのは一体。。。
最後、語り手は少女と共に迫り来る氷から逃げるため車を走らせる。みちゆき。車は疾走するふたりを包む暖かい小部屋。少女と寄り添い、懐の拳銃の存在を感じ、物語は終焉する。

私には、少女が魅惑的な死の願望の象徴に思えてならない。

因みに、アンナ・カヴァンは、「氷」の発表の翌年亡くなる。40年常用したヘロインが直接的な死因でないらしい。自殺未遂を繰り返した経歴もあるが、それが死因でないらしい。

次は、精神病院に入院した経験が影響した短編集「アサイラム・ピース」を読む予定。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.38
(5pt)

自殺願望の化身

続けて、アンナ・カヴァンの最期の作品で、代表作と言われる「氷」を1日で読了。
期待を裏切るか、「草地は緑に輝いて」が特別だったのか、と、ドキドキしたが、良かった!
二人の男性(一人が語り手)が、氷に浸食される末期の世界の中、儚げだというのに夢のような圧倒的存在感の美少女をただひたすら追い求める話。この話は時代によっては、SFに分類されたこともあったが、スリップストリームというのに今は位置づけられるとのこと。不条理を描く純文学。思い当たるのは村上春樹。アンナ・カヴァンの「氷」は、(村上春樹からユーモアと性描写を抜き取り)あり得ないことが延々続くのに、非常に上質な小説として成り立ってしまう凄い作品だった。
幼い頃に、サディスティックな母に虐待を受け、心に傷を負い、神経症のようなイメージさえ受ける華奢な美少女は、その純度の極まった雪の結晶を思わせる美しさからか、語り手と社会的権力のある「長官」から執拗なまでに求められるが、現れたかと思えば消え、囚われとなったかと思えば夢のように抜けだす。男たちは迫り来る氷の浸食を背に彼女を追い求めるが、人間性を覗わせる理由や心根が一切分からない。純度の高い、美しさを極めた「孤独」に心酔しているかのように、少女を手中に納めようとする。世界が終わるというのに、こんなに少女に執着するのは一体。。。
最後、語り手は少女と共に迫り来る氷から逃げるため車を走らせる。みちゆき。車は疾走するふたりを包む暖かい小部屋。少女と寄り添い、懐の拳銃の存在を感じ、物語は終焉する。

私には、少女が魅惑的な死の願望の象徴に思えてならない。

因みに、アンナ・カヴァンは、「氷」の発表の翌年亡くなる。40年常用したヘロインが直接的な死因でないらしい。自殺未遂を繰り返した経歴もあるが、それが死因でないらしい。

次は、精神病院に入院した経験が影響した短編集「アサイラム・ピース」を読む予定。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.37
(4pt)

独特で幻想的

幻想的なのに機械的な香りもする、近未来SFのようでいて幻惑的である 村上春樹作品によく出てくる謎の女のようなヒロイン、それに訳もなく振り回される男 説明がほしいという人には不向きであるが嵌る人には心地よい
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.36
(4pt)

独特で幻想的

幻想的なのに機械的な香りもする、近未来SFのようでいて幻惑的である 村上春樹作品によく出てくる謎の女のようなヒロイン、それに訳もなく振り回される男 説明がほしいという人には不向きであるが嵌る人には心地よい
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.35
(4pt)

独特で幻想的

幻想的なのに機械的な香りもする、近未来SFのようでいて幻惑的である 村上春樹作品によく出てくる謎の女のようなヒロイン、それに訳もなく振り回される男 説明がほしいという人には不向きであるが嵌る人には心地よい
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.34
(5pt)

アンナ・カヴァンを読もうと思う方、ぜひ本書から

短編集「アサイラム・ピース」を読んでから本書を読みました。
結論めいたことを先に言うと、アンナ・カヴァン未経験の方であれば、先にこの「氷」を読むのが良いと思います。
アサイラム・ピースを先に読んでしまうと、カヴァン作品経験何作目かに当たる本書の導入部に既視感が生じるというか、同工異曲のように感じてしまいかねないのです。

私の場合はそれで一気読みできず、1/3くらいを読んだところで何日か中断してしまったのですが、これはちょっともったいないことをしたと読後に思ったのです。
残り1/4くらいになってからの展開--語り手である「私」の少女への執着(としか呼べないでしょう)と、少女の受動的ながらも現状から逃避しようとする意志--これらは冒頭からコンスタントに読んだほうがより緊迫感を持って読めたかなあ、と…

それでも最終部分に至る展開は十分スリリングで、全体がシルバーグレイの靄のように感じられた世界が急にオーロラのように鮮やかに、少しばかりおどろおどろしく見えてくるような描写は見事でした。また、中盤のすべての登場人物が自由意志というより状況に流されてファナティックな行動に走っているかのような印象は、J.G.バラードを思わせるようで、こちらも個人的に非常に好みでした。

この、取り憑かれたように破滅的な行動をとる愚かしい人々の存在する冷たい世界を、それでもこんなに美しく描けること自体が奇跡的なのかもしれません。
繰り返しますが、アンナ・カヴァン未経験ならば、ぜひこの作品からどうぞ。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G
No.33
(5pt)

