(短編集)
ジュリアとバズーカ
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短編集タイトル名、「ジュリアとバズーカ」とは、一番最後に掲載された見事な短編で、言い換えれば「カヴァンと注射器」の事である。ヘロインをうつ注射器は、鬱を吹き飛ばすバズーカ砲というわけだ。ジュリアの一生の流れが二~三行で移り変わり、流麗に語られる。それは、何度も書くが見事なまで。一冊のタイトル名になるくらい、象徴的な物語。 数々の短編は、今まで読んだ三冊と比べて、鬱と神経症と薬物・恋愛依存の影響が感じられる内容だった。 「アサイラム・ピース」はサナトリウムにいる人々を描いているが、苦しみにも世の中から隔離された「諦め」がある。ある意味単調。 本作品集は、人間社会とカヴァンとの摩擦が様々に痛々しく表現されている。が、精神疾患患者特有のうんざりな支離滅裂やそれに付随する周りの世知辛い手垢の着いた苦労はこれっぽっちもない。カヴァンは小説家として、苦悩する自分に「美しく」対峙していた。 解説によると、カヴァンは最後まで、たんなるヘロイン依存という色眼鏡で作品を見られるのを嫌い、小説として成立する作品を書くのに必死だったという。その筈、自意識過剰・病的を凌駕して、どの作品にも凄味のある芸術的昇華があり、締めくくりも鮮やかで胸に迫る美しさがある。これは、滅多にない精度の孤高の美意識・表現力である。 しかし、訳者による解説では、カヴァンを冷静に分析していて、目から鱗。自分はなんて妙な思い入れを生じさせながら感動して読んでいたかと恥じ入る部分もある事も書いておく。それ程、心が騒ぐ作家なのだ。 | ||||
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シュールでありながら、生きているうちに誰しもが感じる孤独やかなしみが端的に描きこまれている私小説的な幻想小説集です 村上春樹氏の短編をもっとシャープにしたような感覚で、村上氏の小説がこれほど受け入れられているのですから、この本もたくさんの人にとって充実した体験を与えうると思われます あるところは現代美術、別のところは耽美派小説のようで、作者の感受性が受け止めたいろいろな分野の作品からの影響がうまく言語化され血肉化された表現になっていると感じます 粗製濫造的な翻訳が多いんだろうと勝手に思い込んでいたサンリオSF文庫で世に出た訳ですが、原著への愛着と細かい工夫が感じられる入念な訳文です 迷っている人にはぜひご一読をお勧めします | ||||
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美しい本だ。 内容は掌編・短編集。カフカティックと評される『アサイラム・ピース』にくらべると、抽象度は落とした作品が多い。 人間らしいと言ったら言い過ぎで、カヴァンの分身である"私"たちは、 ウェットで面倒なばかりの人間たちを轢き殺したり、認識することをやめてしまう。 絶対的に独立した単子でありたいと願うように、零度を求めるように。 しかし、同時に"私"は、独りでいるのがつらいのではないだろうか。 それが作品群に陰影をあたえ、文学作品として自立することを可能にしている気がする。 潔癖さを求める魂、覚えがある者なら、きっと震えるだろう。 | ||||
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サンリオSF文庫の中でも、ここ最近高値のツートップであった 『生ける屍』と本書『ジュリアとバズーカ』が今年再刊されたこと自体は 喜ばしい。 ただ、本書は新訳でもなければ、新たに作品が加えられている わけでもないようだ。 それでいて、ただのソフトカバー、解説さえもサンリオ版の転用。 で価格はほぼ3000円(!) プレミア価格のため旧版に手を出せなかった連中なら 相当ふっかけても買うんだろう?と言う雰囲気が濃厚に漂う。 どう考えても1500円程度の造りの本なので 読むためだけなら、これを図書館にリクエスト するのが良いと思う。 ただ、先だって別の出版社から再刊されていた、 アンナ・カヴァンの『氷』もすぐ絶版になっていて 価格も高騰しているから、そのあたり気になる人は 入手しておいていいかもしれない。 | ||||
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