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氷
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氷の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 21~21 2/2ページ
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| 1968年11月に享年67歳で謎の死を遂げて後に評価され始めた女流SF作家カヴァンが死の前年に発表して絶賛された伝説的名作が23年振りに改訳の上で復刊されました。本書は人類の終焉テーマに少女を追い続ける男の姿を絡ませた歴史的なSF長編小説です。地球全土を襲った異常気象による寒波の中、男は少女を追い続ける。何故か男を毛嫌いして逃げる少女。やがて某独裁国家を支配する強大な権力を持つ〈長官〉に捕えられ庇護を受ける少女を追って行く男だったが・・・。 本書の読み所は、男が追跡の途上で立ち寄る町や村の人々が危機的状況が進むにつれて人間性を喪失して行き躁鬱状態を繰り返す姿の描写、男がスパイ小説さながらに方々で危機を乗り越えて生き延び続ける強靭な生命力、そして男が妄念のように唯少女を救う事のみを生きる目的にして彷徨う姿にあるでしょう。男が望むのは性的な物では全くありませんし、恋愛対象ではなく大人と子供のような関係で、ひたすら守ってあげたいという渇望である事が純粋な感動を呼びます。個人の力では最早如何ともし難い運命を受け入れて、守るべき存在と共にいられる幸福を味わいながら、残されたいくばくかの生を引き伸ばす男の姿が胸を打ちます。唯、難を言えば男が少女に対して異常な程の思い入れを抱くに至った背景が最後まで明かされない所、物語の展開が大きな変化に乏しく面白味に欠ける点、人類の叡智や底力の頑張りが見られない所です(これは作品の性格上、止むを得ませんが)。細かい部分で物足りなさもありますが、構成がシンプルで理解し易く執筆された時代の息吹が感じられ、時を超えて読み継がれる普遍的な作品である事に疑いはありません。尚、巻末に著者の真価を認めたSF作家ブライアン・オールディス氏の懇切丁寧な解説文がついていて感動的です。最後に著者の作風の全貌を知る為に、他の傾向の作品群も多く読んで見たいと思いました。 | ||||
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