アンナ・カヴァンを読もうと思う方、ぜひ本書から

短編集「アサイラム・ピース」を読んでから本書を読みました。
結論めいたことを先に言うと、アンナ・カヴァン未経験の方であれば、先にこの「氷」を読むのが良いと思います。
アサイラム・ピースを先に読んでしまうと、カヴァン作品経験何作目かに当たる本書の導入部に既視感が生じるというか、同工異曲のように感じてしまいかねないのです。

私の場合はそれで一気読みできず、1/3くらいを読んだところで何日か中断してしまったのですが、これはちょっともったいないことをしたと読後に思ったのです。
残り1/4くらいになってからの展開--語り手である「私」の少女への執着(としか呼べないでしょう)と、少女の受動的ながらも現状から逃避しようとする意志--これらは冒頭からコンスタントに読んだほうがより緊迫感を持って読めたかなあ、と…

それでも最終部分に至る展開は十分スリリングで、全体がシルバーグレイの靄のように感じられた世界が急にオーロラのように鮮やかに、少しばかりおどろおどろしく見えてくるような描写は見事でした。また、中盤のすべての登場人物が自由意志というより状況に流されてファナティックな行動に走っているかのような印象は、J.G.バラードを思わせるようで、こちらも個人的に非常に好みでした。

この、取り憑かれたように破滅的な行動をとる愚かしい人々の存在する冷たい世界を、それでもこんなに美しく描けること自体が奇跡的なのかもしれません。
繰り返しますが、アンナ・カヴァン未経験ならば、ぜひこの作品からどうぞ。
氷 (ちくま文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (ちくま文庫)より
4480432507
No.32
(5pt)

アンナ・カヴァンを読もうと思う方、ぜひ本書から

短編集「アサイラム・ピース」を読んでから本書を読みました。
結論めいたことを先に言うと、アンナ・カヴァン未経験の方であれば、先にこの「氷」を読むのが良いと思います。
アサイラム・ピースを先に読んでしまうと、カヴァン作品経験何作目かに当たる本書の導入部に既視感が生じるというか、同工異曲のように感じてしまいかねないのです。

私の場合はそれで一気読みできず、1/3くらいを読んだところで何日か中断してしまったのですが、これはちょっともったいないことをしたと読後に思ったのです。
残り1/4くらいになってからの展開--語り手である「私」の少女への執着(としか呼べないでしょう)と、少女の受動的ながらも現状から逃避しようとする意志--これらは冒頭からコンスタントに読んだほうがより緊迫感を持って読めたかなあ、と…

それでも最終部分に至る展開は十分スリリングで、全体がシルバーグレイの靄のように感じられた世界が急にオーロラのように鮮やかに、少しばかりおどろおどろしく見えてくるような描写は見事でした。また、中盤のすべての登場人物が自由意志というより状況に流されてファナティックな行動に走っているかのような印象は、J.G.バラードを思わせるようで、こちらも個人的に非常に好みでした。

この、取り憑かれたように破滅的な行動をとる愚かしい人々の存在する冷たい世界を、それでもこんなに美しく描けること自体が奇跡的なのかもしれません。
繰り返しますが、アンナ・カヴァン未経験ならば、ぜひこの作品からどうぞ。
氷 Amazon書評・レビュー: より
4862381006
No.31
(4pt)

少女を守りながら残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。

1968年11月に享年67歳で謎の死を遂げて後に評価され始めた女流SF作家カヴァンが死の前年に発表して絶賛された伝説的名作が23年振りに改訳の上で復刊されました。本書は人類の終焉テーマに少女を追い続ける男の姿を絡ませた歴史的なSF長編小説です。地球全土を襲った異常気象による寒波の中、男は少女を追い続ける。何故か男を毛嫌いして逃げる少女。やがて某独裁国家を支配する強大な権力を持つ〈長官〉に捕えられ庇護を受ける少女を追って行く男だったが・・・。
本書の読み所は、男が追跡の途上で立ち寄る町や村の人々が危機的状況が進むにつれて人間性を喪失して行き躁鬱状態を繰り返す姿の描写、男がスパイ小説さながらに方々で危機を乗り越えて生き延び続ける強靭な生命力、そして男が妄念のように唯少女を救う事のみを生きる目的にして彷徨う姿にあるでしょう。男が望むのは性的な物では全くありませんし、恋愛対象ではなく大人と子供のような関係で、ひたすら守ってあげたいという渇望である事が純粋な感動を呼びます。個人の力では最早如何ともし難い運命を受け入れて、守るべき存在と共にいられる幸福を味わいながら、残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。唯、難を言えば男が少女に対して異常な程の思い入れを抱くに至った背景が最後まで明かされない所、物語の展開が大きな変化に乏しく面白味に欠ける点、人類の叡智や底力の頑張りが見られない所です(これは作品の性格上、止むを得ませんが)。細かい部分で物足りなさもありますが、構成がシンプルで理解し易く執筆された時代の息吹が感じられ、時を超えて読み継がれる普遍的な作品である事に疑いはありません。尚、巻末に著者の真価を認めたSF作家ブライアン・オールディス氏の懇切丁寧な解説文がついていて感動的です。最後に著者の作風の全貌を知る為に、他の傾向の作品群も多く読んで見たいと思いました。
氷 (1985年) (サンリオSF文庫) Amazon書評・レビュー: 氷 (1985年) (サンリオSF文庫)より
B000J6WP2G